図の説明には、全体と見る順番の案内が必要だ

図を見せても、説明中の箇所が相手に伝わっているとは限りません。全体の案内から理解の確認まで、商談での説明の進め方を整理します。

  • 説明の入口を決める 図が表すものと見る順番を先に伝え、記号や線の意味を説明します。
  • 説明中の案内を決める 話している箇所を指し、図にない条件を補います。相手が見ている箇所を確かめ、図と別の資料の対応も示します。
  • 説明の終え方を決める 図で答えられない質問が出たときの対応を決め、相手の理解を確かめます。説明した内容と残る疑問を確認表に記録します。

図の説明には、描いた範囲の案内が必要だ

細部から話すと、何を説明する図なのかが分からないまま話が進むことがあります。図の目的と範囲、図に含まれない内容を先に伝えます。

  • 何の図かを伝える 何を示すための図なのかを短く伝え、業務の流れの図なら何から何までを描いたかを添えます。
  • 描いた範囲を伝える どこからどこまでを扱う図かを説明します。開始前や完了後の話まで含むと誤解されないようにします。
  • 含まない内容を伝える 提供条件や個別の条件など、図だけでは判断できない内容を先に知らせます。

全体を案内する言い方

伝えること方法注意
図の目的図が何を示すためのものかを伝えます。細かな枠の説明から始めません。
描いた範囲図に描いた範囲の始点と終点を伝えます。図に描いていない範囲は、口頭で補うか別の資料で説明するかを伝えます。
描いていないこと図に含めていない内容と、どこで説明するかを伝えます。図にない内容を、不要な内容と扱いません。
表は編集部作成の例です。

見る順番は始点・進む方向・終点の順に示す必要がある

図をどこから読むかは、見ただけでは伝わらないことがあります。始点、進む方向、終点を示してから説明を始めます。

  • 始める箇所を示す 最初に見る枠を指し、名称を読み上げます。指し示すだけで済ませず、始点の名称を言葉でも伝えます。
  • 進む道筋を伝える どの線をたどり、どの枠へ進むかを説明します。分岐がある場合は、今回たどる経路を伝えます。
  • 終える箇所を示す 説明の終点を先に知らせます。途中を省く場合は、省く箇所と理由を伝えます。

始点から終点までの案内

示すこと方法注意
始点最初に見る枠の名称を言って案内します。位置だけでなく名称も伝えます。
進む方向どの枠からどの枠へ、矢印に沿って進むかを伝えます。分岐先を無言で選びません。
終点今回はどの枠まで説明するかを伝えます。説明する範囲が変わったら知らせます。
表は編集部作成の例です。

矢印だけでは、進む条件まで分かるとは限らない

枠や線は、見る人によって違う意味に読まれることがあります。この図で何を表しているかを伝えてから、処理の説明に入ります。

  • 枠の意味を伝える 枠が処理、担当部署、情報のどれを表すかを説明します。形が同じ枠が同じ種類のものを表すかも言葉で補います。
  • 線の意味を伝える 矢印が処理の順序を表すのか、情報の受け渡しを表すのかを伝えます。進む条件は別に説明します。
  • 印の意味を伝える 印が付いた理由を説明します。意味を確認できない記号は推測で説明せず、確認が必要だと伝えます。

要素ごとに伝える意味

要素伝えること注意
枠枠が何を表すかを伝えます。処理の枠と担当部署の枠を相手が混同していないか確認します。
矢印や線矢印が処理の順序を表すのか、情報の受け渡しを表すのかを伝えます。線があるだけで、自動的に進むとは説明しません。
印印が何を示すかを伝えます。印の意味を相手の推測に任せません。
表は編集部作成の例です。

指差しだけでは、説明箇所が伝わるとは限らない

指しているつもりでも、近くの別の枠を見ている場合があります。箇所を指す動きに名称を添え、移動するたびに次の場所を知らせます。

  • 話す箇所を指す 説明を始める前に、対象の枠や線を指します。広い範囲をなぞらず、話している箇所に指す位置を合わせます。
  • 名称を添えて伝える 図の中の位置と枠の名称を伝えます。指した位置が見えているかも確認します。
  • 移る前に予告する 次にどの枠を見るかを伝えてから移ります。前の箇所への質問があれば、先に答えるか後で扱うかを伝えてから移ります。

説明箇所を共有する動作と言葉

場面すること注意
説明を始める対象を指し、どの枠を説明するかを名称で伝えます。指す位置を動かし続けません。
箇所を特定する隣の枠との位置関係と名称で補います。指示語だけで説明しません。
次へ移るどの枠からどの枠へ進むかを予告します。前の箇所への質問の扱いを伝えずに進みません。
表は編集部作成の例です。

図にない条件には、言葉での補足が必要だ

線がつながっていても、条件を満たさなければ進まない場合があります。省略した条件、例外、図の前提を該当箇所で補います。

  • 省いた条件を補う 次の処理へ進むために必要な条件を、その線を説明するときに伝えます。最後にまとめて補うのは避けます。
  • 例外の扱いを伝える 通常の流れから外れる場合を説明します。対応が未確認なら、確認して回答する内容として残します。
  • 前提を明らかにする 図がどのような状態を想定しているかを伝えます。相手の状況でも当てはまるかを確認します。

図だけでは伝わらない条件の補足

補うこと伝え方注意
省いた条件次の枠へ進む条件を言葉で補います。矢印を無条件の進行と読ませないようにします。
例外どの場合に通常の流れから外れ、どこへ進むかを伝えます。図にない戻り方も言葉で説明します。
図の前提図がどの場合を想定して描かれているかを伝えます。個別の事情にも当てはまるとは言い切りません。
表は編集部作成の例です。

視線だけでは、見ている箇所が分かるとは限らない

図に目を向けていても、同じ箇所を見ているとは限りません。視線を手がかりにしつつ、枠の名称や質問の対象を言葉で確認します。

  • 視線で決めつけない 視線が別の箇所に留まったら説明を区切り、今どの枠を見ているかを尋ねます。図を見回しているだけなら続けます。
  • 質問の対象を聞く 質問が流れ全体についてなのか特定の枠についてなのか分からないときは、どの枠からどの枠までを指すかを尋ねます。対象が分かってから答えます。
  • 別の箇所を見る理由を聞く 別の箇所を見ている場合は、気になった点を聞きます。回答してから元の説明へ戻るかを決めます。

見る位置を言葉で確認する方法

確かめ方分かること対応
名称を尋ねるどの枠を見ているかを確かめられます。相手が挙げた枠を指し、説明位置を確認します。
質問の範囲を聞くどの線や処理への質問かを確かめられます。対象の枠と線を確認してから答えます。
気になる点を聞く別の箇所を見ている理由を確かめられます。先に答えるか、後で扱うかを相談します。
表は編集部作成の例です。

図と資料の対応には、名称と条件の照合が必要だ

図と別の資料で呼び方や前提が違うと、同じ内容を指しているかが分かりにくくなります。対応する見出しを示し、名称や数値が同じ対象を指しているかを確認します。

  • 対応する記載を示す 図の枠を指し、対応する資料の見出しを伝えます。資料へ移る理由も添えます。
  • 名称と条件を照合する 名称が違う場合は同じ対象かを確認します。数値がある場合は、対象の範囲や時点も照合します。
  • 資料にない内容を分ける 口頭で補った内容が資料に記載されているかを確かめ、記載がなければそのことを伝えます。確定した説明か、確認が必要な説明かも示します。

図から資料へ移るときの照合

対応方法注意
枠と記載枠が資料のどの手順に対応するかを示します。資料のどこを見るかを曖昧にしません。
名称や数値同じ対象、範囲、時点を示す記載かを照合します。違いがあれば、その場で同じものと扱いません。
資料にない内容記載がない条件は、資料にないことを伝えます。確認前の内容を確定事項として説明しません。
表は編集部作成の例です。

図で答えられない質問には、別の説明が必要だ

質問が図に描いていない内容に及んだら、図の説明をいったん止めます。必要な説明をした後、相手の言葉で理解と残る疑問を確認します。

  • 図の説明を区切る 図にない内容を聞かれたら、その図では答えられないと伝えます。別の資料で答えるか、確認後に回答します。
  • 相手の言葉で確認する 相手の業務では、どの条件を満たすと次の処理へ進むと理解したかを尋ねます。説明した内容との違いを確認します。
  • 残る疑問を聞く 判断に必要なのに分からない点を聞きます。その場で答える内容と、持ち帰って確認する内容を伝えます。

図の説明を区切り、理解を確認する場面

場面すること注意
図の外への質問図の説明を止め、回答に必要な資料や確認先を伝えます。答えのない図を使って説明を続けません。
相手の言い換えどの条件で次へ進むと理解したかを聞きます。違いがあれば、該当箇所と条件を説明し直します。
残る疑問分からない点と、回答を必要とする時期を聞きます。うなずきだけで疑問がないと判断しません。
表は編集部作成の例です。

口頭で補った条件を記録すると提案書との差が分かる

図を保存するだけでは、商談で補った条件や説明の順番は残りません。口頭で伝えた内容も記録し、提案書の対応する記載へ反映します。

  • 見せた図を特定する 図の名称と版や更新日を記録します。後から別の図を見て振り返ることを防ぎます。
  • 説明の順番を残す 始点、経路、終点と、途中で移った箇所を記録します。説明しなかった範囲も残します。
  • 補った条件を反映する 口頭で補った条件と反映先を記録します。確認済みの内容を提案書へ記載し、未確認の内容は分けて管理します。

商談後に残す説明の記録

記録項目書くこと理由
見せた図図の名称と版や更新日を書きます。どの図を使った説明かを特定できます。
説明した順番たどった経路と、省略した範囲を書きます。説明済みの範囲を確認できます。
補った条件補足内容、確認状況、提案書の反映先を書きます。口頭の説明と提案書を照らし合わせて確認できます。
表は編集部作成の例です。

確認表を書くと説明した内容と相手の発言の差が分かる

説明した事実と、相手がどう理解したかを分けて記録します。商談前に説明の予定を書き、商談後に実際の順番や相手の発言を追記します。

  • 商談前に予定を書く 使う図、図が表すもの、見る順番、記号の意味を記入します。言葉で補う条件も用意します。
  • 商談後に事実を残す 実際に説明した順番と補った条件を追記します。相手が見ていた箇所は、言葉で確認できた範囲を書きます。
  • 発言と疑問を残す 相手の言い換えや質問を記録します。図と資料の対応、図から離れた理由、次に回答する内容も残します。

図の説明の確認表

確認項目記入する内容確認項目記入する内容
商談商談先・日時・参加者を書きます。見せた図名称と版や更新日を書きます。
図が表すもの目的・範囲・図にない内容を書きます。見る順番始点・経路・終点を書きます。
記号と線の意味枠・線・印について伝えた意味を書きます。言葉で補った条件省略した条件・例外・前提を書きます。
相手が見ていた箇所確認した箇所と、そこでの質問を書きます。相手の理解相手の言い換えと残る疑問を書きます。
記録先保存先と資料・提案書の対応箇所を書きます。次の対応図から離れた理由と、回答する内容を書きます。
編集部作成の例です。商談の内容に合わせて記入します。