説明を省ける範囲は利用経験だけでは決まらない

前職で使っていた経験があっても、現在の提供内容や今回の利用条件まで知っているとは限りません。知っている範囲を確認し、説明を省く範囲を相手と決めます。

  • 聞くことと調べることを決める 相手の過去の利用経験について、何を相手に聞き、何を自社で調べるかを決めます。
  • 今回の説明を絞る 今回の会社での用途に照らして、省ける説明と残す説明を相手と決めます。
  • 共有する内容を決める 他の検討者に渡す資料と、営業管理表に残す確認事項を決めます。

前職で使えた商品が今回の会社でも使えるとは限らない

商品を知っていることと、今回の会社で使えることは別です。会社が変われば用途や条件も変わるため、利用経験だけを根拠に説明を省くと、認識が食い違うことがあります。

  • 用途を分けて考える 前職で役立った用途が、今回の会社でも必要とは限りません。今回の業務で何に使いたいかを相手に聞きます。
  • 条件の違いを調べる 人数、担当する部署、利用環境などを確認し、現在の提供条件で対応できるかを調べます。
  • 省く説明は相手と決める 相手が知っている範囲を確認したうえで、省いてよい説明を相手と一緒に決めます。

利用経験から決めつけないための整理

決めつけやすいこと実際に確かめること理由
基本は説明不要どこまで説明を省いてよいか利用経験だけでは理解の範囲が分からないため
用途は前職と同じ今回の会社で使いたい業務会社が変わると必要な使い方も変わるため
条件も問題ない人数、体制、利用環境今回の利用条件は前職と異なる場合があるため
社内でも話が通る他の検討者の商品知識利用経験が社内で共有されているとは限らないため
表は編集部作成の例です。

当時の提供内容には自社側での確認が必要だ

同じ商品名でも、利用していた時期や利用条件によって提供内容が異なる場合があります。相手の記憶から手がかりを得て、当時の資料を自社で確認します。

  • 利用時期を聞く 使い始めた頃と最後に使った頃を聞きます。時期が曖昧なら、分かる範囲と不明な範囲を分けます。
  • 使った範囲を聞く 使っていた機能やサービスの範囲を聞きます。商品名だけで、当時の利用条件まで推測しません。
  • 当時の資料で確認する 当時の案内や仕様を調べます。裏付けが取れない内容は、確認済みとして扱いません。

相手の記憶と自社の資料の照合

確かめること相手に聞くこと自社で調べること
利用時期使い始めた頃と最後に使った頃その時期の提供内容と変更履歴
商品・サービス覚えている名称やプラン当時の名称と提供範囲
使っていた範囲利用していた機能やサービス標準で含まれた範囲と追加の内容
当時の条件覚えている利用上の制限当時の仕様や案内に記載された条件
表は編集部作成の例です。前職の社内資料の持ち出しを求めず、自社で確認できる資料を使います。

当時の内容が現在も同じとは限らない

当時の内容が分かっても、現在も同じとは限りません。変わっていない点、変わった点、なくなった点を自社で整理してから説明します。

  • 同じ点を見定める 現在も同じ内容で提供している範囲を確認します。相手の理解と一致すれば、省略の候補にできます。
  • 変更点を説明する 機能だけでなく、料金や利用条件、支援の範囲の変更も調べます。今回の利用に関係する違いを伝えます。
  • 終了した内容を伝える 以前できたことが今はできない場合、相手がその利用を今回も期待していないかを確認し、現在の対応範囲を伝えます。

当時と現在の差による説明の扱い

区分説明の扱い注意
変わっていない点理解が一致する範囲は省略の候補にします。名称だけで同じ内容と判断しません。
変わった点当時との違いと現在の条件を説明します。使い方への影響も伝えます。
なくなった点現在は提供していないことを説明します。代わりの方法があると決めつけません。
表は編集部作成の例です。変更の有無を確認できていない点は、調査してから回答します。

相手が知っている範囲は担当した作業で決まる

日々使っていた経験があっても、設定や申し込みの手続きまで担当していたとは限りません。相手が自分で行っていた作業と、他の人に任せていた作業を分けて聞きます。

  • 日々の作業を聞く 実際に行っていた操作や業務を確認します。利用者だったという情報だけで、詳しさを判断しません。
  • 管理の担当を分ける 設定、権限の管理、利用者の追加などを誰が担っていたかを聞きます。相手が担当していなかった範囲は説明を省きません。
  • 手続きの経験を聞く 申し込み、請求、更新などへの関わりを聞きます。今回初めて担当する手続きは、基本から説明します。

関わった作業ごとの説明判断

相手の関わり方知っている可能性がある内容説明の要否
日々の利用自分で使った操作や業務の流れ経験した作業を確認して判断します。
管理・設定設定方法や権限の扱い担当していなければ説明を省きません。
結果の閲覧出力された情報の見方操作や設定の説明は、担当の有無を聞いて判断します。
請求・手続き支払いや更新の流れ関わっていなければ基本から説明します。
表は編集部作成の例です。経験した作業でも、現在の手順が変わっていれば説明が必要です。

過去の評価が今回の会社にも当てはまるとは限らない

以前使っていたという発言だけでは、良い印象を持っているかは分かりません。良かった点と困った点を聞き、今回も同じことが起こり得るかを確認します。

  • 良かった理由を聞く どの仕事で、何が助かったかを聞きます。今回も同じ使い方ができるかは、現在の条件と照合します。
  • 困った場面を聞く どの作業で、どのような支障があったかを聞きます。商品の制限と当時の運用事情を分けて整理します。
  • 現在の状態を調べる 当時の困りごとが解消されたかを自社で確認します。今も残る制限は、今回の利用への影響とともに伝えます。

過去の評価を今回の説明に反映する整理

相手の評価確かめること今回の説明での扱い
良かった点役立った仕事とその理由今回も同じ条件で使えるかを説明します。
困った点支障が出た作業と当時の条件現在も同じことが起こり得るかを、商品の制限と運用の両面で説明します。
評価が混在便利だった範囲と不便だった範囲範囲ごとに現在の内容と比較します。
覚えていない思い出せる作業や出来事評価を推測せず、現在の内容を説明します。
表は編集部作成の例です。改善したと伝えるのは、自社で現在の状態を確認できた内容に限ります。

今回の利用条件は前職での条件と同じとは限らない

以前と同じ用途でも、人数や役割分担が変われば必要な条件も変わることがあります。当時の使い方を参考にしながら、今回の会社で必要なことを別に聞きます。

  • 今回の仕事を聞く 今回はどの業務に使い、何をできるようにしたいかを聞きます。前職と同じ使い方を望んでいると決めつけません。
  • 人数と体制を聞く 使う人数、日々使う人、管理する人を確認します。前職と同じ役割分担ができるかも確認します。
  • 判断する人を聞く 利用する人と導入を決める人を分けて確認します。それぞれが判断に必要とする情報を整理します。

当時と今回を分けて聞く比較表

項目当時今回
用途使っていた業務使いたい業務と必要な結果
利用人数利用していた人数や部署利用を予定する人数や部署
役割分担利用と管理を担っていた人利用と管理を担える人
利用環境併用していた設備や仕組み利用に必要な設備や仕組みの有無
判断する人相手が把握している範囲で、当時の導入を決めた人導入を決める人と確認が必要な部署
表は編集部作成の例です。当時の事情を詳しく聞くことより、今回の利用条件を把握することを優先します。

社内共有の資料は初めて聞く人向けの説明が要る

目の前の相手が詳しくても、上司や他部署まで商品を知っているとは限りません。商談で省いた説明も、相手が社内で検討に使う資料には残します。

  • 読む人を確認する 資料を読む人と、商品の説明を初めて聞く人を確認します。相手の知識を社内全員の前提にしません。
  • 基本説明を残す 何に使う商品か、現在何ができるか、どの条件で使えるかを記載します。資料だけでも理解できる形にします。
  • 今回の検討に合わせる 今回の用途と必要な条件を記載します。過去の経験を知らなくても、検討できる説明を用意します。

検討に関わる人ごとの説明準備

相手前提用意する説明
商談相手一部の利用経験があります。現在との違いと今回の利用条件
上司・決裁者商品を初めて知る可能性があります。基本説明、今回の用途、利用条件
利用する部署実際の使い方を知らない可能性があります。日々の作業と必要な役割分担
管理する部署管理方法や手続きを知らない可能性があります。設定、管理、請求の流れ
表は編集部作成の例です。経験者への口頭説明を省く判断と、共有資料の記載を省く判断は分けます。

説明を省く範囲は相手と決める必要がある

詳しそうに見えることだけを理由に、説明を省くことはできません。省いてよい項目を相手と確認し、現在の条件と、相手の理解を確認できていない内容は説明に残します。

  • 項目ごとに合意する 経験した範囲と理解している内容を確認し、省いてよい項目を決めます。説明全体をまとめて省きません。
  • 必要な説明を残す 変更点、料金や利用条件、今回初めて扱う範囲は説明します。利用判断に必要な内容は省きません。
  • 途中で戻れるようにする 省いた内容も資料で確認できるようにします。理解の違いが分かった時点で、その項目の説明に戻ります。

省く説明と残す説明の判断

説明の区分省けるか扱い
経験済みの基本内容が同じで合意できれば省けます。省いた項目を記録し、資料には残します。
現在の変更点今回の利用に関係する部分は省けません。当時との違いを説明します。
利用条件今回の判断に必要な部分は省けません。現在の条件を説明します。
未経験の範囲理解を確認するまでは省けません。必要な基本説明を行います。
理解が曖昧な範囲確認できるまでは省けません。理解の違いを確認して説明します。
表は編集部作成の例です。省略に合意した後でも、質問や理解の違いがあれば説明を追加します。

相手の利用経験は導入の裏付けとは違う

前職で使っていたという発言は、今回の説明を考えるための情報です。前職での利用を自社の提案資料や紹介資料に記載せず、営業管理表には必要な確認事項として残します。

  • 紹介資料に転用しない 相手の経験を、導入の裏付けや推薦の根拠にしません。前職の会社名や発言を他社への説明にも使いません。
  • 発言と確認済みを分ける 相手から聞いた内容と、自社で資料を確認した内容を区別します。記憶に基づく情報を確定事項にしません。
  • 今回に必要な点を残す 経験した範囲、今回の用途、省略の合意、未確認事項を記録します。今回の説明に不要な前職の情報は残しません。

営業管理表に残す内容の整理

記録項目書くこと書かないこと
利用経験申告に基づく利用時期と経験した作業前職名の記載や利用の断定
提供内容の差自社で確認した変更点と確認元確認していない改善や対応の断定
相手の評価今回の説明で確認が必要な良かった点・困った点推薦とみなした表現や他社に見せる引用
今回の条件今回の用途、体制、判断に必要な条件今回に不要な前職の内部事情
説明の合意省く項目、残す項目、未確認事項利用経験だけを理由にした説明不要の判断
表は編集部作成の例です。この表は商談対応のための記録項目です。導入の裏付けを載せるための確認表ではありません。

記録を見直せば説明の抜けが分かる

聞いた内容だけでなく、未確認の点と省略に合意した範囲も記録します。商談後にこの表を見直すと、説明すべき内容が残っているかが分かります。

  • 情報の出所と確認状況を分ける 相手から聞いた内容、自社で確認した内容、未確認の内容を区別して記入します。相手から聞いた内容も、自社で確認するまでは未確認に含めます。
  • 未確認の内容の担当を決める 未確認の内容ごとに、調べる人と確認時期を決めます。今回の利用判断に関わるものから確認します。
  • 記録先を明記する 営業管理表の保存場所や該当欄を記入します。省略の合意と追加説明の内容も同じ記録先に残します。

利用経験のある相手との初回商談の確認表

確認項目記入する内容確認結果
使っていた時期利用を始めた頃と最後に使った頃を記入します。
当時と現在の差当時の提供内容、現在との違い、確認元を記入します。
関わり方・評価担当した作業、担当していなかった範囲、良かった点・困った点を記入します。
今回の用途使いたい業務、人数、体制、必要な条件を記入します。
他の検討者利用する人、決める人、基本説明が必要な人を記入します。
省略合意・記録先合意した省略範囲、残す説明、営業管理表の記録先を記入します。
表は編集部作成の例です。空欄は確認済みを意味しません。未確認の内容には、確認する人と時期も添えます。