認識の食い違いは、項目ごとに双方の根拠を確認する
決めたはずの内容に異議が出たら、双方の理解と根拠を確かめます。自社の主張を繰り返すか要望を受け入れるかを決める前に、確認する項目と根拠の集め方を決めます。
- 食い違う項目を分ける 何が食い違っているかを、範囲・条件・時期・担当に分けて書きます。
- 根拠を確かめる 双方の記録を確認し、説明・提案・承諾と、返答に付いた条件を区別します。
- 確認結果を残す 一致した内容と確認中の内容を分け、作業への影響と読み合わせの結果を記録します。
自社の記録だけで相手の認識を否定しない
自社のメモに記載があっても、相手が同じ内容で了解していたかは別に確認します。すぐに結論を出さず、双方の認識を並べます。
- メモの役割を確かめる 自社だけのメモは、その時点での自社の理解を示します。相手の了解まで示すとは限りません。
- 相手の認識を確かめる どの内容を、どの範囲まで了解したと考えていたかを確認します。
- 結論を急がない 自社の主張を繰り返すか要望を受け入れるかの二択にせず、食い違う項目と根拠を確かめる時間を設けます。
対応の違いで起きやすいこと
| 取りがちな対応 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| メモを根拠に主張する | 相手が何を根拠に理解したかを聞けないことがあります。 | メモは自社の理解として示します。 |
| すぐに要望を受け入れる | 食い違いの理由が分からないままになることがあります。 | 相手の認識と根拠を確認します。 |
| 記憶で断定する | 説明した内容と了解された内容が混ざることがあります。 | 記録と当時の返答を確かめます。 |
食い違っている内容を項目に分ける
双方が商談全体について大まかに話すだけでは、食い違う箇所を特定しにくくなります。相手が異議を示した内容と、自社が決まったと考えた内容を、同じ項目で並べます。
- 異議の対象を絞る 相手が了解していないと示した部分を抜き出します。異議のない内容まで食い違いに含めません。
- 同じ項目で比べる 範囲・条件・時期・担当に分け、それぞれについて双方の認識を書きます。
- 不明な点を残す 相手の認識を聞けていない欄は、確認中とします。自社の推測で埋めません。
双方の認識を項目ごとに並べる
| 項目 | 自社の認識 | 相手の認識 |
|---|---|---|
| 範囲 | 初回の準備作業も含むと考えています。 | 準備作業は含まないと考えています。 |
| 条件 | 作業を始めるための資料はそろったと考えています。 | 作業を始めるには追加の資料が必要だと考えています。 |
| 時期 | 開始時期は決まったと考えています。 | 候補の時期だと考えています。 |
| 担当 | 作業の分担は決まったと考えています。 | 分担は未定だと考えています。 |
相手が何を根拠に理解したかを聞く
相手がそのように理解した経緯を、当時の会話や資料で確認します。参照した箇所と説明の時点が分かると、比較する記録を絞れます。
- 参照した記録を聞く 根拠にした会話・資料・メールと、その中のどの内容を参照したかを確かめます。
- 伝わった経緯を聞く 誰から、いつ聞いた内容かを確認します。発言者を責めるための質問にしません。
- 記録の有無を分ける 記録がある内容と、記憶に基づく内容を区別します。記録がないことだけで理解を否定しません。
相手の根拠を確認する
| 聞くこと | 確かめ方 | 注意 |
|---|---|---|
| 参照した会話 | 会議の日時と話題を特定します。 | 発言の前後も確認します。 |
| 参照した資料 | 資料名と該当箇所を確認します。 | 更新前後で内容が違わないか確かめます。 |
| 聞いた相手 | 誰からどの内容を聞いたかを確認します。 | 直接聞いた内容か、伝聞かを分けます。 |
| 説明の時点 | いつの説明に基づく理解かを確認します。 | 後の変更を知っていたかも確かめます。 |
自社だけのメモと相手に確認した記録を区別する
決まったと判断した根拠を、提案書・メール・商談記録から集めます。相手に共有した事実と、内容への返答があった事実を分けて確認します。
- 判断の根拠を集める どの記録のどの箇所から、決まったと判断したかを示せるようにします。
- 共有と返答を分ける 送信済みでも、読まれたかや了解されたかは別です。内容に対する返答の有無を確かめます。
- メモの扱いを決める 自社だけのメモは、自社がどう理解していたかを確認する材料として扱います。相手の返答と混ぜません。
記録の種類ごとの扱い
| 根拠の種類 | 相手が見ているか | 扱い |
|---|---|---|
| 自社だけのメモ | 相手も読んだという前提では扱いません。 | 自社がどう理解したかを確認します。 |
| 送付した提案書 | 送付だけでは閲覧を確認できません。 | 提案した内容と返答を照合します。 |
| 送信したメール | 送信だけでは閲覧を確認できません。 | 無回答を承諾と判断しません。 |
| 内容への返信 | 返信が対象とする箇所は読んだと確認できます。 | 了解した範囲と条件を確かめます。 |
| 共有した商談記録 | 閲覧や返答の状況を確認します。 | 確認された箇所と未確認の箇所を分けます。 |
説明・提案・承諾を混同しない
内容を説明したことや提案したことだけでは、相手の承諾は確認できません。当時の発言と返答を見て、どの段階だったかを区別します。
- 説明の範囲を確かめる 説明には、利用できる選択肢や参考情報も含まれます。紹介した内容が選ばれたとは限りません。
- 提案への返答を探す 提案した記録に加え、それに対する返答を確認します。返答が見つからなければ確認中とします。
- 承諾の対象を確かめる 相手が了解を示した内容と範囲を確かめます。相づちや無回答だけで承諾と断定しません。
説明・提案・承諾の区分
| 区分 | 何を指すか | 記録での見分け方 |
|---|---|---|
| 説明 | 内容や選択肢を伝えることを指します。 | 選択肢の紹介か、具体的な提案かを確認します。 |
| 提案 | 採用してほしい内容を示すことを指します。 | 提案内容と、それに対する返答を分けます。 |
| 承諾 | 相手が対象の内容への了解を示すことを指します。 | 了解の対象・範囲・条件を返答から確かめます。 |
条件付きの返答は条件の充足まで確認する
前向きな返答でも、確認や調整を前提としている場合があります。返答の結論だけを抜き出さず、付いていた条件とその後の経過を確認します。
- 条件を抜き出す 社内確認や資料の受領など、返答の前提になっていた条件を記録します。
- 満たされたか確かめる 条件を満たしたと判断した根拠を確認します。条件を満たすための作業に予定が立っただけでは、満たしたと扱いません。
- 確認する人を確かめる 誰が何を確認し、結果をいつ共有する予定だったかを確かめます。条件充足後の返答も確認します。
条件付きの返答を整理する
| 返答の型 | 付いていた条件 | 確認すること |
|---|---|---|
| 社内確認が前提 | 社内で内容を確認する必要があります。 | 確認する人、結果、共有の有無を確かめます。 |
| 資料確認が前提 | 必要な資料の内容を確認する必要があります。 | 受領と内容確認を分けて確かめます。 |
| 日程調整が前提 | 実施できる日程を確保する必要があります。 | 候補の提示と日程の確定を分けます。 |
| 範囲を絞る前提 | 対象となる作業を絞る必要があります。 | 含む作業と含まない作業を確かめます。 |
一致と確認中を分けて作業への影響を確かめる
一致している項目と確認が必要な項目を分けます。そのうえで、確認中の内容を前提に進んでいる準備や作業を洗い出します。
- 一致した項目を残す 双方が同じ認識だと確認できた項目を記録します。異議が出ていないだけの項目とは区別します。
- 確認中の範囲を示す 食い違っている箇所と、まだ根拠を確認できていない箇所を明記します。
- 進行中の作業を確かめる 準備・手配・日程への影響を確認し、続ける作業と確認まで待つ作業を関係者と決めます。
確認状況と作業への影響を分ける
| 区分 | 項目の例 | 作業への影響 |
|---|---|---|
| 一致 | 対象となる作業名は一致しています。 | 条件や開始時期が未確認なら、着手できるかを判断できません。 |
| 確認中 | 準備作業を含むかが食い違っています。 | 準備の着手や分担に影響します。 |
| 確認中 | 開始時期が確定していたかを確認しています。 | 人員や日程の手配に影響します。 |
| 確認中 | 必要な資料が出そろったかを確認しています。 | 後続の作業に着手できるかに影響します。 |
過去の認識と今後の希望を分けて扱う
当時どう理解していたかの確認と、これからどうしたいかの相談を分けます。今の希望を、過去に決まっていた内容として記録しないようにします。
- 当時の認識を確認する 何を決まったと考えていたかを、当時の記録と返答に基づいて確認します。
- 今後の希望を整理する これから希望する範囲・条件・時期を別に整理します。新しい要望は新しい相談として扱います。
- 確定しない認識は未確認と残す 過去の認識が確定しない場合は、未確認として記録します。今回新しく決めた内容と混ぜません。
場面ごとに確認する内容
| 場面 | すること | しないこと |
|---|---|---|
| 過去の確認 | 当時の理解と、その根拠を照合します。 | 今の希望から当時の認識を推測しません。 |
| 今後の相談 | 希望する内容と、実施できる条件を話し合います。 | 新しい希望を過去の決定として扱いません。 |
| 結果の整理 | 過去の確認結果と、新しく決めた内容を分けます。 | 未確認の点を解消済みとして記録しません。 |
決まった内容と確認が必要な内容を読み合わせて記録する
確認後は、決まった項目と確認が必要な項目を分けて読み合わせます。営業管理表には、確認結果と根拠の保管先、次に確認する内容を記録します。
- 項目ごとに読み合わせる 範囲・条件・時期・担当を確認します。まとめて了解を求めず、各項目の認識を確かめます。
- 残った確認を具体化する 未確認の内容、確認する人、必要な記録、確認予定を決めます。未定の部分は未定と記します。
- 相手の返答まで記録する 読み合わせの日時、相手の返答、双方で一致した箇所を残します。記録を送っただけでは確認済みにしません。
営業管理表に記録する内容
| 記録項目 | 書くこと |
|---|---|
| 一致した内容 | 双方で一致を確認した範囲・条件・時期・担当を書きます。 |
| 新しく決めた内容 | 今回の相談で新しく決めた内容を分けて書きます。 |
| 確認が残る内容 | 未確認の項目と、判断に必要な記録を書きます。 |
| 確認予定 | 誰が何をいつまでに確認し、結果をいつ共有するかを書きます。 |
| 作業の扱い | 続ける作業と待つ作業、見直す時点を書きます。 |
| 読み合わせ | 日時・参加者・確認できた箇所・根拠の保管先を書きます。 |
確認表に双方の根拠と確認結果を書き込む
食い違う項目ごとに、以下の確認表へ記入します。相手に確認していない欄は確認中、自社で決めていない欄は未定と書き、確認する人と予定を添えます。
- 項目を混ぜずに書く 範囲と時期など、異なる項目は分けて記入します。根拠には日付と該当箇所も添えます。
- 記録の違いを示す 自社だけのメモ、共有した内容、相手の返答を区別します。発言の区分と条件も記入します。
- 読み合わせ後に更新する 一致した内容と残る確認、作業の扱いを更新します。新しく決めた内容は過去の確認と分けます。
認識の食い違いを確認する確認表
| 確認欄 | 書く内容 | 記入欄 |
|---|---|---|
| 食い違う項目 | 項目名と、自社・相手それぞれの認識を書きます。 | |
| 双方の根拠 | 相手の根拠と自社の根拠を書き、共有・返答の有無を添えます。 | |
| 発言の区分と条件 | 発言が説明・提案・承諾のどれかを書きます。条件付きの返答は、条件と、満たされたか、誰が確認するかを書きます。 | |
| 一致した内容と確認中の内容 | 一致した内容、確認中の内容、確認する人と予定を書きます。 | |
| 影響を受ける作業 | 影響を受ける作業と、続けるか待つか、見直す時点を書きます。 | |
| 読み合わせの記録 | 日時・参加者・確認結果・残る確認を書き、今後の希望や新しい決定は分けます。 |
