明かせない情報があるときの提案の進め方を決める
必要な情報を尋ねても、社内の情報は出せないと言われることがあります。確認できたことと未確認のことを分けて、提案を進められる範囲を考えます。
- 回答できる範囲を確かめる 理由を詮索せず、回答できる範囲と社内で確認する方法を相手に選んでもらいます。
- 提案の前提を決める 情報が無くても提案できる部分と、情報が要る判断を分けます。未確認の条件を提案にどう記載するか、条件ごとに案を分けるかを決めます。
- 情報の扱いと記録を決める 情報を使う範囲と社内での取り扱いを決め、約束した内容と提案の前提を記録します。
情報が無いことと提案できないことを分ける
情報が無いまま推測すると、相手の業務とずれた提案になりかねません。質問を重ねたり提案をすべて止めたりする前に、その情報が無いと判断できないことと、無くても説明できることを分けます。
- 推測を事実にしない 似た会社の例を、そのまま相手の状況として扱いません。仮に置く条件は、確認できた事実と分けます。
- 同じ質問を重ねない 明かせないと分かった項目は記録します。言い方だけを変えて、同じ情報を繰り返し求めないようにします。
- 保留する範囲を絞る 情報が無くても説明できる内容は説明を続けます。その情報が無いと判断できないことだけを保留します。
情報が無いときの対応を見直す
| 取りがちな対応 | 相手に起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 推測で作る | 実際の業務と違う説明を受け、後から訂正を求めることになります。 | 仮の条件を明示します。 |
| 何度も尋ねる | 同じ説明や回答の断りを繰り返すことになります。 | 回答できない項目を記録します。 |
| 提案を止める | 情報が無くても検討できる内容まで届かなくなります。 | 説明できる部分と保留する判断を分けます。 |
明かせない理由を問わず確認事項を絞る
情報を明かせない背景には、社内の決まりや権限、時期の問題などが考えられます。背景を聞き出すより、提案の判断に必要な確認を絞ります。
- 理由の説明を求めない 説明できない事情があると考え、理由の詳しい説明を求めません。回答できないという判断を尊重します。
- 権限の外まで求めない その場で回答できない場合に、独断での開示を促しません。相手が社内で回答の可否を確認できるか、後日なら回答できるかを尋ねます。
- 必要な判断に絞る その情報を使って何を判断するかを整理します。判断に使わない質問はしません。
明かせない場面での対応を決める
| 場面 | すること | しないこと |
|---|---|---|
| 社内の決まり | 回答可能な項目だけを選んでもらいます。 | 決まりの詳しい内容を聞き出しません。 |
| 権限がない | 社内で確認できるかを確かめます。 | その場での回答を迫りません。 |
| 時期が合わない | 確認を再開できる時期があるかを確かめます。 | 回答できる日を無理に決めません。 |
| 理由も不明 | 提案に必要な確認事項を絞ります。 | 理由を推測して決めつけません。 |
回答できる範囲を相手に選んでもらう
正確な数値を示せなくても、段階や範囲なら回答できる場合があります。項目ごとに必要な詳しさを示し、回答しない選択も含めて選んでもらいます。
- 答え方に選択肢を設ける 数値、範囲、段階、回答しないという選択肢を用意します。細かい回答ほど望ましいという扱いにしません。
- 概算で足りる項目を示す おおよその回答で判断できる項目を示します。段階で尋ねる場合は、各段階の意味も説明します。
- 確認する相手を選んでもらう 別の人なら回答できるかは、相手の社内で判断してもらいます。紹介や直接の連絡を前提にしません。
回答の詳しさを選べるようにする
| 尋ね方の方針 | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 段階で選ぶ | 業務量を、少ない・通常・多いなどの段階で選んでもらいます。 | 段階の意味を共有します。 |
| 範囲で答える | 通常時と繁忙時の業務量を、答えられる幅で示してもらいます。 | 範囲の中間を実際の値とみなしません。 |
| 概算を使う | おおよその数値で判断できる項目を明示します。 | 概算では決められない判断を分けます。 |
| 別の人が確認 | 社内で回答できる人がいるかを確かめてもらいます。 | 直接の紹介を求めません。 |
| 回答を控える | 答えられない項目を選んでもらいます。 | 未回答の内容を推測で補いません。 |
情報が必要な判断と説明できる部分を分ける
商品の説明に必要な情報と、相手の業務に合わせるための情報は異なります。提案を部分ごとに分けると、今示せる内容と確認を待つ判断が分かります。
- 商品の説明は進める 機能や利用条件は、自社で確認した内容を説明します。相手の業務で使えるとまでは断定しません。
- 業務に合わせる箇所を分ける 現在の方法や業務量で変わる手順を切り分けます。情報が無い箇所は、相手の業務に合わせて確認した案のように示しません。
- 情報が要る判断は保留する 運用できるか、どこまで対応できるかなどの判断に必要な条件を示します。未確認なら結論を保留します。
提案の部分ごとに情報の必要性を分ける
| 提案の部分 | 情報が要るか | 扱い |
|---|---|---|
| 機能の説明 | 相手の社内情報が無くても説明できます。 | 確認済みの機能を示します。 |
| 利用条件 | 条件の説明には不要です。満たすかの確認には、相手の社内での確認結果が必要です。 | 条件の提示と利用可否の判断を分けます。 |
| 業務の手順 | 現在の方法や業務の流れが必要です。 | 未確認の箇所は仮の手順にします。 |
| 対応する範囲 | 業務量や求める対応内容が必要です。 | 条件によって変わる範囲を示します。 |
| 利用の可否 | 判断を左右する条件の確認が必要です。 | 条件を確認できるまで結論を出しません。 |
未確認の条件は提案の前提として明示する
確認できない条件を仮に置く場合は、未確認であることを提案に書きます。条件が違ったときの影響と、確認後に見直す箇所も示します。
- 未確認と仮定を分けて書く 未確認の項目と、提案のために仮に置いた条件を分けます。相手から回答を得た内容のように書きません。
- 条件が違う場合も書く 前提が違うと、手順や対応範囲がどう変わるかを示します。影響を説明できない判断は保留します。
- 見直す箇所を指定する 確認結果によって変更が必要になる箇所を、該当する提案とともに示します。前提を末尾の注記だけに書きません。
未確認の条件と見直し先を示す
| 場面 | 提案の書き方 | 注意 |
|---|---|---|
| 業務量が不明 | 通常時と繁忙時の業務量は未確認であり、通常時を仮定した案として、確認後に対応範囲を見直すと記載します。 | 仮定した量を相手の実態として扱いません。 |
| 現在の方法が不明 | 現在の手順は未確認であり、仮の手順で作成した案として、確認後に手順を見直すと記載します。 | 現行の方法に問題があると決めつけません。 |
| 体制が不明 | 社内で確認する人を決められる前提であり、難しい場合は進め方を見直すと記載します。 | 体制が用意されていると断定しません。 |
| 利用条件が不明 | 条件を満たすかは未確認であり、利用の可否は確認後に判断すると記載します。 | 前提を書くだけで利用可能とはしません。 |
未確認の条件の影響に応じて、案の分け方か保留かを決める
情報が足りないときに、いつでも幅を持たせた提案ができるわけではありません。条件による違いを説明できるか、後から見直せるかで進め方を決めます。
- 条件ごとに案を分ける 条件の違いと対応の違いを説明できる場合は、場合分けします。どの案に当たるかは未確認と示します。
- 確認しながら段階を進める 開始後も手順や対応範囲を変更できる場合は、対象業務を絞って始め、確認結果に応じて広げる案を検討します。次の段階へ進む条件を先に示します。
- 結論を保留する 情報が無ければ利用の可否や影響を判断できない場合は、結論を保留します。再開に必要な確認事項を記録します。
案を分けるか、判断を待つかを決める
| 判断 | 向いている場面 | 注意 |
|---|---|---|
| 条件で分ける | 条件によって変わる手順や対応範囲を説明できます。 | 相手がどの条件に当たるかを決めつけません。 |
| 段階で進める | 絞った範囲から始め、確認後に変更できます。 | 次へ進む条件と、進めない場合の扱いを示します。 |
| 判断を保留する | 未確認の条件によって利用の可否が変わり、影響の範囲を説明できません。 | 保留する判断と再開に必要な確認を明示します。 |
元の資料や数値を受け取らずに確認できる方法を提案する
情報そのものを受け取らなくても、必要な条件を満たすかは確認できる場合があります。相手の社内で確かめてもらい、伝えられる結果だけを受け取る方法を提案します。
- 確認項目を一覧にする 何を判断するための確認かと、必要な結果の形を示します。元の資料や詳しい数値の提出を相手に求めません。
- 結果だけを受け取る 条件を満たす、満たさない、未確認などの結果で足りるかを検討します。結果だけでは判断できないことも相手に伝えます。
- 同席しない方法も示す 自社が同席しない社内確認も選べるようにします。誰にどの方法で確認するかは、相手に決めてもらいます。
社内で確認し、必要な結果だけを伝えてもらう
| 方法 | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 一覧を渡す | 判断に必要な確認項目と、結果の選択肢を渡します。 | 判断に使わない項目を含めません。 |
| 結果だけを受領 | 条件を満たすかどうかを社内で確かめてもらいます。 | 結果だけで判断できる範囲を確認します。 |
| 同席せず確認 | 社内で確認してもらい、伝えられる結果を後から受け取ります。 | 確認の相手や方法を指定しません。 |
| 未確認で返す | 確認できなかった項目は未確認として伝えてもらいます。 | 返答が無い項目を、条件を満たすと扱いません。 |
受け取る情報の使い道と社内での取り扱いを決める
回答してもらう前に、情報を何に使い、誰が扱うかを社内で決めます。今回の提案の判断だけに使うこと、共有する人、保管と処分を決め、相手に伝えます。
- 使う範囲を具体的に決める 今回の提案に使う情報と、回答に含まれていても提案に使わない情報を分けます。提案以外の目的には使わないと決めます。
- 共有する人を絞る 提案を作る人や確認する人など、必要な共有先を決めます。部署全体が閲覧できる場所への保存を避けます。
- 実行できる扱いを伝える 保管先、不要になった場合の処分、対応する人を決めます。社内で実行できることを確かめてから伝えます。
情報の使い道と社内での取り扱いを決める
| 決めること | 内容 | 相手に伝えること |
|---|---|---|
| 利用する目的 | 今回の提案に必要な判断に限って使います。 | 何の判断に使い、提案以外の何に使わないかを示します。 |
| 提案に使わない | 回答に含まれていても今回の判断に使わない情報は、提案の判断にも記載にも使いません。 | 使わない情報と、それによって保留する判断を示します。 |
| 共有する範囲 | 内容を見る必要がある人を決めます。 | 共有する人の役割と範囲を示します。 |
| 保管する方針 | 保管先と、保管が必要かを見直す時点を決めます。 | どこで扱い、いつ保管の必要性を見直すかを示します。 |
| 処分する方針 | 不要になった情報の処分方法と対応する人を決めます。 | 処分の方針と、対応できる範囲を示します。 |
回答の範囲と提案の前提を分けて記録する
時間がたったり別の人が引き継いだりすると、仮定が事実として扱われるおそれがあります。回答を得た内容、未確認の項目、提案に置いた前提を分けて残します。
- 回答された範囲を残す 回答がどの業務や時期を対象にしているかを記録します。明かせない理由の推測は書き加えません。
- 前提と見直し先を残す 仮に置いた条件と、その条件に基づく提案箇所を記録します。確認後に何を見直すかも残します。
- 約束を記録にも反映する 情報の扱いについて伝えた内容を残します。記録の閲覧範囲や保管も、約束した扱いに合わせます。
提案の根拠を後から確かめられるように記録する
| 記録項目 | 書くこと |
|---|---|
| 明かせない項目 | 回答できないと分かった項目と、確認した時点を書きます。 |
| 回答を得た範囲 | 回答内容、対象の業務や時期、概算かどうかを書きます。 |
| 提案の前提 | 未確認の項目と、仮に置いた条件を分けて書きます。 |
| 見直す箇所 | 確認結果によって変える提案箇所と、保留している判断を書きます。 |
| 情報の扱いの約束 | 使う目的、使わない範囲、共有先、保管と処分について伝えた内容を書きます。 |
確認表で提案を進める範囲を決める
ここまでの判断を、自社の案件に当てはめて営業担当者が書き出します。確認できていない情報は未確認、決めていない方針は未決定と記し、提案できる部分と保留する判断を分けます。
- 案件に合わせて記入する 項目名だけで済ませず、対象の情報や提案箇所を具体的に書きます。理由を推測して空欄を埋めないようにします。
- 提案できる範囲を決める 前提を明示して説明できる部分を選びます。影響を判断できない部分は保留し、確認する条件を書きます。
- 確認後に更新する 回答を得たら、前提と提案を見直します。情報の扱いについて約束した範囲も確かめて記録を更新します。
情報が明かせないときの提案の確認表
| 確認する項目 | 記入する内容 | 自社の記入欄 |
|---|---|---|
| 項目と回答範囲 | 明かせない項目と、回答を得られる範囲・詳しさを書きます。 | |
| 提案できる部分 | 情報が無くても提案できる部分と、保留する判断を書きます。 | |
| 前提と案の幅 | 明示する前提と、条件別の案・段階別の案を使うかを書きます。 | |
| 社内での確認 | 相手の社内で確認する項目、方法、受け取る結果を書きます。 | |
| 情報の扱い | 使う目的、使わない範囲、共有先、保管と処分の方針を書きます。 | |
| 記録 | 前提と未確認を残す場所、確認後に見直す箇所、更新する人を書きます。 |
