他社の未公開資料は受け取っても使えるとは限らない

商談先から渡された資料でも、営業担当者がそれを開いたり提案に取り込んだりする前に確認が必要です。商談先がその資料で自社に何を伝えたいのかを聞き、資料の扱いと提案の進め方を決めます。

  • 渡された目的を理解する 商談先がその資料で伝えたいことを聞き、商談先の要望を言葉で確認します。資料そのものは要望と分けて扱います。
  • 使える範囲を判断する 作成元と利用条件、商談先が渡してよい立場かを確かめ、使える範囲を判断します。
  • 使わない進め方も決める 資料を使わずに提案する方法と、受け取った資料の社内での扱い、報告・記録の方法を決めます。

受け取った資料も使ってよいとは限らない

手元に届いたという事実だけでは、使ってよい範囲は分かりません。見る、参考にする、写す、配るという扱いを分け、必要な確認を済ませてから判断します。

  • 受領だけで判断しない 添付ファイルが届いたり、紙を手渡されたりしても、そのまま提案に使ってよいとは判断しません。
  • 扱いごとに判断する 閲覧できる場合でも、提案への反映や社内への配布まで認められているとは限りません。
  • 不明なら閲覧も保留する すでに開いた場合も、それ以上の閲覧や共有を止め、受け取った経緯を営業責任者へ報告します。

受領後の扱いを分けて考える

資料の扱い受け取っただけでできるか確かめてからにすること
見る内容を読めるとは判断しません。資料を読んでよいか、どの範囲まで読んでよいかを確かめます。
参考にする提案に反映できるとは判断しません。参考として使える範囲を確かめます。
写す転載できるとは判断しません。利用条件を確認できても、構成や文言を提案文書には写しません。
配る共有できるとは判断しません。共有できる相手と目的を確かめます。
表は編集部作成の例です。

資料を渡す目的が不明なら要望の確認が必要だ

資料の内容を読む前に、商談先がそれを使って何を伝えたいのかを聞きます。同じ資料でも、資料の見た目や構成を参考にしてほしいのか、判断に迷っているのかで聞くべきことが変わります。

  • 見た目や構成への要望を聞く 同じ見た目や構成を求められても、その再現を引き受けず、商談先に必要な説明項目と、資料を使う場面を聞きます。
  • 比べたい理由を聞く 比較そのものを引き受ける前に、何を決めるために、どの情報が必要なのかを聞きます。
  • 困っている作業を聞く 商談先に資料の感想を聞くのではなく、止まっている作業や実現したい状態を、商談先の言葉で説明してもらいます。

渡された目的から要望を聞く

商談先の目的の可能性確かめること自社の対応
同じ見た目や構成を求める商談先の誰が、どの場面で、何を読む必要があるか必要な項目を聞き、自社で構成を考えます。
比べて決めたい商談先が何と何を比べ、何を決められずにいるか比べたい項目を聞き、自社の提供内容を説明する項目を整理します。
困り事を示したい商談先のどの作業で、どのような支障が出ているか解決してほしい内容を言葉で聞きます。
表は編集部作成の例です。

利用の判断には作成元と条件の確認が必要だ

読んでよいと確認できた範囲で、表紙や末尾などの記載から、誰が作り、誰に向けた資料なのかを確認します。読んでよいかが不明な場合は自分で読み進めず、商談先に記載内容の確認を求めます。

  • 作成元を特定する 送信者と作成元が同じとは限りません。会社名や発行元の記載から、確認すべき相手を特定します。
  • 配布先と条件を読む 特定の相手向けの資料か、閲覧や転載、再配布に条件があるかを、確認できる範囲で調べます。
  • 記載なしを許可にしない 利用条件が見つからなくても、自由に使えるとは判断せず、商談先を通じて作成元への確認を求めます。

記載から確認できる範囲を整理する

確かめる箇所分かること扱い
作成元の会社名誰が作った資料として示されているか送信者と分けて記録します。
配布先の記載誰に向けて渡された資料か自社への共有まで含めた宛先かを確認します。
利用条件の記載閲覧・転載・再配布に示された条件予定する扱いが含まれるか確認します。
記載がない場合記載だけでは使える範囲が分かりません。利用を保留し、作成元への確認を求めます。
表は編集部作成の例です。

資料を持っていても渡してよい立場とは限らない

商談先の社内で読める資料でも、別の会社へ渡せるとは限りません。商談先が作成元に何を確認済みなのかを聞き、自社への提供と、自社が予定する使い方が含まれるかを確かめます。

  • 確認した内容を聞く 確認済みという説明だけで終えず、作成元の誰に、自社への提供と、自社のどの使い方を確認したのかを聞きます。
  • 社内と社外を分ける 商談先の社内で共有できることと、自社へ渡してよいことを分けて確認します。
  • 未確認なら利用を待つ 商談先の判断だけで渡された場合は利用を保留し、作成元に確認してもらう間も要望の聞き取りを進めます。

持っていることと渡せることを分ける

場面商談先に確かめること自社の扱い
作成元に確認済み自社への提供と予定する利用を確認したか確認内容と資料の記載を照らして判断します。
社内では共有可能別の会社への提供も認められているか社内共有の範囲だけでは利用を決めません。
確認していない作成元へ確認してもらえるか利用を保留し、資料を使わず要望を聞きます。
表は編集部作成の例です。

提案の土台は他社資料ではなく聞き取った要望だ

閲覧できると確認できても、他社資料の構成や図、文言を自社の提案文書に写しません。商談先から直接聞いた要望を基に、自社で説明の順序と文章を作ります。

  • 表現の置き換えで済ませない 見出しや言い回しを変えるだけで、資料の構成に沿って提案を作ることは避けます。説明の順序から自社で考えます。
  • 聞いた要望から書く 商談先に確認した要望と、自社が提供できる内容を対応させ、自社の言葉で説明します。
  • 作成元は管理表に残す 提案文書には確認済みの要望だけを書き、受け取った資料の作成元と経緯は営業管理表に残します。

資料を写さず提案を組み立てる

避けること代わりにすること理由
構成をなぞる聞き取った要望から説明の順序を考えます。商談先が必要とする説明を自社で作るため
図や文言を写す自社の提供内容を自社の表現で説明します。自社で説明できる内容にするため
受領の経緯を提案に書く提案には確認済みの要望を書き、作成元は管理表に残します。提案内容と受領の経緯を分けるため
表は編集部作成の例です。出どころを消して他社資料を写す方法ではありません。

他社資料との比較でも回答は自社の説明に限られる

比較を求められても、営業担当者は渡された資料の良し悪しや、作成元の対応について評価しません。商談先が判断したい項目を聞き、自社について確認できる内容を説明します。

  • 他社資料を採点しない 記載の不足や誤りを探す依頼でも、他社資料の中身を評価せず、何を判断したいのかを聞きます。
  • 自社の内容を説明する 自社で提供する範囲や進め方、対応に必要な条件を、確認できた事実に基づいて説明します。
  • 答えられない範囲を示す 他社の意図や資料にない事情は推測せず、自社では答えられないと商談先に伝えます。自社の未確認事項は確認後に回答します。

比較を求められたときに話すことと話さないこと

求められること自社が話すこと話さないこと
資料の良し悪し商談先が判断に使う項目を聞き、自社について説明できる内容を話します。他社資料の優劣や採点は話しません。
記載内容への見解自社の提供範囲と対応に必要な条件を話します。他社の記載の正否や意図は話しません。
資料にない事情答えられない範囲と、自社側で確認する事項を伝えます。他社の事情は推測して話しません。
表は編集部作成の例です。

資料を使えないときは要望の聞き取りが必要だ

資料を使えなくても、商談先が実現したいことは直接聞けます。資料を開かずに要望を項目ごとに整理し、自社で対応できる内容を確かめて提案を作ります。

  • 資料なしで要望を聞く 資料の読み上げや書き写しを頼まず、現在の作業、困っていること、実現したい状態を説明してもらいます。
  • 要望を項目に分ける 対象となる作業、必要な対応、希望する時期、優先したいことに分け、聞き違いがないか確認します。
  • 提供できる内容と照らす 要望ごとに対応できる範囲と条件を示します。対応できない項目や、追加確認が必要な項目も提案文書に残します。

要望から提案を作る手順

手順すること確かめること
要望を聞く資料を見ずに、現状と希望を説明してもらいます。資料の説明ではなく、自社への要望になっているか
項目に分ける作業・対応・時期・優先することに分けて書きます。商談先の意図と食い違っていないか
提供内容と照らす商談先の要望と自社が提供できる内容を照らし合わせます。未確認の内容を約束していないか
提案にまとめる確認済みの要望と自社の提供内容を書きます。他社資料の内容が入り込んでいないか
表は編集部作成の例です。

受領後の資料にも閲覧者と保管方法の判断が必要だ

提案に使わない資料でも、共有フォルダに置いたりメールを転送したりすれば、別の人が開く可能性があります。営業責任者へ受領を報告し、見る人、保管、返却や消去の方法を決めます。

  • 見る人を必要な範囲に絞る 確認のために資料そのものを見る必要がある人を決め、部署全体への転送や共有を避けます。
  • 保管と終了時の扱いを決める 保管場所と期間、期間が終わった際の返却・消去を決め、添付ファイルや複製も確認します。
  • 営業責任者に報告する 受領の経緯、確認状況、すでに閲覧・共有した範囲を営業責任者に報告し、利用の判断と社内の扱いを営業責任者と決めます。

受け取った後に社内で決めること

事項決めること注意
閲覧する人確認のために見る必要がある人を決めます。社内という理由だけで広く共有しません。
保管場所と期間閲覧者を制限できる場所と保管期限を決めます。決めた保管期限を過ぎたら保管を続けません。
返却・消去返却か消去かを確認し、実施する人を決めます。メール添付や複製の残存も確認します。
営業責任者への報告受領の経緯と、利用・保管の判断を報告し、営業責任者と決めます。未確認の点と、すでに行った扱いも伝えます。
表は編集部作成の例です。

受領と判断の記録があれば後からでも扱いが分かる

資料を受け取った記録だけでは、使える範囲や保留の理由が後から分かりません。受領の経緯と判断を営業管理表に残し、資料を見なくても対応状況を確認できるようにします。

  • 受領の経緯を残す 受け取った日と相手、資料名と作成元、商談先が伝えたかったことを記録します。
  • 判断の理由を残す 使う・使わない・保留の判断と理由、確認相手と確認日を残します。不明な点も未確認と記録します。
  • その後の扱いも更新する 閲覧者、保管先、返却・消去の結果、営業責任者への報告を記録し、判断が変わった際に更新します。

営業管理表に残す項目

記録項目書くこと
受領日と相手受け取った日、相手の会社名・氏名、受領方法を書きます。
資料と作成元資料を識別できる名称と作成元を書きます。どちらかが不明なら、その項目を未確認と書きます。
商談先の目的資料で伝えたかった要望を、商談先に確認した内容で書きます。
条件と渡せる立場利用条件の記載と、提供についての確認相手・確認日・内容を書きます。
判断と理由利用の判断、認められた範囲、理由、判断者と判断日を書きます。
社内の扱い閲覧者、保管先と期限、返却・消去、営業責任者への報告状況を書きます。
表は編集部作成の例です。管理表への資料添付や本文の転載は避けます。

確認が残る資料は使わずに進めるしかない

受け取った資料の扱いを、自社の言葉でこの判断表に記入します。確認できない項目は未確認と書き、資料を使わない進め方も決めて営業責任者へ報告します。

  • 未確認の欄をそのままにしない 空欄を問題なしと見なさず、確認できていない欄には未確認と、誰に確認するかを書きます。
  • 使わない進め方も書く 利用できるかの回答を待つ間も、資料を使わずに聞く要望と、提案までに確認する事項を書きます。
  • 判断と記録先を確認する 利用の判断と社内の扱いを営業責任者に報告します。営業管理表の記録先も書き、後から確認できるようにします。

他社が作った資料を渡されたときの判断表

確認項目記入欄確認項目記入欄
受け取った資料資料名・受領日・相手:商談先の目的資料で伝えたい要望:
作成元と利用条件会社名・配布先・条件の記載:商談先の立場渡せることの確認相手と確認内容:
利用の判断判断・範囲・理由・判断者:使わない進め方資料を使わずに聞く要望と次の対応:
社内の扱い閲覧者・保管・返却や消去・営業責任者への報告:記録先営業管理表の保存先と該当する欄:
判断表は編集部作成の例です。閲覧できても、他社資料を提案に写したり評価したりしません。