個別の相談は会社としての検討とは限らない

上司に知られたくないという相談だけでは、会社への営業を進めてよいとは判断できません。本人の希望と自社で対応できる範囲を確かめ、相談と営業を分けて扱います。

  • 共有する範囲を決める 知られたくない範囲と、自社内で共有が必要な範囲を確かめ、続けられる相談の内容を決めます。
  • 営業との関係を決める 相談への返答と会社への営業予定を分け、相談を受注の兆候にしない判断方針を決めます。
  • 記録と終了方針を決める 記録先、相談者の会社で検討が始まったときの扱い、相談を続けられない場合の対応を決めます。

知られたくない範囲は相談者ごとに違うため確かめる必要がある

上司に知られたくないという希望だけでは、何を誰に共有しないのかが分かりません。相談の存在、内容、名前を分け、知られたくない相手も本人に確かめます。

  • 対象を分けて尋ねる 相談している事実と相談内容では、知られたくない範囲が異なる場合があります。まとめて判断しません。
  • 相手の範囲を尋ねる 上司だけか、勤務先の他の人も含むか、自社内への共有にも希望があるかを確かめます。
  • 対応できるか照合する 希望を確かめた後、自社で守れる範囲と照合します。対応できるか分からない段階では約束しません。

知られたくない範囲の整理

知られたくない範囲確かめること自社ができること
相談の存在相談した事実を、誰に知られたくないかを尋ねます。相談の存在を伝えずに対応できるか判断します。
相談の内容話題全体か、特定の内容かを尋ねます。本人が共有しないよう望む内容を除いて回答できるか判断します。
自分の名前名前に加え、部署や役職も対象かを尋ねます。本人が分かる情報を省いて扱えるか判断します。
表は編集部作成の例です。名前を省いても、部署や相談内容から本人が分かる場合があります。

自社内で共有が要る場合は相談者に先に説明する必要がある

返答を確認したり、対応を引き継いだりするために、自社内への共有が必要な場合があります。誰に何を伝える必要があるかを、共有する前に説明します。

  • 回答に必要な人を決める 回答の確認に関わる人と、確認に必要な内容を特定します。名前や会社名が必要かも検討します。
  • 記録の扱いも伝える 口頭で伝える相手だけでなく、記録を読める人と残す項目も説明します。
  • 希望との差を説明する 必要な共有が希望と両立しない場合は、共有せずに答えられる範囲まで相談を絞れるか考えます。

自社内で必要な共有の整理

共有する相手共有する内容相談者に伝えること
回答の確認者質問と回答案のうち、確認に必要な部分を共有します。誰が何のために確認するかを説明します。
記録の閲覧者相談の範囲と対応経過を必要な項目に限って残します。記録する内容と閲覧できる人を説明します。
引き継ぐ人対応経過と、共有しないと決めた範囲を伝えます。交代時に誰へ何を引き継ぐかを説明します。
表は編集部作成の例です。共有先や内容を増やす必要が生じたら、実際に共有する前に改めて説明します。

相談に答えられてもサービスの提供を始められるとは限らない

相談に答えられても、そのままサービスの提供や正式な提案に進めるとは限りません。引き受けられない対応と、判断に必要な条件を先に説明します。

  • 提供の条件を示す 相談者の会社としての依頼を確認せずに提供を始めることは引き受けません。相談への回答と提供開始を分けて説明します。
  • 提案の扱いを決める 相談者が勤務先の名前を自社に明かせない場合、会社宛ての正式な提案を出せるかを自社で判断します。出せない場合の案内範囲も決めます。
  • 連絡停止を即答しない 会社の他の人への連絡は、既存の予定や対応状況を確認して判断します。停止をその場で約束しません。

引き受ける前の対応判断

相談者から求められること自社の対応理由
伝えずに提供提供は始めず、開始に必要な会社側の確認を説明します。個人からの相談だけでは、会社としての依頼を確認できないためです。
勤務先の名前を明かさない提案会社宛ての正式な提案を出せるかを判断します。宛先や対象業務が決まらないと、提案の条件を定められないためです。
他の人への連絡停止予定と停止できる範囲を確認してから回答します。別の担当による連絡や、変更できない予定がある場合もあるためです。
表は編集部作成の例です。できないことだけで終えず、どの範囲なら相談に応じられるかも説明します。

相談を受けたことは会社への営業を進める根拠とは限らない

個別の質問に答えることと、その会社へ新たに営業連絡をすることは別の判断です。相談を受けたという理由だけで、手紙DM・テレアポ・フォーム営業を追加しません。

  • 返答の範囲を決める 質問への回答に必要な内容と、本人が使える連絡先を確かめます。勤務先で他の人が見る可能性も確認します。
  • 営業の判断を分ける 会社への新たな営業連絡は、相談とは別に理由と連絡先を確認します。相談内容を口実に連絡しません。
  • 相談が伝わらないか確かめる 返答や営業連絡の内容から、本人が知らせたくない相手に相談の存在や本人が分からないかを確認します。

返答と営業連絡の判断

判断確かめること注意
相談への返答回答する範囲と、返答に使ってよい連絡先を確認します。本人が了承した宛先以外へ返答しません。
新たな営業連絡相談とは別の連絡理由と、会社への連絡先を確認します。相談を理由に連絡先や営業の予定を増やしません。
両者の関係連絡の内容や時期から、相談が分からないか確認します。相談に応じる条件として、商談や紹介を求めません。
表は編集部作成の例です。既にある営業予定の扱いは、次のページの手順で別途判断します。

既存の営業予定は相談への対応とは別に決める必要がある

相談に応じている間も、別の担当や外部への依頼による営業連絡が予定されている場合があります。発送・架電・送信の予定と変更できる状況を確認し、継続か停止かを決めます。

  • 予定の有無を調べる 会社への営業予定を、担当部署や依頼先も含めて確認します。相談内容を広く知らせずに調べる方法を選びます。
  • 継続と停止を判断する 連絡の理由、相談が伝わる可能性、まだ変更できる作業段階かを踏まえて判断します。判断が済むまで営業連絡の実施を保留することも検討します。
  • 知らせる範囲を決める 本人の希望に影響する連絡予定は説明します。自社で確認・変更できた範囲を超えて断言しません。

既存予定への対応

状況確かめること対応
予定が不明発送・架電・送信の担当と依頼状況を調べます。確認が済むまで、連絡しないとは約束しません。
予定を変更できる連絡の理由と、相談が伝わる可能性を確認します。継続・変更・停止を決め、必要な担当へ指示します。
変更が間に合わない実施済みか、今から止められる部分があるかを確認します。止められない範囲と、本人への説明内容を決めます。
予定が見つからないどの部署や依頼先まで調べたかを確認します。確認した範囲を残し、新たな予定が入った際の確認役を決めます。
表は編集部作成の例です。停止や変更の理由を社内へ伝える際も、相談の存在や名前を必要以上に広げません。

相談の存在は受注の兆候とは限らない

相談には、個人として理解を深めたい場合や、自分の考えを整理したい場合もあります。相談の深さや継続だけを理由に、会社の案件の状態や受注見込みを変えません。

  • 理由を決めつけない 相談の目的は本人に確かめます。具体的な質問があるというだけでは、会社として購入を考えていると判断しません。
  • 会社の検討と分ける 個人の関心と会社の検討状況を分けて記録します。会社として確認できていない事項は未確認とします。
  • 案件の状態を保つ 相談を受けた事実だけでは、案件の状態や受注見込みを変更しません。変更には会社としての検討の確認が必要です。

相談から推測しないための整理

言動実際にあり得ること扱い
質問が具体的自分の業務を理解するために尋ねている場合があります。質問の具体性だけで、購入の意向があるとは記録しません。
相談が続く考えを整理するために、継続して相談している場合があります。相談の継続だけで、受注見込みを引き上げません。
利用条件を尋ねる個人として利用条件を知りたい場合があります。会社として提案を求めているかは別に確認します。
表は編集部作成の例です。相談を営業上の成果として報告するために、購入意向や検討状況を補って書きません。

相談の記録は案件と分け閲覧できる人を確かめる必要がある

会社の案件欄に相談内容を書くと、営業に関わる人へ意図せず広がる場合があります。案件の記録とは分け、誰が読める場所に何を残すかを決めます。

  • 記録先を決める 営業管理表で閲覧者を絞れるか確認します。できない場合は、相談を別に記録できる場所を選びます。
  • 名前の必要性を考える 対応に名前が必要かを判断します。名前を省く場合も、会社名や部署、内容から本人が分からないか確認します。
  • 営業側の記録を絞る 会社の案件欄には、営業予定の変更など業務に必要な指示だけを残します。相談の内容そのものは書きません。

記録先と残す内容

記録項目残し方注意
相談の内容案件とは分け、回答に必要な範囲で要約します。会社の案件欄には書きません。
共有範囲と閲覧者共有する相手と、実際に記録を読める人を残します。保存先の設定や通知先も確認します。
相談者の名前対応に必要な場合だけ、閲覧者を絞った場所に残します。件名や通知から名前が見えないか確認します。
返答と確認事項回答内容と、本人に確認した希望を残します。推測を本人の意向として書きません。
営業予定への指示案件欄には、停止や事前確認など必要な指示を残します。理由の記載から相談が分からないようにします。
表は編集部作成の例です。閲覧者を絞れない記録先しかない場合は、相談内容を残す前に扱いを見直します。

相談者の会社で検討が始まっても共有範囲の再確認が要る

相談者が自分の会社で話す段階になっても、過去の相談全体を共有してよいとは限りません。会社として扱う内容、連絡先、名前の扱いを改めて確認します。

  • 持ち込む内容を尋ねる 社内で誰に何を話す予定かを確かめます。本人が話す内容と、自社から説明する内容を分けます。
  • 会社の依頼を確認する 会社の窓口から連絡が来たら、今回求められている対応を確認します。過去の相談を自動的に引き継ぎません。
  • 過去の記録を分ける 会社の案件には、新たに共有範囲を確認した内容だけを記録します。個別の相談履歴はまとめて移しません。

段階が変わったときの扱い

変化確かめること扱いの変更
本人が自分の会社で話す誰に何を話し、自社からの説明も求めているかを確認します。共有する内容を定め、必要な説明の範囲を更新します。
会社の窓口が連絡会社としての相談内容と、今後の連絡先を確認します。会社の依頼として確認できた内容を案件に記録します。
名前を出す必要自社側で名前を伝える必要が生じたら、誰に何のために伝えるかを本人に説明して了承を得ます。確認した相手と目的に限って名前を扱います。
過去の経緯を求める過去の相談のうち、共有できる内容を確認します。共有範囲が決まるまで、相談履歴を渡しません。
表は編集部作成の例です。社内で話す予定を聞いただけでは、受注見込みを引き上げません。

相談を続けられないときは理由と対応範囲を伝える必要がある

知られたくない範囲と自社に必要な共有が両立しなければ、相談を続けられない場合があります。本人の希望を否定せず、対応できない理由と代わりにできることを説明します。

  • 自社の条件を説明する 回答の確認や記録など、自社の対応に必要な条件を説明します。本人が情報を出さないことを理由に責めません。
  • 可能な対応を示す 公開情報だけでの案内や、個別事情を含まない質問への回答ができるか検討します。難しければ、相談を終える旨を伝えます。
  • 終了後の扱いを伝える 残す記録と共有する範囲を説明します。会社への営業予定も、相談の終了とは別に判断します。

継続できない場合の説明方針

場面伝えること記録
必要な共有が難しい共有が必要な理由と、共有せずに回答できる範囲を説明します。両立しなかった条件と、回答を絞るか終了するかを残します。
会社の確認なしで提供を求める会社側の確認なしでは提供を始められないことを説明します。説明した開始条件と、提供を始めていないことを残します。
回答できる範囲外答えられない理由と、公開情報などで案内できる範囲を説明します。案内した内容と、回答を控えた事項を残します。
相談を終了する今後の返答の有無と、既にある記録の扱いを説明します。終了の理由と、残る対応があるかを記録します。
表は編集部作成の例です。相談を続ける条件として、本人が望まない共有や、勤務先の他の人の紹介を求めません。

共有の範囲と営業の判断を分けて書けば決め忘れが分かる

相談を受けたときの判断を、自社の言葉で記入します。未確認の欄には確認する相手と、それまで保留する対応を書きます。

  • 希望と限界を書く 本人の希望、自社内で必要な共有、引き受けられないことを分けて書きます。
  • 返答と営業を分ける 相談への返答と会社への営業予定を別々に決めます。相談だけでは案件の状態や受注見込みを変えないと明記します。
  • 変化と終了に備える 相談者の会社で検討が始まったときの再確認事項と、相談を続けられない場合の説明方針を書きます。

知られずに相談したいと言われたときの確認表

確認項目自社の方針を書く欄確認項目自社の方針を書く欄
知られたくない範囲誰に何を知られたくないかを書きます:社内で共有する範囲誰に何を、何のために共有するかを書きます:
できないこと提供・正式な提案・連絡停止の限界を書きます:相談への返答答える範囲と使う連絡先を書きます:
会社への営業予定既存の予定の有無、継続・変更・停止の判断、本人への説明を書きます:営業管理表の記録先案件と分ける場所、閲覧者、名前の扱いを書きます:
段階変更時の扱い共有範囲と会社の依頼を再確認する手順を書きます:続けられない場合理由、代わりの対応、終了後の扱いを書きます:
表は編集部作成の例です。記入後は、判断する人と記録・連絡を行う人が同じ方針を確認できるようにします。