作業手順書には順番に加えて判断条件が必要だ

手順書を渡しても質問が続くときは、進めてよいかを決める情報が欠けている可能性があります。作業の説明に何を書き足すかを整理します。

  • 作業の区切りを決める 始めてよい条件と、終えたと判断する条件を自社の言葉で書けるようにします。
  • 迷ったときの対応を決める 判断する人、例外の扱い、使う道具、記録先、分からないときの聞き先を整理します。
  • 使った後の直し方を決める 実際に迷った箇所を基に直し、営業管理表との対応や変更の伝え方を点検します。

作業の順番だけでは進めてよいかまで分かるとは限らない

次の作業が分かっても、今の状態で進めてよいかは別の問題です。質問が出た場面から、手順書に欠けている条件を探します。

  • 開始前にも迷いがある 必要な情報や承認が分からないと、着手してよいかを自分で判断できません。
  • 操作の終了と完了を分ける 操作が終わっても、記録や引き渡しが済んでいなければ、次の作業を始められない場合があります。
  • 質問された箇所を残す 説明を足す前に、どの状態で何を決められなかったのかを記録します。

迷う場面から不足を見つける

迷う場面手順書に無いこと書き足すこと
着手する前着手してよい状態必要な材料と承認の条件
作業を終える時完了と未完了の境目成果物・記録・引き渡しの条件
判断を求められた時決めてよい範囲判断の基準と判断する人
表は編集部作成の例です。手順書の記載文例ではなく、点検する観点を示しています。

作業の開始可否は必要な情報と前の作業と承認で決まる

作業名だけでは、着手できる状態を説明できません。必要な情報や資料、前の作業の完了、承認の要否を分けて書きます。

  • 必要な情報を特定する 営業先の情報や営業に使う資料など、着手前に必要なものと、その保管場所を明らかにします。
  • 前の作業の完了を示す 前の作業が済んだことを、どの記録や状態で確認できるかを書きます。
  • 不足時の戻り先を決める 承認が必要な作業を区別し、情報が足りない場合の確認先と、承認が未取得の場合の依頼先、再開条件を決めます。

着手前に確認する条件

作業始める条件そろわないとき
営業先の確認対象条件が決まり、確認に使う情報の保管場所が分かっている条件は営業責任者に決めてもらい、情報は保管の担当者に確認します。
営業の実施準備営業先の確認結果が記録されている未確認の営業先を確認作業へ戻し、確認済みの分だけ準備します。
営業の実施準備が完了し、必要な承認を得ている保留として記録し、承認者に依頼して再開の可否を確認します。
表は編集部作成の例です。着手条件を整理する観点を示しています。

作業の完了は成果物と記録と引き渡しの状態で決まる

作業を行ったことと、完了したことは同じではありません。残すべき成果物、記録、次の担当への引き渡しまで含めて区切りを決めます。

  • 成果物の状態を決める 何ができていれば完了かを示し、確認が済んでいない状態と区別します。
  • 記録も完了条件に含める 結果だけでなく、未解決の事項や次に必要な対応が記録されているかを確認します。
  • 引き渡しの条件を決める 次の担当者が必要な情報を確認でき、引き受けたことが記録された状態までを完了とします。

完了を確かめる観点

作業終える条件確かめ方
営業先の確認全営業先を対象・対象外・保留のいずれかに分け、理由を記録している営業先ごとの確認結果と理由を読みます。
営業の実施実施の結果と未解決の事項を記録している実施済みにした営業先に結果の記録があるかを照らします。
次の担当への連絡引き継ぐ情報を渡し、次の担当者が引き受けている次の担当者が情報を閲覧でき、引き受けた記録があるかを見ます。
表は編集部作成の例です。保留や未実施の営業先を、実施済みとして扱わないようにします。

判断が要る箇所には基準と判断する人が必要だ

判断の基準があっても、誰が決めるかが不明だと、担当者は誰に確認すればよいか迷います。現場で決めてよい範囲と、確認や保留が必要な範囲を分けます。

  • 自分で決める範囲を示す 決めてよい事項と使う基準を対応させます。基準に当てはまらない場合の確認先も必要です。
  • 営業責任者への確認を分ける 対象条件の変更など、営業責任者の判断が必要な箇所を作業の流れの中に示します。
  • 保留からの再開を決める 情報が足りない場合は保留とし、追加情報の確認先と再開を判断する人を決めます。

判断の種類と決定権を対応させる

判断の種類判断する人手順書に書くこと
基準内の判断作業を担当する人使う基準と決めてよい範囲
基準で判断できない場合営業責任者確認が必要になる条件と伝える情報
情報不足での保留指定された判断者不足情報、確認先、再開の条件
表は編集部作成の例です。判断を求める相手と、作業を引き継ぐ相手は分けて確認します。

通常の手順だけでは例外が起きた後に迷いが残る

対象外と分かった会社や、連絡停止の希望など返答があった会社を通常の流れのまま扱うと、予定した連絡と実際の対応が食い違います。例外を見つけた後の行動と記録を対応させます。

  • 対象外の理由を残す 対象条件に該当しない理由を残し、対象から外す会社と、判断に必要な情報が足りない会社を分けます。
  • 返答後の対応を切り替える 返答があれば予定していた連絡を見直し、内容を確認して対応する人へ引き継ぎます。
  • 停止希望を予定に反映する 連絡停止の希望は記録だけで終えず、予定済みの連絡にも反映されたかを確認します。

例外が起きた後の対応を点検する

例外すること記録
対象条件に該当しない会社対象から外すか、追加で確認するかを判断します。理由、確認した情報、判断結果
返答があった場合予定した連絡を見直し、対応者へ引き継ぎます。返答内容、対応者、次の対応
連絡停止の希望連絡を止め、予定済みの連絡を取り消します。希望の内容、停止の反映状況
表は編集部作成の例です。例外を記録するだけでなく、予定した作業への反映も点検します。

作業と記録項目の対応が分かれば記録の迷いを防げる

記録するように伝えるだけでは、保存場所や書く項目が人によって変わります。担当者が記録先を探さずに済むよう、使う道具と営業管理表の項目を作業ごとに対応させます。

  • 使う道具の役割を示す 閲覧、実施、記録に使う道具を区別し、利用場所と必要な権限を示します。
  • 管理表の項目名を合わせる 手順書で使う記録項目の呼び方を、営業管理表の表示に合わせます。正式な記録先も決めます。
  • 記録する時点を決める 結果が分かった時点や引き渡す前など、記録を済ませる場面を作業に結び付けます。

作業と営業管理表を対応させる

作業記録先書く時点
営業先の確認対象の判定と理由を扱う項目判定した時点
営業の実施実施状況と結果を扱う項目実施状況や結果が分かった時点
次の担当への連絡対応者と次の対応を扱う項目引き渡しの前と引受確認時
表は編集部作成の例です。項目名は自社の営業管理表で実際に使っている名称に合わせます。

聞き先だけでは相談に要る情報が残らない

相談相手の名前だけでは、相談前に何を調べ、何を伝えればよいかが分かりません。場面ごとの聞き先、連絡方法、確認しておく情報をまとめます。

  • 場面ごとに聞き先を分ける 営業上の判断と、道具の利用に関する問題では、聞き先が異なることがあります。不在時の連絡先も決めます。
  • 連絡方法と待ち方を示す 指定の連絡方法を示し、返事を待つ間に止める作業と進めてよい作業を区別します。
  • 確認した内容を添える 該当する手順、現在の状態、確認済みの情報を整理し、決めてほしい点を伝えます。

相談に必要な情報を整理する

場面聞き先聞く前に確かめること
条件を判断できない営業責任者対象条件、現在の情報、不足している情報
記録項目が分からない営業管理表の管理担当該当する作業と既存の記録項目
道具を使えない利用環境の管理担当利用権限、表示された内容、操作した箇所
表は編集部作成の例です。連絡方法と不在時の聞き先は、自社の連絡体制に合わせて決めます。

実際に使ってもらえば手順書の不足が分かる

書いた人には分かる説明でも、初めて使う人には判断できないことがあります。実際の作業で迷った位置と理由を残し、説明を直します。

  • 口頭で補う前に観察する 実際に手順書を使ってもらい、止まった箇所と質問を残します。補足した説明も記録します。
  • 迷いの原因を分ける 条件がない、判断者が分からない、言葉が通じないなど、何が不足したかを切り分けます。
  • 直した箇所を再び使う 説明を追加した後に同じ箇所を使ってもらい、口頭の補足なしで判断できるかを確認します。

迷った事実から修正箇所を探す

迷いの原因見つけ方直すこと
条件が無い開始や完了を質問した場面を確認開始や完了の条件と、その確認に使う情報を書き足します。
判断する人が書かれていない判断を求める相手を探した場面を確認決めてよい範囲と判断する人を書き足します。
言葉が分からない読み返した語や意味を尋ねた語を確認用語の説明を足し、画面の実際の表示に合わせます。
表は編集部作成の例です。試用でも、実際の連絡に必要な承認や停止条件を守ります。

最新版を置くだけでは手順の変更が伝わるとは限らない

手順書を書き換えても、古い内容で作業が続くことがあります。変更点、適用する時点、知らせる相手、旧版の扱いをまとめて決めます。

  • 変更点と適用時点を示す 何が変わり、いつから適用するかを明らかにします。進行中の作業に適用するかも決めます。
  • 版を見分けられるようにする 版の識別表示と更新日を付け、現在使う手順書の保管場所を明確にします。
  • 周知と旧版の扱いを決める 利用者への連絡方法と、変更内容を読んだことの確認方法を定めます。旧版は現行版と区別し、旧版への案内も現行版に差し替えます。

手順を変えるときに決める事項

事項決めること注意
変更点変更内容、理由、適用する時点進行中の作業への適用も明確にします。
版識別表示、更新日、更新する人保管場所ごとの内容の違いを防ぎます。
周知の方法連絡先、連絡方法、読んだことの確認方法連絡したことと、読まれたことを分けます。
古い版の扱い保管の要否と現行版との区別管理担当者が旧版への案内を現行版に差し替えます。
表は編集部作成の例です。記録項目を変える場合は、営業管理表と手順書の両方を更新します。

作業ごとの点検で書き足すべき箇所が分かる

説明があるかだけでなく、その説明を使って判断できるかを点検します。作業ごとに確認し、不足している箇所を自社の言葉で書き直します。

  • 作業ごとに不足を探す 共通の説明だけで済ませず、各作業で開始、完了、判断、例外を説明できるか見直します。
  • 記録先までたどってみる 手順書から営業管理表の該当項目を探し、結果と次の対応を迷わず記録できるか確認します。
  • 試用と更新まで点検する 実際に迷った箇所を修正し、修正後の確認と利用者への周知まで済んでいるかを見ます。

作業ごとに使う点検表

作業始める条件終える条件判断が要る箇所と判断する人例外の扱い記録先聞き先迷った箇所の記録版と周知
点検する観点(左端に作業名を書く)材料・前工程・承認を確認できるか成果物・記録・引き渡しを確認できるか誰が何を決めるか分かるか対象外・返答・停止希望に対応できるか使う道具・管理表の項目・記録時点が分かるか相手・連絡方法・事前確認が分かるか迷った箇所・原因・修正後の確認結果を記録しているか現行版・変更点・周知状況が分かるか
点検表は編集部作成の例です。左端の列に自社の作業名を書き、作業ごとに各欄を確認します。手順書の雛形ではなく、不足を見つけるための確認項目です。