口コミへの回答には、事実と評価の区別が必要だ
商談先が口コミを示したときは、気にしている点から確認を始めます。投稿の評価と確認できた事実を分け、判断に必要な情報を伝えます。
- 確かめる懸念を決める 相手が知りたいのは、同じことが起きる可能性か、対応の姿勢か、業務への影響かを確かめると決めます。
- 答える範囲を決める 商品の変更点や使い方を調べ、自社で確認できた事実と、確認できない事情を分けて答えると決めます。
- 残す記録を決める 否定や弁解に偏らない説明の順序と、相手の理解と未確認の点の記録の仕方を決めます。
口コミへの疑問は、商品の評価だけとは限らない
同じ投稿を示されても、相手が気にしている点は異なります。投稿全体への賛否を述べる前に、知りたいことを絞ります。
- 気になる箇所を特定する 投稿のどの記述が気になったのかを確認し、その箇所と相手の懸念を対応させます。
- 知りたいことを分ける 同じ出来事が起きるかの心配、問題が起きた際の対応、業務への影響のどれを知りたいのか整理します。
- 答える範囲を決める 相手の懸念に関係する情報から説明します。商品全体の長所を並べても、疑問への回答にはなりません。
相手の関心を整理する表
| 気にしている点 | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 同じことの発生 | 同じ出来事が起きる条件を知りたいか。 | 条件が不明なまま、起きないと断定しません。 |
| 対応の姿勢 | 案内や問題発生後の対応の何が気になるか。 | 投稿者の感じ方を訂正しようとしません。 |
| 業務への影響 | どの業務に、どのような支障を懸念しているか。 | 商品全体の説明に話を広げすぎません。 |
出来事の記述も、確認済みの事実とは限らない
投稿には、出来事の記述と、その出来事への評価や推測が混在します。何が書かれているかと、自社で裏付けられるかを分けて読みます。
- 出来事を抜き出す 操作、発生した現象、対応の経過を抜き出します。投稿に記載があるだけでは、確認済みとは扱いません。
- 評価を区別する 使いやすさや満足度は、投稿者による評価として扱います。その評価が正しいか間違っているかは判断しません。
- 推測を事実に変えない 原因や意図についての推測を分けます。自社に都合のよい推測も、裏付けなしに説明へ加えません。
投稿内容を読み分ける表
| 内容の種類 | 見分け方 | 扱い |
|---|---|---|
| 出来事の記述 | 操作や現象、対応の経過が記されているか。 | 確認の対象にし、裏付けの有無を別に記録します。 |
| 投稿者の評価 | 使いやすさや対応への満足が述べられているか。 | 投稿者の評価として、出来事とは分けます。 |
| 推測 | 原因や提供側の意図を推し量っているか。 | 確かめられない原因や意図を断定しません。 |
現在の仕様だけでは過去の出来事を否定できるとは限らない
投稿時点と現在で、機能や提供条件が変わっている場合があります。投稿された日と実際に利用した時期も区別して、変更の範囲を調べます。
- 利用した時期を調べる 投稿された日だけで利用時期を決めません。当時の仕様を特定できない場合は、特定できなかったことを記録し、説明でもそのまま伝えます。
- 変更の範囲を調べる 変更履歴や当時の資料で、何が変わったかを確認します。口コミに関係する変更かどうかも見極めます。
- 過去と現在を分ける 当時と現在で仕様が異なることを、当時の出来事を否定する材料にはしません。変わっていない制約も説明に含めます。
商品の変更を確認する表
| 違いの種類 | 確かめること | 伝え方 |
|---|---|---|
| 画面や機能 | 当時と現在の操作や機能に変更があるか。 | 変更した箇所と現在も残る制約を区別します。 |
| 提供条件 | 利用できる範囲や条件が変わっているか。 | 現在の条件が相手の利用にも当てはまるか示します。 |
| 対応の仕組み | 受付方法や対応手順に変更があるか。 | 確認できた変更を示し、その変更で問題が起きなくなるとまでは言い切りません。 |
投稿者の使い方が相手の使い方と同じとは限らない
同じ商品でも、利用場面や設定によって起きることは異なります。投稿に書かれた前提と相手の使い方を比べ、不明な部分を補って解釈しません。
- 利用場面を具体化する どの業務で、何をしようとした際の出来事かを整理します。相手が想定する利用場面も確認します。
- 設定の影響を調べる 動作に関係する設定や権限を確認します。投稿に記載がなければ、設定の誤りが原因とは決めません。
- 利用者の条件を調べる 操作する人の役割や利用環境を確認します。経験不足など、書かれていない事情を推測しません。
使い方の前提を確認する表
| 前提 | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 利用場面 | どの業務の、どの操作で起きたことか。 | 前提が違うだけで、相手には無関係と決めません。 |
| 設定 | 設定や権限が動作に影響しているか。 | 投稿に書かれていない設定を推測して、原因にしません。 |
| 利用者 | 誰が、どのような環境で利用したか。 | 裏付けがないまま、利用者の経験や注意の不足を原因にしません。 |
回答で断定できる範囲は、確認した事実に限られる
自社の商品でも、個別の投稿に関する事情をすべて確認できるわけではありません。確認できたこと、確認できないこと、確認中のことを分けます。
- 根拠を対応させる 答える内容ごとに、仕様資料や記録などの根拠を確認します。どの時点の情報かも明らかにします。
- 不明な事情を残す 投稿だけでは特定できない利用状況や経緯は、不明として扱います。記録がないことだけで否定しません。
- 確認中の扱いを決める 調べる対象、確認する担当、結果を伝える時期を決めます。確認中の見立てを確定情報として伝えません。
確認状況を区別する表
| 区分 | 答え方 | 注意 |
|---|---|---|
| 確認済みの事実 | 根拠と対象の時期を添え、確認した範囲を示します。 | 現在の仕様から個別の経緯まで断定しません。 |
| 確認できない事情 | 何が不明で、なぜ判断できないかを説明します。 | 発生を確認できないことを、起きなかったこととして答えません。 |
| 確認中 | 確認の対象と、結果を伝える時期を示します。 | 結論を先に約束せず、調査の結果を伝えます。 |
回答は相手の懸念に関係する事実から始める必要がある
答える際は、相手が気にしている点に関係する事実から説明します。確認した出来事、現在の違い、分からない点を混ぜずに扱います。
- 確認した事実を認める 機能が動作しない条件や利用上の制約が確認できた場合は、その範囲を明示します。商品の長所を先に並べて、その説明を後回しにしません。
- 違いの意味を示す 変更点が相手の懸念にどう関係するかを説明します。商品を変更したことだけを理由に、納得を求めません。
- 不明点を明示する 分からない点は分からないまま伝えます。追加で確認できることがあれば、その対象も示します。
状況に応じた答え方の表
| 場面 | 答え方 | 避けること |
|---|---|---|
| 事実を確認した | 確認した出来事と、影響が分かる範囲を説明します。 | 事実として確認した範囲を超えて、評価や推測まで認めません。 |
| 現在は違いがある | 関連する変更点と、残っている制約を示します。 | 変更を理由に、当時の出来事を軽く扱いません。 |
| 事情が分からない | 判断できない点と、確認可能な範囲を示します。 | 推測で投稿を否定したり、自社を擁護したりしません。 |
良い口コミも、相手に同じ結果が出る根拠とは限らない
好意的な投稿があっても、相手の懸念に答えたことにはなりません。良い口コミも投稿者の評価として扱い、商品の説明は自社で確認した事実に基づけます。
- 評価で評価を打ち消さない 良い口コミを持ち出して、示された口コミを退けません。相手が気にしている出来事への説明を続けます。
- 書かれていない条件を補わない 好意的な評価にも、投稿者の利用場面や期待があります。書かれていない条件を都合よく補いません。
- 事実で説明する 機能や提供条件は、自社の資料や記録で説明します。相手の使い方で確認が必要な点も残します。
良い口コミを扱う際の表
| 確かめること | 理由 | 注意 |
|---|---|---|
| 投稿者の条件 | 満足した理由や使い方が、相手と同じとは限りません。 | 良い評価だけを抜き出し、結果を約束しません。 |
| 自社の確認事実 | 商品について説明できる範囲を明らかにできます。 | 投稿の評価と、自社で確認した事実を混ぜません。 |
| 相手の条件 | 相手の業務で必要な確認事項を判断できます。 | 好意的な投稿を理由に、必要な確認を省きません。 |
回答後の相づちだけでは、理解されたとは限らない
説明を終えても、断定していないことが確約として伝わる場合があります。相手がどう理解したかを聞き、残る懸念と追加で確認したい点を整理します。
- 相手の理解を聞く 説明から何が分かり、何が分からないままかを、相手の言葉で整理してもらいます。その内容からずれを見つけます。
- 残る懸念を分ける 情報不足なのか、制約が業務上気になるのかを区別します。同じ説明の繰り返しで納得を求めません。
- 確認する対象を決める 追加で何が分かれば判断できるかを整理します。自社で追加確認する事項と、その結果を踏まえて相手が判断する事項を分けます。
説明後の理解を確認する表
| 確かめ方 | 確かめること | ずれていたとき |
|---|---|---|
| 相手の言い換え | 確認した範囲や条件付きの回答が伝わっているか。 | 断定できる範囲と、不明な点を説明し直します。 |
| 残る懸念 | どの出来事や制約への懸念が残っているか。 | 懸念の対象に戻り、関係する情報を示します。 |
| 確認したい点 | 判断のために、何を追加で知りたいか。 | 確認対象と方法を決め、対応できる範囲を示します。 |
条件付きで答えた内容は条件ごと記録する必要がある
商談中は条件付きで説明しても、提案書では結論だけが残ることがあります。説明した事実と根拠、回答の条件、未確認の点を記録し、提案書でも同じ条件をそろえます。
- 懸念と回答を記録する 示された口コミの要点、相手の懸念、答えた内容を対応させます。投稿者の評価を自社の見解に変えません。
- 根拠と条件を残す 参照した資料、確認した時点、説明の前提を残します。提案書でも、根拠が支える範囲を超えて書きません。
- 未確認の点を引き継ぐ 未確認の点と確認担当、結果を伝える時期を記録します。解決済みのような表現がないか見直します。
回答を記録する表
| 記録項目 | 書くこと | 理由 |
|---|---|---|
| 示された口コミ | 投稿を識別できる情報と、懸念に関係する要点を記します。 | 後から別の投稿や別の論点と取り違えないためです。 |
| 説明した事実 | 説明内容、根拠、確認時点、適用する条件を記します。 | 提案書にも、確認した範囲を保って記載するためです。 |
| 未確認の点 | 不明点、確認担当、結果を伝える時期を記します。 | 確認が終わる前に、解決済みとして扱わないためです。 |
回答の整理表で、説明できる範囲と未確認の点が分かる
商談前には分かっていることを記入し、商談後には実際に答えた内容を追記します。空欄を推測で埋めず、不明な理由や確認の予定を残します。
- 投稿と懸念を分ける 投稿の要点と、相手が気にしている点を別に書きます。出来事の記述、評価、推測も区別します。
- 確認の根拠を書く 商品の違いや使い方の前提に加え、確認に使った資料と時点を記します。不明な条件は不明と書きます。
- 回答後に更新する 実際の回答、相手の理解、残る懸念を追記します。未確認の点には確認担当と結果を伝える時期を記します。
口コミへの回答の整理表
| 記録項目 | 記入欄 | 記録項目 | 記入欄 |
|---|---|---|---|
| 示された口コミの要点 | 相手が気にしている点 | ||
| 出来事の記述・評価・推測の区別 | 利用した当時と現在の違い | ||
| 投稿の前提となる使い方 | 確認済みの事実と確認に使った資料・時点 | ||
| 答えた内容と相手の理解 | 残る懸念と未確認の点 | ||
| 確認担当と結果を伝える時期 | 記録先 |
