社名を替えただけでは提案理由に前の会社の事情が残る

過去の提案書には、商品に共通する説明と、前の会社に提案した理由が混ざっています。今回も使える部分を見分け、聞き取りに基づいて提案理由を組み立て直します。

  • 借りる範囲を決める 構成や共通の説明を借りる目的を決め、前の会社だけに当てはまる理由を分けます。
  • 作り直す内容を決める 今回の聞き取りを基に、提案理由・条件・説明の順番を見直します。
  • 点検と記録の項目を決める 前の会社の事情や情報を点検し、使った箇所と作り直した箇所を記録します。

前の提案書から借りる範囲は使う目的で決まる

過去の提案書を開く前に、何を借りたいのかを決めます。構成や商品説明を使う場合も、提案理由は今回の聞き取りから考え直します。

  • 構成を参考にする 各部分が何を説明しているかを確認し、今回の構成を考える参考にします。並び順まで引き継ぐ必要はありません。
  • 共通の説明を借りる 商品の仕様や提供範囲を使います。現在の内容と一致しているかを確認します。
  • 提案理由は考え直す 前の会社に商品を勧めた理由を、今回の会社にも当てはまるものとして扱わないようにします。

使う目的と借りる範囲

目的使える部分注意
構成を借りる各部分が担う役割を参考にします。説明の順番は今回の相手に合わせます。
商品説明を借りる現在も共通する仕様や提供範囲を使います。前の会社だけの対応を除きます。
提案理由を考える理由を組み立てる観点を参考にします。理由そのものは今回の聞き取りから作ります。
表は編集部作成の例です。

商品説明の段落にも前の会社だけの提案理由が残る

商品を説明している段落でも、前の会社の困りごとを前提にしていることがあります。段落の見出しだけで判断せず、説明と理由を文ごとに分けます。

  • 共通の説明を取り出す 会社が変わっても成り立つ仕様や提供範囲を、共通の説明として取り出します。
  • 勧めた理由を分ける 特定の機能を勧める理由や期待する変化は、前の会社の困りごとと結び付いていないか確認します。
  • 混ざった段落を分ける 共通の説明と個別の理由が混ざる段落は、文ごとに分けて使う範囲を判断します。

説明と理由の見分け方

区分見分け方注意
共通の説明相手が変わっても説明が成り立つかを見ます。仕様や提供範囲が現在も同じかを確認します。
個別の理由前の会社のどの課題を前提にしているかを見ます。業種が同じでも理由は引き継ぎません。
混在する段落商品の説明に、選ぶ理由が続いていないかを見ます。段落全体を共通の説明として使わないようにします。
表は編集部作成の例です。

今回の提案理由は、前の提案でなく聞き取りから作ることになる

前の提案理由を読む前に、今回の困りごとと、その背景を整理します。その内容と商品の働きを結び付けて、今回の提案理由を書き直します。

  • 今回の困りごとを整理する 困っている業務、起きている支障、目指す状態を整理します。未確認の内容は分けて残します。
  • 前の理由と照らす 前の理由を支える事情が、今回の聞き取りにもあるかを確認します。似た言葉だけで判断しません。
  • 根拠のない理由を外す 今回に当てはまらない理由は外します。判断に必要な情報が足りなければ、追加の確認事項にします。

提案理由を組み立てる手順

手順すること注意
聞き取りを整理困りごと・背景・目指す状態を分けます。聞いた内容と推測を混ぜません。
理由を照合前の理由の前提が今回にもあるかを調べます。同じ困りごとでも原因の違いを見ます。
理由を再構成今回の困りごとに、商品の働きと選ぶ理由を対応させます。根拠のない効果や理由を足しません。
表は編集部作成の例です。

社名を消しても説明には前の会社の事情が残る

前の会社の事情は、社名が出てこない説明にも入り込みます。業種や規模、使い方、担当者の要望を前提にした部分を探します。

  • 業種と規模の前提を見る 拠点の配置や業務の分担を前提にした説明が、今回にも当てはまるかを点検します。
  • 使い方の前提を見る 前の会社の利用場面や運用の流れを、商品の標準的な使い方として残していないかを点検します。
  • 要望の出所を見る 前の会社の担当者が求めた内容を、今回の相手も求めているものとして扱っていないかを点検します。

前の会社の事情が残る箇所

残りやすい箇所点検の仕方注意
業種や規模の前提業務の分担や利用環境を今回と比べます。同業種でも同じ運用とは限りません。
利用場面の説明誰が、どの業務で使う想定かを読み取ります。前の会社の使い方を標準と決め付けません。
要望を反映した説明何を求められて追加した説明かを調べます。今回も必要かは聞き取りで判断します。
表は編集部作成の例です。

前の会社に示した条件が今回も使えるとは限らない

前の提案書にある条件は、その会社の依頼内容や取り決めを前提にしている場合があります。今回の依頼内容について、提示できる条件を確認し直します。

  • 提供条件を確認し直す 提供時期や対応範囲などは、今回の依頼内容で提示できるかを確認します。前の会社の条件を、確認なしの初期案にしません。
  • 対応範囲を確認し直す 含める作業と含めない作業を確認します。追加対応を標準の範囲として引き継がないようにします。
  • 個別の取り決めを外す 前の会社だけの例外や役割分担を取り除きます。必要な条件は、今回の内容として決め直します。

条件を引き継ぐ前の確認

場面すること避けること
提供条件を載せる今回の条件を決められる社内の人に確認します。前の条件を確認なしに提示しません。
対応範囲を載せる標準の範囲と追加の対応を分けます。前の追加対応を当然に含めません。
役割分担を載せる今回の双方の作業を整理します。前の会社との取り決めを転記しません。
表は編集部作成の例です。

提案の順番は、相手が先に知りたいことと前提の説明で変わる

同じ商品でも、相手が先に知りたいことは商談ごとに異なります。前の提案書の並びを引き継ぐ前に、今回の判断に必要な説明の順番を考えます。

  • 先に知りたいことを置く 聞き取りで出た関心や懸念を基に、最初に説明する内容を決めます。
  • 前の順番を見直す 前の会社で説明を優先した事情を確認します。今回と違う場合は、説明の位置を変えます。
  • 説明の流れを読む 並べ替えた後は、結論を支える理由が説明されているか、理解に必要な前提が抜けていないかを読みます。

相手の関心に応じた並べ替え

場面すること注意
課題の認識が異なる困りごとの整理を先に置きます。課題を共有できていると決め付けません。
運用への懸念がある使い方や必要な作業の説明を前に置きます。運用説明に必要な前提も添えます。
説明を並べ替えた前から読み、説明同士の関係を確認します。移動だけで意味が通るとは限りません。
表は編集部作成の例です。

社名の確認だけでは図や記入例に前の会社の情報が残る

前の会社の情報は、本文だけでなく図や記入例にも含まれます。名前の検索に加えて、数値や資料の出所を目で確認します。

  • 名前と関連情報を見る 社名や担当者名に加え、部署名や連絡先も確認します。略称や表記の違いも探します。
  • 数値と資料の出所を見る 前の会社から受け取った数値や資料を特定します。出所が分からない内容は、そのまま使いません。
  • 図と記入例を目で見る 図中の文字や記入済みの欄も確認します。名前を消しても会社が分かる情報がないかを見ます。

前の会社の情報を探す箇所

確かめる箇所方法注意
社名や担当者名正式名称と略称を検索し、表示内容も見ます。部署名や連絡先も対象にします。
数値や受領資料出所を確認し、前の会社由来の内容を分けます。名前を消すだけで使えると判断しません。
図や記入例図中の文字や記入内容を目で読みます。業務名や拠点の並びから前の会社だと分かる情報も確認します。
表は編集部作成の例です。

使うか作り直すか外すかは今回の根拠と必要性で決まる

点検した内容は、使う・作り直す・外すに分けます。文章の出来栄えよりも、今回も成り立つ根拠があるか、説明に必要かで判断します。

  • 共通する説明を使う 現在も正しく、今回の説明に必要で、前の会社だけの事情や情報を含まない部分を使います。
  • 必要な説明を作り直す 今回の提案にも必要な説明であっても、理由や条件が異なる部分は作り直します。今回の聞き取りや確認結果を根拠にします。
  • 不要な説明を外す 今回の判断に不要な内容や、前の会社だけに当てはまる理由は外します。分量を保つために残しません。

使う・作り直す・外すの判断

区分当てはまる内容注意
使う現在も正しく、今回も必要な共通の説明です。前の会社の事情や情報がないことを確認します。
作り直す説明は必要でも、前提・理由・条件が異なります。未確認の内容は確認してから書きます。
外す今回には不要か、当てはまる根拠がありません。必要な情報が不足している場合は確認事項を残します。
表は編集部作成の例です。

使った箇所と変更理由の記録で再利用の根拠が分かる

完成した提案書だけでは、どこを借りて、なぜ作り直したのかが分かりません。参照元と今回の箇所を対応させ、判断の根拠を記録します。

  • 参照元を記録する 元の提案書の保管先と参照した箇所を残します。元の会社の情報を含む記録は、社内で管理します。
  • 使った範囲を記録する 今回のどの箇所に使ったかを記録します。共通の説明として使えると判断した理由も残します。
  • 作り直した理由を記録する 今回の聞き取りや条件確認のどの内容を基に、何を変えたかを記録します。

再利用した箇所と根拠の記録

記録項目書くこと理由
元の提案書保管先と参照した箇所を書きます。説明の出所を確認できるようにします。
使った部分今回の使用箇所と、使えると判断した理由を書きます。借りた範囲と判断の根拠を明らかにします。
作り直した理由変更した内容と、その根拠となる確認結果を書きます。今回の事情を反映した箇所が分かります。
表は編集部作成の例です。この記録は提案先向けの本文に入れず、社内で参照できる場所に保管します。

箇所ごとの点検表で再利用の判断と未確認事項が分かる

提案書の箇所ごとに、使う判断とその根拠を記入します。未確認の内容も残すと、次に何を調べる必要があるかが分かります。

  • 判断できる単位で記入する 段落や図など、使うかどうかを判断できる単位で記入します。説明と理由が混ざる場合は分けます。
  • 事情と情報を分けて見る 前の会社を前提にした説明と、社名や数値などの情報を別々に点検します。
  • 未確認の内容を残す 判断できない項目は未確認と記入します。次に確認することと、根拠を記録する場所も残します。

営業先を絞って実施を依頼する流れ

提案書の箇所共通の説明・個別の理由・条件のどれか前の会社の事情の有無今回の聞き取りとの対応使う・作り直す・外す・未確認作り直した内容前の会社の情報の有無確認した人次に確認すること記録先
表は編集部作成の例です。共通の説明では現在の仕様との一致も確認し、必要に応じて根拠を記録先に残します。