要約に残す内容は読む目的で決まる

提案書を短くまとめても、それだけで読まれるとは限りません。誰が何を判断するために読むのかを起点に、残す内容を決めます。

  • 読む人と目的を決める 要約を読む人と、読んだ後に判断してほしいことを、具体的に書けるようにします。
  • 残す要素を決める 結論・対象・条件・判断してほしいことを選び、本文の意味を変えずに残します。
  • 本文との対応を確かめる 本文の参照先と言い換えた語を確かめ、要約と本文の版、渡した相手を記録します。

要約に必要な情報は読む人の目的で変わる

決める人と社内で回覧する人では、要約を使う目的が違います。本文を読まずに判断する人へ届くかどうかも、渡す前に確認します。

  • 読む人を具体化する 最初に渡す相手だけでなく、その先で読む部署や役割まで聞き取ります。
  • 読む目的を分ける 提案を進めるかの判断に使うのか、社内で内容を説明するために使うのかを区別します。
  • 本文を読むか聞く 本文も参照されるかを確認し、要約だけを読む人にも必要な条件を残します。

読む人ごとに必要な情報を整理する

読む人目的要約に要ること
決める人提案を進めるか判断します。判断の対象と成立条件を残します。
回覧する人社内の関係者へ説明します。提案の結論と判断を求める事項を残します。
本文を読まない人要約を根拠に判断します。対象外の範囲と重要な条件も残します。
表は編集部作成の例です。役職だけで決めず、実際の使い方を確認します。

結論だけの要約では判断に要る情報が残らない

結論だけを残すと、何に対する提案かが分からなくなることがあります。対象・条件・判断してほしいことを、結論と一緒に選びます。

  • 提案の結論を残す 本文が何を提案しているかを取り出します。提案の理由だけで結論を代用しません。
  • 対象と条件を残す 誰のどの業務が対象か、どの条件で成り立つかを、結論から切り離さずに残します。
  • 判断してほしい事を書く 相手に決めてほしい事項を明らかにします。内容を読んで理解してほしいのか、承諾を求めるのかを書き分けます。

残す要素と省略した場合の影響を整理する

要素残す理由抜けると起きること
結論提案の内容を伝えるために残します。何を提案されたか分からなくなります。
対象提案が及ぶ範囲を示すために残します。対象外の部署や業務にも当てはまると読まれるおそれがあります。
条件結論が成り立つ前提を示すために残します。条件なしで実施できると読まれるおそれがあります。
判断してほしいこと相手が決める事項を示すために残します。読んだだけなのか承諾したのかが分からなくなります。
表は編集部作成の例です。要素ごとに、根拠となる本文の記述を探します。

結論の成立に関わる条件は要約にも残す必要がある

本文に条件が書かれていても、要約から抜けると無条件の提案に見えるおそれがあります。省いたときに結論の意味が変わる条件は、要約にも残します。

  • 結論から条件を探す 結論が成り立つために必要な利用条件・対応範囲・前提を、本文から拾います。
  • 対象外も残す 対応できる範囲だけでなく、省くと誤解が生じる対象外の範囲も明らかにします。
  • 未確定の前提を残す 確認中の事項を、確定した条件として書き換えません。未確定であることも残します。

結論と切り離せない条件を見つける

落としやすい条件残し方注意
利用条件利用に必要な準備を結論に添えます。準備が済んでいるとは決めつけません。
対応範囲含む業務と、誤解が生じやすい対象外の業務を示します。一部への対応を全体への対応に広げません。
前提相手の協力や確認事項を残します。予定や確認中の事項を確定扱いしません。
表は編集部作成の例です。詳細の参照先だけで、重要な条件の記載を代用しません。

要約の正確さは本文との意味の一致で決まる

本文と同じ単語を使っていても、対象や条件が変われば別の意味になります。要約の記述ごとに、本文の根拠へ戻って照らします。

  • 結論の範囲を照らす 提案していることと、約束していることを区別します。検討段階の内容も確定扱いしません。
  • 対象の範囲を照らす 部署・業務・利用場面の範囲を比べます。本文より広い対象に読めないかを見ます。
  • 条件の有無を照らす 本文にある制限や例外が、要約にも必要な形で残っているかを確かめます。

要約の記述を本文と照らす

照らす点確かめ方ずれたとき
結論の範囲提案・予定・確定の区別を比べます。本文と同じ区別に戻します。
対象の範囲対象の部署・業務・場面を比べます。省いた対象の範囲を示す記述を要約に戻します。
条件の有無成立条件と例外の記載を比べます。判断に関わる条件を要約に戻します。
表は編集部作成の例です。語句の一致だけで、意味が一致したとは判断しません。

要約に書ける内容は本文で支えられる範囲に限られる

読みやすく整える途中で、本文より強い断定や新たな効果が入ることがあります。本文に根拠が見つからない内容は、要約だけに足しません。

  • 断定の強さを保つ 可能性や予定を、確実な結果へ書き換えません。本文にある条件付きの表現を残します。
  • 効果を足さない 説明を魅力的にするために、本文が述べていない効果や成果を付け加えません。
  • 推測を混ぜない 本文にない情報を推測で補いません。追加が必要なら、本文に書いてから要約に載せます。

要約で増えた意味を見つける

足しがちな表現起きること代わりにすること
強めた断定可能性が結果の約束として読まれるおそれがあります。本文にある条件付きの表現を保ちます。
本文にない効果説明していない成果を期待されるおそれがあります。根拠のある内容だけを残します。
推測による補足未確認の事情が事実として伝わるおそれがあります。推測を外し、必要な事実を確認します。
表は編集部作成の例です。要約を読みやすくすることと、主張を強めることを分けます。

要約だけの承諾は本文の条件への承諾とは限らない

要約だけを読んだ相手は、省かれた条件を知らないまま判断する可能性があります。相手が本文を見ずに読んだ場合、何に承諾したと受け取るかを想定します。

  • 本文を伏せて読む 要約だけから読み取れる結論・対象・条件を書き出し、本文の結論・対象・条件と比べます。
  • 決めてほしい事項を明らかにする 今回決めてほしい事項と、まだ判断を求めていない事項を区別します。
  • 判断前の確認を示す 本文の確認が必要なら、見る箇所と確認内容を示します。必要な条件は要約にも残します。

要約だけで判断した場合を想定する

起きること防ぎ方要約に書くこと
条件を知らずに承諾する承諾に関わる条件を省きません。結論の成立に必要な条件を書きます。
対象の範囲を誤解する対象の境界を明らかにします。対象と、誤解が生じやすい対象外を書きます。
本文と違う事項を判断する今回求める判断を明らかにします。今回決めてほしい事項を書きます。
表は編集部作成の例です。本文を添付しただけで、その内容まで伝わったとは扱いません。

要約の参照先には該当箇所までの案内が必要だ

本文を添付しても、どこに根拠があるか分からなければ探す負担が残ります。結論・条件・図の参照先を、それぞれの記述に対応させます。

  • 章の見出しを示す 要約の記述に対応する本文の章や節を示します。本文と同じ見出し名を使います。
  • 条件の場所を示す 重要な条件は要約に残し、詳細や例外を確認できる箇所を併記します。
  • 図の説明まで示す 図の名称だけでなく、読み取る際に必要な注記や条件の場所も案内します。

参照先と案内の方法を対応させる

たどる先示し方注意
結論の説明対応する章・節の見出し名を記します。似た見出しと区別できるか確かめます。
条件の詳細条件を記した節や項目名を添えます。要約に要る条件を参照先だけに書きません。
図と注記図の名称と注記の場所を示します。図だけで結論を読み違えないか確かめます。
表は編集部作成の例です。リンクを付ける場合は、渡す形式でも開けるか確認します。

相手の言葉への言い換えには意味の照合が必要だ

相手になじみのある言葉でも、本文の用語と同じ範囲を指すとは限りません。社内用語や略称へ置き換えた箇所は、元の語との対応を確かめます。

  • 社内用語の範囲を聞く 相手の社内で、その語がどの部署や業務を指すかを確認します。響きの近さで選びません。
  • 略称の指すものを照らす 略称に置き換えても、対象が増えたり減ったりしないかを元の語と比べます。
  • 課題と対応範囲を分ける 相手の課題全体を表す言葉を使うと、提案の対応範囲が広く読まれるため、対応する範囲を別に示します。

言い換えた語と元の意味を対応させる

言い換えの種類確かめること記録
社内用語本文の語と同じ業務範囲を指すか。元の語と社内での意味を残します。
略称読む人によって別の対象を指さないか。正式な名称と略称の対応を残します。
相手の課題の表現提案の対応範囲を広げていないか。元の記述と言い換えた箇所を残します。
表は編集部作成の例です。同じ意味と確認できない場合は、本文の用語を残して説明を添えます。

版と渡した相手の記録で、更新時に直す要約が分かる

本文を更新しても、先に渡した要約には古い条件が残ることがあります。要約がどの本文に基づくかと、誰へ渡したかを記録します。

  • 対応する版を記録する 本文と要約を別々に識別し、どの組み合わせで意味を照合したかを残します。
  • 渡した相手を記録する 渡した相手と渡した時点の版を記録します。回覧先は確認できた範囲で残します。
  • 更新時に影響を調べる 本文の変更が要約に及ぶかを照らし、更新した要約を届ける相手を記録から確認します。

本文・要約・配布先の対応を残す

記録項目書くこと理由
本文の版基にした本文の版と更新日を書きます。要約の根拠を特定できるようにします。
要約の版要約の版と対応する本文の版を書きます。照合した組み合わせを識別します。
渡した相手相手・渡した日・渡した版を書きます。更新を知らせる相手を確認します。
照合の記録照合した人と日付を残します。どの時点で対応を確認したか分かります。
表は編集部作成の例です。ファイル名だけでなく、要約内にも対応する本文の版を示します。

確認表を本文と照らすとずれた箇所が分かる

ここまでの判断を、自社の提案に当てはめて書きます。確認済みの印だけで済ませず、残した内容と本文の根拠を記録します。

  • 自社の内容を書き込む 読む人と目的を定め、結論・対象・条件・判断してほしいことを具体的に書きます。
  • 記述ごとに本文へ戻る 参照先と言い換えた語を照らし、本文にない内容や強めた断定が混じっていないかを見ます。
  • 渡す組み合わせを残す 要約だけでの読み違いも確認し、照合した版と渡す相手を記録します。

要約と本文を照らす確認表

確認項目記入すること記入欄
読む人と目的誰が何のために読み、本文も読むかを書きます。
結論・対象提案の結論と、対象になる部署や業務を書きます。
条件・判断依頼成立条件と、相手に決めてほしい事項を書きます。
本文の該当箇所各記述の根拠となる章・節・図の名称を書きます。
言い換えた語元の語、置き換えた語、意味を確認した結果を書きます。
版と渡した相手本文と要約の版、渡した相手と日付を書きます。
表は編集部作成の例です。本文で根拠を確認できない箇所は、要約を修正してから渡します。