情報の食い違いは誤りが原因とは限らない
同じ会社についての情報でも、対象や項目の意味、時点、範囲が違えば値が変わる場合があります。正誤の判断には、双方の情報が何を表しているかの確認が必要です。
- 比べる条件を確かめる 食い違った項目を特定し、対象・意味・時点・範囲のどこに違いがあるかを調べます。
- 説明できる範囲を決める 根拠のある確認結果と未確認の点を分け、現時点で伝えられる内容を決めます。
- 確認後の対応を決める 訂正の要否と提案への影響を整理して相手に説明し、双方の理解が一致した点と未確認の点を確認表に残します。
食い違いの検討には項目と値の特定が必要だ
データが違うという指摘だけでは、調べる箇所が定まりません。どの会社の、どの項目が、どのように違うのかを切り分けます。
- 項目を絞る 指摘された項目名を記録します。関連する別項目まで誤りと扱わず、指摘の範囲を明らかにします。
- 会社を特定する 双方が参照した会社名と所在地などを記録し、比較する会社を特定します。
- 双方の値を残す 表示された値を単位や注記とともに残します。空欄も補わず、そのまま記録します。
指摘された箇所を切り分ける
| 特定すること | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| どの項目か | 双方が見ている項目名と掲載箇所を確認します。 | 項目名が似ていても、意味の一致はまだ判断しません。 |
| どの会社か | 会社名と所在地など、会社を識別する情報を確認します。 | 社名の表記だけで比較する会社を決めません。 |
| どの値か | 双方の値、単位、空欄、付随する注記を確認します。 | 空欄を該当なしと読み替えません。 |
同じ社名の情報でも指す対象は同じとは限らない
会社名が一致していても、会社全体と拠点、親会社と子会社では対象が異なります。値を比べる前に、それぞれがどの会社や拠点を指す情報かを確認します。
- 会社全体か拠点かを見る 情報の対象が会社全体か、特定の支店や工場かを確認します。拠点の値を会社全体の値として扱いません。
- 法人の単位を区別する 親会社と子会社を区別し、グループ内のどの法人を指す情報かを記録します。
- 名称の変化を確かめる 旧名称と現在の名称が同じ法人を指すかを確認します。名称の一致や違いだけで判断しません。
情報が指す対象を照合する
| 対象の違い | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 会社と拠点 | 会社全体、支店、工場のどれを指すかを確認します。 | 拠点の値を会社全体の値と混同しません。 |
| 親会社と子会社 | 情報がどの法人に帰属するかを確認します。 | グループ名だけで同じ対象と判断しません。 |
| 現在名と旧名称 | 名称が変わった経緯と、同じ法人かどうかを確認します。 | 旧名称の情報を別法人の情報と即断しません。 |
項目名の一致だけでは意味が同じとは限らない
同じ名前でも定義が異なる項目があり、別の名前でも同じ内容を表す場合があります。説明文や集計方法を読み、値が表す意味を照らし合わせます。
- 同じ名前の定義を読む 項目名だけで判断せず、何を表す値かを説明文で確認します。定義が見つからなければ未確認とします。
- 別の名前の意味を比べる 呼び方が違う項目も、定義を比べます。同じ意味だと確認できた場合に比較の候補にします。
- 集計方法を比べる 合計か平均かなどの集計の仕方と、どの時点の値かを確認します。計算方法の違いも記録します。
名前と定義を分けて比べる
| 意味の違い | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 同名で別の意味 | 項目の定義と注記をそれぞれ確認します。 | 同じ名前という理由で値を直接比較しません。 |
| 別名で同じ意味 | 呼び方以外の定義や単位が一致するかを確認します。 | 説明が似ているだけでは同じ項目と決めません。 |
| 集計方法の違い | 合計か平均かなどの集計の仕方と、どの時点の値かを確認します。 | 集計方法が不明な値を独自に換算しません。 |
取得日が新しくても内容が新しいとは限らない
情報を得た日と、その情報が表す時点は別です。双方の取得日と基準日・対象期間を分け、間に変化があったかを確認します。
- 相手の情報の時点を知る 相手が情報を得た日と、内容がいつの状況を表すかを分けて記録します。
- データの時点を知る 商品の企業データも、閲覧日とは別に基準日や対象期間を確認します。不明な日付は推測しません。
- 基準日の間の変化を調べる 双方の基準日の間に、値が変わる出来事があったかを確認します。変化と食い違いの関係を調べます。
取得した日と内容の時点を分ける
| 時点の違い | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 相手の情報 | 取得日と、内容の基準日・対象期間を確認します。 | 最近入手した情報でも、過去の状況の場合があります。 |
| 商品の企業データ | 閲覧日と、内容の基準日・対象期間を確認します。 | 画面を開いた日を内容の基準日と扱いません。 |
| 間に起きた変化 | 変更の内容と、それが生じた時点を確認します。 | 変化があったという事実だけで原因と断定しません。 |
対象と時点が同じでも含む範囲は同じとは限らない
同じ会社の同じ時点の情報でも、何を含めたかによって値は変わります。含む範囲と除く範囲に加え、推定値か実測値かも確認します。
- 含む範囲を確認する 対象の項目に、どの地域や事業、雇用区分などが含まれるかを確認します。
- 除く範囲を確認する 対象外の区分や、情報が得られず含まれていない部分を確認します。記載がないだけでは判断しません。
- 値の求め方を区別する 推定値か実測値か、集計値かを確認し、推定の前提や集計の対象範囲を記録します。求め方だけで正誤を決めません。
何を含み、どう得た値かを比べる
| 範囲の違い | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 含む範囲 | 含まれる地域、事業、雇用区分などを確認します。 | 一部の範囲の値を全体の値として扱いません。 |
| 除く範囲 | 明示的な除外と、情報が得られない部分を確認します。 | 記載がないことを、対象が存在しない根拠にしません。 |
| 値の求め方 | 推定・実測・集計のどれかと、その前提や対象範囲を確認します。 | 求め方だけで、説明に使えるかを決めません。 |
正誤の判断には双方の根拠の比較が必要だ
相手の情報にも商品の企業データにも、確認できていない前提が残る場合があります。双方を残して根拠を比べ、未確認の点ごとに問い合わせ先や確認する資料を決めます。
- 双方の情報を残す 確認が終わるまでは、双方の値と注記を残します。先に片方を書き換えて比較の材料を失わないようにします。
- 根拠を並べる 情報の取得元と、対象・意味・時点・範囲を確認した根拠を並べます。確認済みの事実と推測を分けます。
- 確認先を決める 未確認の点ごとに、説明を求める相手や確認する資料を決めます。確認する内容も具体的に記録します。
判断を急がず確認を進める
| 場面 | すること | 避けること |
|---|---|---|
| 指摘を受けた | 双方の値と、その値に付いた注記を保存します。 | 調べる前に、片方を正しいと決めること。 |
| 根拠が異なる | 各根拠が何を説明できるかを比較します。 | 取得元の印象だけで、採用する情報を決めること。 |
| 根拠が足りない | 不足する確認内容と確認先を決めます。 | 説明が見つからない部分を、推測で補うこと。 |
説明できる内容は根拠を確認できた範囲に限られる
確認できたことと、まだ確認できないことを分けると、説明の限界が明確になります。確認に時間が要る場合は、次に状況を知らせる時期も決めます。
- 確認できた範囲を伝える 根拠とともに、何が確認できたかを伝えます。その根拠で説明できない別の項目には結論を広げません。
- 確認中の内容を伝える 確認事項、確認先、次の連絡時期を伝えます。回答時期が読めない場合も、その状況を明示します。
- 確認できない点を伝える 確認できない項目と理由、提案への影響を伝えます。提案内容を決めるのに必要な点なら、その部分の結論を保留します。
確認の状態ごとに伝える内容を決める
| 区分 | 伝え方 | 注意 |
|---|---|---|
| 確認済み | 確認結果と根拠、説明できる範囲を伝えます。 | 根拠を読める状態と、内容を確認済みの状態を区別します。 |
| 確認に時間が要る | 確認中の点と次の連絡時期を伝えます。 | 確認が終わる日を、根拠なく約束しません。 |
| 確認できない | 確認できない点と理由、判断への影響を伝えます。 | 未確認の情報を、誤りや該当なしと扱いません。 |
訂正の要否は食い違いの確認結果で決まる
確認結果によっては訂正が必要ですが、条件の違いを明記して双方を残せる場合もあります。対応後は、比較の条件と提案への影響が伝わったかを確かめます。
- データの訂正を依頼する 商品の企業データに誤りが確認できたら、訂正の窓口と手順を確認して依頼します。完了前は訂正済みと伝えません。
- 相手が情報を見直せるようにする 相手の情報に見直しが必要な場合は、確認した根拠を共有します。相手が管理する情報は相手に確認を求めます。
- 対応後の理解を確かめる 採用する情報と保留する判断を示します。相手が理解した比較条件や提案への影響に、認識の違いがないか確認します。
確認結果から対応を選ぶ
| 対応 | すること | 確かめること |
|---|---|---|
| データの訂正 | 誤りの根拠と該当箇所を整理し、訂正を求めます。 | 訂正の完了状況と、提案に使う情報への影響を確認します。 |
| 相手の情報の見直し | 根拠を共有し、見直す箇所を相手に確認してもらいます。 | 見直しの結果と、提案で採用する情報を確認します。 |
| 両方そのまま | 条件の違いで説明できる場合は、それぞれの条件を明記して双方を残します。 | 単純比較できない理由と、使い分けへの理解を確認します。 |
確認結果と比較の条件は提案書に反映する必要がある
確認の経緯を口頭で伝えるだけでは、提案書に値だけが転記されるおそれがあります。食い違い、確認結果、未確認の点を記録し、提案の前提として反映します。
- 食い違いを記録する 項目名と双方の値に加え、対象・意味・時点・範囲の違いを残します。確認前の情報も参照できるようにします。
- 確認結果を反映する 採用した情報と根拠を記録します。訂正があった場合は、提案書の該当箇所と関連する結論を見直します。
- 未確認の点を添える 未確認の点と判断への影響を提案書に明記します。確認先、次の連絡時期、相手の理解も記録します。
提案の前提を記録に残す
| 記録項目 | 書くこと | 理由 |
|---|---|---|
| 食い違いの内容 | 項目名、双方の値、比較条件の違いを書きます。 | どの違いを調べたかを後からたどれます。 |
| 確認結果 | 結論、根拠の所在、確認日、訂正の状況を書きます。 | 提案で採用した情報の理由が分かります。 |
| 未確認の点 | 未確認の内容、理由、確認先、次の連絡時期を書きます。 | 保留すべき判断を確定事項として扱わずに済みます。 |
| 提案書への反映 | 修正した箇所と、明記した比較条件を書きます。 | 記録と提案書の説明が一致しているか確認できます。 |
| 相手の理解 | 相手と認識が一致した点と、説明し直す点を書きます。 | 認識の違いが残った点を次の説明で扱えます。 |
確認表で比較条件と未確認の点が分かる
食い違いごとに確認表を作り、双方の情報を同じ観点で記録します。分からない欄には未確認と書き、結論や提案への反映状況まで残します。
- 双方の情報を記入する 食い違った項目と双方の値を、単位・注記・取得元とともに記入します。情報を得た日も残します。
- 比較条件を記入する 対象・意味・時点・範囲について、一致した点と違う点を書きます。確認できない点は未確認と記入します。
- 結論と記録先を残す 確認結果、未確認の点、次の対応、相手の理解を記録します。根拠の保存先と提案書の反映先も記入します。
情報の食い違いの確認表
| 確認項目 | 記入内容 | 確認項目 | 記入内容 |
|---|---|---|---|
| 食い違った項目 | 会社名・項目名・掲載箇所 | 相手の情報 | 値・単位・注記・取得元・取得日 |
| 商品の企業データ | 値・単位・注記・取得元・取得日 | 指す対象の違い | 会社全体か拠点か・どの法人か・名称の変化 |
| 項目の意味の違い | 定義・同じ意味の別項目・集計の仕方 | 時点の違い | 基準日・対象期間・間に起きた変化 |
| 範囲の違い | 含む範囲・除く範囲・値の求め方 | 確認結果と未確認の点 | 根拠・結論・訂正の要否・保留事項・次の対応・相手の理解 |
| 記録先 | 根拠と確認記録の保存先・提案書の反映箇所 |
