質問がないことは理解できた証拠とは限らない

説明の後に質問が出なくても、質問がないことだけでは内容が伝わったかは判断できません。この資料では、相手が質問できる箇所を示す説明の組み立てと、質問を受ける方法を整理します。

  • 質問がない理由を考える 質問しない理由を一つに決めつけず、商談で確認できた事実と推測を分けます。
  • 質問を受ける方法を決める 説明の区切りと質問を募る箇所を決め、途中でも後からでも尋ねられる方法を用意します。
  • 記録する内容を決める 出た質問や明言された内容を記録し、提案書に補う説明を判断します。

質問がない理由は関心の低さとは限らない

質問がないという同じ状況でも、その理由は異なります。関心が低い、説明が足りないと、その場の反応だけで決めつけないことが必要です。

  • 疑問がない場合もある その時点では尋ねたいことがない場合もあります。ただし、それだけで理解や賛同を確認できたとは扱いません。
  • 尋ねる対象が浮かばない 説明を聞いていても、何を尋ねればよいか浮かばない場合があります。質問の対象を示せていたかを見直します。
  • 持ち帰る場合もある 社内の状況と照らしてから尋ねたい場合もあります。理由を言い当てようとせず、後から質問できる方法を残します。

質問がない場面で考えられる理由

理由起こり得ること注意
疑問がないその時点で尋ねたいことがありません。理解や賛同まで確認できたとは扱いません。
対象が浮かばない何を尋ねればよいか整理できません。説明不足だと断定しません。
持ち帰りたい社内の状況を確認してから尋ねたい場合があります。関心が低いと断定しません。
表は編集部作成の例です。理由はこれらに限らず、重なる場合もあります。

質問の対象を選んでもらうには説明の区切りが要る

何についての説明かが曖昧だと、尋ねたい箇所も指し示しにくくなります。用途・作業・提供範囲を区別し、今どの話をしているかが分かるようにします。

  • 話題を先に示す 説明に入る前に、扱う内容を短く示します。話題が変わるときも区切りを伝え、何についての話かを明らかにします。
  • 内容を区別する 何に使うか、どんな作業があるか、どこまで提供するかを分けます。話題が変わるときは、変わったことを伝えてから続けます。
  • 箇所を選べるようにする 資料の見出しと説明の区切りを対応させます。相手が尋ねたい箇所を指せる状態を作ります。

質問の対象を選べる説明の組み立て

すること方法注意
話題を示す説明の前に扱う内容を示します。内容が変わったら区切りも伝えます。
用途を分ける使う場面と目的を説明します。作業手順と混ぜません。
作業を分ける行う作業と役割を説明します。誰の作業かを曖昧にしません。
提供範囲を分ける含む内容と含まない内容を示します。用途の説明だけで済ませません。
箇所を示せる見出しと説明内容を対応させます。質問の対象を指定しすぎません。
表は編集部作成の例です。説明する内容に合わせて区切りを調整します。

途中の質問には説明を止めて応じる姿勢が必要だ

途中でも質問できると伝えていても、そのまま説明を続けると尋ねる機会を逃すことがあります。事前の案内と、質問が出たときの対応を一致させます。

  • 始める前に伝える 説明の最後まで待たずに質問できることを、始める前に案内します。質問の時間を最後だけに絞りません。
  • 質問が出たら止める 質問が出たら説明を止め、内容を聞いてから答えます。回答後に、どの箇所から説明を再開するかを示します。
  • 順番だけを理由にしない 予定した説明順を守るためだけに先送りしません。確認が必要なら、その理由と、確認後に誰がどう回答するかを伝えます。

途中の質問を受けるときの対応

場面すること避けること
説明を始める前途中でも質問できると案内します。最後にしか質問できない進め方にします。
質問が出たとき説明を止め、質問の内容を聞きます。予定した説明を続けます。
後半に扱う内容今答えられる内容を先に答えます。説明順だけを理由に先送りします。
確認が必要なとき確認が必要な理由と回答方法を伝えます。その場で不確かな回答をします。
表は編集部作成の例です。途中で受けることと、その場で回答できることは別です。

説明した箇所を示して募ると質問の対象が分かる

説明全体を一度に対象にすると、どこから尋ねるかを選びにくい場合があります。直前に説明した作業や条件を示し、質問の対象を具体的にします。

  • 説明した箇所を示す 資料の見出しや図の位置を示して質問を募ります。示した箇所について、何を尋ねられるかが分かるようにします。
  • 直前の内容を対象にする 直前に扱った作業や条件を対象にします。まだ説明していない内容を、説明済みのように扱わないことが必要です。
  • 範囲は絞らない 示した箇所以外の質問も受けます。箇所の提示は尋ねる対象を選ぶ手助けであり、質問の範囲を制限するものではありません。

説明した箇所と質問の対象の対応

すること方法注意
箇所を示す資料の見出しや図の位置を示します。資料全体だけを漠然と指しません。
作業を対象にする直前に説明した手順や役割を示します。説明していない作業を混ぜません。
条件を対象にする直前に説明した前提や提供範囲を示します。条件への承諾を求める場に変えません。
別の内容も受ける示した箇所以外の質問にも対応します。対象外として退けません。
表は編集部作成の例です。質問を募る文面ではなく、対象の示し方を整理しています。

質問内容の例は相手の疑問そのものとは限らない

質問できる内容の例は、尋ねられる範囲を知る手掛かりになります。ただし、示した内容を相手の疑問と決めつけたり、その中から選ばせたりしません。

  • 内容の例として示す 用語の意味、作業を担う人、提供範囲などを、質問できる内容の例として示します。相手に質問文を作らせる必要はありません。
  • 相手の疑問と区別する 例を示しただけでは、相手がそこに疑問を持っているとは分かりません。反応がなくても、疑問があると記録しません。
  • 例から選ばせない 例にない内容も尋ねられるようにします。選択や回答を求めず、質問がないまま終えられる余地も残します。

質問できる内容の例の扱い

すること方法注意
内容を例示する用語の意味や作業を担う人などを挙げます。実際に説明した内容から選びます。
疑問と区別する尋ねられる内容の例として扱います。相手の疑問だと決めつけません。
選択を求めない例にない内容も質問できると伝えます。示した例から選ばせません。
質問を求めすぎない例を示した後も、質問なしで進められます。例を追加し続けて質問を待ちません。
表は編集部作成の例です。記載した内容は、相手が実際に持つ疑問を示していません。

質問への返答は初歩的かどうかの評価とは違う

基本的に見える質問でも、どの説明が必要かは相手によって異なります。質問が初歩的かどうかを評価せず、尋ねられた内容に答えます。

  • 必要な説明を返す 用語の意味を尋ねられたらその説明での意味を、作業を尋ねられたら行う人と手順を説明します。質問への評価を前置きにしません。
  • 説明済みで片付けない すでに説明した内容でも、該当箇所を示して答えます。資料に載っていることだけを伝えて返答を終えません。
  • 既知だと決めつけない 役職や経験から知っているはずだと決めつけません。答えるために必要な前提を補い、分からない内容は確認してから回答します。

質問の内容に応じた返答

場面すること避けること
用語を尋ねられたその説明での意味を伝えます。知っているはずだと扱います。
作業を尋ねられた行う人と作業内容を説明します。簡単な作業だという評価で済ませます。
説明済みの内容該当箇所を示し、必要な説明を返します。説明済みであることだけを伝えます。
回答が不確かな内容確認が必要な点を明らかにします。質問が初歩的に見えるため即答します。
表は編集部作成の例です。質問の難しさではなく、尋ねられた内容に沿って答えます。

その場で質問がなくても後から尋ねる方法は残せる

その場で質問がなくても、質問を作ってもらう必要はありません。質問がないまま説明を終えられるようにし、後から尋ねたい内容が出た場合の連絡方法を案内します。

  • 質問なしで終えられる 質問がないと伝えられたら、それを理由に問いかけを繰り返しません。沈黙を埋めるための質問も求めません。
  • 連絡先を案内する 後から質問を送れる連絡先と、受け付ける人を示します。届いた質問を誰が確認するかも決めておきます。
  • 伝え方の負担を減らす 資料の該当箇所と気になった内容が分かれば送れるようにします。整った質問文や指定の形式を必須にしません。

質問がないときと後から届くときの対応

場面すること注意
その場で質問がない質問がないまま説明を終えられるようにします。問いかけを繰り返しません。
連絡方法を案内する送付先と受け付ける人を示します。届いた質問を確認する人が決まっている連絡先を使います。
伝え方を案内する資料の箇所と気になった内容を送れるようにします。質問文の完成を求めません。
後から質問が届く内容を確認し、回答する人を決めます。届いた質問と回答の状況を記録に残します。
表は編集部作成の例です。後日の質問も、送ること自体を求めるものではありません。

商談の評価には質問の有無以外の事実が必要だ

質問がなかったことと、相手がどう理解し判断したかは別の情報です。記録では、質問の有無、明言された内容、こちらの推測を分けます。

  • 質問の有無を記録する どの説明箇所で質問を募り、質問が出たかを記録します。質問がなかったことを、理解や関心の評価に置き換えません。
  • 明言された内容を残す 感想や希望が明言された場合は、その内容を残します。話されていない希望や判断を補って書かないようにします。
  • 推測は事実と分ける 解釈を残すなら、事実とは欄を分けます。理解、関心、受注の見込みを、質問の有無だけから判断しません。

商談記録で分けて残す内容

記録すること書き方注意
質問の有無質問を募った箇所と、質問が出たかを書きます。質問なしを理解済みと書き換えません。
明言された感想実際に述べられた感想を要約します。表情だけから感想を作りません。
明言された希望希望された内容と範囲を書きます。購入の意思まで推定しません。
こちらの推測推測であると分かる別の欄に書きます。事実の欄に混ぜません。
分からないこと確認できていない内容として残します。空白を都合のよい判断で埋めません。
表は編集部作成の例です。質問の多さも、理解や受注の見込みの証拠とは限りません。

質問と回答を記録すると提案書で補う箇所が選べる

説明の後に何を尋ねられ、どう答えたかを残すと、提案書に補う説明を検討できます。質問がなかった箇所も記録し、推測だけで加筆しないようにします。

  • 質問を募った箇所を残す 資料の見出しと説明した内容を記録します。質問がなかった箇所についても、理解済みと扱わずに残します。
  • 質問と回答を対応させる 出た質問と返した回答を組にして残します。口頭で補った条件や作業の説明を、提案書に反映するか検討します。
  • 後日の質問も追記する 後から届いた質問も同じ記録先に加えます。確認中の内容と回答済みの内容を分け、確定した説明を反映します。

記録から提案書への反映を考える

記録項目書くこと理由
質問を募った箇所見出し、説明内容、質問の有無を書きます。どこを対象に質問を受けたかを残すため。
出た質問と回答質問内容と返した説明を対応させて書きます。補足した説明を見直せるようにするため。
提案書への反映補う箇所と、補う内容の根拠を書きます。推測による加筆を避けるため。
確認中の内容未回答の内容、確認する人、回答方法を書きます。不確かな説明を確定事項にしないため。
後から届く質問受付先、届いた内容、回答状況を書きます。商談後の質問も反映対象にするため。
表は編集部作成の例です。出た質問をすべて提案書へ加える必要はありません。

確認表に記入すると質問を受ける準備の抜けが分かる

商談の前に、質問の対象を示す準備と、質問を受ける準備を確認します。商談中と後日に分かったことは、同じ表へ追記します。

  • 説明の対象を記入する 質問を募る箇所と、対象を示す見出しや用語を記入します。質問できる内容の例は、営業側が用意した例として書き、相手が述べた疑問とは分けます。
  • 質問の扱いを決める 途中で質問が出た場合の対応と、後日の連絡先を記入します。出た質問と明言されたことは、商談で追記します。
  • 記録先を決める 回答や後から届いた質問を残す場所を記入します。記入できない項目は、準備で決める内容か、まだ不明な内容かを分けます。

質問を受け付ける準備の確認表

確認項目記入欄確認項目記入欄
商談日と相手の会社名質問を募る説明の箇所
対象を示す言葉質問できる内容の例
途中の質問の扱い出た質問
相手が明言したこと後から質問を受ける連絡先
記録先
表は編集部作成の例です。対象を示す言葉の欄には質問文ではなく見出しや用語を記入します。