経験則を決まりにする範囲を確かめる

現場から提案された方法を、どこまで営業の決まりにしてよいか考えます。経験の確かめ方と採用する範囲を、確認表に書き込める形で整理します。

  • 経験の確かめ方を決める 起きた出来事と本人の解釈を分け、結果に方法以外の事情が影響していないかも確かめます。
  • 採用する範囲を決める 全員の決まりにする範囲、一部で試す範囲、本人の工夫に留める範囲を分けます。
  • 伝え方と記録を決める 見直す条件を決め、判断の根拠と適用範囲を同じ書式で伝えて残します。

経験則を広げる前に条件を確認する

ある営業先で役立った方法も、別の場面で同じ結果になるとは限りません。全員の決まりにする前に、経験した場面と確認できた内容を確かめます。

  • 提案を確かめる 提案を出発点に、使った場面と起きた出来事を聞きます。
  • 解釈を分けて伝える この方法がよかったという解釈は、実際に起きた出来事と区別して伝えます。
  • 使う条件を付ける どの営業先で使うかを示し、条件が違う場合の確認先も決めます。

広げる前に防ぐこと

取りがちな対応起きること防ぎ方
全員に広げる経験した場面と違う条件でも使われることがあります。使った場面と適用範囲を確認します。
解釈を事実にする方法が結果を生んだと伝わることがあります。出来事と解釈を分けて書きます。
例外を決めない当てはまらない営業先で対応に迷うことがあります。適用しない条件と確認先を示します。
表は編集部作成の例です。

経験した出来事と本人の解釈を分ける

このやり方がよかったという発言だけでは、何を根拠に判断したかが分かりません。行ったこと、相手の反応、その反応をどう解釈したかを分けて聞きます。

  • 起きたことを聞く 行ったことと、その前後に確認できた相手の発言や行動を聞きます。
  • 解釈の理由を聞く どの出来事からよかったと考えたかを聞き、解釈として記録します。
  • 別の理由も残す 方法以外に影響したかもしれない事情を挙げ、不明な点は不明と書きます。

出来事と解釈の聞き分け

聞くこと確かめ方記録
行ったことどの営業先に何をしたかを聞きます。実施した内容を書きます。
起きたこと相手の発言や行動を記録と照らします。確認できた出来事を書きます。
本人の解釈どの出来事からそう考えたかを聞きます。解釈とその理由を書きます。
他の理由方法以外に関係しそうな事情を聞きます。別の理由の候補と不明点を書きます。
表は編集部作成の例です。

使った方法だけが結果の原因だと決めない

方法を変えた後に望む結果が出ても、その方法が原因とは断定できません。同時に変わった条件や相手側の事情も調べ、理由の候補として残します。

  • 同時の変更を探す 営業先の選び方や提案内容など、方法と一緒に変わった条件を確認します。
  • 相手の事情を確かめる 以前から検討していたなど、相手側で確認できた事情を記録します。
  • 偶然の可能性を残す 条件が重なって結果が出た可能性も残し、似た場面で同じ方法を使ったときの結果と照らします。

原因を断定する前の確認

確かめること見方注意
同時の変更営業先や提案内容も変わっていないか見ます。変更が重なると、理由を切り分けにくい。
相手側の事情検討状況や社内の動きを確認します。確認できない事情を推測で埋めません。
実施前の経緯以前の接点が関係していないか見ます。直前の方法だけに理由を求めません。
偶然の可能性似た場面や別の結果と照らします。結果が同じでも原因の断定は避けます。
表は編集部作成の例です。

経験が当てはまる営業先と場面を絞る

同じ方法を使った経験でも、営業先の条件や接点を持った相手の役割によって場面は変わります。手紙DM・テレアポ・フォーム営業のどの経験かも分けて確かめます。

  • 営業先の条件を分ける 業種や規模を記録し、確認できた営業先の範囲を明らかにします。
  • 相手の役割を分ける 窓口となる人か、検討する人かなど、接点を持った相手の役割を確かめます。
  • 営業手段を分ける ある手段での経験を別の手段へ広げる場合は、別途確かめる範囲に入れます。

当てはまる範囲の確認

範囲の軸確かめること改めて確認が要る条件の違い
業種や規模どの業種や規模で経験したか。社内の検討手順が異なります。
相手の役割誰と接点を持ち、何を確認したか。元の経験では窓口の人と、今回は検討する人と接しています。
接点の段階初めての接点か、以前から接点があるか。元の経験は以前からの接点を前提にしています。
営業手段手紙DM・テレアポ・フォーム営業のどれか。別の手段で同じ反応が得られるかは、まだ確認していません。
表は編集部作成の例です。

他の担当者の経験を条件ごとに照らす

同じような場面で別の経験があれば、当てはまる範囲を考える手がかりになります。意見の一致だけで決めず、出来事と条件の違いを照らします。

  • 似た場面を探す 営業先、相手の役割、営業手段が似た経験を聞き、条件を照らします。
  • 異なる結果も調べる 期待と違う結果が出た経験も取り上げ、どの条件が違ったかを確認します。
  • 記録の有無を残す 記録で確認できる内容と記憶による内容を分け、不明点を次の確認に残します。

別の経験との照合

照らす相手聞くこと扱い
似た場面の経験者同じ条件で何をして、何が起きたか。条件と出来事を並べて確認します。
異なる結果の経験者期待と違った場面では何が起きたか。適用範囲を狭める必要があるか考えます。
別の手段の経験者どの営業手段で、相手のどの発言や行動を確認したか。そのまま同じ経験として扱いません。
記録を持つ人どの内容を記録で確認できるか。確認できた点と不明点を区別します。
表は編集部作成の例です。

確認できた範囲で経験則の扱いを分ける

経験則の扱いは、採用するかしないかだけではありません。確認できた範囲と残る疑問から、全員の決まり、一部での試行、本人の工夫に分けます。

  • 全員の決まりにする 条件と行う内容を説明でき、他の担当者の経験とも照らせた範囲を対象に、条件に該当する場面で使う決まりにします。
  • 一部で試す 当てはまるか未確認の条件は、営業先と確認する点を絞って試します。
  • 本人の工夫に留める 個別の関係や事情に依存する場合は、経験を残しながら本人の工夫として扱います。

経験則の扱いの分け方

扱い向いている場合条件
全員の決まり対象条件と行う内容が明確で、他の経験とも照らせています。条件に該当する場面で使い、適用しない範囲も示します。
一部で試す別の条件でも使えるか、方法以外の事情が影響したかを、まだ確認できていません。対象、記録、見直す条件を決めます。
本人の工夫に留める個別の関係や事情への依存が大きい。工夫を残し、他の人への適用を求めません。
表は編集部作成の例です。

試す対象と確認する出来事を先に決める

試す目的は、残っている疑問を確かめることです。誰がどの営業先で使うかに加え、何を記録し、どの場面で判断し直すかを先に決めます。

  • 確認する問いを決める 別の役割の相手にも当てはまるかなど、残っている疑問を具体的に書きます。
  • 対象と役割を決める 実施する人、対象の営業先、記録を確認して扱いを決める人を明記します。
  • 判断する場面を決める 相手の反応を確認した時や条件が変わった時など、記録を確認する場面を決めます。

試す前に決めること

決めること内容注意
確かめる問いどの条件への適用を確かめるかを書きます。結果を見た後も当初の問いを記録に残し、問いを書き換えません。
担当と判断役実施する人と記録を確認する人を決めます。判断を誰が行うかも明記します。
対象と方法営業先の条件、相手の役割、営業手段を書きます。同時に変えた条件も残します。
記録すること実施内容、相手の発言や行動、不明点を書きます。望んだ結果以外も記録します。
見直す場面反応の確認時や、対象条件から外れた時とします。判断材料が足りなければ未確認と残します。
表は編集部作成の例です。

経験則の前提が変わったら範囲を見直す

経験則を採用するときは、どんな出来事があれば判断し直すかも決めます。根拠となった経験と違う場面が出たら、原因や適用範囲を確かめ直します。

  • 範囲の外れを確かめる 対象だと考えた営業先が条件に合わなければ、条件の書き方、確認の手順、営業先の状況の変化のどれが原因かを確かめます。
  • 違う結果を調べる 別の担当者で違う結果が出たら、実施内容と相手の条件を照らします。
  • 前提の変化を調べる 営業先の検討状況などが変わったら、以前の経験を今も根拠にできるか確認します。

経験則を確かめ直す条件

見直す場面すること記録
条件から外れたその場面への適用を保留し、対象条件を確認します。外れた条件と、その場での対応を書きます。
別の結果が出た実施内容と相手の条件を元の経験と照らします。共通する点、違う点、不明点を書きます。
相手の状況が変化元の経験が前提としていた事情を確認します。相手のどの事情が変わり、以前の経験を今の判断に使えるかを書きます。
別の理由が判明方法が理由だと考えた根拠を確認し直します。新たな情報と扱いの変更理由を書きます。
表は編集部作成の例です。

判断の根拠と範囲を同じ書式で伝える

方法だけを伝えると、確認した範囲を超えて使われるおそれがあります。確認表で決めた扱いと根拠、適用範囲、見直す条件を営業管理表に記録し、全員が同じ記録を参照できるようにします。

  • 行う内容を明記する 何をする決まりかを具体的に書き、一部で試す方法や本人の工夫と区別します。
  • 根拠と限界を添える 確認した出来事と解釈、当てはまる範囲、未確認の条件を一緒に伝えます。
  • 同じ記録を参照する 営業管理表の参照先を知らせ、変更した場合は理由と変更箇所も残します。

営業管理表に残す項目

記録項目書くこと
内容と扱い実施する内容と、全員の決まり・一部で試す・本人の工夫の区分を書きます。
判断の根拠出来事、解釈、別の理由の候補、照合した他の経験を書きます。
適用範囲営業先の条件、相手の役割、営業手段と、適用しない範囲を書きます。
試す範囲と記録未確認の条件、試す対象、実施内容と反応の記録先を書きます。
見直す条件判断し直す出来事と、確認して判断する人を書きます。
共有と変更履歴伝える相手と方法、参照先、変更箇所と理由を書きます。
表は編集部作成の例です。

確認表に書いて経験則の扱いを決める

提案された経験則について、確認できた内容を書き込みます。まだ分からない欄には未確認と書き、次に何を確かめるかを残します。

  • 出来事から記入する 行ったことと起きたことを書き、解釈や原因の候補は分けて記入します。
  • 未確認の範囲を残す 他の担当者や別の営業手段で確かめていない点は、未確認と明記します。
  • 扱いと次の確認を書く 採用する範囲、試す範囲、見直す条件を決め、全員が参照する記録先を書きます。

経験則を確かめる確認表

確認する項目記入欄
出来事と解釈行ったこと:/相手の発言や行動:/本人の解釈:/方法以外の事情:
当てはまる範囲業種・規模:/相手の役割:/営業手段:/対象外:
他の担当者の経験同じ場面の経験:/異なる結果:/記録の有無:
扱いと試し方扱いの区分:/試す人・範囲:/記録する出来事と記録先:
見直す条件見直す出来事:/確認する人:/判断する人:
伝え方伝える相手:/伝える方法:/営業管理表の参照先:
表は編集部作成の例です。