試用で確かめることを先に決める

「まず試してみてください」だけでは、何を評価すればよいか迷います。試す業務と判断する項目を、試用前に決めます。

  • 確かめる業務を決める 試用で確かめる業務と、試用できる範囲を決めます。
  • 試し方を決める 使う人と判断する人を決め、普段の業務を試せるように準備します。
  • 判断の仕方を決める 結果の記録方法と次の対応を決め、試用の計画をメモに書き出します。

試用で確かめる業務を先に決める

機能を自由に触るだけでは、仕事に使えるかを判断しにくくなります。どの業務の、どの作業を確かめるかを相手と相談します。

  • 作業を具体的に選ぶ 「申請業務を試す」から、「届いた申請を確認し、不備を差し戻す」まで具体的にします。
  • 問いを絞る 中心となる問いを「普段の申請を、確認から差し戻しまで進められるか」に絞ります。
  • 判断する項目を決める 必要な情報を確認できたか、差し戻し理由を伝えられたかを、試用後に振り返ります。

試用を進める流れ

  1. 確かめる業務を決める
  2. 試用できる範囲を伝える
  3. 決めた作業を試す
  4. 確認できたことと未確認のことを分けて評価する
以降の業務例は、架空の申請業務支援サービスを想定しています。

試用できる範囲とできないことを伝える

試用で使える機能や条件を、開始前に伝えます。本番で使うときと違う点も、相手が試用の結果から判断するために必要です。

  • 制限を明記する 機能、扱える件数、利用期間、外部との連携について、使える範囲と制限を書きます。
  • 本番との差を示す 試用では省く設定や使えない機能があれば、本番と同じ条件ではないことを伝えます。
  • できないことを先に伝える 確かめたい作業が範囲に入らない場合は、別の確認方法を決めてから始めます。

試用範囲の伝え方(編集部作成の例)

伝える項目書き方(架空の例)
機能申請の確認と差し戻しを試せます。帳票の出力は試せません。
件数扱える申請の件数には上限があります。上限は開始前にお知らせします。
期間利用できる開始日と終了日を、開始前にお知らせします。
連携外部からの自動取り込みは使えません。ファイルで取り込みます。
本番との差試用では承認経路を固定します。本番では変更できます。
実際の案内では、件数の上限や開始日・終了日を具体的に記載します。

使う人と判断する人を決めてもらう

実際に操作する人と、結果を見て導入を判断する人を相手の社内で決めてもらいます。同じ人が両方を担う場合もあります。

  • 普段の仕事で操作する 使う人には、普段担当している作業を試し、できたことと困ったことを記録してもらいます。
  • 見せる結果を決める 判断する人に見せる画面や作業記録を先に決め、何を確認してもらうかを伝えます。
  • 振り返る場を決める 使う人の経験と判断する人の評価が離れないよう、両者と結果を一緒に振り返る場を設けます。

役割ごとの行動(編集部作成の例)

役割試用中にすること
使う人申請の確認と差し戻しを試し、結果と疑問を記録します。
判断する人作業記録を読み、導入判断に必要な確認ができたかを確かめます。
両方を担う人操作した感想と、導入を判断する理由を分けて記録します。

普段の業務条件で試す場面を決める

普段の仕事の流れから、再現する場面を選びます。説明用の架空データだけで終えず、普段扱う内容や作業量に合わせたデータで試します。

  • 前後の作業も含める 申請を見る場面だけでなく、不備を戻し、修正後に確認するところまで試します。
  • 普段の条件で試す データの形式や内容、作業量、引き継ぎ方を普段の仕事に合わせ、うまくいきそうな例だけを選ばないようにします。
  • 再現できない場面を残す 試せなかった場面は「未確認」と記録します。説明を聞いたことと、実際に試したことを分けます。

場面ごとの確認方法(編集部作成の例)

業務の場面試用で再現できるか確認方法
通常の申請普段の形式と内容で試せます。操作後の作業結果で確かめます。
不備の差し戻し普段起きる不備を含めて試せます。修正後の再確認まで操作します。
繁忙時の処理普段の繁忙時の量を用意できません。実際の作業量を伝え、追加の試用が可能か確認します。
外部との連携試用では連携できません。対応条件を聞き、実際の連携動作は未確認と残します。
表内のデータや作業は、架空の業務を想定した例です。

試用前の仕事の進め方を記録してもらう

試用前の手順が残っていないと、相手は何が変わったかを説明できません。今の作業を短く記録してから、同じ範囲を試します。

  • 今の手順を残す 作業の始まりと終わりを決め、確認する情報や引き継ぐ相手を短く書いてもらいます。
  • 時間と困りごとを残す かかっている時間と、迷う点や手戻りを記録します。待ち時間は操作する時間と分けます。
  • 記録の負担を抑える 既存の作業メモを使うか、作業後に短く追記してもらいます。詳しい報告書は求めません。

試用前に残す記録(編集部作成の例)

記録項目書くこと
作業の範囲申請を受け取ってから、差し戻し理由を伝えるまでを記録します。
今の手順申請を開き、必要事項を確認し、不備を連絡する順に書きます。
かかる時間操作にかかった時間と、返答を待った時間を分けて残します。
困っている点不足している添付資料を探す場面で迷う、と書きます。
作業の条件申請の内容、作業量、割り込みの有無を残します。

必要な準備と、用意する側を相手と確認する

データや設定が足りないと、試したい作業まで進めません。必要な準備と用意する側を決め、開始前に確認します。

  • 必要なものを書き出す 試す作業に必要なデータ、設定、操作権限、端末を確認します。
  • 準備の分担を決める 相手側で用意するものと、提供側で用意するものを分け、完了を確認する人も決めます。
  • 不足に合わせて範囲を変える 準備できない項目があれば、試せる作業に範囲を変えます。外した作業は未確認として残します。

準備の確認表(編集部作成の例)

準備項目用意する側確認
データ相手側で用意します。普段扱う形式と内容で、必要な項目があるかを確認します。
設定提供側で設定します。試す申請経路が設定されているかを確認します。
操作権限相手側で指定し、提供側で設定します。使う人が確認と差し戻しを行えるかを確認します。
端末相手側で用意します。普段使う端末から画面を開けるかを確認します。

困ったときの相談方法を先に示す

試用する人が操作で迷ったままでは、確かめたい業務を試せません。相談先、受付時間、答えられる範囲を開始前に伝えます。

  • 連絡の仕方を示す 相談窓口と受付時間を案内します。受付時間外の連絡方法や、返答時期の案内方法も伝えます。
  • 答えられる範囲を伝える 操作方法はその場で案内できること、個別の設定は確認に時間がかかることなど、相談後の進め方を伝えます。
  • 相談の記録を改善に使う 迷った操作と回答内容を残し、説明や設定を見直します。回答後に作業を再開できたかも確認します。

場面別の相談方法(編集部作成の例)

場面相談方法
操作で迷う操作していた画面と、行いたい作業を相談窓口へ伝えます。
処理が止まる行った操作と表示されたメッセージを伝えます。
設定を変えたい希望する業務の流れを伝え、試用中に変更できるか確認します。
受付時間外案内された方法で状況を送り、受付再開後の返答を待ちます。

感想と実際に起きたことを分けて残す

「使いやすかった」は感想で、作業ができたかとは別の記録です。感想も残しながら、どの条件で何が起きたかを書いてもらいます。

  • 感想はそのまま残す 「見やすい」「迷った」など、使って感じたことを残します。感想だけで作業の成否を決めません。
  • 事実は作業ごとに書く 試した作業、使ったデータや設定、できたこと・できなかったことを具体的に書きます。
  • 手助けの有無も残す 説明や補助を受けて進めた場合は、その内容も記録します。手助けなしで操作できた作業と分けて評価します。

感想と事実の記録(編集部作成の例)

感想(例)事実(例)
見やすかった。申請内容と添付資料を同じ画面で確認できました。
操作に迷った。差し戻しの操作場所が分からず、相談後に理由を入力できました。
楽になった。別の画面への転記は不要でした。作業時間は記録していません。
不安が残った。承認経路の変更は、試用の範囲外で試せませんでした。

確認状況を分けて次の対応を決める

決めた業務について、作業ごとに「確認できた・未確認・問題あり」を分けます。記録を根拠に、導入・見送り・条件の確認を決めます。

  • 記録から評価する 試用前に決めた問いに対し、どの作業記録で答えられるかを確認します。
  • 未確認を成功に含めない 試せなかった作業は追加で試すか、説明や条件を確認します。残る未確認事項も書きます。
  • 次の行動まで決める 相手が記録をもとに、導入・見送り・条件の確認から次の対応を選びます。確認を続ける場合は、内容と担当を決めます。

評価から決める対応(編集部作成の例)

評価次の対応
確認できた必要な作業を確認できた場合は、ほかの導入条件も確かめて導入を判断します。
未確認追加で試すか、条件を確認します。条件付きで判断する場合は、未確認事項と条件を明記します。
問題あり設定や使い方で解消できるかを確認します。必要な作業を行えない場合は、見送りを判断します。
確認できた項目の多さだけで決めず、必要な作業を行えるかで判断します。

試用の計画をメモに書き出す

相手と相談した内容を、下の欄に短く書きます。決まっていない項目には、確認する内容と担当を書いておきます。

  • 業務と条件を書く 確かめる業務と問い、使える範囲と制限を書き、普段の条件で再現する場面を決めます。
  • 役割と準備を書く 使う人と判断する人、試用前の手順・時間・困りごと、準備の分担と相談方法を書きます。
  • 記録と判断方法を書く 感想と事実を分けて残す方法、判断する人に見せる結果、評価後の対応を書きます。

試用の計画メモ(編集部作成の例)

計画する項目記入欄計画する項目記入欄
確かめる業務試用できる範囲
使う人と判断する人再現する場面
試用前の記録準備
相談方法評価と次の対応
書き切れない内容は別のメモに残し、試用する前に相手と確認します。