販売代理店を募集するとき、何を任せるかを先に決める

継続して提案・販売してくれる協力会社を探すには、任せる仕事を具体的に伝える必要があります。募集前に決める内容を、手元のメモに書き出しましょう。

  • 任せる仕事を決める 商品説明や問い合わせ対応など、顧客との接点ごとに代理店と自社の担当を決めます。
  • 自社の判断事項と支援を決める 自社で判断する事項と、代理店に渡す情報・提供する支援を決めます。
  • 募集先と連絡方法を決める 任せる仕事に合う会社を業種と地域で絞り、募集の連絡方法を決めます。

「代理店募集」の一言では、任せる仕事が伝わらない

「代理店」「取次店」という呼び名だけでは、引き受ける仕事を判断できません。募集先を探す前に、顧客対応の分担を決めます。

  • 仕事の範囲を伝える 見込み客の紹介までか、商品説明や導入支援も含むかを明記します。
  • 対応の食い違いを防ぐ 分担が曖昧だと、自社と代理店が互いに相手の担当だと思い込み、顧客への説明や回答が遅れることがあります。
  • 分担を決めてから募集する 任せる仕事、自社の判断事項、提供する支援を決めてから、その仕事を担える会社を探します。

募集先を探すまでの流れ

  1. 任せる仕事を決める
  2. 自社の判断事項を決める
  3. 支援を決める
  4. 募集先を探す

顧客との接点ごとに担当を決める

見込み客の発見から請求まで、顧客と接する仕事を書き出します。接点ごとに代理店・自社・両方のどれが担当するかを決めます。

  • 顧客対応を全部書き出す 販売前の説明だけでなく、導入後の支援、問い合わせ対応、請求まで確認します。
  • 両方なら主担当を決める 共同で対応する仕事も、顧客への返答と進行の確認を誰が担うかを決めます。
  • 担当が替わる場面を決める 代理店から自社へ、または自社から代理店へ担当が替わるときは、引き継ぐ時点と共有する情報(顧客の要望など)を決めます。

接点ごとの分担(編集部作成の例)

接点代理店自社
見込み客の発見○—
商品説明○△
見積もり・契約△○
導入支援△○
問い合わせ対応○△
請求—○
○は主担当、△は補助、—は担当しないことを示します。見積もりと契約は同じ分担の例です。

自社が判断する事項を明示する

顧客対応を任せる範囲と、判断を任せる範囲は分けて考えます。価格・契約条件・対応範囲の変更は自社で判断すると決め、代理店が答えてよい範囲を明示します。

  • 答えてよい範囲を示す 確認済みの資料で説明できる内容と、自社への確認が必要な内容を分けます。
  • 変更をその場で約束しない 顧客から条件の変更を求められたら、代理店は要望を記録して自社に確認し、判断前に約束しないようにします。
  • 確認と返答の流れを決める 代理店が自社に確認する連絡先と伝える情報、自社が返答するまでの流れを決めます。顧客へ誰が回答するかも明記します。

判断と回答の分担(編集部作成の例)

事項誰が判断するか代理店が答えてよい範囲
価格の変更自社で判断する提示済みの価格を案内する
契約条件の変更自社で判断する承認済みの条件を説明する
対応範囲の変更自社で判断する資料に記載した範囲を説明する
資料にない質問自社で確認する確認後に回答すると伝える

代理店が説明に使う情報を用意する

商品説明を任せるなら、説明に使える資料も用意します。仕様や提供条件は、自社で確認した事実だけを記載します。

  • 説明に必要な情報を渡す 商品の用途、仕様、提供条件、よくある質問への答えを、参照できる形で渡します。
  • 確認していないことは説明しない 対応できるか不明な要望は、代理店が推測で答えず自社に確認します。資料にも確認していない内容は載せません。
  • 更新したら知らせる 最新版の保管場所と更新の通知方法を決めます。変更点を伝え、古い資料の使用を止めます。

説明に使う情報(編集部作成の例)

用意するもの中身
商品説明の資料用途と、解決を想定する顧客の困りごとを書く
仕様できることと、できないことを書く
提供条件利用に必要な準備と、提供できる範囲を書く
よくある質問と答え確認済みの回答と、判断に迷ったときの問い合わせ先を書く
更新案内変更点と、最新版を確認する場所を書く

自社が提供する支援を具体的に書く

「手厚くサポート」だけでは、どの場面で助けを得られるか伝わりません。何を、いつ、どの条件で行うかを書きます。

  • 支援の内容を書く 研修で扱う内容、同行する場面、問い合わせ窓口で答える範囲を具体的に示します。
  • 利用する条件を書く 支援を受ける時期や申込方法、事前に共有してほしい情報を決めます。
  • できる支援だけを書く 対応する人と時間を確保できるか確認します。実施できない支援は募集内容に含めません。

提供する支援(編集部作成の例)

支援内容頻度や条件
研修商品説明と確認が必要な場面を扱う提案を始める前に行う
同行商品説明や質問への回答を補助する事前に相談し、日程と目的を決める
問い合わせ窓口仕様や提供条件の質問に答える受付時間と返答の目安を案内する
資料の更新説明資料を直し、変更点を知らせる仕様や提供条件が変わったときに行う

応募条件は任せる仕事から決める

任せる仕事によって、必要な人員や対応できる範囲が変わります。「経験豊富」といった表現を避け、具体的な条件と確かめ方を決めます。

  • 必要な体制を書く 説明できる人がいるか、問い合わせを受けられるかなど、任せる顧客対応に必要な条件を書きます。
  • 曖昧な条件を避ける 経験の多さだけで判断せず、扱ってきた商材や実際の対応内容を確認します。
  • 確かめ方まで決める 応募時の質問、面談、説明の実演など、条件を満たすか確認する方法を用意します。

仕事と応募条件(編集部作成の例)

任せる仕事必要な条件確かめ方
見込み客の発見対象となる顧客に提案できる顧客層と提案方法を聞く
商品説明資料を理解して説明できる人がいる資料を使った説明を確認する
導入支援必要な手順を案内できる支援する人と対応できる範囲を聞く
問い合わせ対応受付と自社への確認ができる受付方法と連絡の流れを聞く

既存の営業先と重なるときの扱いを決める

自社と代理店、または代理店同士で、同じ会社に連絡する場合があります。重なりを確認する方法と、その後の担当の決め方を用意します。

  • 連絡前に確認する 代理店が営業先を決めた時点で自社の記録と照合する手順と、確認する人を決めます。重なった場合の相談先も示します。
  • 法人番号で照合する 会社名に加えて法人番号を記録します。同じ法人の別拠点は、窓口や商談内容も確認します。
  • 担当と連絡方法を決める これまでのやり取りを確認して担当を決めます。決定内容を共有し、重複した連絡を避けます。

重なった場合の扱い(編集部作成の例)

重なりの場面決めておくこと
自社が連絡中連絡履歴を確認し、次に対応する担当を決める
代理店同士双方の状況を聞き、自社で担当を判断する
同じ法人の別拠点窓口と商談内容を確認し、担当を分けるか判断する
重なりが後で判明次の連絡前に相談し、顧客への説明方法を決める

募集先の候補は業種と地域で絞る

自社の商品に近い商材を扱う業種と、支援できる地域から候補を探します。業種名だけで決めず、公開情報で実際の商材と営業体制を確かめます。

  • 業種と地域を決める 扱う商材や顧客層が近い業種を選びます。同行や導入支援を提供できる地域かも確認します。
  • 公開情報を確かめる 公式サイトの商品紹介や拠点案内を読みます。分からない点は推測せず、管理表に「未確認」と残します。
  • 候補を管理表に登録する 通常の営業先と同じように、法人番号、選んだ理由、情報の出所、確認日、連絡状況を記録します。

候補を絞る条件(編集部作成の例)

絞る条件確かめること確かめる情報源
業種近い商材を実際に扱っているか公式サイトの商品・サービス紹介
地域拠点や対応地域が支援可能な範囲にあるか公式サイトの拠点・対応地域案内
顧客層自社の商品を提案できる顧客層か公式サイトの取引対象の説明
営業体制説明や問い合わせの窓口があるか公式サイトの組織・窓口案内
公開情報で確認できない体制は、募集の連絡後に確かめます。

募集の連絡は通常の営業と同じ確認をする

手紙・電話・フォームから、連絡先の案内に合う手段を選びます。募集の連絡でも、受付条件や過去の連絡履歴を確認します。

  • 募集の目的を伝える 協力会社の募集であることと、任せたい仕事を最初に伝えます。相手が詳しい説明を希望したら、分担や支援も説明します。
  • 連絡不要の意向を守る 相手の窓口の案内と、営業の連絡を受け付けているかを確認します。連絡不要の申し出は記録し、関係者にも共有します。
  • 返答と次の対応を残す 連絡した手段と返答、次に対応する人と内容を記録します。再連絡の前にも記録を確認します。

連絡手段ごとの確認(編集部作成の例)

手段伝えること注意
手紙募集の目的と任せたい仕事を伝える宛先と連絡不要の記録を確認する
電話募集の目的と担当窓口への確認事項を伝える受付時間と、電話での案内を受けるかを確認する
フォーム募集の目的と相談したい仕事を伝えるフォームの用途と営業連絡への注意を確認する

代理店に任せる仕事をメモに書く

ここまで決めた内容を記入すると、募集で伝える仕事と条件を確認できます。決まっていない欄は、確認する内容と相談先を書いて残します。

  • 仕事と判断を分けて書く 任せる顧客対応と自社が判断する事項を分けます。両方で対応する仕事には、主担当も書きます。
  • 条件と支援を見直す 応募条件が仕事内容に合うか、約束する支援を提供できるかを確認します。
  • 募集の準備に使う 記入した内容を関係者で確認します。募集内容を説明するときや、候補を選ぶときに使います。

代理店に任せる仕事を決めるメモ(編集部作成の例)

決めること記入欄決めること記入欄
任せる顧客対応自社が判断する事項
代理店に渡す情報自社が提供する支援
応募条件と確かめ方重なりの扱い
募集先を絞る条件募集の連絡手段
記入欄に収まらない内容は、別のメモに具体的な手順や連絡先を書きます。