兼務を決めるには、動きと記録の違いの整理が要る

ルート営業は既存の関係を保ち広げ、新規開拓はまだ取引のない相手と接点を作ります。同じ人に任せるときも、動きと記録の違いから分担を考えます。

  • 動きの違いを捉える 相手との関係と連絡の起点から、既存顧客への対応と新たな相手への接触を分けます。
  • 記録と成果を分ける 取引の履歴と接触の履歴を分け、それぞれの成果を何から読み取るかを決めます。
  • 自社の分担を決める 兼務の配分と紹介先への対応を整理し、役割を分けるか兼ねるかを決めます。

兼務を任せても、新規開拓が進むとは限らない

既存顧客への対応と新規開拓をまとめて任せると、目の前の相談が優先されやすくなります。記録と成果の見方も混ざるため、新規開拓が止まった理由を読み取りにくくなります。

  • 余力任せでは止まる 既存の対応が終わってから着手する考え方では、新規開拓に取りかかる場面が残りにくくなります。
  • 接触の履歴が埋もれる 注文や相談と新規の接触を並べると、まだ返事のない相手への動きが見えにくくなります。
  • 成果を同じ物差しにしない 取引の継続と接点づくりは、成果が表れる形が違います。受注だけでは動きの違いを読めません。

混ぜると起きることと、その原因

起きること原因先に決めること
新規が止まる既存の相談を終えてから新規に動こうとします。新規開拓に充てる予定と、中断後に再開する仕事を決めます。
接触記録が埋もれる取引と接触の履歴を混ぜて記します。既存と新規の記録の置き場を分けます。
成果を比べにくいどちらも受注だけで見ようとします。既存の取引と新規の接触で、見る内容を分けます。
表は編集部作成の例です。

営業の動きと記録は、取引の有無で変わる

すでに取引がある相手と、まだ取引のない相手では、連絡を始める理由が違います。その違いが、記録する内容と成果の見え方にも表れます。

  • 関係から動きを考える 既存顧客には取引の背景を踏まえて連絡します。新たな相手には、まず話を聞いてもらう接点を作ります。
  • 連絡の起点を分ける 既存では注文や相談が連絡の起点になります。この資料では、新規のうち営業先を選んでこちらから接触する動きを中心に扱います。
  • 記録から成果を読む 既存では取引が続き広がったことを読みます。新規では接触から商談へ進んだことを読みます。

ルート営業と新規開拓の違い

区分ルート営業新規開拓
相手との関係すでにある取引関係を保ち、広げます。まだ取引のない相手と接点を作ります。
連絡の起点定期の連絡や、注文・相談から動きます。営業先を選び、こちらから接触を始めます。
記録の中心取引の履歴と、相談への対応を残します。接触の履歴と、相手の反応を残します。
成果の見え方取引の継続や追加から成果を読みます。接触から商談へ進んだことから成果を読みます。
表は編集部作成の例です。

ルート営業の動きは、取引の状況と相談で変わる

ルート営業では、既存顧客との関係を保ちながら、取引を広げる機会を探ります。定期の訪問や連絡も、相談への対応や追加の提案を考えるために行います。

  • 定期の連絡で変化を知る 前の相談や注文を踏まえ、使い方や困りごとの変化を聞きます。訪問した事実だけで終わらせません。
  • 相談への対応を残す 何を相談され、どこまで応えたかを記します。続けて対応することがあれば、次に行うことも残します。
  • 取引の背景から提案する これまでの取引と新たな困りごとから、追加で役立つ提案を考えます。提案への反応も取引の履歴に残します。

関係を保ち広げるための動き

動きすること記録
定期の訪問や連絡前の相談を振り返り、変わったことを聞きます。取引の状況と、前の連絡から変わったことを記します。
相談への対応相談の内容を捉え、応えられることを伝えます。相談内容と、応えたこと・これから行うことを記します。
追加の提案取引の背景に沿って、追加の提案を行います。提案の理由と、相手の反応を記します。
表は編集部作成の例です。

新規開拓の始まりは、提案ではなく接点づくりだ

新規開拓では、相手の事情や自社への関心は、分かっていないことが多いものです。接触を通じて話せる相手と話題を探り、商談で話し合えることを見つけます。

  • 営業先を選ぶ理由を持つ 自社が役立てそうな相手を選びます。既存顧客のように背景を知っているとは考えず、選んだ理由を残します。
  • 接触の反応を残す 連絡した事実に加え、話せたことや返事の内容を記します。まだ話せていない状態も分かるようにします。
  • 商談で話すことを捉える 相手の関心や困りごとが見えたら、商談で話し合う内容を整理します。接触しただけで商談とは考えません。

接点を作るための動き

動きすること記録
営業先を選ぶ自社が役立てそうな相手を探します。営業先を選んだ理由と、まだ分からないことを記します。
接触する連絡を取り、話せる相手と話題を探ります。接触した手段と、返事や会話の内容を記します。
商談につなぐ関心や困りごとから、話し合う内容を整理します。商談で話す内容と、そこに至った接触の履歴を記します。
表は編集部作成の例です。

営業記録の中心は、取引か接触かで決まる

ルート営業の記録は取引の履歴、新規開拓の記録は接触の履歴が中心です。次に読む人が、相手との関係と続ける仕事を読み取れるように残します。

  • 既存は取引の背景を残す 何を取引し、どんな相談に応えてきたかを記します。次の提案を考える人が、これまでの関係を読める形にします。
  • 新規は経緯と次の対応が分かる どんな接触をして、どこまで話せたかを記します。次に連絡する人が、同じ説明を繰り返さずに動ける形にします。
  • 読む人の仕事を考える 自分の備忘録で終わらせず、引き継ぐ人や営業をまとめる人が、次の仕事を考えられる内容を残します。

記録の中心と、読む人

記録ルート営業新規開拓
履歴の中心取引と相談への対応が、どう続いてきたかを記します。接触と相手の反応が、どう変わってきたかを記します。
次の仕事続けて応える相談と、追加で提案することを記します。次に連絡する理由と、話したいことを記します。
読む人取引を引き継ぐ人が、関係の背景を読みます。接触を引き継ぐ人が、商談までの動きを読みます。
表は編集部作成の例です。

新規開拓の成果は、受注だけで分かるとは限らない

既存顧客では取引の継続や追加が見えますが、新規開拓では商談に至るまでにも変化があります。受注の有無だけで比べると、関係を作っている途中の動きを見落とします。

  • 既存は継続と追加を見る 相談への対応を経て取引が続いたか、追加の提案が取引を広げたかを読みます。訪問したことだけで終えません。
  • 新規は商談までの変化を見る 話せる相手が見つかったか、関心が分かったか、商談へ進んだかを接触の履歴から読みます。
  • 成果が見える時期を分ける 取引中の相手と接点を作り始めた相手では、成果が見える時期も違います。同じ時点の受注だけでは比べません。

それぞれの成果を何から読むか

区分ルート営業新規開拓
成果として読むこと取引が続いたことや、追加の取引が生まれたことを読みます。接触から会話が生まれ、商談へ進んだことを読みます。
途中で見ること相談への対応や、追加提案への反応を見ます。話せた内容や、相手の関心の変化を見ます。
見える時期取引が続いた時点や、追加の注文を受けた時点に表れます。受注より前に、接触への反応や商談への進展に表れます。
表は編集部作成の例です。

兼務で新規に動けるかは、配分と再開の決め方で決まる

兼務では、新規開拓に充てる場面と記録の置き場を先に決めます。既存顧客の相談で中断しても、どの仕事から再開するかが分かる形にします。

  • 新規開拓に充てる予定を決める 新規の営業先を選び接触する仕事を、予定に組み込みます。既存の対応が終わった後の余力だけに任せません。
  • 記録の置き場を分ける 同じ人が書いても、既存の取引と新規の接触を分けて残します。新規の仕事だけを見返せる形にします。
  • 相談が入った後を決める 急ぐ相談には誰が応えるかを決めます。新規の仕事を中断したら、再開する内容を接触の記録に残します。

兼務を任せる前に決めること

決めること内容注意
仕事の配分既存への対応と、新規開拓に充てる予定を決めます。新規を、空いたときだけ行う仕事にしません。
記録の置き場取引の履歴と接触の履歴を分けます。新規の接触が、既存の注文や相談に埋もれない形にします。
相談への対応急ぐ相談に応える人と、中断した新規開拓をどの作業から再開するかを決めます。中断した新規の仕事を、そのまま終わらせません。
表は編集部作成の例です。

未取引の会社の紹介は、既存取引の続きではなく新規の入口だ

紹介を頼む動きは既存顧客との関係から生まれますが、紹介先がまだ取引のない会社なら、これから関係を作ります。紹介者との取引と紹介先への接触は、記録を分けて残します。

  • 紹介を頼む場面を捉える 既存顧客との会話で、役立てそうな相手の話が出た場面を捉えます。紹介先の関心まで決まったとは考えません。
  • 紹介先は新規として記す 紹介者との取引記録から分け、紹介先への接触と反応を残します。誰から紹介されたかも分かるようにします。
  • 紹介者への報告を分ける 紹介者へ伝えた内容は既存側に残します。紹介先との会話をそのまま伝えず、共有してよい範囲を確かめます。

紹介を挟んだ動きと記録

場面すること記録
紹介を頼む既存顧客との会話から、紹介を頼める場面を考えます。紹介を頼んだ背景を、既存顧客の記録に残します。
紹介先に接触する紹介先の関心を聞き、これからの会話を考えます。紹介者の名前と接触の履歴を、新規側に残します。
紹介者に報告する紹介者へ伝えてよい内容を紹介先に確かめ、その範囲で報告します。紹介者へ伝えた内容を、既存顧客の記録に残します。
表は編集部作成の例です。

分けるか兼ねるかは、新規に動ける人がいるかで変わる

役割の分け方は、在籍する人の多さだけでは決まりません。既存顧客の数と対応の重さを踏まえ、新規開拓に誰が動けるかを考えます。

  • 既存への対応から考える 既存顧客への訪問や相談に、どの人の力が要るかを整理します。顧客の数だけでなく、対応する仕事も見ます。
  • 新規に動ける人を決める 既存の対応を踏まえ、新規の接触を続けられる人を決めます。兼務なら、新規開拓に充てる予定まで決めます。
  • 分担に記録を合わせる 役割を分けるなら、商談や取引を引き継ぐ先を決めます。兼ねるなら、取引と接触を分けて読める形にします。

役割と記録の置き場を決める流れ

  1. 既存の対応に要る人を数える
  2. 新規に割ける人を決める
  3. 分けるか兼ねるかを決める
  4. 記録の置き場を決める

営業の分担を書くと、決まっていないことが分かる

担当名に加えて、何を行い、どこに記録し、何を成果として読むかを書きます。兼務や紹介も含めて記すと、自社で決まっていないことが見えてきます。

  • 仕事と担当を結び付ける 既存への動きと新規への動きに、担当名を添えます。同じ人が担う仕事も、分けて書きます。
  • 記録と成果を言葉にする 履歴を残す場所と、成果として読む内容を書きます。取引と接触の違いが分かる言葉にします。
  • 兼務と紹介も書き切る 兼務の配分と紹介先を担当する人を記します。役割の分け方と、それを決めた人も残します。

ルート営業と新規開拓の担当を決める確認表

確認する項目記入する内容確認する項目記入する内容
既存への動きを記す。既存顧客への訪問・相談への対応・追加の提案を、誰が担うか記します。新規への動きを記します。営業先を選ぶ仕事・接触・商談への引き継ぎを、誰が担うか記します。
記録の置き場を記す。取引の履歴と接触の履歴を、それぞれどこに残すか記します。成果の見方を記します。既存の継続や追加と、新規の商談までの変化を、何から読むか記します。
兼務の配分を記す。新規開拓に充てる予定と、既存の相談で中断した仕事をどう再開するか記します。紹介の受け方を記します。紹介先への接触と紹介者への報告を、誰が担い、どこに残すか記します。
役割の分け方を記す。役割を分けるか兼ねるかと、引き継ぐ仕事があればその相手を記します。決めた人を記します。分担を決めた人の名前と、配分を見直すときに相談する相手を記します。
表は編集部作成の例です。