「いくらですか」と聞かれたら、金額と条件を一緒に伝える

個別見積もり型のサービスでは、依頼の条件によって料金が変わります。この資料では、「いくらですか」への答え方を決める手順を説明し、料金の説明メモを作ります。

  • 料金の範囲を決める 自社の料金表や仕様書から、料金に含まれる作業と含まれない作業、金額を左右する条件を確認します。
  • 質問への答え方を決める 見積もりに必要な情報の聞き方と、その場で答える範囲、社内へ持ち帰る範囲を決めます。
  • 説明メモを書き上げる 追加費用の説明と、他社の見積もりと比較されたときの答え方を確認し、自社の資料をもとに説明メモへ記入します。

金額だけ答えると、条件が伝わらず後で認識がずれる

伝えた金額は、相手の社内で共有されることがあります。そのとき料金に含まれる範囲が伝わっていないと、依頼できる作業について、自社と相手の認識がずれることがあります。

  • 社内共有を想定する その場にいない人にも伝わるよう、メールや提案メモでは、金額と見積もりの前提を並べて書きます。
  • 範囲の誤解を防ぐ 含まれない作業の説明がないと、後から追加費用を伝えた際に納得を得にくくなります。
  • 条件も一緒に伝える 金額を答えるときは、対象の作業と量、期限、追加費用が生じる条件も伝えます。

金額だけが伝わって認識がずれる流れ(編集部作成の例)

  1. 金額だけを伝える
  2. 金額だけが相手の社内で共有される
  3. 想定と異なる条件で依頼される
  4. 作業範囲や追加費用の認識が食い違う

料金に含まれる範囲と含まれない範囲を先に決める

自社の料金表・見積書・サービス仕様・契約条件を根拠にして、説明の内容を決めます。資料の記載が食い違う場合は、社内で確認してから説明内容を決めます。

  • 含む作業を具体化する 「対応します」で終わらせず、作業の内容と、どこまで対応するかを書きます。
  • 対象外と別料金を分ける 引き受けない作業と、別料金で引き受けられる作業を分けます。
  • 共通の説明を決める 担当者は共通の説明メモを使います。判断できない依頼の確認先も決めておきます。

料金の範囲の書き分け(編集部作成の例)

区分例の書き方説明で伝えること
含まれる作業合意した仕様に沿って資料を作成します。作成する資料と納品する形式を伝えます。
引き受けない作業納品後の運用業務は引き受けません。依頼元で対応が必要な作業を伝えます。
別料金の作業合意した仕様以外の資料作成は別途見積もります。追加の依頼を受けた際の確認手順を伝えます。

金額を左右する条件を自社の料金表から抜き出す

金額が変わる条件を、自社の料金表やサービス仕様から抜き出します。条件が未定のときは、何が決まれば見積もれるかを伝えます。

  • 根拠のある条件を選ぶ 量や期間などのうち、実際に自社の料金に影響する項目だけを説明に使います。
  • 変わる理由を説明する 条件によって増減する作業や対応体制を示し、金額が変わる理由を伝えます。
  • 未定の条件を確認する 「条件次第です」で終わらせず、見積もりの前に決めてほしい項目と、仮の値を置いて見積もれる項目を伝えます。

自社の規定に照らす確認例(編集部作成の例)

条件なぜ金額が変わるか相手に聞くこと
量依頼の件数や数量が増えると、必要な作業量が増えるためです。対象の件数や数量はどの程度ですか。
期間・期限対応する期間や必要な体制が変わるためです。いつから、いつまでの対応が必要ですか。
対応範囲引き受ける工程が変わるためです。どの工程からどこまでを依頼しますか。
オプション標準の範囲に作業が加わるためです。追加で必要な対応はありますか。
支払い方法前払い・分割など支払い条件によって、料金表で金額が変わる定めがあるためです。支払い方法や時期に希望はありますか。

見積もりに必要な情報を順番に聞く

何を、どれくらい、いつまでに、どの範囲で依頼したいかを順番に聞きます。最後に聞いた内容を復唱し、見積もりの前提を確認します。

  • 質問の目的を伝える 「料金に含める作業を確認するために伺います」と、質問する理由を先に伝えます。
  • 仮の前提を明示する 答えが未定なら、仮に置ける条件を相談します。仮の条件が変わった場合は、金額や作業を見直す旨も伝えます。
  • 聞いた内容を復唱する 確定した条件と仮の条件を分けて読み上げ、認識に違いがないか確認します。

質問する順番と未定時の対応(編集部作成の例)

聞く項目聞き方の要素答えがないとき
依頼する内容何を依頼したいか、完成後に何に使うかを聞きます。必要な成果物の候補を示して確認します。
量対象の数量と、増減する可能性を聞きます。仮の数量を相談し、見積書に明記します。
期限希望する完了日と、変更できるかを聞きます。仮の日程で対応可能か社内で確認します。
対応範囲依頼したい工程と、相手の会社で行う工程を聞きます。工程を示し、依頼する範囲を相談します。
追加の条件必要なオプションや支払いの希望を聞きます。標準条件を示し、その前提でよいか確認します。

その場で答える範囲と持ち帰る範囲を分ける

料金表の条件に当てはまる定型の金額は、条件を添えてその場で答えます。個別の判断が必要な依頼は、持ち帰って確認し、見積書で回答します。

  • 料金表と照合する 依頼の量や範囲が料金表の条件に合うか確かめてから、記載された金額を伝えます。
  • 未確認の金額を避ける 作業範囲や対応可否が不明な依頼は、推測で確定額を答えず、確認が必要な理由を伝えます。
  • 回答の期日を約束する 持ち帰る項目と回答日を伝えます。回答が遅れると分かったら、期日前に連絡します。

質問ごとの回答範囲(編集部作成の例)

質問の型その場で答える持ち帰る
定型の依頼料金表と条件が一致すれば金額を伝えます。当てはまる区分が不明なら確認します。
作業の追加別料金になる条件を説明します。追加する作業量と金額を確認します。
期限の変更標準の対応期間を伝えます。希望日に対応できるかと費用を確認します。
条件が未定見積もりに必要な情報を伝えます。仮の条件で見積もれるか確認します。

追加費用が生じる条件を依頼前に伝える

追加費用が生じる条件は、見積もりを出す段階で伝えます。追加作業に着手する前に、内容と費用を示して確認を取る手順も説明します。

  • 追加費用になる境目を示す 量の増加や仕様の変更など、見積もりの前提から何が変わると追加費用が生じるかを示します。
  • 着手前に確認を取る 変更内容と費用、日程への影響を伝え、了承を得てから追加作業を始めます。
  • 条件付きで説明する 「追加費用はありません」と断言せず、提示額で対応できる範囲と条件を伝えます。

追加費用を説明する場面(編集部作成の例)

場面伝えること
対象量が増える見積もりの対象量を超える場合は、追加分を見積もってから確認を取ります。
仕様が変わる合意した仕様が変わる場合は、作業への影響と費用を確認してお伝えします。
期限が変わる対応体制の変更が必要な場合は、対応できるかと追加費用の有無を確認してお伝えします。
修正が増える見積書に記載した修正の範囲を超える場合は、着手前に費用をお伝えします。
追加を見送る当初の範囲で進められるか確認し、作業内容と日程をお伝えします。

他社と比較されたら、料金に含まれる範囲を確認する

比較の話が出たら、どの作業や条件を比べているかを聞きます。そのうえで、自社の見積もりに含まれる範囲と、変更できる条件を説明します。

  • 比較する条件を聞く 成果物、対応範囲、期限、修正対応のうち、どの条件を比べているかを確認します。
  • 自社の範囲を説明する 料金表と見積書に沿って、含む作業と別料金の作業を具体的に伝えます。
  • 無理に条件を変えない 変更できる範囲だけを案内します。必要な対応ができない場合は、その理由を説明します。

比較の話が出たときの確認(編集部作成の例)

相手の言葉確認すること答え方の要素
比較していますどの作業や条件を比較しているか聞きます。自社の作業範囲を項目ごとに説明します。
同じ内容ですか成果物と対応する工程を確認します。自社の見積額に含まれる作業と、含まれない作業を示します。
予算に合いません必要な作業と、外せる作業を聞きます。範囲を変更できる場合は再見積もりを案内します。
条件を変えたい変更したい条件と理由を聞きます。対応可否を確認し、可能な条件を伝えます。

見積書には金額と一緒に前提を書く

見積書だけを読んでも、提示額で依頼できる内容が分かるようにします。口頭で伝えた条件と照合し、抜けや違いを直してから送ります。

  • 仮の条件も書く 確定した条件と仮に置いた条件を区別し、条件が変わった場合の扱いを書きます。
  • 範囲を文書で残す 含まれる作業、含まれない作業、別料金で対応する作業を見積書に記載します。
  • 口頭の説明と照合する 金額、条件、有効期限を確認します。説明から変更した箇所は、送付時に明示します。

金額とともに記載する項目(編集部作成の例)

見積書の項目書くこと
前提条件対象量、期間、期限、支払い条件を書き、仮定した項目を明示します。
含まれる範囲実施する作業、成果物、修正対応の範囲を書きます。
含まれない範囲提示額に含めない作業と、引き受けない作業を分けて書きます。
有効期限自社の規定に沿って期限と、期限後に再確認が必要な旨を書きます。
追加費用の条件追加になる変更内容と、着手前に費用の確認を取る手順を書きます。
前提変更時の扱い条件が変わった場合に、金額や日程を再確認する旨を書きます。

答えた金額と条件を記録する

誰に、いつ、どの金額を提示したかを、条件と一緒に記録します。担当が変わったときも、過去の説明を確認してから回答できるようにします。

  • 提示額と条件を残す 伝えた金額だけでなく、対象の作業、量、期限、仮定した条件を記録します。
  • 未回答の項目を残す 持ち帰った質問と回答期日、社内の確認先を記録し、回答後に結果を追記します。
  • 参照した版を残す 料金表の版と更新日、送付した見積書を残します。改定後は過去の説明との差を確認します。

料金を答えた後の記録(編集部作成の例)

記録項目書くこと
相手と説明者説明した相手の会社名・氏名と、自社の説明者を記録します。
説明した日時説明した日時と、口頭・メールなどの伝達方法を記録します。
提示した金額実際に答えた金額と、概算か確定した見積額かを記録します。
提示した条件対象量、範囲、期限、追加費用の条件と仮定を記録します。
未回答と期日持ち帰った質問、確認先、回答期日と回答結果を記録します。
参照した資料料金表の版・更新日と、送付した見積書を確認できる場所を記録します。

自社の資料を見ながら料金の説明メモを完成させる

自社の料金表・見積書・サービス仕様を開き、記入欄を埋めます。説明前に見返し、不明な項目は社内で確認してから使います。

  • 自社の言葉で記入する 実際の作業名と条件を書きます。資料に定めがない内容は、確認先と確認する期限を添えます。
  • 声に出して確認する 説明の前に、金額に続けて範囲と条件をこのメモで説明できるか、声に出して確かめます。
  • 改定したら更新する 料金や仕様の変更時に記入内容を見直し、社内で使う説明メモも更新します。

料金の説明メモ(編集部作成の例)

確認項目記入欄確認項目記入欄
含まれる範囲含まれない範囲
金額を左右する条件見積もりに必要な情報
その場で答える範囲持ち帰る範囲と回答期日
追加費用の条件料金表の版と更新日
案件ごとの提示額や個別条件は、見積書と説明の記録に残してください。