部分導入は運用できる条件から確かめる

一部の業務だけで使いたいと言われたら、希望する範囲で仕事が進むかを確かめます。この資料では、商談先や社内に確認する事項を整理するために、次のことを決めます。

  • 使う範囲を決める 商品を使う業務と従来の方法を続ける業務を分け、情報を渡す境目を具体的にします。
  • 作業と担当を決める 境目で二重になる作業と抜ける作業を洗い出し、誰が引き受けるかを決めます。
  • 提案に書く条件を決める 商品の提供条件を社内で確認し、運用に必要な前提と未確認の点を提案書と記録に残します。

範囲が曖昧な部分導入は行き違いを招く

使う範囲を狭めても、前後の業務との受け渡しは残ります。利用範囲だけを合意すると、必要な作業や期待する結果の認識がずれることがあります。

  • 境目の作業を見つける 商品の操作だけでなく、その前後で情報を受け取る作業と渡す作業まで確認します。
  • 残る入力を確かめる 従来の方法を続けることで、同じ内容を別の場所にも入力する必要がないかを聞きます。
  • 期待する結果を確かめる 全面導入を前提にした説明を見直し、今回の範囲でできることと残る作業を伝えます。

範囲が曖昧なときの行き違い

起きること相手に起きること防ぎ方
作業が宙に浮く誰も情報を渡さず、次の作業が止まります。受け渡す作業と担当を決めます。
入力が重複する同じ内容の入力や修正が増えます。入力先と修正先を確認します。
期待がずれる商談先が、対象外の業務も今回の導入で改善されると受け取ります。今回できることと、対象外の業務を示します。
編集部作成の例です。自社の商品と商談先の業務に置き換えて確認します。

使う業務と使わない業務の境目を決める

この部署だけという希望では、どの作業に商品を使うかまでは決まりません。部署・作業・案件のどれで分けるかを聞き、対象となる仕事の開始から完了までの作業の流れを商談先と確認します。

  • 分ける基準を決める 部署で分けるのか、特定の作業や案件で分けるのかを確かめ、対象かどうかを誰でも判断できる条件として書きます。
  • 始まりと終わりを書く 商品を使い始める作業と、商品で処理を終える作業を具体的に書きます。商品の後に従来の方法へ戻る作業があれば、それも書きます。
  • 例外の扱いを決める 部署をまたぐ案件や途中で条件が変わる案件について、判断する人と処理する方法を決めます。

境目を具体的にするための確認

境目の決め方確かめること記録
部署で分ける他部署へ渡す作業はどこか。対象部署と受け渡す作業を書きます。
作業で分ける商品を使い始める作業と終える作業は何か。開始点と終了点を書きます。
案件で分ける対象となる案件を何で判断するか。対象条件と判断する人を書きます。
例外を決める通常の区分に当てはまらない場合はどうするか。相談先と処理する方法を書きます。
編集部作成の例です。部署名だけでなく、実際の作業まで書きます。

境目で二重になる作業と抜ける作業を探す

使う範囲を決めたら、情報がどこに残り、次の作業で何が必要かを確認します。重複する入力と、どちらでも処理されない作業を洗い出します。

  • 同じ情報の入力を探す 商品と、従来の帳票や仕組みの両方に同じ情報を入力する場面を探し、変更時に直す場所も確認します。
  • 従来側の情報を調べる 従来の方法にしか残らない情報が、商品を使う作業で必要にならないかを確かめます。
  • 商品側の情報を調べる 商品にしか残らない結果が、対象外の業務で必要にならないかを確かめます。

情報の置き場所から作業を洗い出す

作業の種類起きること確かめること
重複する入力同じ情報を別々に入力します。入力を減らせるか。残すなら誰が行うか。
重複する修正片方だけ直すと内容が食い違います。内容が食い違ったとき、どちらの情報を基準にして、どこを直すか。
従来の方法から商品へ渡す従来の帳票や仕組みにしかない情報が、商品を使う作業に届きません。必要な情報と、渡す作業が抜けていないか。
商品から従来の方法へ渡す商品にしかない結果が、従来の方法で行う後続の業務に届きません。後続の業務に必要な結果は何か。
編集部作成の例です。自動で情報を渡せるとは限らないため、方法も確認します。

情報を渡す担当と作業のきっかけを決める

情報を渡す作業は、渡す側と受け取る側まで決めておきます。定期的にという決め方だけで済ませず、何が起きたら渡すか、定時に渡すなら誰がいつ渡すかを明らかにします。

  • 情報と方向を書く 何を、どちらからどちらへ、どの方法(転記・連絡・ファイルの受け渡しなど)で渡すかを書き、その方法が使えることも確かめます。
  • きっかけを決める 案件の受付、内容の変更、作業の完了など、情報を渡す必要が生じる出来事を決めます。
  • 受け取りまで決める 渡す人と受け取ったことを確認する人を決め、不在時の代わりも記録します。

きっかけと担当を含めた受け渡し

渡す情報渡す方向担当
受付内容受付が完了したら、従来の帳票から商品へ転記します。受付係が渡し、商品を使う作業係が確認します。
変更内容変更が確定したら、変更元から必要な受け取り先へ渡します。変更を受けた係が渡し、各受け取り先が確認します。
完了結果作業が完了したら、商品の結果を従来の帳票や後続の担当者へ渡します。商品を使う作業係が渡し、後続の業務係が確認します。
編集部作成の例です。係の名称は実際の部署名や担当者名に置き換えます。

希望する範囲で商品を提供できるかを社内で確かめる

商談先の業務を分けられても、商品をその単位で提供できるとは限りません。希望する範囲と受け渡しの案を社内に示し、提供できる条件を確かめます。

  • 利用単位を確かめる 部署・作業・案件など、希望する区切りで利用できるかを確認します。
  • 使える機能を確かめる 対象外の業務で作る情報を入力しないと動かない機能など、部分利用では使えない機能や、使うために追加の入力が要る機能を確認します。
  • 準備できるか確かめる 必要な設定、情報の準備、受け渡しの方法を確認し、誰が準備できるかまで確かめます。

部分利用で提供できるかを社内で確認する

確かめること確認先成り立たない場合
最小の利用単位商品の提供範囲を判断する営業責任者に確認します。利用できる単位を示し、範囲を相談します。
使えない機能機能の利用条件を把握する担当に確認します。できない作業と業務への影響を示します。
必要な設定設定を担当する部門に確認します。必要な設定ができるよう、利用範囲か準備の分担を相談します。
準備と受け渡し導入支援や運用支援の担当に確認します。準備できない情報や実行できない作業を示します。
編集部作成の例です。確認先は自社の役割分担に置き換えます。

成り立たない理由を示して別の範囲を相談する

希望する範囲で提供できない、または運用が回らないと分かったら、どの条件が満たせないかを具体的に伝えます。社内で提供できると確認した別の範囲を示し、商談先が運用できるかを相談します。

  • 理由を具体的に示す 対応できないという返答で終えず、利用単位や必要な情報など、満たせない条件を説明します。
  • 別の範囲を示す 前後の作業を含める、独立した案件に限るなど、社内で提供できると確認した候補を示します。運用できるかは商談先と確かめます。
  • 採用するかは商談先が判断する 商談先が必要な作業と担当を確認して判断できるようにし、見送る選択も含めて相談します。

理由と代わりの範囲の伝え方

場面伝えること相談すること
単位が合わない希望する作業だけでは提供条件を満たしません。提供できる業務単位まで含められるか。
必要情報がない対象外の作業で作る情報がないと処理できません。その作業も含める範囲を選べるか。
担当を置けない境目の情報を渡す人がおらず、後続の作業が止まります。受け渡しが不要な独立した案件に限れるか。
候補も難しい確認した候補でも運用条件を満たせません。今回は見送るか、業務分担を見直して再相談するか。
編集部作成の例です。代わりの範囲も、提示する前に社内で提供できるかを確認します。

範囲を広げる希望は聞いても条件は約束しない

今後ほかの業務にも使いたいという希望は、今回の導入条件と分けて扱います。範囲を広げる際の提供条件や可否は、その時点で改めて確認します。

  • 広げたい業務を聞く 将来使いたい業務と、どのような状況になったら広げたいのかを聞き、相談事項として残します。
  • 今の合意を明確にする 今回の範囲と運用条件を決め、将来も同じ条件で広げられるとは伝えません。
  • 希望として記録する 将来の範囲は未確定と記し、再相談時に業務と提供条件を確認することを残します。

将来の希望を聞くときの扱い

場面することしないこと
希望を聞くどの業務まで広げたいかと、その理由を聞きます。広げることを今回の導入の前提にしません。
条件を聞かれるその時点の業務と提供条件で再確認すると伝えます。今と同じ条件で使えると約束しません。
再相談の条件を決める業務分担の変更など、再相談するきっかけとなる出来事を商談先と決めて記録します。範囲を広げる時期や実施を確約しません。
提案に残す将来の希望と今回の合意を分けて書きます。将来の希望を確定した対象業務に含めません。
編集部作成の例です。再相談の予定は、範囲を広げられるという約束ではありません。

提案書には対象業務・境目の作業・担当を書く

提案書には、商品を使う範囲だけでなく、従来の方法に残る業務も書きます。境目の作業と担当、運用できる前提を並べ、認識の違いを確認します。

  • 対象と対象外を書く 使う部署・作業・案件と、従来の方法を続ける業務を、判断できる条件で書きます。
  • 作業と担当を書く 情報を渡す方向、作業のきっかけ、実行する人と受け取る人を記載します。
  • 前提と未確認点を書く 社内で確認した提供条件を示し、未確認の点は確認先と、いつまでに確認するかを書きます。

提案書に必要な記載

提案書に書く項目内容注意
対象業務商品を使う部署・作業・案件と開始点、終了点を書きます。一部の業務という書き方でなく、判断できる条件で書きます。
対象外の業務従来の方法を続ける業務を書きます。今回の商品で処理できると誤解させません。
境目の作業と担当受け渡す情報、方法、きっかけ、双方の担当を書きます。商談先と提供側の分担を明確にします。
前提条件利用単位、機能の制約、必要な設定や準備を書きます。未確認の条件を確定事項として書きません。
未確認の点確認する内容、確認先、確認期限を書きます。成立に関わる点は合意前に確認します。
編集部作成の例です。将来の利用範囲は、今回の対象業務と分けて記載します。

部分導入の条件は確認の根拠とともに記録する

提案書だけでは、誰が何を確認したかまで分からないことがあります。合意した条件と確認の根拠を残し、担当が変わっても判断をたどれるようにします。

  • 合意した条件を残す 対象と対象外、境目の作業、担当について、合意した内容と相手の確認者を残します。
  • 社内確認の根拠を残す 提供条件の確認先、確認日、回答内容を記録し、参照した資料も示します。
  • 未確認と変更を残す 未確認の点は、社内で回答する人と、確認結果を受け取る営業担当者、期限を書きます。条件が変わったら、変更理由と再確認の結果を残します。

あとから判断をたどれる記録

記録項目書くこと
利用範囲対象業務、対象外の業務、境目、例外の扱いを書きます。
境目の作業重複する作業、抜ける作業への対応、受け渡しの方法ときっかけを書きます。
担当作業する人、受け取る人、不在時の代わり、合意内容を確認した商談先と自社の担当者を書きます。
提供条件確認した条件、社内の確認先、確認日、回答と参照資料を書きます。
未確認の点未確認の内容、提供への影響、社内で回答する人、確認期限を書きます。
条件の変更変更した内容、理由、変更日、再確認した相手と結果を書きます。
編集部作成の例です。提案書と確認記録の保存場所を相互に参照できるようにします。

確認表を埋めて部分導入の前提を確かめる

商談の内容を確認表に書くと、決まった条件と未確認の点を見分けられます。書けない欄は推測で埋めず、確認する相手と次の対応を記載します。

  • 業務の言葉で書く 実際の作業名と部署名を使い、この表だけで対象と対象外を判断できるようにします。
  • 空欄の理由を書く 未確認なら確認先を書きます。該当しない項目も、その理由を短く残します。
  • 提案前に読み合わせる 商談先と作業・担当を読み合わせ、社内で確認した提供条件と矛盾がないかを確かめます。

部分導入の確認表

確認項目記入すること記入欄
対象と対象外商品を使う業務と、従来の方法を続ける業務
業務の境目商品を使う開始点、終了点、例外の扱い
重複と抜け二重になる作業、抜ける作業、その対応
情報を渡す担当情報と方向、方法ときっかけ、渡す人と受け取る人
提供条件の結果確認結果、社内の確認先、根拠、未確認の点
提案の前提と記録先提案書に書く前提、未確認点の回答者と期限、記録先
編集部作成の例です。記入欄が足りない場合は、詳細を記した記録先を添えます。