相手が決める必要のある事項で、提案の案の数を決める
一案だけでは相手の希望に合わなかったときに検討が止まり、複数案では相手が選べずに止まることがあります。相手が何を決める必要があるかを確かめ、その判断に必要な案だけを出します。
- 案を分ける理由を決める 相手が決める必要のある事項を確かめ、違いと合う条件を説明できる案だけを用意します。
- 比較の仕方を決める 判断できる範囲に案の数をとどめ、同じ項目で比較します。自社の推奨と理由も添えます。
- 選べないときの対応を決める 選べない理由に応じて、情報を補う、違いを説明する、相手の社内確認を待つ、案を減らすのどれかを選びます。選んだ理由も記録します。
案の数を変える前に選べない原因を確かめる
一案が合わないとき、代案がなければ検討が止まることがあります。複数案を出しても、違いと選ぶ基準が伝わらなければ判断は進みません。
- 一案に絞る根拠を持つ 相手が決める必要のある事項を残したまま一案にすると、その案が相手の希望に合わない場合に検討が止まることがあります。
- 不安だけで案を増やさない 失注への不安から案を足す前に、その案で何を選んでもらうのかを確かめます。
- 判断に関わる違いを示す 名称や説明の長さが違うだけでは、選ぶ判断材料になりません。選ぶと何が変わるのかを示します。
案の数を変える前に確かめること
| 取りがちな対応 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 一案に決めつける | 相手が決める事項が残り、案が希望に合わないと検討が止まることがあります。 | 相手が決める必要のある事項を先に確かめます。 |
| 不安から案を足す | 比較に手間がかかり、何を基準に選ぶかが見えにくくなることがあります。 | 追加する案が必要な理由を確認します。 |
| 似た案を並べる | 違いを説明できず、選ぶ判断材料になりません。 | 判断に関わる違いのない案をまとめます。 |
相手が決める必要のある事項を確かめる
案を分ける理由は、相手が決める必要のある事項があることです。対象範囲や利用の始め方など、相手が提案を比較して決める事項と、相手の社内で先に決める事項を確認します。
- 選ぶ条件を具体化する 対象範囲や対応する業務など、選択によって実際の進め方が変わる条件を洗い出します。
- 決まっている条件を除く すでに合意した条件を選択肢に戻す必要はありません。まだ判断が必要な条件に絞ります。
- 社内で決める条件を分ける 案を比べれば決められるのか、相手の社内で確認しなければ決まらないのかを見極めます。
相手に選択が必要かを確かめる
| 確かめること | 相手が決める必要がある場面 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 特定部門で使うか、関連部門まで含めるかを選びます。 | 利用する部門と、範囲を決める人を確認します。 |
| 利用の始め方 | 一部から始めるか、対象全体で始めるかを選びます。 | 開始に必要な準備と、希望する進め方を確認します。 |
| 対応する業務 | どの業務を提案の対象に含めるかを選びます。 | 今回対応が必要な業務と、その優先順位を確認します。 |
| 社内の未決事項 | 運用の担当部門が決まらず、案を選べません。 | 決める人と時期、判断に必要な情報を確認します。 |
違いと、合う条件を説明できる案だけを出す
別の案として出すには、何が違い、相手のどの条件に合うのかを説明できる必要があります。自社の提供区分が違うだけで、相手の判断に関係しない案は分けません。
- 選ぶと変わることを示す 対象範囲や準備、相手側の作業など、その案を選ぶことで変わる内容を明らかにします。
- 合う条件を結び付ける 違いの説明に加えて、相手のどの条件に合う案なのかを説明します。
- 自社都合の区分を持ち込まない 社内の担当部署や提供区分だけが違う案は、相手の判断に関係する違いがなければまとめます。
案として分ける理由を点検する
| 案の分け方 | 向いている場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 対象範囲で分ける | どこまでを今回の対象にするか、相手が選ぶ必要があります。 | 対象外になる部門や業務も示します。 |
| 始め方で分ける | 準備や運用の都合に応じて、一部の部門から始めるか、関連部門で同時に始めるかを相手が選ぶ必要があります。 | 開始後に必要な作業の違いも示します。 |
| 対応業務で分ける | 今回任せる業務を、相手が選ぶ必要があります。 | 相手側に残る業務を明確にします。 |
| 自社の区分で分ける | 区分によって相手側の進め方も変わり、選択が必要になります。 | 自社内だけの違いなら別案にしません。 |
案の数は相手が判断できる範囲で決める
説明できる案であっても、すべてを同時に出す必要はありません。比較する項目、検討に関わる人、判断までの時間を確かめ、今回判断できる範囲にとどめます。
- 比べる項目を確かめる 今回の判断に必要な項目を絞ります。項目が多くて案ごとの違いを追えない場合は、相手の条件に合わない案を減らします。
- 検討する人を確かめる 関係者が増えても案を増やすとは限りません。誰がどの条件を判断するのかを確認します。
- 判断の時期を確かめる 期限までに比較と社内確認ができるかを確かめます。時間が足りなければ、今回決める範囲を見直します。
判断できる範囲から案の数を考える
| 場面 | 案の数の考え方 | 注意 |
|---|---|---|
| 比較項目が多い | 今回の判断に必要な違いを持つ案に絞ります。 | 案を減らすために必要な違いを隠しません。 |
| 関係者が多い | 判断する条件を確認し、必要な案を残します。 | 関係者ごとに別案を作ると決めつけません。 |
| 判断時期が近い | 期限までに確認できる案に絞れるかを検討します。 | 確認が間に合わない条件を決まったものとして扱いません。 |
| 判断範囲が広い | 先に決める条件を定め、その選択に必要な案を出します。 | 後で判断する条件を明記します。 |
各案の前提と違いを同じ項目で並べる
説明する項目が案ごとに違うと、相手が情報を補って比べることになります。対象、条件、準備、相手側の作業、変わらない部分を同じ順序で示します。
- 同じ問いに答える 各案について同じ項目を埋めます。対象外や未確認の項目も明記し、空欄が何を意味するのか相手が迷わないようにします。
- 準備と作業を分ける 開始前に必要な準備と、開始後に相手側で行う作業を分けて示します。
- 変わらない部分も示す 共通する内容も明記します。記載の有無によって、案の違いがあるように見せないためです。
利用の始め方を比較する記入例
| 項目 | 案A | 案B |
|---|---|---|
| 対象 | 特定部門から利用を始めます。 | 関連部門で同時に利用を始めます。 |
| 条件 | 先行する部門を決めれば、部門ごとに開始を判断できます。 | 関連部門で開始時期を合わせる必要があります。 |
| 必要な準備 | 相手側で、先行部門の業務手順を整理します。 | 相手側で、関連部門の業務手順と連絡経路を整理します。 |
| 相手側の作業 | 先行部門で利用状況を確認し、他部門への展開を検討します。 | 各部門で利用状況を確認し、部門間で調整します。 |
| 変わらない部分 | 対象業務の内容と問い合わせ窓口は共通とします。 | 対象業務の内容と問い合わせ窓口は共通とします。 |
推奨する案に条件と理由を添える
比較表だけを渡すと、判断に必要な説明が足りない場合があります。どの条件を重視して、どの案を推奨するのかを示し、相手が判断する部分も明らかにします。
- 推奨の根拠を示す 相手に確認した条件と、案の特徴を結び付けます。自社が提供しやすいという理由だけでは推奨しません。
- 他の案を出す理由を示す 推奨しない案にも、合う条件があることを説明します。選ぶ理由を説明できない案は出しません。
- 優先する条件を相手に確認する 自社の推奨を、相手が決定したこととして扱いません。どの条件を優先するかは相手に確認します。
比較表に添える判断材料
| 添えること | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 推奨する案 | 今回推奨する案を明記します。 | 推奨と相手の決定を区別します。 |
| 推奨の条件と理由 | 重視した条件と、その条件に向く理由を書きます。 | 確認できていない希望を根拠にしません。 |
| 他の案を出す理由 | 別の条件を優先する場合に、なぜ候補になるかを書きます。 | 推奨案を引き立てるだけの案を混ぜません。 |
| 相手が判断する点 | どの条件を優先するか、判断が必要な点を書きます。 | 推奨理由と各案の違いを説明したうえで、相手の判断を待ちます。 |
選べない理由で次にすることを決める
相手が選べないときは、すぐに別案を追加せず、止まっている理由を確かめます。情報の不足、社内の未決事項、比較の負担では、必要な対応が違います。
- 足りない情報を補う 相手が判断できずにいる項目を特定し、その情報を補います。案を追加しても、情報の不足は解消しません。
- 社内確認を先にする 決める人や優先する条件が未定なら、確認先と時期を決めます。確認が済むまで選択を保留します。
- 不要な案を減らす 確認済みの条件に合わない案や、判断に関わる違いのない案を外します。残す理由のある案は維持します。
選べない理由に応じた対応
| 選べない理由 | すること | しないこと |
|---|---|---|
| 情報が足りない | 判断できない項目を確認し、各案の情報を補います。 | 別案を足して情報不足を埋めようとしません。 |
| 社内条件が未定 | 確認先と時期を決め、確認を先に進めます。 | 未定の条件を推測して選択を迫りません。 |
| 違いが分からない | 選ぶと変わる内容と、合う条件を説明します。 | 名称を変えただけの案を追加しません。 |
| 比較の負担が大きい | 選ぶ理由のない案を外し、今回の判断範囲を絞ります。 | 理由を示さずに候補を削りません。 |
| 優先順位が未定 | 何を優先するか、判断する人と確認します。 | 営業側の推奨を相手の結論に置き換えません。 |
案の間に判断を左右する違いがなければ一案に絞る
相手の条件が確認でき、案の間に判断を左右する違いがないなら、一案に絞れます。提示する案を増やす代わりに、どの条件なら代案が必要になるかを社内で整理しておきます。
- 確認した条件で絞る 今回決める必要のある事項が残っていないかを確認します。相手の希望を推測しただけでは絞りません。
- 判断に無関係な違いを除く 相手の進め方や作業が変わらない内部の違いは、選択肢にしません。必要な説明は一案の中に含めます。
- 代案が必要になる条件を決める 採用されない理由として考えられる条件と、その場合に検討する代案の方向を社内で整理します。
一案に絞る前の点検
| 場面 | すること | 注意 |
|---|---|---|
| 相手の条件が確認済み | 条件に合う案を選び、絞った理由を説明します。 | 確認済みの条件と推測を混ぜません。 |
| 違いが判断に無関係 | 判断に関係しない別案をまとめます。 | 相手側の作業が変わる違いまで省きません。 |
| 代案への備えが必要 | どの条件なら代案を検討するか、対応できる範囲を整理します。 | 起こり得る条件すべての提案書を先に作りません。 |
| 選ぶ条件が残っている | 条件を確認するか、必要な違いを持つ案を比較します。 | 資料を簡単にするためだけに一案へ絞りません。 |
出した案と相手が選んだ理由を記録する
選ばれた案の名前だけでは、判断の経緯が残りません。何を提示し、どの条件を重視して選んだのかを営業管理表に残し、次の対応で確認できるようにします。
- 提示した内容を残す 出した案と、その案が成り立つ条件を記録します。参照した提案書も特定できるようにします。
- 選んだ理由を確かめる 重視した条件と、決め手になった違いを確認します。確認できていない理由は推測で埋めません。
- 選ばなかった案も整理する 候補から外したのか、保留したのかを分けて残します。再検討する条件があれば併記します。
営業管理表に残す項目
| 記録項目 | 書くこと |
|---|---|
| 出した案と前提 | 提示した案、各案が成り立つ条件、参照する提案書を記録します。 |
| 自社の推奨 | 推奨した案と、根拠にした相手の条件を記録します。 |
| 選んだ案と理由 | 相手が選んだ案、重視した条件、決め手になった違いを記録します。 |
| 未確認の事項 | まだ確認できていない事項と、その確認先を記録します。 |
| 他の案の扱い | 候補から外した案と保留した案を分け、その理由を記録します。 |
| 次の対応 | 残っている確認事項、対応する人と時期、再検討する条件を記録します。 |
確認表を書いてから提案の案の数を決める
作成中の提案を対象に、下の確認表を埋めます。案の数は先に決めず、選ぶ条件と各案の違いを書いてから判断します。
- 相手の条件から書く 決める必要のある事項と、案ごとの違いを先に書きます。未確認の条件には確認先も添えます。
- 今回出す案を決める 比較項目と判断までの時間を踏まえ、今回出す案と推奨を記入します。一案なら絞る理由を書きます。
- 商談前の準備と商談後の記録 商談前に、相手が選べない場合の対応を準備します。商談後は選んだ理由と、選ばなかった案の扱いを追記します。
提案の案の数を決める確認表
| 確認する項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 決める必要のある事項 | 選択が必要な条件:/確認先: |
| 案の違いと合う条件 | 案名:/他案との違い:/合う条件: |
| 案の数と比較項目 | 今回出す案の数:/その理由:/共通の比較項目: |
| 推奨と理由 | 推奨する案:/根拠となる条件:/他案も出す理由: |
| 選べないときの対応 | 想定する理由:/補う情報・説明する違い・先に確認すること・減らす案: |
| 商談後の記録 | 出した案と前提:/選んだ案と理由:/他案の扱い: |
