営業資料の数字は、出典と条件を確かめて使う

社内で引き継いだ数字でも、元の資料と条件を確認してから使います。この資料では、掲載するかを判断する確認事項と、出典の書き方を決めます。

  • 数字の確認先を決める 公表元の統計表や調査報告まで戻り、対象・時点・定義を確かめます。
  • 添える情報を決める 調査方法や集計範囲を確認し、読み手が数字の意味を確かめられる出典を書きます。
  • 載せるかを決める 確認表で掲載の可否を判断します。確かめられない数字は使わず、機能や提供条件で説明します。

数字は、出典・対象・時点・定義で意味が変わる

同じ「企業数」でも、法人だけか個人事業を含むかで意味が変わります。数字を抜き出す前に、何をいつ数えたものかを確認します。

  • 出典をたどる 数字を見かけた記事だけでなく、元の統計表や調査報告を確認します。
  • 対象と時点を読む 集計対象と基準日を確かめます。異なる時点の数字を、同じ時点の数字として比較しません。
  • 定義を確かめる 「企業」「売上」などの用語が何を指すかを読みます。定義を確認できない数字は使いません。

数字の意味を確かめる要素

確かめる要素欠けると起きること
出典元の資料に戻って数字を確認できません。
対象どの地域や事業者の数字か分かりません。
時点いつの状況を表す数字か分かりません。
定義何を含め、何を除いた数字か分かりません。
表は編集部作成の例です。

見かけた数字は、一次資料まで戻って確かめる

記事や他社資料の数字は、別の資料から引用されていることがあります。そのまま引用せず、公表元が出した統計表や調査報告そのものを確認します。

  • 出典欄から探す 公表元と資料名を手掛かりに探します。公的統計は、政府統計の総合窓口も入口になります。
  • 表と注記を読む 数字が載る表や図に加え、対象・単位・除外条件を確認します。記事や他社資料の説明だけで数字の条件を判断せず、原資料の表と注記を確かめます。
  • 原資料で確認する 記事に出典名があっても、原資料で確認できなければ掲載しません。確認できた条件を資料に書きます。

掲載前に原資料を確認する流れ

  1. 見かけた数字の出典欄を読む
  2. 公表元と原資料を探す
  3. 統計表・報告書で数字と条件を確かめる
  4. 確認できた数字と出典を資料に書く
原資料を見つけられない場合は、掲載を見送ります。

調査結果は、対象と方法を添えて使う

「○○%が課題と回答」だけでは、誰に何を聞いた結果か伝わりません。調査対象と回答数、質問や回答方法を確かめて添えます。

  • 回答者を確かめる 業種・地域・役職などを確認します。自社の営業先と属性が違う場合は、その違いも説明します。
  • 聞き方を確かめる 質問文と選択肢を読みます。単一回答か複数回答か、回答をどう集めたかも確認します。
  • 回答数を添える 調査を依頼した数と、実際に回答した数を区別します。一部の回答者への質問なら、その集計対象を添えます。

調査結果に添える情報

添える情報書き方の例
調査対象○○地域の○○業に属する○○職を対象としました。
回答数有効な回答は○○社で、この設問は○○社の回答を集計しました。
調査期間○○年○○月から○○月に実施しました。
調査方法○○の方法で対象者を募り、○○で回答を集めました。
質問と回答方式「○○」と質問し、選択肢から○○を選ぶ方式で集計しました。
表は編集部作成の例です。○○には公表元で確認した内容を記入します。

自社集計は、対象の範囲と期間を書く

「当社調べ」だけでは、どの記録をどう集計した数字か分かりません。対象の範囲、集計期間、数え方を説明できる状態にします。

  • 対象の範囲を書く 顧客全体か、一部の契約や案件だけかを明記します。集計から除いた顧客や案件があれば、その理由も残します。
  • 期間と数え方を書く 開始日と終了日、集計単位を記録します。同じ顧客の複数案件や重複記録をどう扱ったかも示します。
  • 公開できるか確かめる 顧客名や個別の数字は、顧客の許可がなければ出しません。集計結果から個別の顧客が分からないかも確認します。

自社集計の条件を記録する

項目書くこと
対象範囲顧客全体か一部かを示し、含める条件と除外する条件を書きます。
集計期間対象とする記録の開始日と終了日を書きます。
集計単位顧客単位か案件単位かなど、何を数えたかを書きます。
集計方法元の記録と、重複・未入力の扱いを書きます。
公開の確認顧客名や個別の数字について、許可の有無と公開できる範囲を記録します。
表は編集部作成の例です。

数字は、比較する条件をそろえて並べる

数字の差には、対象や定義の違いが含まれることがあります。同じ時点の比較か、時点を変えた推移の比較かを決め、必要な条件を確認します。

  • 比較の目的を決める 地域や区分の違いを見るなら、時点もそろえます。推移を見るなら、各時点と対象期間の長さを示します。
  • 対象と定義をそろえる 対象範囲・用語の定義・単位・集計方法を確認します。条件が途中で変わっていれば、その差を増減として説明しません。
  • 比較できなければ外す 共通条件の数字を公表元で探します。条件をそろえられなければ、比較表や増減の説明には使いません。

比較する前に条件をそろえる

比較の例問題直し方
企業数の比較法人のみの集計と、個人事業を含む集計が混在しています。対象範囲が同じ集計を探します。
地域間の比較同じ時点の比較なのに、基準日が異なっています。基準日が同じ数字を使います。
期間別の比較集計期間の長さが異なっています。期間の長さと集計方法をそろえます。
推移の比較途中で用語の定義や対象範囲が変わっています。共通条件の集計を探し、なければ比較を見送ります。
表は編集部作成の例です。

古い数字は、時点を明記して更新を確認する

新しく公表された資料でも、調査した時点はかなり前のことがあります。公表日と数字が表す時点を分けて読み、最新版や訂正の有無を確認します。

  • 調査時点を確かめる 公表日を、数字が表す時点として書かないようにします。調査期間や集計の基準日を確認します。
  • 最新版を探す 公表元の資料一覧で、後続の公表や訂正を確認します。検索結果に出た資料だけで最新版と判断しません。
  • 次の確認を決める 更新予定と再確認する日を記録します。古い数字を使う場合は時点を示し、現在の状況と表現しません。

更新と訂正の確認先

確認項目確認先
調査・集計時点報告書の調査概要や統計表の注記で確認します。
公表日公表元の掲載ページや報告書で確認します。
最新版公表元の資料一覧や同じ調査の公表ページで確認します。
訂正の有無公表元の訂正案内や差し替えの注記で確認します。
更新予定公表元の公表予定を確認し、未定ならその旨を記録します。
表は編集部作成の例です。

出典は、読み手が原資料を確かめられる形で書く

出典には、どこが公表した何の資料かを書きます。URLだけに頼らず、表や図を特定できる情報と数字の時点も添えます。

  • 名称と場所を書く 公表元と資料の正式名称、表や図の番号を書きます。番号がなければ見出しや掲載ページを示します。
  • 時点と確認日を書く 調査・集計時点と、原資料を確認した日を区別します。URLが変わっても探せるよう、名称を残します。
  • 利用条件を確認する 公表元の利用条件と指定された出典表記を確認します。加工した場合は、その内容も書き添えます。

出典欄に書く内容

出典の要素書く内容
公表元公表元:○○と書きます。
資料名統計・調査の名称:『○○』と書きます。
表・図の位置表名:○○、表・図番号:○○、掲載ページ:○○と書きます。
数字の時点調査期間:○○、集計の基準日:○○と書きます。
公表日・確認日公表日:○○、確認日:○○と区別して書きます。
参照先原資料のURL:○○を添えます。
表は編集部作成の例です。加工した場合は、加工内容も出典欄に添えます。

出典と条件を確かめられない数字は載せない

社内で使い続けてきた数字でも、出典が確認できるとは限りません。聞き覚えや使用歴で判断せず、原資料と条件を確かめられるかで決めます。

  • 引継ぎ資料も確かめる 元の担当者や資料の出典欄から確認を始めます。使ったことがあるという理由だけで再掲載しません。
  • 伝聞を根拠にしない 「一般に言われる」という説明や、営業先から聞いた数字だけでは掲載しません。確認できる資料を探します。
  • 見送りの理由を残す 数字の内容、確認した場所、載せない理由を記録します。確認できていない数字が別の資料に再び載らないよう、見送った理由を共有します。

出どころ別に掲載を判断する

数字の出どころ扱い
社内の引継ぎ資料原資料を探し、出典と条件を確認できなければ載せません。
記事・他社資料引用元まで戻り、原資料で数字と条件を確認します。
出典のない通説繰り返し見かけても、出典を確認できなければ載せません。
営業先からの伝聞伝聞のまま載せず、根拠資料と公開してよい範囲を確認します。
以前の掲載見送り見送った理由を確認し、未解決なら引き続き載せません。
表は編集部作成の例です。

数字がなくても、提供内容と条件で説明する

数字がないことだけで、説明が弱くなるわけではありません。確認できる事実で組み立てます。何ができて、どの条件で使えるかを、確認できる事実で具体的に伝えます。

  • 提供する内容を書く 機能や対応範囲を具体的な動作で説明します。「多くの企業が利用」のような、根拠を示せない表現に置き換えません。
  • 業務での使い方を書く どの作業で何を入力し、何を確認できるかを示します。相手の成果を約束する表現にしません。
  • 利用する条件を書く 必要なデータや事前設定、対応できない範囲を示します。提供済みの機能と予定の機能は区別します。

確認できる事実で説明を組み立てる

数字の代わりに書くこと例
提供内容○○を入力すると、○○を表示できます。
対応範囲○○に対応しています。○○は対象外です。
業務での使い方○○の作業時に、○○の内容を確認できます。
利用の前提利用には、○○の準備と○○の設定が必要です。
提供する時期○○は提供中です。△△は提供を予定しています。
表は編集部作成の例です。例文は架空の説明で、特定のサービスの機能を示しません。

掲載する数字は、確認表に記入して判断する

使いたい数字ごとに、この表を記入します。出典・対象・時点・定義を説明できるかを確かめてから、掲載するかを決めます。

  • 原資料を見て埋める 記憶で補わず、原資料の記載を確認します。資料名には表名や番号も添え、時点には調査期間や基準日を書きます。
  • 必要な条件を追記する 調査方法、自社集計の範囲や期間、比較条件は別紙に残します。利用条件や更新の確認結果も記録します。
  • 掲載の可否を記録する 不明な条件があれば掲載を保留します。確かめられなければ「載せない」と記入し、理由を残します。

資料に載せる数字を確かめる表

確認項目記入欄確認項目記入欄
数字の内容公表元
統計・調査の名称対象
時点定義
確認日載せるか
表は編集部作成の例です。自社集計の場合は、公表元欄に自社名・集計部署を記入します。