提案が合う理由から、新しい業種への営業を始める

今の顧客が買った理由をたどると、別の業種にも提案できる条件が見えてきます。この資料では、候補の探し方から試した後の見直し方までを整理します。

  • 顧客の共通点を抜き出す 今の顧客が買った理由と使っている業務から、別の業種でも提案が合う条件を言葉にします。
  • 最初に試す業種を決める 想定した業務が公開情報にあるかを確かめ、提案が合う理由を説明できる業種に絞ります。
  • 試し方と見直し方を決める 試す規模と期間、記録する項目、見直す条件を決め、業種の仮説シートに記入します。

新しい業種は、提案が合う理由で選ぶ

「売れそう」という印象だけでは、何を確かめればよいか決まりません。今の顧客が買った理由を起点に、同じ理由が成り立つ業種を探します。

  • 買った理由を言葉にする 購入時の会話や記録から、困っていた業務と選ばれた理由を抜き出します。
  • 同じ理由がある業種を探す 似た業務や課題がある業種を探し、その業務や課題に自社の商品・サービスで応えられる理由を書きます。
  • 理由が書けなければ保留する 提案が合う理由を説明できない業種は、営業を試す候補に入れず、確認が必要な点を残します。

候補を選ぶまでの流れ

  1. 今の顧客が買った理由を書き出す
  2. 同じ業務や課題がある業種を探す
  3. 提案が合う理由を説明できる業種を候補にする
買った理由が記録にない場合は、顧客への確認が必要な事項として扱います。

今の顧客から、買われた理由の共通点を抜き出す

業種や規模が同じでも、買った理由が同じとは限りません。顧客の属性と購入時の事情を分けて並べ、提案が合う条件を探します。

  • 属性と理由を分けて書く 業種・規模・地域に加え、購入前の困りごとと選ばれた理由を記録します。
  • 使う業務まで掘り下げる 誰がどの業務で使っているかを確かめ、必要になったきっかけも確認します。
  • 断られた理由も比べる 購入した顧客と、購入に至らなかった相手の業務・課題・導入条件を比べ、提案が合わない条件も書き出します。

顧客から抜き出す情報(編集部作成の例)

見る項目抜き出すこと
業種・規模・地域事業内容、組織の規模、活動する地域を書きます。
買った理由比較した点や選んだ理由を、顧客の言葉から拾います。
使っている業務利用する部署と、実際に使う業務を書きます。
導入のきっかけ購入を検討し始めた出来事や業務の変化を書きます。
断られた理由不要とされた理由や、導入できなかった条件を書きます。
顧客が話した内容と、自社で推測した内容は分けて残します。

業種名より先に、提案が合う条件を一文にする

最初から業種名を決めると、その業種に合う理由を後から探しがちです。今の顧客に共通する業務や課題から、提案できる条件を一文で書きます。

  • 業務を起点に書く 「どのような業務がある業種か」を書き、続けて、その業務に自社の商品・サービスがどう役立つかを書きます。
  • 課題を起点に書く 課題が起きる場面を具体的に書き、同じ場面がある業種を後で調べられるように仮説にします。
  • 条件と提案を一文にする 業務や課題と提案内容を一つの文にまとめ、何を確認できれば仮説が立つかを明確にします。

仮説の書き方(編集部作成の例)

仮説の型書き方例
業務から考える「〇〇の業務がある業種では、△△を提案できると考える」と書きます。例:拠点ごとに申請を確認する業務がある業種では、確認手順の整理を提案できると考える。
課題から考える「〇〇の課題がある業種では、△△を提案できると考える」と書きます。例:部署間の引き継ぎで情報が抜ける課題がある業種では、共有項目の整理を提案できると考える。
例は仮説の表現を示したものです。業務や課題の有無は、別途確認します。

公開情報で確かめた事実と推測を分ける

公開情報では、業界の構造や企業の業務を調べられます。ただし、業務があることと、提案を必要としていることは分けて考えます。

  • 業界の構造を調べる 業界団体の公開資料や公的統計で、仮説に関係する業務や業種分類を確認します。
  • 企業ごとの業務を確かめる 公式サイトや求人情報に、対象の業務や役割が書かれているかを確認します。
  • 根拠と未確認事項を残す 資料名・URL・確認日と根拠の記載を残します。読み取れない点は「未確認」と記し、推測と分けます。

情報ごとに確認できる範囲(編集部作成の例)

情報どこで見るか分かること分からないこと
業界の業務業界団体の公開資料業務の流れや課題個別企業に同じ課題があるか
分類と事業規模公的統計(業種別)業種分類・企業数・事業所数自社の条件に合う営業先の数
企業の事業対象企業の公式サイト公開された事業内容や拠点購入意向や予算
業務と役割対象企業の求人情報募集職種の業務や役割体制の全体や業務上の困りごと
表は編集部作成の例です。公開時点を確認し、企業数と事業所数を混同しないようにします。

最初に試す業種は、仮説を確かめやすい条件で決める

候補が複数あっても、最初に試す業種は一つに絞ります。市場の大きさだけで選ばず、今の提案のままで、相手が検討する理由や断る理由まで確認できるかを比べます。

  • 既存顧客との近さを見る 業種名が似ているかではなく、使う業務・購入理由・導入条件が近いかを確かめます。
  • 同じ提案で試せるかを見る 用語の置き換えで説明でき、提供内容や価格条件を大きく変えずに試せる業種を選びます。
  • 検証に必要な情報を見る 条件に合う営業先を見つけられるか、断られた理由を尋ねて記録する方法を決められるかを見ます。

候補を絞る基準(編集部作成の例)

絞る基準確認の仕方
顧客との近さ既存顧客と候補業種の業務・課題・導入条件を比べます。
説明の共通性提案の中心を変えず、相手の用語で説明できるかを確かめます。
営業先の確認条件に合い、実際に連絡できる企業を見つけられるかを確認します。
理由の確認断られた理由を無理なく尋ねられる接点と、記録方法を決めます。
判断材料が足りない候補は、先に確認する情報を決めて保留します。

業種ごとに言い方を変え、提案の中身は固定する

業種によって、同じ業務や課題の呼び方が違うことがあります。最初の検証では用語を相手に合わせ、提供内容をそろえて提案し、相手の返答と理由を記録します。

  • 相手が使う用語に置き換える 公開資料や会話で確認した業務名・課題の呼び方を使い、意味を変えずに説明します。
  • 提供内容と条件を固定する 提供範囲・価格条件と、面談への参加など相手に依頼する行動をそろえ、何を提案した結果なのかを明確にします。
  • 変えた箇所を記録する 変更前後の表現と変更理由を残します。提案自体を変える場合は、別の検証として扱います。

表現と提案を分ける(編集部作成の例)

変えるもの変えないもの
業務名を変える提案の対象となる業務の範囲は維持します。
課題名を変える解決を目指す課題の内容は維持します。
用語を変える提供する機能や支援の範囲は維持します。
説明表現を変える価格条件と、相手に依頼する行動は維持します。
営業手段や営業先の条件も記録し、言い方以外の違いを見落とさないようにします。

試す規模と期間は、対応できる範囲で先に決める

連絡を始める前に、追客と記録までできる範囲を決めます。成果の定義と判断日も決めておくと、途中の印象だけで続行や変更を決めずに済みます。

  • 対応できる上限を決める 新規の連絡だけでなく、返信対応・日程調整・記録に使える時間から、対象件数の上限を決めます。
  • 期間と成果の定義を決める 開始日・終了日・判断日を決めます。どの状態を「商談」「ヒアリング済み」と記録するかの条件も、先に書きます。
  • 次の業種へ進む条件を書く 仮説の前提が確認できない場合など、次へ進む条件を決めます。返答待ちの扱いも明記します。

開始前に決めること(編集部作成の例)

決める項目決め方
試す規模追客と記録を終えられる対象件数を上限にします。
試す期間連絡する期間と、返答を待つ期間を決めます。
判断日記録を読み、続行・修正・業種変更を判断する日を決めます。
成果の定義例:課題と検討条件を聞けたらヒアリング済み、提案内容を説明する面談の日程に合意したら「商談」とします。
次へ進む条件例:仮説に必要な業務が確認できず、今の提供内容では対応できない場合に業種を変えます。
未完了の扱い返答待ちや継続中の対話を、誰がいつまで対応するか決めます。
試す規模と期間は、仮説のどの点を確かめるかに合わせて設定します。結果から業種全体は評価しません。

反応だけでなく、判断の根拠になる言葉を記録する

「反応があった」「断られた」だけでは、次に何を変えるか決まりません。営業先の条件と相手の言葉を残し、仮説のどこを確かめられたかを記録します。

  • 営業時の条件を残す 業種・仮説・営業先の条件・手段を記録し、どの条件で接点を持ったかを追えるようにします。
  • 相手の言葉を残す 反応と断られた理由を記録します。理由が聞けなかった場合は、推測で埋めず「未確認」とします。
  • 事実と判断を分ける 相手の発言と自社の解釈を別に書き、その企業への営業を続けるか、追加で確認するか、見送るかの判断に根拠を添えます。

営業先ごとに残す項目(編集部作成の例)

記録する項目書く内容
業種と仮説対象の業種と、確かめたい仮説の一文を書きます。
営業先の条件地域・規模・対象業務など、選んだ条件を書きます。
手段接点を持った方法と日付、使った提案を記録します。
反応と相手の言葉返答や会話の内容を、意味を変えずに残します。
断られた理由相手が述べた理由を書き、不明な場合は未確認とします。
判断その企業への営業を続ける・追加確認する・見送るの判断と、根拠を書きます。
返答がない状態と、不要だと明言された状態は分けて記録します。

断られた理由に応じて、仮説・条件・伝え方のどれを直すか決める

反応の有無だけで、その業種に提案が合わないとは判断できません。断られた理由を読み、どこを見直すかを決めます。

  • 理由から修正箇所を探す 課題がないのか、時期や条件が合わないのかを分けます。理由が不明なら、確認できる方法を考えます。
  • 外れた前提を書き直す 想定した業務や課題がなければ仮説を修正します。同業の別企業にも無いとは決めつけません。
  • 決めた条件で業種を変える 業務や課題を確認できず、今の商品・サービスで対応が難しければ、事前の条件に照らして次の業種へ進みます。

記録から次の行動を決める(編集部作成の例)

結果読み方次の一手
返答がない課題の有無も、返答がない理由も未確認です。連絡先や到達状況、手段を確認します。
課題がない課題があるという仮説と、確認した事実が食い違っています。課題が起きる条件を調べ直し、仮説を修正します。
時期が合わない提案が課題に合うかと、相手が検討できる時期は別の問題です。再連絡の希望と時期を確認します。
説明が伝わらない用語の選び方や説明の仕方が原因で、提案内容が理解されていない可能性があります。不明だった箇所を聞き、表現を修正します。
導入条件が違う相手が求める導入条件と、現在の提供条件に違いがあります。対応できるかを確かめ、営業先を選ぶ条件を見直したうえで、事前の基準に照らして業種変更を判断します。
小さく試した結果だけで業種全体を断定せず、確認できた範囲を明記します。

業種の仮説シートに、試す条件と判断日を書き込む

ここまでの検討をシートに書き込み、営業を始める条件を確認します。根拠が足りない欄には、次に確かめることも書き添えます。

  • 顧客から仮説まで書く 今の顧客の共通点と買われた理由から、別の業種にも提案できると考える理由を一文にします。
  • 根拠と対象を明記する 確かめた公開情報を記し、最初に試す業種と営業先の条件を具体的に書きます。
  • 終了後の判断まで決める 規模・期間・成果の定義・判断日・次へ進む条件を書き、営業先ごとの記録を読み返す日を確保します。

業種の仮説シート(編集部作成の例)

項目記入欄項目記入欄
今の顧客の共通点買われた理由
仮説(一文)確かめた公開情報
最初に試す業種営業先の条件
試す規模と期間判断日
成果の定義次へ進む条件
公開情報は資料名・URL・確認日を添え、記入時点の仮説を見直し後も残します。