同じ会社の相談も、目的と進め方で案件を分ける

同じ会社からの相談でも、目的や利用する部署が違えば、資料や約束も変わります。この資料では、営業担当者が資料や約束を取り違えないように、案件を分ける基準と、案件ごとの記録の残し方を決める手順を扱います。

  • 案件を分ける基準を決める 相談の目的、利用する部署や拠点、判断する人を基に、案件を分ける基準を決めます。
  • 案件ごとの記録を決める 相手側の担当者、資料、約束と期日を、どの案件の情報か分かる形で残します。
  • 社内の管理方法を決める 共通情報の置き場所と、案件ごとに社内で進める担当者を決め、案件の状態を個別に更新します。

会社名だけで資料や次の対応を判断しない

会社単位で相談を記録すると、別案件の資料や約束が混ざることがあります。送付や連絡の前に、どの相談への対応かを確かめます。

  • 対応する案件を確かめる 会社名だけで記録を開かず、相談の目的と対象の部署や拠点まで確認します。
  • 資料と約束を区別する 送る資料と次の対応が、その案件で確認した内容に合っているかを見直します。
  • 進み具合を個別に見る 別案件が進んでいても、確認していない案件の状態は変えません。

会社単位の記録で起きる取り違え

起きること相手に起きること防ぎ方
別案件の資料を送る検討対象ではない資料を確認する手間が生じます。送付前に資料の対象と案件を照合します。
約束を混同する相手が、約束した期日までに必要な対応を受けられないことがあります。約束を該当する案件に記録します。
担当者を取り違える相談を知らない人に説明や転送を求めることになります。案件ごとの連絡先を確認します。
別案件の進み具合で判断する検討中なのに連絡が止まることがあります。進み具合を案件ごとに確かめます。
表は編集部作成の例です。

目的と利用先、判断する人で案件を分ける

同じ会社、同じ窓口からの相談でも、同じ案件とは限りません。目的、利用する部署や拠点、判断する人を確認し、時期の違いも踏まえて区切ります。

  • 相談の目的から考える 相手が何を実現したい相談かを確認します。目的が異なり、提案も判断も別になる場合は分けます。
  • 利用先と判断の進め方を確かめる 部署や拠点が違っても、相手が共通の提案について採否をまとめて判断する相談かを確認します。
  • 時期の違いを確かめる 開始時期だけで区切らず、検討や判断を別々に進める必要があるかを確かめます。

案件の区切りを考える基準

基準同じ案件にする例分ける例
相談の目的共通の課題に対してまとめて提案します。用途が異なり、提案を別々に判断します。
利用部署・拠点各拠点で使う内容を本社でまとめて検討します。拠点ごとに要望が異なり、拠点ごとに提案の採否を判断します。
判断する人関係者が共通の提案について一緒に判断します。部署ごとに独立して判断します。
時期共通の判断を経て、順に利用を始めます。検討を始める時期も判断の時期も別で、それぞれ独立して進めます。
表は編集部作成の例です。

窓口と利用する人、判断する人を案件ごとに確かめる

相談を受けた窓口が、提案する商品やサービスを利用する人や、採否を判断する人とは限りません。別案件で把握した役割を当てはめず、案件ごとに関係者を確認します。

  • 窓口の役割を確かめる 相談の取りまとめをするのか、利用内容を検討するのかを確かめます。
  • 利用と判断を区別する 実際に使う部署と、進めるかどうかを判断する人を分けて把握します。
  • 分からない役割は未確認と記録する 分からない役割は未確認と記録します。別案件の担当者で埋めず、確認先を決めます。

案件ごとに確認する役割

確かめること内容確認できなかった場合
相手側の窓口この相談について相手側で連絡を受ける人と、その役割を確認します。相談を持ちかけてきた相手側の担当者に、確認先を尋ねます。
利用する人利用する部署や拠点と、要望を把握する人を確認します。利用先を未確認として記録します。
判断する人提案を進めるか判断する人と、判断の進め方を確認します。窓口に確認方法を尋ねます。
相手側の共通の窓口相手側の窓口が別案件も扱うか、どこまで取りまとめるかを確認します。案件ごとに窓口の役割を確認します。
表は編集部作成の例です。

資料と提案書は案件の対象と条件に合わせて作る

別案件の資料は、宛先だけを変えて使えるとは限りません。対象、条件、提案の範囲を確かめ、共通に使う部分も送付前に読み直します。

  • 宛先と対象を確かめる 誰に送る資料かと、どの部署や拠点への提案かを分けて確認します。
  • 案件の条件を反映する 利用目的や開始時期など、該当する案件で確認した条件を資料に反映します。
  • 共通部分も読み直す 共通説明にも、別案件の名称や条件が残っていないかを確認します。

資料を作り分ける確認項目

項目案件ごとに変えること共通にしてよいこと
宛先確認した送付先の部署名と氏名を記載します。正式な会社名は確認済みの表記を使います。
対象相談の目的と利用する部署や拠点を示します。共通するサービス説明は、今回の提案内容にも当てはまると確認したうえで使います。
条件利用範囲や時期など、確認した条件を反映します。全案件に当てはまると確認した前提は共通にします。
共通部分別案件の要望や固有の記載を除きます。別案件だけに関わる情報を含まない説明や図を使います。
表は編集部作成の例です。

約束と期日は対応する案件に記録する

同じ窓口と話していても、約束の対象は案件ごとに異なります。次の対応、期日、社内の担当、相手の希望を、その案件の記録に残します。

  • どの案件への対応かを残す 何をするかに加え、どの案件の資料や確認事項への対応かを記録します。
  • 希望と確定を区別する 相手が希望する期日と、対応を約束した期日を区別します。未確定なら確認予定を残します。
  • 変更した約束を更新する 期日や内容が変わったら、変更前の経緯を残し、現在の約束が分かるようにします。

案件にひもづける約束の記録

記録項目書くこと注意
次の対応該当案件で次に行う対応と、その対象を書きます。別案件の対応をまとめて書きません。
期日約束した期日と、未確定事項の確認予定を書きます。希望段階の期日を確定扱いにしません。
担当その対応を行う社内の担当を書きます。会社の担当と同じとは限りません。
相手の希望この案件で希望された内容と、合意した範囲を書きます。相手の希望をすべて、対応の約束として扱いません。
表は編集部作成の例です。

会社全体に当てはまる情報は、会社の欄にまとめて置く

営業管理表に会社の欄と案件の欄を設け、会社全体に関わる情報を案件ごとに写さないようにします。全案件に当てはまるかを確認し、共通の情報は会社の欄から参照します。

  • 共通にできる範囲を決める 会社に関する情報でも、特定の部署や案件に限る内容は共通扱いにしません。
  • 共通情報の参照先を決める 会社の欄を共通情報の参照先に決めます。各案件の欄には、その案件だけに当てはまる情報を残します。
  • 変更が及ぶ案件を確かめる 共通情報を更新するときは、適用する案件も確かめます。案件固有の条件は個別に更新します。

共通情報と案件固有の情報の置き場所

情報の種類置く場所更新の仕方
会社概要会社全体の情報は会社の欄、利用拠点の詳細は案件欄に置きます。変更を確認したら該当する欄を更新します。
取引条件の前提全案件への適用を確認した前提は会社の欄に置きます。適用範囲を確かめ、例外は案件欄に残します。
連絡の希望全社の希望は会社の欄、案件ごとの希望は案件欄に置きます。誰の希望で、どこまで当てはまるかを確認します。
過去の経緯会社全体に関わる経緯は会社の欄に置きます。案件固有のやり取りは該当案件に追記します。
表は編集部作成の例です。

別案件の情報を使う前に共有してよい範囲を確かめる

同じ会社でも、他部署の検討状況や条件が共有されているとは限りません。別案件の情報を説明や資料に使う前に、伝える相手と内容を確かめます。

  • 共有済みと決めつけない 別案件を知っているかと、その詳しい内容まで共有されているかを区別して確認します。
  • 伝える範囲を確かめる その情報を提供した相手側の担当者に、誰へ何を伝えてよいかを確認します。資料の転用も対象に含めます。
  • 共有の了承がなければ使わない 共有してよいと確認できない情報は別案件で使わず、その案件で確認した要望と条件を基に説明します。

別案件の情報を使う前の確認

場面確かめること注意
他部署の検討状況進み具合や検討内容を、誰に伝えてよいか確認します。同じ会社という理由だけで説明しません。
別案件の条件条件を伝えてよいかと、今回も適用できるかを確認します。共有の了承を、条件適用の了承と混同しません。
相手の社内での共有相手の社内で、どの部署へ、どこまで共有されているか確認します。共有済みと聞いても、詳細まで知られていると考えません。
資料の転用別案件の記載を含む資料を渡してよいか確認します。了承がなければ固有情報を使わずに作ります。
表は編集部作成の例です。

案件をまとめるか分けるかは、相手の進め方を確かめて決める

相談が進むと、まとめて判断したい場合や、部署ごとに進めたい場合が出てきます。連絡の取りまとめ方と提案の判断方法を確認し、案件の区切りを見直します。

  • 何をまとめるか確かめる 連絡だけをまとめたいのか、提案と判断もまとめたいのかを確認します。
  • 別々に進める範囲を決める 判断や期日を別々に扱う場合は、案件を分けて記録する範囲を確認します。
  • 区切りの変更を記録する 変更の理由と確認相手を残します。変更前の資料や未完了の約束を、変更後のどの案件に引き継ぐかも決めます。

進め方が変わったときの対応

場面すること記録
まとめて進めたい連絡、提案、判断のどこをまとめたいか確かめます。まとめる範囲と、個別に残す条件を書きます。
別々に進めたい部署や用途ごとの判断と期日を確認します。案件の区切りと、それぞれの窓口を書きます。
進め方が変わった変更後の進め方を確認し、案件の区切りを見直します。理由、確認相手、資料と約束を引き継ぐ案件を書きます。
表は編集部作成の例です。

会社と案件の記録を分け、担当と更新時点を決める

営業管理表では、同じ会社の案件を区別しながら、共通情報を参照できるようにします。案件ごとの社内の担当と更新する場面を決め、別案件の動きで状態を書き換えない運用にします。

  • 会社と案件を区別する 会社の欄には共通情報を、案件の欄には個別の相談を記録します。各案件の欄に会社の欄への参照を書き、たどれるようにします。
  • 社内の担当者を決める 案件を進める担当者と記録を更新する担当者を決めます。引き継ぎ時は未完了の約束も確認します。
  • 状態を個別に更新する 連絡や判断、期日の変更を確認した時点で、該当する案件だけを更新します。

同じ会社の案件を区別する記録項目

記録項目書くこと
会社の欄会社全体に関わる共通情報と、その確認日を書きます。
案件の欄相談の目的、利用部署や拠点、会社の欄への参照を書きます。
案件の状態その案件で確認した進み具合、判断待ちの内容、確認日を書きます。
相手側の関係者その案件の窓口、利用する人、判断する人を書きます。
社内の担当者案件を進める担当者と、記録を更新する担当者を書きます。
更新する場面約束、期日、判断、案件の区切りが変わったときに更新すると決めます。
表は編集部作成の例です。

案件を分けて管理する方法を決める

ここまでの内容を、実際に相談を受けている会社に当てはめて書き出します。まだ決められない項目には、確認先と確認する時期を残します。

  • 案件の区切りを決める 目的、利用先、判断する人で区切りを考えます。まとめるか分けるかは相手にも確認します。
  • 情報を使う範囲を決める 共通にする情報と案件に残す情報を決めます。別案件の情報を使うときの確認先も残します。
  • 記録と更新を決める 社内の担当と記録先を決めます。案件の状態を個別に更新する場面まで書きます。

複数案件の管理を決めるメモ

決める項目書き出す内容自社の決まり
分ける基準目的、利用先、判断する人、時期のどの違いで分け、相手にどう確認するかを書きます。
案件ごとの担当者相手側の窓口、利用する人、判断する人と、社内で案件を進める担当を書きます。
資料の作り分け宛先・対象・条件のうち案件ごとに変える部分と、別案件の情報を使う前の確認先を書きます。
約束の記録次の対応、期日、対応する担当、相手の希望をどこに残すかを書きます。
共通情報の置き場所会社の欄の場所と、全案件に当てはまるかを確認する方法を書きます。
記録先と更新会社と案件の記録先、更新する担当、案件ごとの状態を更新する場面を書きます。
表は編集部作成の例です。