商談から残す学びは感想ではなく記録で決まる

進まなかった商談にも、次に変える点を探す手掛かりがあります。相手の言葉と商談の流れを読み、次に試すことまで書きます。

  • 記録から振り返る 相手の言葉と自分の解釈を分け、四つの見方で商談を読みます。
  • 直す点を絞る 商談で変える点か、営業先を選ぶ条件を見直す点かを考え、次に試すことを一つ決めます。
  • 読む人を決める 記録を読む人を決め、うまくいった商談も同じ型で残します。

手応えの有無だけでは、直す点は残らない

話しやすかったかどうかと、商談が進まなかった理由は異なります。進まなかった理由を、記録のどの発言から考えたかを書くと、直す点を話し合えます。

  • 反応の前後を読む 手応えだけで結論を出さず、何を伝えた後にどんな反応があったかを読みます。
  • 繰り返した点を探す 進まなかった場面を比べ、同じ説明や問いかけを続けていないかを見ます。
  • 考えた根拠を書く 解釈が食い違うときは、それぞれが根拠にした記録の箇所に戻ります。

感想で終わる振り返りを変える

起きること原因直し方
手応えだけ残る印象と相手の発言を分けずに結論を出しています。印象の根拠になった発言や反応を読みます。
進め方が変わらない進まなかった場面と次の行動が結び付いていません。その場面で変える行動を書きます。
学びが食い違う参照した箇所や発言の読み方が人によって違います。根拠にした記録を示して読み直します。
表は編集部作成の例です。

進まなかった理由は、相手の事情だけとは限らない

相手の事情だけを見ると、こちらが変えられる点を見落とします。四つの見方で記録を読み、分かることと分からないことを分けます。

  • 相手とこちらを分ける 相手が話した理由を読み、こちらの準備に足りなかった点も探します。
  • 話し方と提案を分ける 伝える順番の問題か、提案した中身の問題かを分けて考えます。
  • 記録のある点から読む 記録にない理由は決めつけず、まだ分からない点として残します。

商談を読む四つの見方

見る点確かめること記録から読む箇所
相手の理由進められない事情が語られていたかを見ます。断りや持ち越しに関する発言を読みます。
こちらの準備話を進めるための準備に不足があったかを見ます。答えられなかった問いや説明が止まった箇所を読みます。
話の進め方説明の順番や長さの前後で、相手の反応がどう変わったかを見ます。話題の移り方と、その前後の反応を読みます。
提案の中身相手の課題と提案した内容が合っていたかを見ます。相手が課題について述べた発言と、提案への質問や懸念を読み比べます。
表は編集部作成の例です。

返答がないことは、断りの理由とは限らない

断りや持ち越しには、相手が話した理由と、こちらが推測した理由があります。返答がないときも、その事実だけで理由を決めません。

  • 言葉と解釈を分ける 相手が述べた理由と、その言葉から自分が考えたことを分けて読みます。
  • 持ち越しの理由を読む 何が整えば話を進められるのかを読み、語られていない点を残します。
  • 無返答から断定しない 返答がない理由は分からないと記し、最後に交わした話から考えられることを分けます。

反応から読めることを分ける

相手の反応相手の言葉として残すこと自分の解釈として残すこと
断りがある進められない理由として述べられた内容を記します。提案のどこが合わなかったと考えたかを記します。
持ち越しになる先へ進める前に整えたいと述べられた事柄を記します。進められる条件について考えたことと不明点を記します。
返答がない最後に得た発言を記し、その後に返答を確かめられていないことを分けて残します。理由は不明としたうえで、推測とその根拠を記します。
表は編集部作成の例です。

困った原因は、準備の不足とは限らない

準備不足とまとめるだけでは、次に何を足すかが曖昧です。答えに詰まった場面や説明が止まった場面から、準備できたことがなかったかを考えます。

  • 思い込みを見つける 事前に把握した相手の状況と、商談で聞いた内容の食い違いを読みます。
  • 問いと説明を見直す 聞けなかったことや答えられなかった問いから、準備する内容を絞ります。
  • 話が止まった点を読む 資料や接続の不備で伝えられなかったことを読み、補う準備を書きます。

起きたことから準備を見直す

準備商談で起きたこと次に足すこと
相手の情報事前に想定した状況と相手の説明が食い違いました。想定の根拠を見直し、相手に聞く点を記します。
聞くことと伝えること課題を聞く前に説明を始め、話題がかみ合いませんでした。提案の前に聞く点と、答えに応じて伝える内容を記します。
持ち物と接続資料を示せず、提案への質問が残りました。示す資料と、接続できないときの伝え方を記します。
表は編集部作成の例です。

会話の行き違いは、説明の内容だけとは限らない

同じ内容でも、話す順番や説明の長さで相手の反応は変わります。提案を書き換える前に、会話がかみ合わなくなった場面を読みます。

  • 順番をたどる 相手の話を聞く前に説明していないか、記録の流れをたどります。
  • 説明の区切りを見る 説明が続いた箇所と、相手が発言した箇所を比べます。
  • 返し方を読む 相手の質問や懸念に答えたか、自分が話したい内容へ移ったかを見ます。

会話の流れから直す候補を探す

場面記録から分かること直す候補
提案へ移る場面課題を聞く前に提案の説明へ移っています。相手の課題を聞いてから提案を話します。
説明が続く場面異なる話題を続けて説明し、質問が後に集まっています。話題の区切りで相手の反応を聞きます。
懸念が出た場面懸念への答えがないまま、別の説明へ移っています。懸念の意味を聞き、その点に答えてから話を進めます。
表は編集部作成の例です。

提案の中身は、相手の課題と突き合わせないとずれが残る

説明が伝わっていても、提案が相手の困り事に合っていなければ話は進みません。課題との対応、含める範囲、進め方を読みます。

  • 課題とのずれを読む 相手が解消したいことと、提案で変えられることを突き合わせます。
  • 範囲への反応を読む 含めた内容に過不足がなかったか、質問や懸念から考えます。
  • 実行の負担を読む 提案を進める際に相手が担う作業を読み、相手が負担として挙げた作業を残します。

提案への反応から中身を見直す

見る点相手の反応直す候補
課題との対応提案とは異なる困り事について説明がありました。自社の商品でその困り事に応えられるかを確かめ、応えられるなら提案を組み直します。
含める範囲使わない内容への懸念や、足りない内容への質問が出ました。含める内容と含めない内容を見直します。
進め方社内で担う作業を進められるか、懸念が出ました。作業の分担や着手の順番を見直します。
表は編集部作成の例です。

直す点を絞ると次に試す行動が残る

直す候補を並べるだけでは、次の商談で何を変えるかが曖昧になります。記録に根拠があり、次に試せる点を一つ選びます。

  • 根拠から選ぶ 四つの見方から出た候補を比べ、進まなかった場面と結び付く点を選びます。
  • 行動まで書く 気を付ける点で終えず、次の商談のどの場面で何を変えるかを書きます。
  • 試した結果を残す 実際に変えた行動と、その後の相手の反応を残します。試せなかったときは理由を書きます。

振り返りを次の商談へ持ち込む

  1. 商談の記録を読む
  2. 四つの見方で分ける
  3. 直す点を一つ決める
  4. 次の商談で試す
  5. 変えた行動と相手の反応を残す
反応が変わっても、直した点だけが理由とは限りません。相手や状況の違いも残します。

商談が進まない理由は話し方だけとは限らない

提案や話し方を変えても、商品と相手の状況が合わない場合があります。商談内で直す点とは分けて、営業先を選ぶ条件も見直します。

  • 商品の対応を読む 相手の課題に商品で応えられない場合は、営業先を選ぶ条件を見直します。
  • 決め方とのずれを読む 話した相手の役割と、相手の会社で購入を決める手順を読み、接点を持つ相手を考えます。
  • 時期の理由を読む 今は進められない理由を読み、どんな状況になれば話せるかを営業先の条件に加えます。

商談の外側にある条件を見直す

場面振り返りで分かること営業先の条件への反映
商品が合わない相手の課題が、商品で応えられる範囲から外れています。商品で応えられる課題を持つ企業かを見ます。
決める立場にない相手だけでは決められず、社内の決め方も分かっていません。話した相手の役割と、決める立場の人との関わりを見ます。
時期が合わない別の取り組みが先にあり、今は着手できません。着手できる状況を条件に加え、再び連絡するきっかけはその会社の記録に残します。
表は編集部作成の例です。個々の商談の事情を、同じ業種や地域の企業全体へ広げないようにします。

同じ型の記録があれば商談ごとの違いが分かる

振り返りを一人で終えると、解釈の飛躍に気付きにくくなります。読む人を置き、うまくいった商談も同じ型で比べます。

  • 読む人を決める 上司や同僚など読む人を決め、相手の言葉から言える範囲を一緒に見ます。
  • 進んだ商談も残す 四つの見方で記録を読み、行ったことと相手の反応を分けて残します。
  • 次に試す前に共有する 直す点を決める場面で記録を読み合い、試した後は反応の違いを話します。

記録を読んで学びを共有する

決めること内容注意
読む人記録と直す候補を一緒に読む相手を決めます。印象で結論を出さず、根拠にした箇所を読みます。
進んだ商談の記録相手の理由、準備、話の進め方、提案の中身を残します。進んだ結果だけで、すべての行動がよかったとは考えません。
共有する場面試す前に直す点を話し、試した後に結果を読みます。商談ごとの相手や状況の違いも比べます。
表は編集部作成の例です。

根拠と試す行動を書くと振り返りの抜けが分かる

記録から分かったことと、次に変える行動を同じ表にまとめます。分からないことも記し、読む人と直す点を話します。

  • 言葉と解釈を分ける 相手の発言を根拠にした内容か、自分の推測かが分かるように書きます。
  • 直す点を一つにする 選んだ理由と、次の商談で変える行動を書きます。
  • 読んで結果を追記する 読む人と内容を見直し、試した後に相手の反応と、試した行動を続けるか変えるかを書きます。

商談の振り返りの確認表

確認する項目記入する内容確認する項目記入する内容
相手の理由を記す。進まなかった理由について、相手の言葉と自分の解釈を分けて書きます。こちらの準備を記します。準備と実際の商談の食い違い、その根拠になる場面を書きます。
話の進め方を記す。順番、説明の長さ、返し方のうち、会話がかみ合わなかった箇所を書きます。提案の中身を記します。課題との対応、範囲、進め方について、相手の反応から読めることを書きます。
直す点を記す。選んだ点と、その点を選ぶ根拠になった記録の箇所を書きます。次に試すことを記します。次の商談で変える行動と場面を書き、試した後に相手の反応を追記します。
営業先の条件を記す。営業先を選ぶ条件を見直す内容と理由を書き、変えない場合も理由を書きます。読む人を記します。一緒に読む人と、その人と話して見直した点を書きます。
表は編集部作成の例です。