共同の場で話せる内容は提案のすべてとは限らない

他社の営業担当者が同席すると、説明や回答は他社にも伝わります。商談先の進め方を確認し、共同の場で話す範囲を準備します。

  • 商談の形式を把握する 共同説明か順番での説明かを商談先に確かめ、参加者の役割に応じた準備を決めます。
  • 説明と回答の範囲を決める 共同の場で話す内容と個別に話す内容を分け、他社にも伝わる前提で回答の範囲を決めます。
  • 個別の確認と記録を決める 個別に話す機会を確認し、共同の場と個別の場で話した内容の記録先を決めます。

商談の準備には同席の形式と参加者の役割の確認が要る

他社が同席すると聞いただけでは、説明の進め方までは分かりません。説明と質疑のどこを共同で行うのか、商談先に確認します。

  • 共同になる場面を知る 説明と質疑のどの場面で他社と同席するのかを確認し、共同になる場面を把握します。
  • 役割と進行を知る 参加者それぞれの役割と、誰が進行を担当するかを確認します。複数の役割を兼ねる人も確認します。
  • 説明の区切りを決める 持ち時間と質問を受けるタイミングを確認し、説明する項目と区切りを決めます。

形式による準備の違い

形式確かめること準備の違い
共同で説明各社の発言順と進行役を確認します。自社が説明する項目と区切りを決めます。
順番に説明入退室の時点と他社が聞く範囲を確認します。他社が同席する場面に応じて説明を分けます。
質疑だけ共同質問の宛先と回答順を確認します。共同の質疑で回答できる範囲を決めます。
表は編集部作成の例です。同席の形式が未定なら、誰からいつ案内を受けるかも商談先に確認します。

話す場は話題の内容と誰に伝えてよいかで決まる

商品の説明にも、商談先の事情に踏み込む内容が含まれることがあります。話題の名称だけで分けず、その内容を誰に伝えてよいかを確認して話す場を選びます。

  • 商品の説明は共同の場に置く 商品の機能や利用の流れは、他社の前でも説明できる範囲を確認して共同の場に用意します。
  • 相手の事情は確認した範囲に 社内の課題や運用の詳細は、商談先に共同の場で話してよいと確認できた範囲にとどめます。
  • 条件の相談は個別の場に回す 対応範囲や開始時期の個別調整は、共同の場で扱う必要があるかを確認し、なければ個別の場に回します。

話す場の分け方

内容共同の場個別の場
商品の説明説明可能な機能と利用の流れを示します。相手の運用に当てはめて説明します。
相手の事情共同で扱うと確認できた範囲を話します。踏み込んだ確認をしてよいか尋ねます。
条件の相談共同で示せる標準の条件を説明します。相手ごとの調整事項を相談します。
表は編集部作成の例です。個別の場であっても、扱ってよい内容かを商談先と確認してから話します。

共同の場に出す提案内容は社内で決めておく必要がある

共同の場で詳しい提案を求められても、その場で開示範囲を広げる必要はありません。商談先の要望も踏まえ、提案内容と条件を項目ごとに分けて社内で方針を決めます。

  • 出すかを社内で決める 提案の手順、対応範囲、開始時期などを並べ、共同の場で出す項目と出さない項目を決めます。
  • 理由を項目ごとに書く 商談先の事情を含む、社内確認が済んでいないなど、出さない理由を項目ごとに書きます。
  • 求められた際に備える 回答を求められた際は、説明できる範囲を示し、残りは個別相談と社内確認のどちらが必要かを整理する方針を決めます。

共同の場に出す範囲

区分出すか理由
標準の対応範囲社内で確認した範囲を出します。他社の前でも説明できる内容だから
個別の実施手順共同の場では出しません。商談先の内部事情を含むから
追加対応の条件社内確認が済むまで出しません。対応できるか決まっていないから
開始時期の確定担当部門との調整前は出しません。担当部門との調整が必要だから
表は編集部作成の例です。当日説明する人が複数いる場合も、同じ項目について開示方針を確認します。

他社の説明を評価するのではなく自社の商品について答える

他社の説明への評価を求められることがあります。良し悪しを論じず、質問の焦点について自社が説明できる内容を答えます。

  • 評価から離れて答える 他社への賛否や採点はせず、質問が指す機能や対応について自社の内容を説明します。
  • 説明できる事実を示す 自社の仕様や対応範囲のうち、確認済みの事実と、その説明が成り立つ前提を示します。
  • 不明なことを区別する 他社について分からないことは推測しません。自社の未確認事項も、確認が必要だと区別します。

評価を求められた際の範囲

求められたこと答える範囲注意
他社説明の評価質問の焦点に関する自社の仕様を答えます。他社の説明への賛成や反対を述べません。
他社主張の真偽自社について確認できた事実を答え、他社については分からないと伝えます。他社の事情を推測しません。
自社の対応可否確認済みの対応範囲と前提を答えます。未確認の対応を約束しません。
表は編集部作成の例です。質問の焦点が分からないときは、どの点について知りたいのかを商談先に確認します。

他社の説明は自社の提案を変える根拠とは限らない

他社の説明を聞くと、自社の説明にも内容を足したくなることがあります。準備した説明を基に進め、追加の確認が必要な点は持ち帰ります。

  • 準備した説明を基に進める 他社が強調した点に合わせて内容を変えず、準備した自社の機能と対応範囲を伝えます。
  • その場で約束を足さない 他社の説明に合わせて、確認していない機能や対応を提案に足しません。
  • 必要な確認を持ち帰る 商談先から新たな要望が出た場合は、準備した提案と分けて記録し、対応できるかを後で確認します。

説明を変えたくなった際の対応

起きることすること記録
他社が先に説明準備した自社の説明を基に進めます。自社が説明した項目を残します。
補足を足したい確認済みの範囲を超えて足しません。後で確認したい事項を残します。
新しい要望が出る対応を約束せず持ち帰ります。要望の内容と確認先を残します。
表は編集部作成の例です。自社の説明に誤りがあれば訂正します。他社に合わせて未確認の内容を足すこととは分けます。

相手が比べたい点は他社の強調点とは限らない

他社が強調した内容を、商談先も重視しているとは限りません。判断に必要な観点を確認し、その観点について自社が示せることを整理します。

  • 判断の観点を聞く できること、運用の負担、開始までの準備など、何を判断材料にしたいのかを商談先に確認します。
  • 自社の根拠を示す 確認した観点ごとに、自社の仕様や運用手順で説明できる内容を選び、根拠とともに示します。
  • 示せない点も残す 根拠を示せない事項や追加確認が必要な事項は、示せる内容と分けて記録します。相手の期待に合わせて未確認の内容を補いません。

観点と自社の説明の整理

相手の観点自社が示すこと根拠
必要な機能できる操作と対象外の操作を示します。確認済みの製品仕様を使います。
運用の負担利用時に必要な作業を示します。自社の操作手順を使います。
開始の準備開始までに必要な準備を示します。確認済みの導入手順を使います。
独自の運用確認できるまで可否を保留します。対応できるか未確認であると記します。
表は編集部作成の例です。共同の場で詳しく聞けない観点は、個別に確認したい事項として残します。

共同の場の回答は質問者だけに届くとは限らない

商談先に向けた回答でも、同席する他社に内容が伝わります。誰が聞くかを踏まえ、用意した回答範囲に収まるかを確認します。

  • 回答前に範囲を確認する 質問に答えると、出さないと決めた内容まで伝わらないかを確認し、答えられる部分を選びます。
  • 理由の説明にも気を配る その場で答えない理由を詳しく述べて、伏せるはずの事情を明かさないようにします。
  • 答えない質問を記録する 共同の場で答えない質問は、個別に扱うものと社内確認が必要なものに分けて記録します。

質問ごとの回答範囲

質問の種類共同の場での扱い個別の場での扱い
標準機能の質問確認済みの仕様の範囲で答えます。必要なら利用場面を詳しく聞きます。
内部事情の質問事情を含む回答は控えます。扱ってよい内容か確認して答えます。
個別条件の質問事前に決めた範囲だけ答えます。調整が必要な点を相談します。
回答に必要な情報が未確認未確認であることを伝えます。確認が済んでから回答します。
表は編集部作成の例です。回答の途中で範囲を超えると分かった場合も、続きは個別に扱うか確認します。

共同の商談があっても個別の機会があるとは限らない

共同の説明が終わった後に、個別で話せるとは限りません。扱いたい項目を整理し、個別の時間があるかを商談先に確認します。

  • 予定の有無を確認する 当日の進行に個別の時間が含まれるかを確認し、含まれる場合は扱える内容と参加者を確かめます。
  • 必要な項目を伝える 個別の時間がなければ、扱いたい項目を明かせる範囲で示し、別の機会を設けられるか確認します。
  • 機会がない場合の対応を決める 個別に話せない場合は、未確認の事項を残し、今ある情報で説明できる範囲にとどめます。

個別の機会に応じた対応

状況確かめることすること
個別の予定がある参加者と扱える項目を確認します。個別に話す内容を準備します。
個別の予定がない別の機会を設けられるか確認します。必要な項目を明かせる範囲で示します。
設けられるか未定回答を受ける時期を確認します。それまで保留する事項を記録します。
個別の機会がない確認できていない条件で対応を約束しない範囲を決めます。説明できない点を明示します。
表は編集部作成の例です。個別の機会を設けられなくても、共同の場で話す範囲を広げる理由にはしません。

場と発言者を分けて記録しなければ合意の取り違えが残る

共同の場では、他社の発言と自社の説明が同じ記録に入りやすくなります。個別の場の内容も区別し、誰がどの場で話したかを残します。

  • 他社の発言を区別する 他社の発言は、共同の場で聞いた発言として記録します。自社で確認した事実として扱いません。
  • 自社の回答を残す 自社が説明した範囲、回答を保留した事項、持ち帰った確認事項を、共同の場の記録に残します。
  • 個別の記録を分ける 個別の場の内容は、共同の場の記録と区別できる形で、参加者と確認した内容を残します。共同の場の合意として転記しません。

場と発言者による記録の区分

記録の種類書くこと注意
共同・他社の発言発言者と聞いた内容を書きます。確認済みの事実と混同しません。
共同・自社の発言説明と回答の範囲を書きます。保留した内容を約束として書きません。
共同・相手の発言要望と確認できた事項を書きます。要望と合意を分けて書きます。
個別の場の内容参加者と話した内容を別に書きます。共同の場で伝わった内容と混同しません。
表は編集部作成の例です。どの場で話したか不明な内容は、確認してから記録の区分を決めます。

確認事項を書き出せば当日に確かめる不足が分かる

共同の場で話す範囲は、商談前に自社の言葉で書いておきます。空欄があれば、商談先への確認か社内の判断かを分けて準備します。

  • 確認できた内容を書く 同席の形式と参加者の役割は、商談先に確認した内容を書きます。推測で空欄を埋めません。
  • 回答方針を書き添える 他社を評価せず自社について答え、他社の説明に合わせて未確認の約束を加えない方針も書き添えます。
  • 未定の項目を残す 未定の項目には確認先と確認時期を書きます。出さない内容は、その理由と求められた際の方針も残します。

競合が同席する商談の確認表

確認項目記入欄確認項目記入欄
同席の形式説明と質疑のどこが共同かを書く:参加者と役割誰が何を担当するかを書く:
共同で話す内容他社にも伝わってよい範囲を書く:個別に話す内容商談先と個別に話すと確認できた話題を書く:
出さない提案内容開示しない提案内容・理由・求められたときの回答方針を書く:相手が比べたい点観点と自社が示せる根拠を書く:
個別の機会予定の有無と、ない場合の対応を書く:記録先共同の場と個別の場それぞれの記録先を書く:
表は編集部作成の例です。記入欄には、当日の説明者が読んで判断できる具体的な内容を書きます。