指す先が複数ある箇所では名前を添えると取り違えが減らせる

会社や商品、作業の話が重なると、指示語の指す先を取り違えることがあります。相手が迷う箇所を見つけ、必要な箇所に名前を添えます。

  • 迷う箇所を見つける 自社と相手、商品と作業など、同じ言葉から複数の対象を考えられる箇所を見つけます。
  • 名前を示す箇所を決める 会社名や商品名、作業名を示す箇所を決めます。資料や画面では、対象がある箇所まで示します。
  • 直し方を決めて記録する 聞き返されたときの直し方を決めます。自分が意図した対象と相手が想定した対象、使った言葉を記録し、次の説明に反映します。

直前に出た対象が指す先とは限らない

話す側が直前の対象を指していても、聞く側は前の話を思い浮かべることがあります。同じ言葉が別の対象にも当てはまる箇所を探します。

  • 会社が切り替わる箇所 自社と相手の役割を続けて説明する箇所では、どちらの会社を指すのかを点検します。
  • 商品と作業が並ぶ箇所 商品名の後に続けて利用手順を説明すると、その後の指示語は商品と作業の両方を指す候補になります。
  • 前の話に戻る箇所 話題を戻す箇所では、今の話と前の話のどちらを指すのかを点検します。

指す先が分かれる場面

場面起こり得ること注意
自社と相手対応する会社を逆に捉えます。会社の切り替わりで名前を示します。
商品と作業商品の変更と作業の変更を取り違えます。変更する対象を名前で示します。
今と前の話前の話への補足を今の話に当てはめます。戻る話題が何についての話かを示します。
表は編集部作成の例です。

役割を担う会社は会社名で示すと取り違えずに済む

対応や準備、判断の話では、会社の取り違えが次の行動に影響します。役割が切り替わる箇所で、その役割を担う会社の名前を示します。

  • 対応する会社を示す 問い合わせへの回答や修正を引き受ける会社を示します。窓口と作業する会社が違う場合は分けて記します。
  • 用意する会社を示す 資料や情報を用意する会社を示します。受け取る会社と取り違えないよう、用意する物も併記します。
  • 判断する会社を示す 実施の可否を判断する会社を示します。会社名だけでは足りない場合は部署名も添えます。

役割と会社の示し方

場面示し方注意
対応を決める会社名と、その会社が担う作業を示します。連絡窓口だけで作業する会社を判断しません。
準備を分ける会社名と用意する物を示します。用意する会社と受け取る会社を、それぞれ会社名で示します。
判断を求める判断する会社名と判断事項を示します。必要な場合は部署名まで示します。
表は編集部作成の例です。

商品そのものか作業か結果かは名前で示すと分かれる

商品を指したつもりでも、その商品を使う作業や作業の結果を指したと捉えられることがあります。何について説明しているかを名前で示します。

  • 商品そのものを示す 機能や仕様の話では商品名を示します。複数の商品を扱う場合は、説明の対象が変わる箇所で名前を添えます。
  • 作業の名前を示す 操作や準備の話では作業名を示します。商品名だけで済ませず、何を行う作業なのかを明らかにします。
  • 作業の結果を示す 確認や受け渡しの対象が成果物なら、その名前を示します。作業自体の確認と区別します。

対象ごとの示し方

対象示し方注意
商品そのもの商品名と説明する機能を示します。商品全体の話か特定の機能の話かを示します。
商品を使う作業作業名と使用する商品名を示します。商品への評価と作業への評価を分けます。
作業の結果作成した資料や出力したデータの名前を示します。作業が終わったことと、結果を確認したことを区別して示します。
表は編集部作成の例です。

位置は相手も探せる名前で示す必要がある

手元で位置が分かっていても、相手が同じ場所を見ているとは限りません。画面や資料、職場の場所を指すときは、画面名や項目名、資料名とページなど、相手も探せる名前を示します。

  • 画面名と項目名を示す 画面名と表示されている項目名を示します。左右や上下だけでは、表示の違いで別の箇所を指すことがあります。
  • 資料名と箇所を示す 資料名に加え、ページや見出し、欄の名前を示します。資料全体を指すのか、特定の箇所かを分けます。
  • 場所の名前を示す 職場の場所は拠点名や部屋名で示します。相手に通じる名前が不明なら、場所を特定できる目印を確かめます。

位置を特定する手掛かり

対象示し方注意
画面上の位置画面名と項目名を組み合わせます。表示位置が同じとは限りません。
資料の箇所資料名とページや見出しを示します。同じ資料を開いているか確認します。
職場の場所拠点名と部屋名や目印を示します。話す側から見た方向だけで示しません。
表は編集部作成の例です。

電話では見えていない物と戻る話題に名前が要る

電話では、視線や手の動きで指す先を補えません。共有できている対象には指示語を使い、見えていない物や話題を戻す箇所では名前を示します。

  • 見えない物を名指す 手元の物を指して使う指示語は、物の名前に置き換えます。相手がその物を知らない場合は、用途も添えます。
  • 戻る話題を示す 前の話へ戻るときは、何についての話に戻るかを示します。直前の話を指すと受け取られないようにします。
  • 手元の資料を確認する 資料の有無と資料名を確認してから箇所を示します。手元にない場合は、必要な内容を言葉で説明します。

電話で名前を添える場面

場面すること注意
見えていない物物の名前と必要に応じて用途を伝えます。手元の物が相手にも見える前提で話しません。
前の話へ戻る戻る話題の名前を示してから説明します。直前の話でも、戻る話題を言葉で示します。
相手が持つ資料資料名を確認し、該当箇所を示します。送付済みでも手元にあるとは限りません。
表は編集部作成の例です。

聞き返されたら指示語を繰り返さず名前で示す必要がある

どちらのことかと聞き返されたときに同じ指示語を繰り返しても、指す先の迷いは残ります。対象の名前を示したうえで、その対象について何を伝えたかったのかを説明し直します。

  • 候補から対象を示す どちらかと聞かれたら、該当する対象を名前で示します。その対象に関する説明を短く言い直します。
  • 別の想定に気づく 返答に自分が意図していない対象が出てきて取り違えの疑いがあれば、説明を止めます。意図した対象を示し、どこから取り違えたかを確認します。
  • 自分から直す 曖昧な箇所に気づいたら、その場で名前を補います。すでに伝えた依頼や判断の対象も確認します。

取り違えに応じた直し方

場面すること避けること
どちらか聞かれた対象の名前を示し、説明し直します。同じ指示語を強調して繰り返します。
別の想定が見えた意図した対象と相手の想定を照合します。対象の違いを残したまま先へ進みます。
自分で気づいた対象の名前を補い、その対象について伝えた説明を直します。相手が気づくまで待ちます。
表は編集部作成の例です。

相手の指示語が指す先は自分の想定とは限らない

相手の指示語にも、複数の候補が残ることがあります。依頼や判断に関わる箇所では、思い当たる対象だけで決めず、名前や出来事を確認します。

  • 相手のそれを確かめる 商品、作業、資料などの候補を整理します。候補が複数ある場合は、どの対象についての話かを確かめます。
  • 相手のこちらを確かめる 会社全体、部署、発言者本人のどこまでを指すかを確かめます。引き受ける作業の範囲も確認します。
  • 相手のあのときを確かめる 日時だけでなく、打ち合わせ名や扱った内容で出来事を特定します。自分の記憶だけで話を進めません。

相手の指す先の確かめ方

場面確かめ方注意
相手のそれ対象の名前を挙げて確認します。直前の話題だと決めつけません。
相手のこちら会社名や部署名と担当する範囲を確認します。発言者個人と会社全体を混同しません。
相手のあのとき打ち合わせ名や扱った内容を確認します。記憶にある出来事へ勝手に当てはめません。
表は編集部作成の例です。

うなずきだけでは指す先が一致したとは限らない

説明への賛同があっても、同じ会社や作業を思い浮かべているとは限りません。次の対応を確認する場面で、相手の言葉に出てくる対象を照合します。

  • 言い換えた対象を見る 相手が説明を言い換えた際に、会社名や商品名、作業名が自分の意図した対象と合っているかを確認します。
  • 取り違えの兆しを拾う 想定外の会社や作業が返答に出たら、対象の違いを確認します。合意や反対の理由を考える前に確かめます。
  • 残る疑問を分ける 対象が分からないのか、対象は分かるが内容に疑問があるのかを分けます。対象の迷いなら名前を示し、内容の疑問なら説明を補います。

理解のずれの見分け方

確かめ方確かめることずれていたとき
言い換えを聞く同じ会社や商品、作業を指しているか対象の名前を補って説明し直します。
次の対応を聞く対応する会社と作業の組み合わせが合うか会社名と作業名を対にして確認します。
疑問の箇所を聞く対象の迷いか、内容への疑問か対象を特定してから内容を説明します。
表は編集部作成の例です。

取り違えの記録から名前を補う箇所が分かる

取り違えが起きた事実だけでは、次の提案書を直す場所が分かりません。対象と言葉、修正後の表現を記録し、該当する説明へ反映します。

  • 対象の違いを残す 意図した対象と相手が想定した対象を記録します。会社、商品、作業のどれで認識が分かれたかを残します。
  • きっかけの言葉を残す 指す先が分かれた言葉と前後の話題を記録します。指示語だけを抜き出して原因を決めつけません。
  • 直した表現を反映する 対象を特定できた表現を記録します。提案書の該当箇所に名前を補い、次の説明でも使える形にします。

提案書へ反映する記録

記録項目書くこと理由
取り違えた対象意図した対象と相手が想定した対象を書きます。何と何を区別する必要があるか分かります。
きっかけになった言葉該当する言葉と前後の話題を書きます。名前を補う箇所を見つけられます。
直した言い方対象名を補った表現と提案書の修正箇所を書きます。次の説明と提案書に反映できます。
表は編集部作成の例です。

点検表には商談前の想定と商談後の記録を並べて書く必要がある

商談前は指す先が複数ある箇所を探し、名前を示す言い方を用意します。商談後は聞き返しや取り違えを追記し、実際に迷いが生じた箇所を残します。

  • 商談前に書き込む 説明に使う資料を読み、指す先の候補と意図する対象を書きます。必要な箇所だけ名前を補います。
  • 商談後に追記する 相手が聞き返した箇所と、相手の指示語について確認した内容を残します。取り違えの有無も記録します。
  • 直した表現を保存する 直した言い方と記録先を書きます。提案書や商談メモの該当箇所を、次の準備で見返せるようにします。

指示語の点検表

商談日と相手指す先が複数ある箇所自分が指す対象商談前に用意した言い方相手が聞き返した箇所相手の指示語で確かめたこと取り違えた箇所商談後に直した言い方記録先
点検表は編集部作成の記入欄です。該当しない欄には該当なし、確認できていない欄には未確認と記します。