品質を保つ提案には、相手の評価基準が要る

今と同じ品質という言葉だけでは、提案で保つべき点を特定できません。使う場面と評価の理由を聞き、商談先が判断する基準を整理します。

  • 品質の対象を決める 品質が何を指すかを整理し、誰がどの用途で使う成果物について話しているかを明らかにします。
  • 保つべき条件を決める 評価の理由から、満たさなければ使えない必須条件と、商談先が変更を認める仕上がりの範囲を分けます。
  • 提案前の確認点を決める 人が行う判断と商品で変わる作業を照らし合わせ、品質への影響を商談先に確認してもらう点を記録します。

品質という言葉が仕上がりだけを指すとは限らない

品質には、成果物の仕上がりだけでなく、対応の仕方や早さが含まれることもあります。保ちたい点を分けて聞き、今回の提案で扱う範囲を定めます。

  • 評価の対象を分ける 何の良し悪しを話しているかを、成果物と仕事の進め方に分けて整理します。
  • 言葉を具体的にする 丁寧さや正確さなどの言葉は、どの部分や行動を指すのかまで聞き取ります。
  • 対象の違いを残す 同じ品質という言葉でも対象が違う場合は、別の項目として記録します。

品質という言葉が指す範囲

区分確かめること注意
仕上がり見やすさや表現など、評価する部分を特定します。見た目だけが対象だと決めつけません。
対応の仕方説明や相談への対応で、保ちたい点を聞きます。成果物の評価と混ぜずに記録します。
早さや正確さ必要な時点や、指定どおりに仕上げる範囲を聞きます。早いほど良いという前提を置きません。
表は編集部作成の例です。区分は商談先の説明に応じて調整します。

同じ仕上がりでも、用途が違えば評価は分かれる

成果物の評価は、使う人が何をするために必要としているかと関係します。渡した後の使われ方まで聞き、用途ごとに保ちたい点を整理します。

  • 実際の利用者を捉える 受け取る窓口に加え、その成果物を仕事で使う人と役割を特定します。
  • 成果物で行う仕事を聞く 読む、説明する、判断するなど、利用者が成果物を使って行う仕事まで聞き取ります。
  • 用途ごとの違いを残す 用途が複数ある場合は、それぞれの場面で求められる仕上がりを分けます。

成果物を使う場面の整理

確かめること方法注意
誰が使うか受け渡し後の利用者と、その役割をたどります。窓口と利用者が同じとは限りません。
何に使うか成果物を使って進める仕事を聞き取ります。保管することだけで用途の確認を終えません。
用途による違い使う場面ごとに、重視される部分を聞きます。ある用途の評価を別の用途に当てはめません。
表は編集部作成の例です。用途の説明は商談先に確認します。

作る人の評価が使う人の評価と同じとは限らない

作る人、確認する人、使う人では、気にする部分が異なる場合があります。誰の立場からの評価かを分け、利用を認める判断を誰が担うかも整理します。

  • 立場を分けて聞く 作業のしやすさ、確認のしやすさ、利用のしやすさを、誰が評価しているかとともに記録します。
  • 評価が届く経路を知る 利用者の評価が誰を通じて伝わるかを聞き、直接確認できている内容を区別します。
  • 判断する範囲を分ける 部分ごとの評価者と、成果物を使ってよいと判断する人を整理します。

立場ごとの評価の整理

区分確かめること注意
作る人仕上げる際に重視する点と、その理由を聞きます。作りやすさを利用者の評価と同一視しません。
確認する人どの部分を見て、どこまで判断するかを聞きます。確認する人が利用者の好みも決めるとは限りません。
実際に使う人仕事で使う際に評価する点を聞きます。伝聞の場合は、評価した人と伝えた人を分けます。
表は編集部作成の例です。同じ人が複数の役割を担う場合もあります。

良い例を見ただけでは、保つべき点が分かるとは限らない

良いと判断された成果物には、用途に合っていた点や評価した人の理由があります。評価された箇所と理由を結び付け、今回も保ちたい点を商談先に確認してもらいます。

  • 評価された箇所を絞る 成果物全体への評価で終わらせず、どの部分が良いと判断されたかを特定します。
  • 用途との関係を聞く その部分が、使う人のどの仕事に役立ったのかを聞き取ります。
  • 今回の条件と照らす 過去と今回で用途や評価する人が異なる場合は、同じ理由が当てはまるかを確認します。

良いと判断された理由の聞き取り

聞くこと方法注意
評価された箇所商談先が良いと判断した箇所を示してもらいます。目立つ部分を営業側の推測で選びません。
用途に合う理由その箇所と、利用時に役立った点を結び付けます。見た目が似ているだけで理由も同じとしません。
誰の評価か評価した人の立場と、使った場面を記録します。窓口の感想と利用者の評価を混ぜません。
表は編集部作成の例です。良否の判断とその理由は商談先の説明に基づきます。

修正を求められた箇所が、必須条件とは限らない

修正の理由には、利用に支障が出た場合も、好みから変えた場合もあります。どの条件で評価が下がり、使う人の仕事に何が起きたかを分けて聞きます。

  • 条件を具体的にする 使いにくいと判断された部分と、その評価が生じた場面を聞き取ります。
  • 仕事への影響を聞く 説明し直す、作業を止めるなど、利用時に必要になった対応を整理します。
  • 理由の伝わり方を聞く 評価の理由が、誰から誰へ、どのように伝えられたかを確認します。

評価が下がる条件と影響の整理

条件聞くこと注意
使いにくい仕上がりどの部分が、どの用途で使いにくかったかを聞きます。修正の有無だけで利用できないと判断しません。
仕事に支障が出る利用者の仕事で止まったことや増えた対応を聞きます。影響の大きさは商談先の評価を記録します。
理由が伝わらない評価した人の理由が、作る人まで届いたかを聞きます。理由が不明な点は推測で補いません。
表は編集部作成の例です。経験した事例と、想定している懸念を分けて記録します。

希望された仕上がりが必須条件とは限らない

希望には、使うために欠かせない条件と、選べる範囲での好みが含まれます。満たさない場合の扱いを聞き、商談先に区分を確認してもらいます。

  • 必須条件を分ける 満たさなければ利用を認められない条件を、その理由と判断する人とともに記録します。
  • 認められる幅を聞く 異なる仕上がりでも使える場合は、どこまで変更を認められるかを聞き取ります。
  • 好みの扱いを決める 個人の希望も省略せず、誰の希望かと、その希望を採用するか決める人を記録します。

必須条件と好みの区分

区分見分け方扱い
必須条件満たさない場合に利用を認められるかを聞きます。必須とする理由と判断者を記録します。
認められる幅異なる仕上がりを認めた例と範囲を聞きます。変更を認める境界を商談先に確認します。
個人の好み希望どおりでなくても使えるかを聞きます。希望した人と、採用するか決める人を記録します。
表は編集部作成の例です。区分は営業側で決めず、商談先に確認してもらいます。

完成した成果物だけでは、途中の判断が分かるとは限らない

仕上がりには、作業中に人が行う選択や調整が反映されています。何を見て判断しているかを聞き、作業が変わった後も必要な判断を整理します。

  • 判断の手掛かりを聞く 作業中に見ている部分と、その状態によって変える対応を聞き取ります。
  • 加減の理由を聞く 用途や相手に応じて、表現や詳しさを変える場面と理由を整理します。
  • 判断の引継ぎを考える 作業を変更する場合は、必要な判断を誰がどの段階で担うかを商談先と整理します。

品質を保つための判断の整理

判断聞くこと注意
途中で見極める作業者が何を手掛かりに、そのまま進めるか調整するかを決めているかを聞きます。作業手順だけで判断の確認を終えません。
状況で加減する用途や利用者に応じて変える点と理由を聞きます。同じ仕上がりに固定できると決めつけません。
判断を引き継ぐ作業変更後の判断者と、必要な手掛かりを整理します。判断を担う人が未定なら、未確認として残します。
表は編集部作成の例です。商談先の仕事で必要になる判断を対象とします。

作業が変わっても品質を保てるとは限らない

商品の利用によって変わる作業が、仕上がりのどこに関係するかを整理します。品質を保てるという結論は急がず、商談先が判断できる確認方法を定めます。

  • 変わる作業を示す 商品で変わる作業と、人が引き続き担う作業を、提案の範囲に沿って具体化します。
  • 品質基準と照合する 各作業が、必須条件や人の判断にどう関わるかを商談先と整理します。
  • 確認方法を決める 同じ用途で使った場合を評価できるよう、確認する成果物や場面、評価者を決めます。

作業の変更と品質基準の照合

区分扱い注意
変わる作業変更前後で、作業内容と人の判断がどう変わるかを示します。商品の機能と利用条件を確認できた範囲で記載します。
基準との関係影響する可能性がある品質基準と結び付けます。作業が減ることを品質の向上と同一視しません。
確かめる方法用途と評価者を定め、商談先が評価する方法を決めます。確認が済むまで品質への影響は未確認とします。
表は編集部作成の例です。品質を満たすかどうかは商談先が判断します。

評価の理由を記録して読み合わせれば、解釈の違いが分かる

品質を保つという要望だけでは、後から提案の条件を読み取れません。対象、用途、評価者、理由を結び付け、未確認の点も区別して残します。

  • 評価を文脈ごと残す 何を誰がどの用途で評価したかを、評価の理由と同じ箇所に記録します。
  • 確認状況を区別する 説明を聞いた相手と元の評価者を記録し、商談先に確認できた内容と未確認の内容を読み分けられるようにします。
  • 記録先を明示する 参照した例と判断の理由を後からたどれるよう、保管場所や商談記録の所在を残します。

聞き取り記録に残す内容

記録項目書くこと理由
品質の指す内容対象と、保ちたい部分を具体的に書きます。同じ言葉で別の対象を扱う混乱を防ぎます。
使う場面利用者と、成果物で行う仕事を書きます。用途が変わった際に見直す根拠になります。
評価する人評価者の立場と、判断する範囲を書きます。誰に確認すべきかが分かります。
良否の理由評価された箇所、理由、必須条件と好みを書きます。理由を失わずに提案の条件を確認できます。
人の判断判断の手掛かり、場面、担う人を書きます。作業変更で影響する判断を確認できます。
未確認の点確認内容、確認する相手、記録先を書きます。未確認の内容を合意済みと扱う誤りを防ぎます。
表は編集部作成の例です。評価者と、その評価を伝えた人が異なる場合は併記します。

提案の前提にできる品質条件は、相手が確かめた範囲に限られる

聞き取った内容を確認表にまとめ、商談先の意図と合っているかを確かめます。空欄は推測で埋めず、次に確認する内容と相手を残します。

  • 対象と用途を結ぶ 何の品質を、誰のどの仕事のために保つのかが読み取れるように記入します。
  • 理由から条件を分ける 良否の理由をもとに、必須条件と、好みとして選べる範囲を記入します。
  • 変更前に不足を見つける 商品で変わる作業と人の判断を照合し、商談先に確認してもらう点を記入します。

営業先を絞って実施を依頼する流れ

確認項目記入する内容確認項目記入する内容
品質が指す内容対象と保ちたい部分を記入します。成果物を使う人と用途利用者と、使って行う仕事を記入します。
評価する人立場と判断する範囲を記入します。良いと判断された例該当箇所、用途、評価者、理由を記入します。
評価が下がる条件条件と利用者の仕事への影響を記入します。必須条件利用できない理由と判断者を記入します。
好みの範囲希望する人と、変更を認める範囲を記入します。人が行う判断判断する場面、手掛かり、担う人を記入します。
商品で変わる作業変更内容と、関係する品質基準を記入します。未確認の点と記録先確認内容、確認する相手、記録の所在を記入します。
表は編集部作成の例です。各記入内容には、商談先への確認状況も添えます。