現物の状態は、顧客の回答だけで分かるとは限らない

この資料では、商談先が離れた顧客に現物を確かめてもらい、その回答で判断する仕事を扱います。現物を直接見られる前提を外し、観察から判断までを聞き取ります。

  • 観察の対象を整理する どの仕事で、誰に、現物の何を確かめてもらっているかを整理できます。
  • 回答の使い道を分ける 顧客の回答で決めることと、回答だけでは決められないことを分けられます。
  • 支援の範囲を分ける 商品で支援できる範囲と人の判断が残る範囲を、確認表にまとめられます。
本文では、商談先の取引相手を顧客、提案する自社の商品を商品と表記します。

観察の内容を聞き取るには、場面と現物と相手の確認が要る

顧客に見てもらう仕事があると分かっても、観察の範囲までは分かりません。実際の案件をたどり、頼む場面と現物、頼む相手を結び付けます。

  • 頼む場面を特定する 仕事のどの段階で顧客の回答が必要になったかを聞きます。
  • 現物を特定する 何を見てもらったかに加え、似た現物との取り違えをどう見分けたかを聞きます。
  • 観察する相手を分ける 連絡を受ける人と、現物を見られる人が同じかを確かめます。

場面と対象を特定する整理表

確かめること方法注意
頼む場面過去の案件で、観察を頼んだ前後の仕事を聞きます。問い合わせの受付時だけとは限りません。
対象の現物名称や所在など、対象を特定した情報を聞きます。同じ名称でも同じ現物とは限りません。
頼む相手連絡先と、実際に現物を見た人を聞きます。回答した人が観察したとは限りません。
表は編集部作成の例です。商談先自身が現物を見た仕事と、顧客の回答で判断した仕事を分けて記録します。

頼む観察には、見る以外の行為が含まれるかの確認が要る

現物を見てもらうという説明には、異なる観察が含まれます。見る箇所、比べる状態、触れたり動かしたりしてもらう内容を分けて聞きます。

  • 見る箇所を分ける 全体を見てもらうのか、特定の箇所を見るのかを聞きます。
  • 比べる状態を聞く 別の箇所や以前の状態など、何との違いを回答してもらうかを確かめます。
  • 触れる観察を分ける 触れることや動かすことを含む場合は、その際に何を確かめてもらうかを聞きます。

頼む観察を分ける整理表

区分聞くこと注意
見る箇所現物のどこを、どの範囲まで見てもらうかを聞きます。現物の名称だけでは観察の範囲が分かりません。
比べる状態比較する対象や、違いを見てもらう点を聞きます。顧客と商談先が同じ比較対象を指していたかを確かめます。
触れる内容触れたときの何を回答してもらうかを聞きます。見た状態と触れて分かった状態を分けます。
動かす内容動かした際の何を見てもらうかを聞きます。観察に含めている行為の範囲を記録します。
表は編集部作成の例です。顧客に行為を勧めるのではなく、商談先が頼んでいる観察の内容を聞き取ります。

観察の意図は、説明を渡すだけで伝わるとは限らない

説明を渡した事実だけでは、顧客が同じ箇所を見たかは分かりません。その案件で使った説明のどこで顧客が迷い、何が伝わらなかったかを聞きます。

  • 渡す内容を聞く 観察を頼む際に渡す資料や情報と、それぞれで伝えている内容を聞きます。
  • 迷った箇所を聞く 対象の呼び方や位置の示し方など、顧客が迷った箇所を具体的にたどります。
  • 伝わらなかった例を聞く 意図と異なる観察になった例から、説明をどう補っていたかを聞きます。

伝え方を聞き取る整理表

区分確かめること注意
渡す情報観察を頼む際の資料や説明内容を確かめます。資料があることと、顧客が使えたことを分けます。
迷った箇所顧客から確認が入った言葉や位置を聞きます。商談先には通じる呼び方でも伝わるとは限りません。
伝わらない例頼んだ内容と実際に見た内容の違いを聞きます。説明のどこで意味がずれたかをたどります。
補った説明迷いが分かった後に補った情報を聞きます。現在の説明と、その案件で使った説明を分けます。
表は編集部作成の例です。説明の作り方を提案する前に、現在の伝え方と伝わらなかった事実を記録します。

回答を判断に使うには、誰が何を見て答えたかの確認が要る

回答が届いても、誰が何を見て答えたかが抜けている場合があります。回答の形と受け取る人、聞き返す場面を分けて聞きます。

  • 回答の形を聞く 口頭、文章、選択肢など、どの形で回答を受け取っているかを聞きます。
  • 受け取る人を聞く 最初に受け取る人から判断する人まで、回答がどう渡るかを確かめます。
  • 聞き返す理由を聞く 回答がない場合と、回答はあるが意味を読み取れない場合を分けます。

回答の受け取り方の整理表

区分見分け方扱い
回答の形状態をどう表した回答かを見分けます。受け取る形と、残す内容を聞きます。
回答の経路観察した人の回答か、他の人が伝えた内容かを分けます。途中で要約される箇所を聞きます。
受け取る人受付と判断を同じ人が行うかを分けます。回答を渡す相手と渡す時点を聞きます。
回答がない未回答の項目と、観察できなかった項目を分けます。その違いをどこに記録するかを聞きます。
意味が不明回答済みでも判断に使えない項目を見分けます。聞き返す条件と、その後の扱いを聞きます。
表は編集部作成の例です。回答を受け取ったことと、判断に使える内容が得られたことを分けます。

回答に書かれていない箇所は、確認済みとは限らない

回答に書かれていない状態を、変化がなかったと扱っていないかを確かめます。見落とした箇所と言葉にできなかった状態を分け、補う手掛かりを聞きます。

  • 見落としを聞く 後から未確認と分かった箇所や、見たつもりになりやすい箇所を聞きます。
  • 表しにくさを聞く 程度や変化など、顧客の表現だけでは区別できなかった状態を聞きます。
  • 補う手掛かりを聞く 以前の記録や別の箇所の状態など、回答を読む際に参照している情報を聞きます。

回答で分からない内容の整理表

区分聞くこと注意
見落とす箇所回答後に、見ていなかったと分かった箇所を聞きます。記述がないだけで変化なしとは扱いません。
表しにくい状態同じ言葉でも状態を区別できなかった例を聞きます。表現の違いと現物の違いを混同しません。
観察時の条件見た時点や周囲の条件が回答に含まれるかを聞きます。条件が違えば単純に比較できない場合があります。
補う手掛かり回答と併せて参照する記録や情報を聞きます。手掛かりから推測した内容を、観察した事実と分けます。
表は編集部作成の例です。分からない内容を残すことも、回答を判断材料として扱うために必要です。

判断に要る回答は、何を決めるかで分かれる

回答の受け取り方が分かっても、それが何の判断に使われるかは別に聞く必要があります。決める内容、決める人、回答だけでは決めない条件を結び付けます。

  • 決める内容を聞く 追加確認の要否や次の対応など、回答をもとに決めている内容を聞きます。
  • 決める人を分ける 回答を読む人と最終的に決める人が同じか、別の人へ渡す条件も聞きます。
  • 決めない条件を聞く 情報が足りない場合や回答が食い違う場合に、何を保留するかを確かめます。

回答と判断を結び付ける整理表

区分確かめること注意
決める内容どの回答が、どの判断の材料になるかを聞きます。回答を集める目的だけで終わらせません。
決める人判断する人と、別の人へ渡す条件を聞きます。回答の受付先と判断する人を混同しません。
併せて使う情報回答以外に判断へ使う情報を聞きます。顧客の回答だけで決めたとは限りません。
保留する条件回答だけでは決めなかった案件をたどります。何を待ち、何が分かれば判断を再開するかを聞きます。
表は編集部作成の例です。判断の結論に加え、その結論に使った回答と情報を記録します。

確かめられない場合の扱いを知るには、理由の聞き取りが要る

顧客が確かめられない場合、別の人に頼めば済むとは限りません。現物に近づけない場合や説明を読み取れない場合など、理由ごとの扱いを聞きます。

  • できない理由を聞く 現物を見られないのか、観察の内容が分からないのかを分けて聞きます。
  • 別の人への移行を聞く 別の人に頼む条件と、対象や依頼内容をどう引き継いでいるかを聞きます。
  • 出向く条件を聞く 誰が何を根拠に出向くと決めるか、その判断までの扱いも確かめます。

確かめられない場合の整理表

場面聞くこと注意
現物を見られない所在や立ち入りなど、観察を妨げる条件を聞きます。返答がないことと、観察できないことを分けます。
内容が分からないどの箇所や行為が分からなかったかを聞きます。説明を補っても観察できなかった例を聞きます。
別の人に頼む相手を替える条件と引き継ぐ情報を聞きます。同じ現物を同じ条件で見られるとは限りません。
出向いて見る出向く判断の条件と決める人を聞きます。出向くまで保留する判断も聞きます。
観察を保留する再開の条件と、顧客へ状況を伝える人を聞きます。未確認の状態を確認済みとして扱いません。
表は編集部作成の例です。顧客に観察を続けてもらう方法ではなく、商談先が観察の限界をどう扱うかを聞きます。

回答と現物が食い違う理由は、見落としだけとは限らない

後から現物を見た結果と回答が違っていても、観察後に状態が変わった可能性があります。頼んだ内容と回答、観察の時点をたどれる記録があるかを聞きます。

  • 依頼と回答を結ぶ どの現物への依頼か、誰がいつ観察した回答かをたどれる記録を聞きます。
  • 読み返す場面を聞く 引き継ぎや判断の見直しで、誰がどの記録を読むかを聞きます。
  • 違いの経緯を聞く 見た箇所の違い、表現の違い、その後の状態変化を分けてたどります。

記録と食い違いをたどる整理表

区分確かめること注意
頼んだ内容対象、観察内容、伝えた説明の記録を聞きます。現在の説明に置き換えず、当時の内容をたどります。
受けた回答回答の原文や発言の記録と、要約の残し方を聞きます。顧客の回答と社内の解釈を分けます。
記録を見る場面引き継ぎや判断の見直しで読む記録を聞きます。記録があることと、必要な人が読めることを分けます。
後で分かった違い現物と回答の違いが分かった経緯を聞きます。観察時点と後から見た時点の違いを確かめます。
判断の見直し食い違いによって変更した判断と追記先を聞きます。以前の判断と変更後の判断をたどれるかを聞きます。
表は編集部作成の例です。食い違いが生じた理由を、記録で分かることと分からないことに分けます。

記録を支援できても、現物の状態まで判断できるとは限らない

依頼や回答を残せることと、回答から現物の状態を読み取れることは別です。聞き取った仕事を商品の仕様と照らし、支援できる範囲を分けます。

  • 記録の支援を分ける 対象、依頼内容、回答を対応付けて残せるか、商品の仕様で確かめます。
  • 共有の支援を分ける 必要な人が回答と補足情報を読めるか、実際の受け渡し方と照らします。
  • 残る判断を明記する 回答の解釈や追加確認の要否など、人が決める内容と決める人を記します。

商品と人の役割を分ける整理表

区分扱い注意
依頼と回答の記録必要な項目を残せるか、仕様で確認します。記録できるだけで内容の正しさは分かりません。
回答の共有判断する人へ必要な情報を渡せるか確認します。回答の共有と、意味の理解を分けます。
回答の解釈人が読み取る内容と参照する情報を記します。推測を観察した事実として扱いません。
追加確認の判断聞き返すか、出向くかを決める人を記します。記録の有無だけで判断できるとは限りません。
仕様が未確認確かめる機能と確認先を記します。未確認の機能を支援できる範囲に含めません。
表は編集部作成の例です。商品の支援範囲は、確認できた仕様と商談先の運用条件にもとづいて記します。

支援範囲の提案には、仕事と商品仕様と運用条件の確認が要る

聞き取った内容を確認表にまとめ、依頼から判断までをたどれるか見直します。分からない欄には推測を入れず、未確認の点と記録先を残します。

  • 同じ案件で記入する 場面、観察、回答、判断を同じ案件で記し、仕事の流れをたどります。
  • 事実と推測を分ける 記録で確認した内容と、説明を聞いた内容、推測した内容を区別します。
  • 未確認の点を残す 不足する情報と確認先を記し、商品で支援できると判断した根拠も残します。

顧客に確かめてもらう仕事の確認表

確認項目記入する内容確認項目記入する内容
場面と対象頼む場面、現物、観察する相手を記します。頼む観察の内容箇所、比べる状態、触れる・動かす内容を記します。
頼み方渡す情報と、伝わらなかった箇所を記します。回答の受け取り方回答の形、受け取る人、聞き返す条件を記します。
回答で分からない内容未観察の箇所と、回答を補う手掛かりを記します。回答で決めること決める内容、人、保留する条件を記します。
確かめられない場合理由、別の人に頼む条件、出向く条件を記します。記録と食い違い記録の所在と、後で違いが分かった経緯を記します。
支援できる範囲確認した商品仕様と、人に残る判断を記します。未確認の点と記録先不足する情報、確認先、追記する場所を記します。
表は編集部作成の例です。案件ごとの違いは別に残し、商談先のすべての仕事に当てはまると決めつけません。