正式な記録だけでは途中の判断が分かるとは限らない

帳票の説明だけでは、作業中に何を気にかけているかが見えないことがあります。手元のメモが使われる場面から、提案に必要な情報を聞き取ります。

  • 書く理由を捉える 書き込む紙や帳票と書く人、内容、きっかけを聞き、作業の途中で書き留める理由を整理します。
  • 使われる場面を捉える 見返す人と場面、正式な記録への移し方、使い終えた後の扱いを整理します。
  • 提案する範囲を決める 読めない場合やなくて困った経験を聞き、商品の支援と人の判断を分けます。

メモを書く人と使う人は同じとは限らない

作業中のメモは、書いた本人だけが使うとは限りません。どの作業で何に書き、誰の確認に使われるかを分けて聞きます。

  • 作業の場面を絞る 最近行った作業を取り上げ、書き込みが生じた場面から話をたどります。
  • 書き込む物を特定する 手元の紙や帳票の余白など、実際に書く物と作業との関係を聞き取ります。
  • 使う人も聞き取る 書く人の名前だけで終えず、その書き込みを使って確認や判断をする人も聞き取ります。

書く物と人の確認

確かめること方法注意
作業と書き込む物作業の場面と、書き込む物を対応させて聞きます。正式な帳票の余白も確認に含めます。
書く人その場で書く人と、代わりに書く場合を聞きます。作業の担当名だけで書く人を決めつけません。
使う人書いた後に、誰が何を確認するかを聞きます。書く人と使う人が異なる場合を残します。
表は編集部作成の例です。メモという呼び名がなくても、作業中の書き込みを確認に含めます。

メモの内容は後で使う値だけとは限らない

メモには、後で使う値のほかに、迷いや次に行う作業の書き留めが含まれることがあります。文面を写すことより、何のための内容かを聞き取ります。

  • 内容の役割を聞く 計算や照合に使うのか、考えを保留するのか、次の作業を思い出すのかを聞きます。
  • 確かさを分ける 書かれた内容が確定したものか、今後の確認が必要なものかを分けて聞きます。
  • 混ざった内容を分ける 同じ紙や帳票に用途の異なる内容が書かれている場合は、内容ごとに使い道を整理します。

内容の役割の整理

区分聞くこと注意
後で使う数や状態数や状態を、後のどの作業で使うかを聞きます。一時的な値か、確定した値かを分けます。
気づきや迷い何に気づき、何の判断を保留しているかを聞きます。書き込みを決定済みの内容として扱いません。
次の作業の書き留め思い出す必要がある作業と、その実行場面を聞きます。書き留めが必要になった事情も聞きます。
表は編集部作成の例です。書く内容を分類できても、その内容が確定しているとは限りません。

メモが生まれる理由は記入欄の不足だけとは限らない

正式な記録に欄があっても、その場でメモを書くことがあります。書き始める直前の出来事を手掛かりに、書き留める必要が生じた理由を聞きます。

  • 直前の出来事を聞く 何を見たとき、聞いたとき、迷ったときに書いたのかを、作業の流れに沿って聞きます。
  • その場で書く理由を聞く 後から思い出せる内容か、その場を過ぎると確かめにくい内容かを聞き分けます。
  • 理由を決めつけない 記入欄がないためか、その場で残す必要があるためか、後で照合するためかを聞き分けます。

書くきっかけの確認

区分確かめること注意
書く欄がない必要な内容を、正式な記録のどこにも書けないのかを聞きます。欄がないことと、その場では記入できないことを分けます。
その場で残す時間がたつと何が失われ、確かめにくくなるかを聞きます。記憶だけの問題と決めつけません。
後で確かめる後で何と照らし合わせ、何を判断するために残すかを聞きます。確認する場面まで聞き取ります。
表は編集部作成の例です。同じ内容でも、書くきっかけによって必要な支援が変わることがあります。

メモの役割は、見返す場面と人で分かれる

書く内容が同じでも、作業中の確認と作業後の振り返りでは使い方が変わります。誰がいつ見返し、その後に何をするかを聞き取ります。

  • 見返す直前を聞く 手が止まったときや作業を再開するときなど、メモに目を戻すきっかけを聞きます。
  • 見た後の動きを聞く 内容を読むだけで終わるのか、照合や判断、次の作業に使うのかを確かめます。
  • 本人以外の利用を聞く 別の人が見る場合は、閲覧した事実に加え、何を知るために見たかを聞きます。

見返す場面の整理

区分見分け方扱い
作業中に見る作業を続けるために何を確かめるかを聞きます。見るきっかけと、その後の動きを残します。
作業後に見る終了後に見返した場面と、その目的を聞きます。作業中の利用とは分けて残します。
本人以外が見る見る人と、読み取って使う内容を聞きます。本人の説明が伴うかも残します。
表は編集部作成の例です。見返すつもりだった場合と、実際に見返した場合を分けて聞き取ります。

正式な記録へ移さない内容が不要とは限らない

メモの一部だけが正式な記録へ移り、途中の迷いや確認のための書き留めが残らないことがあります。移す内容と移さない内容を、それぞれの使い道から聞き取ります。

  • 移す時点を聞く どの確認が済むと移せるのかを聞き、書いた時点と正式な記録になる時点を分けます。
  • 移さない理由を聞く 役割を終えたのか、正式な記録には残せない事情があるのかを聞き分けます。
  • 移す際の変化を聞く 移す内容を選んだり、表現を変えたり、計算したりする場合は、その処理と判断する人を聞きます。

移す内容の確認

区分聞くこと注意
移す内容と時点何をどこへ、何が済んだ時点で移すかを聞きます。移す前に行う確認を省きません。
移さない内容残さない内容と、その内容が果たした役割を聞きます。正式な記録にないだけで不要と判断しません。
移す際の変更移す前後で何が変わり、誰が変更を判断するかを聞きます。そのまま写す作業と、判断を伴う作業を分けます。
表は編集部作成の例です。正式な記録に移った後も、元のメモを見返す場合があるかを聞き取ります。

作業の終了がメモの役割の終了とは限らない

作業が終わっても、後の確認のためにメモを残す場合があります。捨てるか残すかだけでなく、何をもって使い終えたと考えるかを聞き取ります。

  • 役割が終わる条件を聞く 作業の完了、正式な記録への移行、後の確認の完了を分けて聞きます。
  • 残す理由を聞く 再び使う見込みがあるのか、捨てる判断がつかないのかを聞き分けます。
  • 残し方の実態を聞く 残す場所と期間の決め方に加え、必要になった際に見つけられるかを聞きます。

使用後の扱いの確認

区分確かめること注意
捨てる何が済んだら捨て、誰がその判断をするかを聞きます。作業が終わる時点と同じかを確かめます。
残しておく残す理由と、その後に使った場面を聞きます。残っているだけの場合も分けて扱います。
場所と期間どこに置き、いつまで残すかをどう決めるか聞きます。決め方がない場合は、そのまま記録します。
表は編集部作成の例です。保管方法を勧める前に、現在の扱いと再び使う場面を聞き取ります。

文字が読めてもメモの意味が分かるとは限らない

文字を読めても、書いたときの状況が分からなければ意味を取り違えることがあります。別の人が使う場面では、本人の説明がどこまで必要かを聞き取ります。

  • 読める範囲を分ける 文字を読めること、意味を理解できること、その内容で作業できることを分けます。
  • 添える説明を聞く 引き継ぎで渡す場合は、口頭で補う内容と、説明する人が不在のときの対応を聞きます。
  • 困った経験をたどる 読めなかった箇所の説明にとどめず、止まった作業と解決までの動きを聞きます。

読み取りの確認

場面聞くこと注意
本人だけが使う意味を理解する際に、記憶で補っていることを聞きます。本人が読めることを、他の人にも当てはめません。
引き継ぎで渡す渡す内容と、一緒に説明する事情を聞きます。受け取ったことと、使えたことを分けます。
読めずに困る何が分からず、誰にどう確認したかを聞きます。文字の読みづらさだけを原因にしません。
表は編集部作成の例です。本人だけで使うメモを、他の人にも読めるように変える提案は急ぎません。

メモがないときの対応から支えていた作業が分かる

メモがなくて困った経験には、普段は見えにくい使い道が表れます。書き忘れと紛失を分け、何ができなくなり、どう補ったかを聞き取ります。

  • 起きたことをたどる 実際の経験を取り上げ、作業のどの時点でメモがないと気づいたかを聞きます。
  • 困り方を具体化する 思い出せない、照合できない、次へ進めないなど、できなくなった作業を聞きます。
  • 補った手段を聞く 再確認や作業のやり直しで補えた内容と、最後まで分からなかった内容を分けます。

メモがない場合の確認

区分確かめること注意
書き忘れた書かなかった場面と、後で必要になった内容を聞きます。なぜその場で書かなかったかも聞きます。
メモを失った失ったことに気づいた場面と、止まった作業を聞きます。別の場所で同じ内容を確かめられたかを聞きます。
困った後の対応誰が何を確認し、どこまで作業を再開できたかを聞きます。補えなかった内容も残します。
表は編集部作成の例です。困った経験がない場合は、想像で補わず、経験が確認できなかったと記録します。

内容を残せても、何を書くかの判断まで担えるとは限らない

聞き取った困りごとのすべてを、商品で支援できるとは限りません。内容を残す操作、正式な記録との対応、人が考えて決める部分を分けます。

  • できる根拠を確認する 商品で扱える内容と操作を確かめ、未確認の機能を提案の前提にしません。
  • 移す先の条件を聞く メモの内容をどの正式な記録へ移すか、移す先と内容が決まる条件を聞き、商品で扱える部分を見分けます。
  • 人が決める部分を残す 何を気にかけ、何を書き留めるかの判断まで、商品に任せられると決めつけません。

支援範囲の切り分け

区分扱い注意
内容を残す聞き取った内容を扱える機能があるか確認します。残せることと、必要な場面で使えることを分けます。
正式な記録への移行移す先と内容を決める条件を、商品の機能と照らします。内容の選択や言い換えに人の判断が入るか確認します。
書く内容の判断気づきや迷いから書く内容を選ぶ部分を、人の判断として残します。支援できる根拠がない部分まで任せません。
表は編集部作成の例です。ここでいう商品は、営業担当者が商談先へ提案する商品を指します。

確認表では聞けた事実と未確認の点を分ける必要がある

聞き取りの結果は、作業ごとに同じ項目で整理します。聞けた事実と未確認の点を分けると、提案の前に追加で聞くことが分かります。

  • 作業を明記する 表の冒頭に作業名と聞いた相手を記し、異なる作業の話を混ぜないようにします。
  • 説明と推測を分ける 相手から聞いた内容を記入し、こちらの推測は未確認の点として扱います。
  • 次に聞く先を残す 未確認の内容には、確認する相手と、確認後に追記する記録先を添えます。

営業先を絞って実施を依頼する流れ

確認項目記入する内容確認項目記入する内容
書き込む物と書く人書き込む紙や帳票、書く人、使う人を記入します。書く内容内容の役割と、確定前か確定後かを記入します。
書くきっかけ直前の出来事と、その場で書く理由を記入します。見返す場面と人見る人、見る時点、見た後の動きを記入します。
正式な記録へ移す内容移す内容・時点・変更と、移さない内容・理由を記入します。使い終えた後捨てる条件、残す理由、場所と期間の決め方を記入します。
別の人が読めるか説明が必要な部分と、読めずに困った経験を記入します。なくて困った例書き忘れや紛失で止まった作業と、その後の対応を記入します。
支援できる範囲商品の機能で扱える部分と、人の判断が残る部分を記入します。未確認の点と記録先未確認の内容、確認する相手、追記する記録先を記入します。
表は編集部作成の例です。この表は営業側の聞き取り用です。商談先へメモの取り方を指示するものではありません。