出来を説明するには、基準と確かめ方の両方が要る

人が行う作業の出来は、経験の長さだけでは説明できません。判断の基準と、その基準を満たしているか確かめる方法を示します。

  • 心配と基準を整理する 相手が心配する出来の違いを整理し、何をもってよい出来とするかを社内の基準から示せるようにします。
  • 社内の説明範囲を決める 実際に行っている作業手順、確認、引き継ぎのうち、商談で説明する内容を決めます。
  • 結果の確かめ方を決める 相手が結果を確かめる方法と、基準に届かなかったときの対応を、社内で決まっている内容から説明できるようにします。

出来の違いへの心配は、何の条件で困るかによって変わる

担当する人への不安には、判断の違いや確認漏れなど、異なる心配が含まれます。どの条件で、どんな出来の違いが困るのかを分けます。

  • 人による違いを分ける 表記のばらつきなのか、判断の違いなのか、作業漏れなのかを具体的に分けます。
  • 時期による違いを分ける 依頼時期が変わっても維持したい、内容の詳しさや確認項目を特定します。
  • 量による違いを分ける 依頼量が増えたときに心配される、省略や取り違えの箇所を特定します。

心配を具体化する整理表

心配の種類確かめること注意
担当者による差同じ依頼で違うと困る箇所を聞きます。好みの違いと作業上の誤りを分けます。
時期による差時期が変わっても保ちたい出来を聞きます。依頼の内容が変わった場合とは分けます。
量が増えた際の差量が増えると抜けそうな箇所を聞きます。量が増えても保ちたい箇所を具体的にします。
表は編集部作成の例です。相手が困る出来の違いに合わせて項目を変えます。

出来の良し悪しは、用途に沿った基準で確かめることができる

丁寧さだけでは、作業の良し悪しを判断できません。結果を何に使うかを踏まえ、確認できる状態として基準を示します。

  • よい出来を具体化する 必要な項目が埋まっている、元の資料と内容が一致するなど、確かめられる状態で示します。
  • 基準の根拠を示す 依頼の目的や、その後に行う業務を根拠に、なぜその基準が必要かを説明します。
  • 対象の外も明示する 依頼に含まれない判断は基準の対象から外し、相手が行う後の処理に必要な状態は基準に含めます。

判断できる基準の決め方

確かめること方法注意
出来の条件必要項目や照合対象を明記します。丁寧、きれいなどの感覚だけで決めません。
基準の根拠用途と、誤りがあると困る箇所を結び付けます。社内の都合だけで基準を決めません。
含めないこと対象外の作業や判断を記載します。対象外の内容を書かずに済ませません。
表は編集部作成の例です。社内で実行できるかを確かめてから提示します。

手順の説明には共通部分と裁量の区別が必要だ

手順書があっても、すべての判断が決まっているとは限りません。共通して行う作業と、状況に応じて判断する範囲を分けて説明します。

  • 共通する手順を示す どの担当でも行う作業の順序と、省略しない項目を示します。
  • 裁量の範囲を示す 状況に応じて変えてよい部分と、判断に迷ったときの相談先を示します。
  • 変更の決め方を示す 手順を変える判断者と、変更後も同じ基準で出来を確かめる方法を説明します。

手順と裁量の説明範囲

区分すること注意
共通する手順作業の順序と必須項目を示します。手順書の存在だけで説明を終えません。
裁量がある範囲変えてよい内容と相談が必要な条件を示します。判断の基準まで自由に変えません。
手順を変えるとき変更の判断者と適用する作業を明確にします。出来への影響を確かめてから適用します。
表は編集部作成の例です。予定している手順と、実際に行っている手順を混同しません。

確認の説明では、役割・時点・項目を示すことになる

確認しているという説明だけでは、何を見ているかが伝わりません。確認する役割、時点、項目と、問題が見つかった後の扱いを示します。

  • 役割と時点を示す 作業をした人が確かめるのか、別の人が見るのかを、確認する時点とともに示します。
  • 項目と範囲を示す 判断の基準に対応する確認項目と、全体を見るのか一部を見るのかを説明します。
  • 発見後の扱いを示す 不備を見つけたときに誰が修正を判断し、修正後に何を確かめるかを示します。

確認の仕組みを説明する項目

場面すること注意
作業を終えたとき決めた項目に沿って作業内容を確認します。作業者による確認か、別の人の確認かを示します。
相手に渡す前必要項目や元の資料との一致を確かめます。一部の確認を全体の確認として説明しません。
不備を見つけたとき修正を判断する人と再確認する項目を示します。直したという報告だけで確認を終えません。
表は編集部作成の例です。確認で見つけられる範囲も含めて説明します。

引き継ぎで渡すものは、作業内容だけとは限らない

資料を渡すだけでは、判断の理由まで伝わるとは限りません。引き継ぐ内容と、交代後に同じ基準で作業できているかの確かめ方を示します。

  • 判断の理由も渡す 依頼条件、判断の基準、例外の扱いに加え、その扱いを決めた理由も引き継ぎます。
  • 知らせる内容を決める 交代を知らせる時点と、手順や範囲に変更がある場合の説明内容を決めます。
  • 交代後の出来を見る 新しい担当による作業を基準と照合し、引き継ぎ内容の抜けや解釈の違いを確かめます。

担当が変わるときの引き継ぎ

場面すること避けること
交代する前条件、基準、例外と判断理由を渡します。資料の保存場所だけを伝えて済ませません。
交代を知らせるとき交代の時点と、手順や範囲への影響を伝えます。新しい担当の経歴だけを説明して済ませません。
交代した後基準との照合で解釈の違いを確かめます。資料を読んだことだけで引き継ぎ完了としません。
表は編集部作成の例です。担当交代後も同じ基準で判断できるかに絞って説明します。

相手が結果を確かめるには、基準と照合できる材料が要る

社内で確認していても、相手が同じように確かめられるとは限りません。納品物や作成途中の成果物で、どの項目をどう見るかを決めます。

  • 納品物で見る箇所を示す 判断の基準に対応する箇所と、照合に使う資料を示します。
  • 途中の出来を見てもらう 判断が分かれやすい箇所は、作成途中の成果物で確認できるかを検討します。
  • 確認項目を先に決める 何を見れば基準を満たしたと判断できるかを、作業を始める前に決めます。

相手が出来を確かめる方法

場面すること注意
納品物を見るとき確認箇所と照合する資料を示します。社内でしか見られない情報を前提にしません。
途中の出来を見るとき判断が分かれやすい箇所を提示します。未完成のため判断できない部分を明示します。
作業を始める前確認項目と基準を満たす状態を決めます。作業の途中で加わる希望は、当初の基準と分けます。
表は編集部作成の例です。作業の進み具合ではなく、成果物の出来を確かめる方法です。

担当者の経験だけで出来が決まるとは限らない

経験があることと、今回の作業が基準に届くことは別です。個人の技量を約束せず、実際に行う手順と確認を説明します。

  • 経験を約束の根拠にしない 経験の長さを、今回の出来を約束する根拠に使いません。依頼に対して行う作業を示します。
  • 手順と確認で説明する 判断の基準に対し、どの手順と確認を設けているかを説明します。
  • 特定の人を約束にしない 特定の人なら問題が起きないとは約束せず、社内で決まっている対応を示します。

人の技量に頼らない説明の型

場面すること避けること
経験を聞かれたとき経験の内容を答えたうえで、今回の作業で用いる基準と手順を示します。経験が長ければ不備は起きないと説明しません。
技量を聞かれたとき判断に迷う場合の相談と確認を説明します。得意という評価だけで出来を約束しません。
個人名が挙がるとき誰が担当しても適用する手順を示します。特定の人が担当すれば不備が起きないとは約束しません。
表は編集部作成の例です。手順や確認の説明も、不備が起きないという約束にはしません。

やり直しの範囲は、当初の基準との差から決めることができる

不満があっても、当初の基準に届かない場合と、希望が追加された場合では扱いが異なります。基準との差を確かめ、対応する範囲を決めます。

  • 基準との差を確認する 相手が確認に使った材料を見て、どの箇所がどの基準に届いていないかを確かめます。
  • やり直す範囲を決める 修正する箇所と関連する確認範囲を定めます。追加された希望は別に扱います。
  • 連絡の流れを示す 連絡先、内容を確認する役割、対応を判断する役割と、相手への回答の順序を示します。

基準との差が見つかった後の対応

場面すること注意
指摘を受けたとき対象箇所と当初の基準を照合します。原因を確かめる前に、担当者の力量が原因だと決め付けません。
対応を決めるときやり直す箇所と再確認する範囲を示します。追加の希望を当初の不備と混同しません。
相手へ回答するとき確認結果と対応範囲、再確認の方法を伝えます。未確定の内容は、いつ答えられるかを添えて伝えます。
表は編集部作成の例です。商談では、社内で決まっている対応の範囲を説明します。

記録には、示した基準と確かめ方まで残す必要がある

品質について説明したとだけ残しても、後から判断の基準をたどれません。相手の心配と、示した内容、確かめ方を結び付けて記録します。

  • 心配の中身を残す どの条件で、どんな出来の違いが困るのかを、用途とともに記録します。
  • 説明した範囲を残す 示した基準、作業手順、確認、引き継ぎ、基準に届かない場合の対応を残します。
  • 確かめ方と未決事項を残す 相手の確認方法と、まだ決まっていない内容を分けます。使った資料も特定できるようにします。

後から判断をたどれる記録

記録項目書くこと理由
相手の心配困る出来の違いと、その理由を書きます。何に対応する説明だったかが分かります。
示した基準判断条件、根拠、対象外の内容を書きます。後から加わった希望と区別できます。
手順と確認説明した手順、確認、引き継ぎを書きます。商談で示した作業の扱いを参照できます。
確認方法と対応相手の確かめ方と、基準に届かない場合の対応を書きます。指摘があったときに説明内容をたどれます。
資料と未決事項使った資料の名称と更新日、未決事項の確認先を書きます。説明済みの内容と未確定の内容を分けられます。
表は編集部作成の例です。説明した内容と、相手と合意した内容は区別して記録します。

品質説明の確認表で説明が足りない箇所が分かる

各欄に具体的な内容を書けるかを見ると、説明の準備が足りない箇所が分かります。商談前に準備し、商談後に相手の心配と合意内容を反映します。

  • 書けない欄を見つける 丁寧に行うなどの表現しか書けない欄は、基準や方法を具体化します。
  • 未決の確認先を残す 未確定の欄には確認先と回答する時点を記し、決定済みの内容と分けます。
  • 商談後に更新する 相手と合意した内容を反映し、作業を担当する人が参照できる記録先に保存します。

品質説明の確認表

確認項目記入欄確認項目記入欄
商談日と相手相手が心配している差
判断の基準作業の手順
確認の仕組み引き継ぎの方法
相手が確かめる方法基準に届かなかったときの対応
記録先未決事項と確認先
記入欄です。各欄には説明内容を書き、関連資料がある場合は参照先も残します。