商談の始め方は相手の様子と時間の制約によって変わる
初対面だからといって、雑談を挟む必要はありません。相手の言葉や様子から、話題に応じるか、用件に入るかを判断します。
- 雑談を挟むか決める 相手の発言や時間の制約を手がかりに、雑談に応じるか、用件から始めるかを決めます。
- 話題と移り方を決める 相手の事業や訪問先から話題を選び、避ける話題と用件へ移る言葉の組み立て方を決めます。
- 次回の始め方を決める 商談の形式や同席者に合わせて始め方を変え、相手の反応を記録して次回に生かします。
初対面の商談でも雑談が必要とは限らない
雑談を求めていない相手には、話題探しが用件を遅らせることがあります。初対面という理由だけで、雑談から始めると決めないようにします。
- 雑談を前提にしない 場を和ませようとする前に、相手が何を話そうとしているかに目を向けます。
- 時間の制約を優先する 使える時間が限られていると分かったら、雑談を足さずに用件に入ります。
- 明確な用件から始める 相手が用件を尋ねたり、資料を開いて説明を求めたりしているなら、その求めに沿って始めます。
雑談を挟まない判断
| 場面 | 起こり得ること | 注意 |
|---|---|---|
| 雑談を求めていない | 話題を足すほど、相手に返答を求めることになります。 | 雑談への反応を引き出そうとしません。 |
| 時間が限られている | 用件を話す余裕が減ります。 | 告げられた時間の制約を優先します。 |
| 用件が明確である | 用件への移行を待たせてしまいます。 | 初対面でも用件から入って差し支えありません。 |
沈黙していても雑談を求めているとは限らない
相手が話し始めたら、話題と発言の続きに注意を向けます。沈黙している場合は、雑談を望んでいると決めつけず、相手が話し出す様子がなければ用件に入ります。
- 話し始めた内容に応じる 雑談が始まったら、その内容に応じます。返答の後も話が続くかを見て、話題を広げるか判断します。
- 用件の問いに答える すぐに用件を尋ねられたら、その問いに答えます。準備していた雑談を挟む必要はありません。
- 沈黙を埋めようとしない 相手が話し出しかけていないかを見ます。発言がなければ、用件から始めます。
相手の出方に応じた判断
| 場面 | すること | 注意 |
|---|---|---|
| 相手が雑談を始めた | 話し始めた内容に応じ、続きを聞きます。 | まず相手の話に返答し、話が続くかを見てから広げるかを決めます。 |
| 用件を尋ねられた | 尋ねられた用件に答えます。 | 雑談へ引き戻しません。 |
| 相手が沈黙している | 発言の有無を見て、用件に入ります。 | 沈黙を雑談の要望と解釈しません。 |
用件を急いでいるかは動作だけでは分かるとは限らない
使える時間を先に告げられたら、用件を優先する手がかりになります。資料を開く動作や同席者の様子は、相手の発言と合わせて読み取ります。
- 時間の発言を重く見る 使える時間を先に告げられたら、雑談より用件を優先します。時間を告げただけで急いでいるとは限らないので、表情だけで判断を変えません。
- 資料と発言を合わせる 資料を開いていても、雑談を避けたいとは限りません。説明を求める発言があるかを見ます。
- 待っている人にも目を向ける 同席者が用件の開始を待っているなら、目の前の相手との雑談を広げずに本題へ移ります。
用件を優先する手がかり
| 手がかり | 読み取ること | 注意 |
|---|---|---|
| 時間を先に告げた | 用件を優先する必要があります。 | 雑談できそうな表情でも制約を優先します。 |
| 資料を開いている | 用件を話す準備がある可能性があります。 | 動作だけで雑談の要否を決めません。 |
| 同席者が用件を待っている | 雑談を続けると、待っている人の時間を使います。 | 話している相手だけを見て判断しません。 |
雑談の話題にも相手が話せる範囲の見極めが必要だ
相手が始めた雑談に応じるときも、自分から話題を出すときも、相手の事業や訪問先に関わる情報から選びます。見聞きした情報でも、詳しい説明を求めてよいとは限りません。
- 見える範囲から選ぶ 訪問先では、来訪者に向けて示されているものを候補にします。手元の書類は話題にしません。
- 公開情報の範囲にとどめる 事業の公開情報は、確認できた事実の範囲で扱います。未公表の事情を聞き出さないようにします。
- 共有した経緯から選ぶ 商談に至った経緯は、双方が知っている部分を扱います。紹介者の私的な情報は持ち出しません。
話題の元を選ぶ基準
| 話題の元 | 選び方 | 注意 |
|---|---|---|
| 訪問先で見たもの | 来訪者向けに示された範囲から選びます。 | 見えたものすべてを話題にしません。 |
| 事業の公開情報 | 公開元と内容を確認できた情報を選びます。 | 事実に推測を足しません。 |
| 商談に至った経緯 | 双方が知っている経緯から選びます。 | 第三者の情報を不用意に広げません。 |
雑談でも踏み込まない話題を決める必要がある
相手の私生活・家族・政治・宗教・健康は、自分から話題にしません。相手が話し始めた場合も、短く応じるにとどめて広げません。会社の内部事情も、公開されていない内容を雑談で探らないようにします。
- 私生活や家族を扱わない 相手の私生活や家族は、自分から雑談の話題にしません。相手が話し始めても、詳しく尋ねません。
- 政治や宗教や健康を扱わない 政治・宗教・健康は、自分から雑談の話題にしません。相手が話し始めても、意見を述べたり尋ねたりしません。
- 内部事情を探らない 会社の内部事情は、うわさや推測で尋ねません。用件に関わる確認が必要なら、雑談と分けて扱います。
話題にしない範囲
| 避ける話題 | 理由 | 代わりに話すこと |
|---|---|---|
| 私生活や家族 | 個人的な事情に踏み込むことになります。 | 事業の公開情報の範囲で話します。 |
| 政治や宗教や健康 | 個人の考えや事情に踏み込むことになります。 | 訪問先で来訪者向けに示された情報を扱います。 |
| 会社の内部事情 | 相手が答えにくい内容を求めることになります。 | 双方が知っている商談の経緯を扱います。 |
用件へ移る時機は相手の話の区切りで決まる
雑談を終えるときは、相手の話が区切れたところで切り替えます。時間の制約があるときは、区切りを待ちすぎずに用件へ移ることを伝えます。話題を用件に無理に結び付けず、用件へ移ることが伝わる言葉を挟みます。
- 話の区切りを待つ 話が続いている間は遮らず、区切りで短く応答します。新たな質問を足さず、用件へ移ります。時間が限られているなら、次の区切りで移ることを伝えます。
- 切り替えることを伝える 自分から移るときは、相手の話題に短く応じ、用件に移ることを伝え、それから用件を話す、という順に言葉を組み立てます。
- 相手の切り替えに従う 相手が用件を話し始めたら、その内容に答えます。雑談を締め直すために話を戻しません。
切り替えの言葉を組み立てる
| 場面 | すること | 避けること |
|---|---|---|
| 相手の話が区切れた | 短く応答してから用件へ移ります。 | 追加の質問で雑談を再開しません。 |
| 自分から切り替える | 用件へ移ることを伝えてから話します。 | 雑談と商品の話を強引に結び付けません。 |
| 相手が切り替えた | 相手が示した用件に答えます。 | 言い残した雑談を差し込みません。 |
画面越しや電話の沈黙は雑談の要望とは限らない
オンライン商談や電話では、沈黙の理由が見えにくいことがあります。接続や音声を確認したうえで、相手が話し始めた内容に応じます。
- 映像だけで決めない 映像があっても、視線や表情だけで雑談の希望を判断しません。発言の内容を優先します。
- 返答の前の沈黙を待つ 電話など音声のみの場合は、相手が返答する前の沈黙を雑談で埋めません。聞こえているかを確認します。
- 接続確認を終えて始める 接続確認中の発言と雑談を分けます。会話できる状態になってから、話題に応じるか決めます。
商談の形式に応じた始め方
| 場面 | 始め方 | 注意 |
|---|---|---|
| 映像がある | 音声が通じたら、相手の発言に応じます。 | 画面の背景から私生活を話題にしません。 |
| 音声のみで話す | 相手の返答を待ち、用件の問いに答えます。 | 声の調子だけで雑談の希望を決めません。 |
| 接続を確認している | 互いに聞こえることを確認してから始めます。 | 応答の遅れを関心の低さと決めつけません。 |
同席者がいる商談では全員が分かる話題かで決まる
話しやすい相手とだけ雑談を続けると、ほかの参加者を待たせることがあります。同席者がいる場合は、その場の全員が分かる話題かを判断します。
- 相手側の全員を見る 発言している人だけでなく、ほかの参加者の様子も見ます。用件を求める発言があれば応じます。
- 自社側の話し手を決める 冒頭を話す人を決めておきます。同席者が順番に雑談を足して、用件を遅らせないようにします。
- 面識の差に配慮する 面識のある人だけが分かる話題は広げません。説明が長くなるなら、用件から始めます。
同席者に応じた判断
| 場面 | すること | 注意 |
|---|---|---|
| 相手側に複数いる | 全員が聞いて分かる範囲で話します。 | 発言者の反応を全員の希望とみなしません。 |
| 自社側に複数いる | 決めた話し手を中心に始めます。 | 別の同席者が雑談を再開しません。 |
| 初対面の人と面識のある人がいる | その場で共有できる内容を選びます。 | 過去の付き合いを長く説明しません。 |
始め方と反応を分けて記録すると次回に判断できる
始め方を振り返るときは、何をしたかと相手がどう応じたかを分けて残します。その日の反応を、相手の変わらない好みと決めつけないことが大切です。
- 始めた順序を残す 雑談と用件のどちらから始めたか、その判断に使った相手の発言や状況を記録します。
- 見聞きした反応を残す 相手が話を続けたか、用件を尋ねたかを記録します。性格や商談の成果まで推測しません。
- 次回の案として残す 次回の始め方は仮の案にします。当日の時間や同席者が変われば、判断し直します。
次回に使える記録
| 記録項目 | 書くこと | 理由 |
|---|---|---|
| 始め方 | 雑談か用件かと、その判断の根拠を書きます。 | 同じ状況かを次回に見直せます。 |
| 相手の反応 | 実際にあった発言や行動を書きます。 | 印象と観察した事実を分けられます。 |
| 次回の始め方 | 始め方の案と、変更する条件を書きます。 | 前回の対応を固定せずに済みます。 |
確認表には発言や動作と読み取ったことを分けて書く必要がある
商談の後に、相手の様子、選んだ始め方、実際の反応を確認表に残します。次回は記録を読み返し、その場の様子に合わせて始め方を選び直します。
- 根拠と解釈を分けて書く 相手の発言や動作と、そこから読み取ったことを分けて書きます。判断できなかった点も残します。
- 話題と移り方を残す 雑談をした場合は、話題の元と用件への移り方を書きます。雑談をしなかった場合も明記します。
- 次回に読める場所へ残す 相手の反応を踏まえて次回の案を書き、次回の準備で読める場所に保存します。相手の私的な話は残しません。
商談の始め方の確認表
| 確認項目 | 記入欄 | 確認項目 | 記入欄 |
|---|---|---|---|
| 商談日と相手 | 相手の発言や動作 | ||
| そこから読み取ったこと | 始め方 | ||
| 雑談の話題の元 | 避けた話題 | ||
| 用件への移り方 | 相手の反応 | ||
| 次回の始め方 | 記録先 |
