相手の賛同だけでは、現状を聞けたとは限らない

質問に自分の見立てが混ざると、相手が見立てに賛同しただけでも、現状を確認できたように見えることがあります。相手が違う答えも返せるように、質問の前提を点検します。

  • 知らないことを見つける 確認済みの事実と自分の推測を分け、質問で何を知りたいのかを決めます。
  • 答えを狭める前提を外す 困りごとや原因の決めつけを外し、異なる説明や分からないという回答も返せる形にします。
  • 質問と記録を点検する 誘導に気づいた質問を聞き直し、前提と回答を点検表に残す方法を決めます。

質問の出発点には、事実と推測の区別が必要だ

資料や過去の発言を読んでも、まだ知らないことは残ります。質問を作る前に、確認できた内容と自分が補った説明を書き分けます。

  • 確認した範囲を書く 情報源と確認時点を添え、確認できた業務と期間の範囲を書きます。
  • 推測を別に書く 困りごと、原因、商品の必要性について、自分が予想した内容を分けて書きます。
  • 不明点から質問を作る 推測への賛同ではなく、まだ分からない事実や相手の判断を尋ねる形にします。

質問を作る前の仕分け

区分中身注意
確認済みの情報情報源で確認した内容を書きます。対象と確認時点を添えます。
自分の推測情報から自分が考えた説明を書きます。相手が話した事実に混ぜません。
未確認の点判断に足りない情報を書きます。空欄を推測で埋めません。
確認用の質問不明点を尋ねる質問を準備します。予想と違う答えも成立する形にします。
表は編集部作成の例です。表は質問文ではなく、準備する内容を示しています。

手間がかかる業務でも、困っているとは限らない

手間のかかる進め方を見つけても、相手が変更を望んでいるかは未確認です。困りごとの有無を置き去りにせず、現在の進め方から確認します。

  • 困っていると決めつけない 負担や不満がある前提で、程度や影響だけを尋ねる質問になっていないかを見ます。
  • 進め方と評価を分ける 現在の作業を確認した後、その進め方をどう評価しているかを別に尋ねます。
  • 出てきた困りごとに絞る 困っている点が示されたら、該当する場面を確認します。業務全体の問題へ広げません。

困りごとを含む前提の点検

質問の型起きること直し方
困りごとを前提にする困っていない場合も、困りごとの程度を答えさせる形になります。困りごとの存在を前提から外します。
現状から確認進め方と、それに対する評価を区別できます。作業の内容を聞いてから評価を尋ねます。
困りごとが出た後一部の不満を業務全体へ広げるおそれがあります。相手が困っていると述べた作業と場面に、確認する範囲を絞ります。
表は編集部作成の例です。困っていないという回答も、確認結果として残します。

出来事の確認だけでは、原因が分かったとは限らない

出来事を確認しても、その原因まで確認できたことにはなりません。自社の商品で変えられることを、原因として質問に埋め込まないようにします。

  • 出来事を先に確かめる 何が起きたかを確かめ、なぜ起きたと考えるかは別の確認事項にします。
  • 別の原因も残す 自分が想定した原因を外し、別の説明や、原因はまだ分からないという回答も返せるようにします。
  • 商品から原因を作らない 自社の商品で補える点を原因に置かず、原因の説明が何に基づくかを確認します。

原因を含む前提の点検

質問の型起きること直し方
原因を指定指定した原因がある前提で話が進みます。出来事と原因の説明を分けて尋ねます。
原因を絞る別の要因や、原因不明という回答が返しにくくなります。想定外の説明ができる余地を残します。
商品から逆算商品で変えられる点を原因扱いします。商品との関係を外して原因を確認します。
原因の説明後相手の推測を確認済みの原因にしがちです。説明の根拠と未確認部分を分けます。
表は編集部作成の例です。原因についての発言も、根拠を確認していなければ相手の推測として残します。

商品への好意的な評価と現状の問題は分けて聞く必要がある

商品の説明後に得た感想は、主にその商品についての評価です。現在の業務で何が起きているかとは分けて確認し、記録します。

  • 現状だけを聞く 現在の作業や判断を尋ねる段階では、商品の便利さへの賛同を求める内容を混ぜません。
  • 商品評価へ切り替える 説明後は、商品への評価を求める段階だと示し、どの点への評価かを確認します。
  • 感想のまま記録する 好意的な感想を、現状への不満や導入の必要性を確認した記録へ書き換えません。

現状の確認と商品評価の区別

場面聞くこと注意
現状の確認現在の作業や判断の内容を尋ねます。商品が必要だという前提を入れません。
商品の説明後説明した商品への評価を尋ねます。評価の対象になった機能や条件を残します。
感想の記録どの点をどう評価したかを確認します。業務上の事実とは別の欄に書きます。
表は編集部作成の例です。商品への評価だけでは、導入の必要性は確認できません。

まとめた質問への賛同は全体への賛同とは限らない

作業への評価と商品の必要性をまとめると、返答がどちらを指すか分かりにくくなります。別々に答えられる内容は、質問も分けます。

  • 判断の対象を分ける 同じ質問に含めた内容を抜き出し、それぞれ異なる回答が成り立つかを見ます。
  • 返答の対象を特定する まとめて聞いた後は、賛同した対象が不明なまま、すべて確認済みにしません。
  • 部分的な賛同を残す 賛同した内容、異なる見方を示した内容、まだ答えていない内容を分けて記録します。

複数の判断をまとめた質問の点検

質問の型起きること直し方
評価と必要性作業への不満が商品の必要性への賛同に見えます。作業の評価と商品の必要性を分けます。
複数作業の評価どの作業への評価なのかが曖昧になります。評価する作業ごとに質問を分けます。
事実と理由返答が事実と理由のどちらを指すか分かりにくくなります。事実を確認した後で理由を尋ねます。
部分的な賛同一部への賛同が全体への賛同として記録されるおそれがあります。賛同した対象だけを賛同済みとして記録し、確認した事実とは分けます。
表は編集部作成の例です。答えられていない内容は、賛同ではなく未確認として残します。

用意した選択肢だけでは、相手の説明を拾えるとは限らない

選択肢は答える範囲を示す一方で、こちらの想定を含みます。当てはまるものがない場合や、判断できない場合の答えも返せる形にします。

  • 当てはめる前に聞く 選択肢を作る材料が足りなければ、まず相手自身の説明を求めます。
  • 候補以外の答えも残す 候補を示す場合も、候補以外の説明、該当なし、複数該当を答えられる形にします。
  • 不明を回答として残す 分からないという回答を否定や無関心に置き換えず、何が未確認なのかを記録します。

選択肢を使う場面の点検

場面すること注意
候補を作る前相手の説明を基に、確認したい内容に合う候補を作ります。自社に都合のよい候補だけを作りません。
候補を示すとき候補以外の説明もできる形にします。どれかを選ぶ前提にしません。
複数が当てはまる当てはまる範囲をそれぞれ確認します。複数の候補に当てはまる場合、一つに絞らせません。
判断できないとき判断できない対象を記録します。回答がない部分を否定として扱いません。
表は編集部作成の例です。候補の提示によって、別の説明ができなくなっていないかを見ます。

短い回答で確認できる範囲は、質問の対象に限られる

短く答えられる質問も、対象が明確な事実の確認に使えます。ただし、その回答だけで評価や理由まで分かったことにはなりません。

  • 対象と時点を決める 有無や実施状況を確かめる前に、対象の業務と期間を明確にします。
  • 評価や理由を外す 事実の確認に、望ましさの評価や原因の説明を混ぜていないかを点検します。
  • 追加で聞く条件を決める 対象が曖昧、例外がある、次の提案の判断に理由が要る場合は、その部分を別に尋ねます。

短い回答を求める質問の使い分け

場面すること注意
対象が明確対象を絞って事実を短く確認します。答えを別の業務や期間へ広げません。
評価が混ざる事実と評価を別の質問にします。事実の回答を賛否として読みません。
対象が曖昧回答が指す業務や期間を確認します。範囲が決まるまで確定扱いしません。
例外がある例外が生じる条件を追加で確認します。通常時の回答だけで全体を表しません。
理由が必要次の提案を考えるために必要な理由を別に尋ねます。短い回答から理由を推測しません。
表は編集部作成の例です。追加の確認が不要なら、回答の範囲を保って記録します。

見立てを示す場面でも、事実との区別が必要だ

自分の見立てを伝える場合は、確認済みの内容と分けて示します。質問に未確認の前提を置いたと気づいたら、その場で外して聞き直します。

  • 見立てだと明示する 確認した事実を示したうえで、そこから先は自分の考えであり、未確認だと伝えます。
  • 置いた前提を取り消す 困りごとや原因を先に決めた点を認め、その前提がなくても答えられる形へ直します。
  • 聞き直した結果を残す 回答が変わったら、最初の賛同だけを残しません。質問を直した経緯と変更内容を記録します。

見立ての提示と質問の修正

場面すること避けること
見立てを示す前根拠となる事実と自分の説明を分けます。推測を相手の発言として扱いません。
見立てを示すとき未確認の考えだと示し、別の説明も求めます。賛同だけを求める締め方にしません。
誘導に気づいた置いた前提を明らかにして聞き直します。語尾だけを変えて前提を残しません。
回答が変わった修正後の回答と変わった範囲を残します。都合のよい回答だけを採用しません。
表は編集部作成の例です。聞き直しても未確認の部分は、未確認のまま残します。

回答だけの記録では、質問に含まれた前提が残らない

相手の回答だけを残すと、どんな聞き方で得た回答かを後から確認できません。使った質問と含まれていた前提を、回答と一緒に記録します。

  • 聞いた形を残す 準備した質問ではなく、実際に使った質問を残します。要約する場合も前提を省きません。
  • 前提を別欄に書く 困りごとや原因の決めつけ、評価の混在、選択肢の絞り込みを質問から抜き出します。
  • 回答の範囲を保つ 賛同した対象や条件を添え、発言内容と自分の解釈を分けます。聞き直した回答も残します。

後から質問を点検できる記録

記録項目書くこと理由
聞いた質問実際に使った質問を残します。回答を求めた範囲が分かります。
含まれた前提未確認のまま置いた内容を書きます。回答に影響した可能性を点検できます。
相手の回答発言の内容と条件を残します。賛同の対象を広げずに扱えます。
自分の解釈回答から自分が考えたことを分けます。相手が話していない内容を区別できます。
聞き直した結果修正した質問と、その回答を残します。確認結果が変わった経緯を追えます。
未確認の点不明な対象と答えられていない内容を書きます。推測による穴埋めを防げます。
表は編集部作成の例です。記録でも質問の前提を消さず、回答との関係を残します。

点検表を書くと質問の前提と回答を見比べることができる

商談前には事実と推測を分け、使う質問を点検します。商談後には実際の聞き方と回答を追記し、未確認の点を残します。

  • 商談前に前提を点検する 使う質問ごとに事実と推測を書き、困りごとや原因を決めていないかを確認します。
  • 商談後に回答を追記する 実際に使った聞き方を準備した質問の隣に書き、直した聞き方と回答を残します。不明と答えられた点も書きます。
  • 空欄の意味を決める 未質問、回答なし、該当なしは空欄にせず、それぞれ言葉で書きます。記録先には、詳しい商談記録の保存場所を書きます。

商談の質問の点検表

項目記入欄項目記入欄
商談相手と商談日準備した質問
確認済みの事実自分の推測
含まれている前提実際に使った聞き方
直した聞き方相手の回答
分からないと答えられた点記録先
点検表は編集部作成の記入欄です。点検する質問ごとに複製して使います。