受注前の準備は進めてよい作業を決めて頼む

決まりそうだから準備しておいて、という依頼では、進めてよい範囲が伝わりません。着手と停止の条件を決め、依頼した準備の状況を確認できるようにします。

  • 進める範囲を決める 受注前に進めてよい準備と、受注を確認してから始める作業を分けます。
  • 始める条件と止める条件 着手と停止の条件を決め、何をどこまで進めるかを担当者に伝えます。
  • 記録と終了方法を決める 準備の記録を営業管理表から確認できるようにし、受注しなかったときの扱いを決めます。

曖昧な依頼では準備の範囲が想定を超えることがある

準備しておいて、という依頼の解釈は、頼む側と作業する側で異なります。作業の名前だけでなく、どの作業まで終えたら止めるかまで伝える必要があります。

  • 進み具合が見えなくなる 着手した作業と完了した作業が分からないと、追加で依頼してよいか判断しにくくなります。
  • 取り消しの対応が残る作業がある 外部への発注まで進むと、受注しなくても支払いや取り消しの対応が残ることがあります。
  • 受注済みと誤解される 担当者は、準備の依頼を受けて、その案件はすでに受注したと誤解することがあります。受注前であることを明記します。

曖昧な依頼で起きること

取りがちな対応起きること防ぎ方
口頭で頼む依頼した範囲が後から分からなくなることがあります。作業と止める区切りを記録します。
期限だけ伝える期限に間に合わせるため作業が広がることがあります。期限と作業範囲を併記します。
発注まで任せる取り消せない支払いが生じることがあります。外部発注の可否を明記します。
受注前と伝えない受注済みとして作業が進むことがあります。依頼文に受注前の準備と明記します。
表は編集部作成の例です。自社で起きている依頼の仕方と照らして確認します。

受注前の準備と受注後の作業を分ける

準備の範囲は、相手の情報が必要かどうかと、中止したときに残る負担を基準に分けます。社内で完結する作業でも、時間や人員を使うため上限を決めます。

  • 社内の準備を絞る 既存資料の確認や必要な作業の洗い出しなど、確認する範囲と何ができれば完了かを決められる準備に絞ります。
  • 不足情報を推測しない 相手の情報が必要な作業は、確認できた範囲で進めます。不明な条件を推測で埋めて作り込まないようにします。
  • 外部発注の前で区切る 外部発注や取り消しに負担がある作業は、原則として受注を確認してから始めます。

作業ごとの着手方針

作業の区分受注前に進めるか理由
社内だけで完結する作業対象と時間の上限を決めて進めます。中止しても社内の対応で済むため
相手の情報が要る作業必要な情報が確認できた範囲で進めます。推測で進めると作り直しになることがあるため
外部への発注が要る作業原則として受注確認後に始めます。中止しても支払いなどが残ることがあるため
表は編集部作成の例です。受注前に例外として進める場合は、承認者と負担の上限を記録します。

準備は確認した事実と社内基準で始める

商談の感触だけで着手を決めると、同じ依頼でも判断が変わります。相手に確認した事実と社内の基準を記録し、着手を承認します。

  • 確認した事実を書く 検討対象や必要な情報など、相手から確認できた内容を書きます。期待や推測とは分けて残します。
  • 社内の基準を決める 営業責任者は、使ってよい時間や人員、外部発注の扱いを決めます。他の仕事に支障が出る場合の扱いも決めます。
  • 承認する範囲を残す 営業責任者は、条件を確認して着手を判断します。承認した作業と上限を依頼文に残します。

準備を始める条件の書き方

条件の種類条件の例確かめ方
相手に確認した事実検討対象と必要な情報を相手に確認できたこと確認日とメールや面談記録を残します。
社内の基準作業範囲と時間の上限が決まっていること依頼内容を社内基準と照合します。
営業責任者の判断営業責任者が着手を承認したこと承認者と承認した範囲を記録します。
表は編集部作成の例です。着手の承認は、受注したことを意味しません。

準備を止める条件は着手前に決める

準備を始めると、状況が変わっても作業だけが続くことがあります。停止の条件と確認日を先に決め、条件に当てはまった時点で、新しい作業に着手せず、影響のある作業を止めます。

  • 判断の延期で見直す 相手の判断時期が延びたら、旧日程に合わせた準備を止めます。新たな確認日を決めます。
  • 条件の変更で区切る 対象や仕様が変わったら、変更の影響がある作業を止めます。続けられる範囲を確認します。
  • 連絡待ちを放置しない 決めた確認日までに返答がなければ、追加の準備を止めます。再開は条件を確認してから判断します。

状況が変わったときの作業の扱い

場面止める作業停止後に確認すること
判断時期の延期旧日程を前提にした準備を止めます。判断時期と次の確認日を確認します。
条件の変更変更の影響がある作業を止めます。変更点と作り直しの範囲を確認します。
連絡が途絶える確認日を過ぎたら追加準備を止めます。連絡履歴と途中の資料を記録します。
表は編集部作成の例です。停止時は担当者へ伝え、再開する作業も改めて承認します。

準備の依頼は作業と止める区切りで伝える

依頼文には、何を、どこまで、いつまでに進めるかを書きます。受注前であることと、途中で止める可能性も同じ文面で伝えます。

  • 成果物の範囲を書く 資料を準備するという依頼で終わらせず、既存資料を確認して不足項目を書き出すところまで具体化します。
  • 期限と上限を書く 完了期限に加え、使ってよい時間も伝えます。上限に達しても終わらない場合は、担当者が作業を止めて依頼者に相談する決まりも書きます。
  • 停止時の連絡先を書く 停止の条件と連絡先を記載します。範囲を超える作業は、追加の承認を受けてから始めます。

依頼文に入れる内容

伝えること内容注意
受注前の状態受注前の準備として依頼すると書きます。着手の指示は受注の確定ではないと明記します。
作業と範囲既存資料の確認と不足項目の一覧までとします。新規作成や外部発注は含めません。
期限と上限完了期限と使ってよい時間を書きます。上限を超える前に相談します。
停止と連絡停止の条件と連絡先を書きます。対象や仕様の変更連絡を受けたら、影響のある作業を止めます。
表は編集部作成の例です。作業範囲を変更した場合は、依頼文も更新します。

受注の見込みを作業の指示に使わない

決まりそう、もう決まると伝えても、着手してよい作業は分かりません。商談への期待を、準備の許可として伝えないようにします。

  • 期待で範囲を広げない 決まりそうだから進めて、という依頼では、どこで止めるかが曖昧です。許可した作業を具体的に示します。
  • 急ぎでも範囲を省かない 先に全部お願い、という依頼では、外部発注まで進むおそれがあります。今回進める範囲を絞ります。
  • 追加は改めて依頼する 商談が進んでも、準備の範囲を自動で広げません。追加する作業と上限を改めて伝えます。

見込みの言葉とは別に作業の指示を書く

避ける伝え方起きること代わりの方針
決まりそう受注済みと解釈して作業を進めることがあります。受注前と明記し、許可する作業を書きます。
先に全部お願い担当者が必要と思った作業まで範囲が広がることがあります。今回進める作業と止める区切りを書きます。
いつでも動けるように人員の確保や発注まで進むことがあります。空き状況の確認までなど、範囲を書きます。
もう少し進めて追加作業の終わりが分かりません。追加する作業と上限を指定します。
表は編集部作成の例です。商談の状況を共有するときも、作業の指示は別に明記します。

準備の内容と使った時間を記録する

準備の記録は、続けるか止めるかを判断するために残します。依頼した範囲と実際に進めた内容を、営業管理表の該当案件からたどれるようにします。

  • 作業ごとに状態を書く 未着手、作業中、停止、完了を作業ごとに記録します。途中で止めた場合は、残っている作業も書きます。
  • 使った時間を残す 実際に使った時間と、確保した人員や設備を記録します。人員は稼働予定と実際の稼働、設備は予約と使用を分けて書きます。
  • 担当と保存先を書く 作業した人と成果物の保存先を記録します。中断した理由も残し、後から経緯を確認できるようにします。

作業記録に残す項目

記録項目書くこと記録先
作業の内容依頼した範囲と実際に進めた内容を書きます。案件にひもづく作業記録に残します。
進み具合現在の状態と残っている作業を書きます。各作業の状態欄に残します。
時間・社内資源使用時間と人員・設備の使用状況を書きます。各作業の使用状況欄に残します。
担当者・成果物作業した人と資料の保存先を書きます。担当欄と成果物欄に残します。
停止・変更理由止めた理由や範囲を変えた経緯を書きます。各作業の履歴欄に残します。
表は編集部作成の例です。作業の完了時だけでなく、停止や範囲の変更時にも更新します。

受注しなかったときは決めた方針で準備を終える

受注しなかった場合は、停止の連絡だけで準備を終えないようにします。保管する資料、打ち切る作業、取り消す予約を分け、担当者へ終了する作業を伝えます。

  • 残す資料を選ぶ 判断の経緯や作業の記録は、社内の保管ルールに沿って残します。再開に備える場合は、その理由も書きます。
  • 予約と途中作業を片付ける 仮に押さえていた担当者の予定と設備の予約を取り消します。途中の資料には停止した状態を記し、完成版との混同を防ぎます。
  • 次に使える形で残す 他の案件でも使える内容を分け、相手固有の情報を除きます。商談が終了したのか、検討が続くのかも記録します。

受注しなかったときの整理

場面すること注意
資料を残す保管する資料と理由を記録します。保管場所と見直す時期を決めます。
途中作業を終える停止状態を記し、予約を解除します。外部への依頼があれば残る対応を確認します。
他の案件で使う共通して使える内容を分けて保存します。相手固有の情報や条件を除きます。
担当者に伝える未受注と終了する作業を伝えます。片付ける作業の担当と期限も決めます。
表は編集部作成の例です。商談を終了しても、片付ける作業が残っていないか確認します。

営業管理表から準備の記録を確認する

商談の状況だけを更新しても、社内の準備は止まりません。営業管理表に準備の状態と作業記録の参照先を置き、停止条件に当てはまっているのに準備が続いていないかを確認します。

  • 商談と準備を並べる 相手の判断待ちでも、準備は停止中という場合があります。商談と準備の状態を分けて記録します。
  • 更新する人を決める 営業側は商談の状況を更新します。作業記録は作業した人が更新し、確認する人も決めます。
  • 変化したときに確認する 判断時期や条件が変わったときと、決めた確認日に照合します。停止の指示が担当者に届いているか、作業が実際に止まっているかも確認します。

営業管理表に持たせる項目

記録項目書くこと
案件と参照先案件を識別する番号などと、作業記録のリンクを書きます。
商談と準備の状態商談の状況と、準備の未着手・作業中・停止・完了を並べます。
承認した範囲進めてよい作業と上限、承認者を書きます。
開始・停止条件着手条件と停止条件、現在の確認結果を書きます。
更新者と更新日商談と作業それぞれの更新者と最終更新日を書きます。
次の確認次の確認日と確認する人、停止連絡の状況を書きます。
表は編集部作成の例です。作業の詳細は作業記録に残し、営業管理表には参照先を置きます。

依頼前に準備の範囲を確認表へ書く

進行中の案件を選び、準備を依頼する前に確認表を埋めます。条件や上限が未定の作業は、決めてから着手を依頼します。

  • 具体的な作業を書く 準備すると書くだけで終わらせず、作業内容と止める区切りを書きます。受注後に始める作業も明記します。
  • 条件と連絡先を書く 開始と停止の条件を別々に書きます。判断する人と、作業を止める際の連絡先も記入します。
  • 依頼文と記録に使う 記入した範囲を依頼文へ反映します。営業管理表に確認表と作業記録の参照先を登録します。

受注前の準備の範囲を決める確認表

確認項目記入欄
受注前の準備進める作業:/止める区切り:/期限:/時間・資源の上限:
受注後の作業受注を確認してから始める作業:
開始・停止条件始める条件:/止める条件:/判断する人:/確認日:
担当者への伝え方受注前と明記:/担当者:/伝える作業範囲:/停止時の連絡先:
記録内容・状態・使用時間・担当者の記録先:/更新する人:/営業管理表の該当案件:
未受注時の扱い残す資料:/片付ける作業:/再利用する内容:/担当者への説明:
表は編集部作成の例です。案件名と記入日を添え、作業範囲が変わったら更新します。