任せるという発言だけでは決めてよい範囲は分からない

商談先から選択を任されても、提案全体を決めてよいとは限りません。任された対象と任せ方を確かめ、自社で選ぶ内容と相手に決めてもらう内容を分けます。

  • 任された範囲を特定する 発言が指す選択と任せ方から、自社で決めてよい範囲を明らかにします。
  • 理由と分担を示す 選んだ理由と相手に残る作業を示し、選んだ箇所を見直せるようにします。
  • 申し込みの意思と区別する 選択を任せる意思と申し込みの意思を区別し、確認した内容を記録します。

任せるという発言には対象の確認が必要だ

任せるという発言は、直前に話していた選択だけを指す場合があります。提案全体を任されたとは考えず、何の選択を任せたいのかを確かめます。

  • 直前の話題をたどる 発言の直前に扱っていた選択を特定し、提案のどの部分に当たるかを整理します。
  • 対象を相手に確かめる 何を任せたいのかを尋ね、直前の話題についての理解と一致しているかを確かめます。
  • 対象を勝手に広げない 話題に出ていない選択まで任されたと考えず、別の選択は個別に確認します。

発言が指す対象の確認

場面すること注意
直前の話題が明確話していた選択を示して対象を確かめます。提案全体を任されたとは考えません。
話題が入り交じるどの選択を任せたいのかを尋ねます。最後に出た話題だけで断定しません。
別の選択が出るその選択も任せる対象かを確かめます。以前の発言をそのまま当てはめません。
表は編集部作成の例です。

候補を挙げるのか案を決めるのかで、役割が変わる

候補を挙げることと、案を決めることでは、引き受ける役割が違います。相手がどの段階まで任せたいのかを確かめます。

  • 候補を挙げる役割を知る 候補の提示を求められた場合は、選べる内容を整理します。どの案にするかは相手が決めます。
  • 推薦と決定を分ける 案を選んで示す依頼では、勧める案と理由を伝えます。その案を採用するかどうかは、相手に確かめます。
  • 決定の範囲を絞る 選択まで任された場合も、決められるのは確認済みの対象に限ります。

任せ方による役割の違い

任せ方すること注意
候補を挙げる選べる候補と、それぞれの違いを示します。自社で採用する案を決めません。
案を選んで示す勧める案を選び、理由を添えて示します。推薦しただけで採用済みとは扱いません。
案まで決める任された対象について案を決めます。申し込みの意思まで含めません。
表は編集部作成の例です。

案を選ぶには、相手の事情を確かめる必要がある

選択を任されても、判断に必要な情報まで分かっているとは限りません。案によって違いが出る点から、まだ分からない相手の事情を特定します。

  • 選択で変わる点を探す 案によって準備の負担や進め方がどう変わるかを比べ、選ぶ際の判断材料を見つけます。
  • 未確認の事情を絞る 判断に関係する相手の事情を、把握済みと未確認に分けます。未確認の点を相手に確かめます。
  • 好みで情報を補わない 分からない事情を自分の経験や好みで埋めません。選ぶうえで欠かせない事情は、確認できるまで選択を保留します。

選択に必要な情報の見つけ方

確かめること方法注意
選択で変わる点案ごとの準備や運用の違いを比べます。選択に関係しない情報まで求めません。
判断に使う事情違いの影響を受ける相手の業務を確かめます。過去に聞いた事情が現在も同じとは限りません。
未確認の事情分かっていない点を示して確認します。自社に都合のよい想定で選びません。
表は編集部作成の例です。

引き受ける範囲は自社で対応できる内容に限られる

相手が希望する任せ方でも、自社で対応できるとは限りません。提供できる内容と社内で認められた判断の範囲を確認してから、引き受ける範囲を伝えます。

  • 対応できる内容を調べる 相手が任せたい内容に自社が対応できるかを、提供内容と担当部署の対応範囲から確かめます。
  • 社内の判断範囲を知る 自分で決められる内容と、社内の承認が必要な内容を分けます。必要な承認を得てから決めます。
  • 引き受ける範囲を伝える 引き受けられる範囲を相手に示します。引き受けられない部分は、誰が決めるかを相談します。

引き受ける前の社内確認

場面すること注意
対応可否が不明担当部署に希望する内容への対応可否を確かめます。確認前に引き受けると約束しません。
社内承認が必要承認を得る内容と判断者を確認します。相手から任されたことを社内承認の代わりにしません。
対応範囲が絞られる引き受ける部分と相手に残る判断を伝えます。任された対象を黙って狭めません。
表は編集部作成の例です。

選んだ案の説明には相手の事情との結び付きが必要だ

案の特徴を伝えるだけでは、なぜその案を選んだのかは分かりません。相手から聞いた事情と重視した点を結び付けて説明します。

  • 事情から理由を示す 判断に使った相手の事情を示し、その事情に対して案のどの特徴が役立つかを説明します。
  • 重視した点を伝える 準備の負担や運用のしやすさなど、選択で重視した点を伝えます。優先しなかった点も示します。
  • 選び直す条件を示す 判断に使った事情が違えば、選択が変わることもあります。どの事情が変わると再検討が必要かを伝えます。

選択の理由を説明する内容

伝えること方法注意
判断に使った事情相手から確認できた事情を示します。推測した事情を事実として扱いません。
重視した点事情と案の特徴を結び付けて説明します。自社が扱い慣れていることだけを理由にしません。
選び直す条件選択が変わる事情を示します。事情が変わっても同じ案でよいとは断定しません。
表は編集部作成の例です。

自社で選んだ箇所は、相手が見直せる形で示す必要がある

完成した提案だけを見せると、どこを自社で選んだのかが伝わらない場合があります。選んだ箇所を示し、希望と違う部分を相手が確認できる形にします。

  • 選んだ箇所を分ける 相手が指定した内容と、自社の判断で選んだ内容を区別して示します。
  • 理由を近くに添える 選んだ箇所の近くに理由を添え、判断に使った事情に誤りがないかも相手が確かめられるようにします。
  • 変更の伝え方を示す 変更したい箇所を特定できる見出しと連絡先を示します。希望があれば再検討できることも伝えます。

選んだ箇所を見直せる示し方

すること方法注意
選んだ箇所を示す該当箇所に自社で選んだ旨を記載します。相手が指定した内容と混ぜません。
確認点を添える案が希望と合うか、判断に使った事情が現状と合うかを確認点にします。提案全体の漠然とした確認だけにしません。
変更を伝えやすく箇所ごとの見出しと変更希望の連絡先を示します。変更希望がないことを申し込みの意思と扱いません。
表は編集部作成の例です。

選択を任されても相手の作業がなくなるとは限らない

案の選択を引き受けても、実施に必要な作業が相手に残る場合があります。誰が何を行うかを示し、相手が引き受けられるかを確かめます。

  • 必要な作業を示す 資料の準備や内容の確認など、選んだ案を進めるために相手が行う作業を具体的に示します。
  • 対応できるか確かめる 必要な作業と期限を伝え、誰が担うかと対応できるかを確かめます。
  • 難しければ案を見直す 引き受けられない作業がある場合は、分担や進め方を変えられるかを確かめ、変えられなければ案を選び直します。

相手に残る作業の確認

場面すること注意
資料の準備が必要必要な資料と準備する人を確かめます。相手がすぐ用意できると決めつけません。
内容の確認が必要確認する人と必要な時期を確かめます。窓口の人だけで確認できるとは限りません。
作業を担えない分担や進め方を変えられるか検討します。対応できないまま実施に進みません。
表は編集部作成の例です。

選択を任せる意思は申し込みの意思とは限らない

案の選択を任されても、購入を決めたとは限りません。現在の検討段階を確認し、申し込みに進む意思は選択の依頼と分けて確かめます。

  • 任された意味を広げない 任せるという発言を、信頼や購入意欲の証拠として扱いません。確認できた選択の範囲で捉えます。
  • 検討の段階を確かめる 情報を集めている段階か、社内で検討する段階かなど、選んだ案を何に使うのかを確かめます。
  • 申し込みは別に確かめる 選んだ案を説明した後で、申し込みに進む意思を確認します。返答がなければ未確認として扱います。

選択と申し込みを分ける確認

場面すること避けること
選択を任された任された対象と任せ方を確認します。購入を決めたとは記録しません。
案を提示した検討段階と相手に残る判断を確かめます。修正希望がないだけで申し込みとは扱いません。
申し込みへ進む申し込みに進む意思を別に確認します。任せるという発言を申し込みの代わりにしません。
表は編集部作成の例です。

任された範囲が変われば提案と記録の更新が必要だ

案を見てから、自分で選びたい箇所に相手が気づく場合があります。選び直す箇所と新しい分担を確かめ、提案と記録を更新します。

  • 変更したい箇所を知る 相手が自分で選びたい箇所と、引き続き任せたい箇所を分けて確かめます。
  • 関連する内容を見直す 選び直す箇所が他の内容や作業に及ぼす影響を調べ、新しい分担に合わせて提案を直します。
  • 最新の分担を残す 変更した内容と確認日を記録し、古い提案を参照して判断しないよう最新版を明示します。

範囲が変わったときの記録

記録項目書くこと理由
変更した箇所選び直す対象と変更の理由を書きます。見直しが必要な部分を特定できます。
新しい分担自社と相手のどちらが何を決めるかを書きます。以前の任せ方と区別できます。
関連する変更他の内容や残る作業への影響を書きます。選択と作業の対応を確かめられます。
確認日と記録先確認した日と最新の提案の保存先を書きます。最新の内容を参照できます。
表は編集部作成の例です。

任された選択の確認表には判断と分担の記録が必要だ

確認表には、選んだ結果だけでなく、任された対象や判断の理由も残します。未確認の点を明記し、申し込みの意思は別の項目で管理します。

  • 分かった内容を記入する 確認できた内容だけを書き、分からない点には未確認と記入します。推測で空欄を埋めません。
  • 相手に残る内容を書く 相手に確認してもらう内容と、実際に行ってもらう作業を分けて記録します。
  • 変更後も同じ表を使う 任された範囲が変わったら確認日と内容を更新し、最新の提案をたどれる記録先を残します。

任された選択の確認表

確認項目記入欄確認項目記入欄
商談日・確認日と相手商談日と確認した日、相手の氏名・役割を記入します。任された対象任された選択の箇所を記入します。
任せ方候補提示・案の推薦・選択の決定のどこまでかを記入します。判断に使った事情相手に確認した事情を記入します。
自社の引受範囲自社で引き受けた選択の範囲を記入します。選んだ案と理由案の内容と重視した点を記入します。
相手への確認内容相手に見直してもらう箇所を記入します。相手に残る作業作業内容、担う人、必要な時期を記入します。
記録先最新の提案と確認記録の保存先を記入します。申し込みの意思未確認か、確認済みなら申し込みに進む意思の有無を記入します。
記入欄です。分からない欄には未確認と書きます。