担当者の行動を変えるには、場面の共有と行動の合意が必要だ
商談後に印象だけを伝えても、次に変える行動は決まりません。相手の反応と担当者の対応を振り返り、次の商談で試す行動を一緒に決めます。
- 記録する事実を決める 同席中に残すのは、相手の発言や反応と、担当者がその場で行った説明や対応です。
- 変える行動を決める 担当者本人の見立てを聞いてから、続ける対応と、次に変える行動を一緒に決めます。
- 次の確認方法を決める 次の商談で見る場面と確認方法を決め、営業管理表に残します。
印象だけの指摘では、変える行動が分かるとは限らない
印象の言葉だけでは、どの場面の何が問題だったかを担当者が特定しにくくなります。指摘の対象が曖昧だと、自分を否定されたと感じる場合もあります。
- 対象の場面を示す 商談全体への感想では、担当者は修正する箇所を選べません。営業責任者は、説明や質問が行われた場面を示します。
- 行動を指摘の対象にする 評価する対象を、その場で行った対応に絞ります。変えられる行動について話し合います。
- 次の行動まで決める 指摘を理解しただけでは、同じ対応が続くことがあります。次に試す行動まで決めます。
印象に頼った振り返りで起きること
| 取りがちな対応 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 感想だけを伝える | 担当者が変える箇所を特定しにくくなります。 | 対象の場面と対応を示します。 |
| 商談全体を評価する | 自分への否定だと感じる場合があります。 | 指摘を観察した行動に絞ります。 |
| 注意だけで終える | 次の商談でも同じ対応が続くことがあります。 | 試す行動と確認方法を決めます。 |
振り返りの根拠は、同席中に記録した事実にある
商談後の記憶だけでは、発言の順序や対応の違いが曖昧になります。同席中は、相手と担当者の動きを分けて短く記録します。
- 発言と反応を残す 相手が尋ねた内容や資料を見返した動きを残します。相手の気持ちを推測して記録に加えません。
- 対応を順に残す 何を説明し、質問にどう対応したかを残します。反応の前後が分かる順序で記録します。
- 配分と未回答を残す 説明と質疑に使った時間、担当者が回答を持ち帰った質問を残します。記録のために商談を妨げないようにします。
同席中に残す観察記録
| 記録すること | 書くこと | 注意 |
|---|---|---|
| 相手の発言と反応 | 質問の内容と、その前後の動きを書きます。 | 関心や納得を推測で断定しません。 |
| 説明と対応 | 説明した内容と質問への対応を書きます。 | 相手の発言と混ぜません。 |
| 時間の使い方 | 説明と質疑の開始・終了時刻を残します。 | 長さだけで良し悪しを決めません。 |
| 持ち帰った質問 | 未回答の内容と約束した対応を書きます。 | 回答済みの内容と区別します。 |
認識の食い違いは、場面と事実の共有で防げる
同じ商談に出ていても、営業責任者と担当者が思い浮かべる場面が違えば指摘の意味はずれます。場面、相手の反応、担当者の対応を順に示して認識を確認します。
- 場面を特定する 議題や資料の箇所を示し、どのやり取りを振り返るのかを明らかにします。
- 観察した順序で示す 相手の反応と、その後の担当者の対応を分けて示します。記憶から省かれたやり取りがないかも確認します。
- 解釈を事実と分ける 説明が相手に伝わらなかったという営業責任者の見立ては、観察した事実とは別に扱います。担当者の記憶とも照合します。
同じ場面を振り返るための整理
| 伝えること | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| どの場面か | 利用条件を説明していた場面を示します。 | 商談全体の評価に広げません。 |
| 相手の反応 | 相手が対象範囲を質問した事実を示します。 | 理解不足だったと断定しません。 |
| 担当者の対応 | 対象範囲に答えず、次の説明へ進んだ事実を示します。 | 意図は本人に確認します。 |
相手の反応は、担当者の対応だけで決まるとは限らない
相手の反応には、社内事情や検討状況が関わることもあります。観察した順序だけで原因を決めず、根拠があることと不明なことを分けます。
- 相手の事情を確認する 予算や社内確認の状況が示されていたかを見ます。説明の仕方だけを原因にしません。
- 対応との関係を調べる 担当者の説明や質問の直後に相手の様子がどう変わったかを見ます。前後関係だけで原因を断定しません。
- 理由が分からない反応は未確認と残す 相手の沈黙やうなずきだけでは理由が分からない場合があります。理由は未確認として残します。
反応の理由を決めつけない整理
| 反応の背景 | 読み方 | 扱い |
|---|---|---|
| 相手の事情がある | 社内確認が必要だと説明されています。 | 確認できた事情を踏まえて対応を考えます。 |
| 担当者の対応と関係がありそう | 補足説明の後、質問が具体的になっています。 | 対応が関係した可能性として検討します。 |
| 理由が分からない | 沈黙はありましたが、理由は示されていません。 | 不満や納得と決めず、確認事項に残します。 |
改善の判断には、担当者自身の見立てが必要だ
同席した営業責任者には見えなかった意図や、商談前のやり取りがあるかもしれません。評価を伝える前に、担当者本人がどの場面をどう見ていたかを聞きます。
- 手応えの根拠を聞く うまくいったと考える場面と、その根拠になった相手の反応を確認します。
- 迷った場面を聞く 困った場面で担当者が何を判断し、どの対応を選んだかを確認します。結果だけで判断しません。
- 変えたいことを聞く 本人が次に変えたい行動を聞きます。本人の見立てと観察記録の間に違いがあれば、それを確認してから改善点を検討します。
本人の見立てを聞く観点
| 聞くこと | 方針 | 注意 |
|---|---|---|
| うまくいった点 | 手応えを感じた場面と根拠を確認します。 | 同席した側の評価を先に示しません。 |
| 困った点 | 迷った理由と、その場で選んだ対応を確認します。 | 説明の途中で結論を決めません。 |
| 変えたいこと | 次に変えたい行動と理由を確認します。 | 本人の案も観察した事実に照らします。 |
良かった対応は、相手の反応と一緒に示せば次も再現できる
良かったという感想だけでは、何を続ければよいかが曖昧です。実際の対応と、その場で見られた相手の反応を示します。
- 続ける対応を特定する 質問の順序や説明前の確認など、次の商談でも実行できる対応を取り上げます。
- 相手の反応を添える 担当者の対応の後に相手が具体的な事情を話したなど、観察できた変化を添えます。対応の効果は断定しません。
- 使う場面も残す どの場面で役立った対応かを残します。相手や議題が違っても同じ結果になるとは考えません。
続ける対応を事実で捉える例
| 場面 | すること | しないこと |
|---|---|---|
| 課題を聞いた場面 | 担当者が業務の流れを確認した後に、相手が詳しく説明した事実を示します。 | 聞き方への感想だけで終えません。 |
| 質問に答えた場面 | 対象範囲を確認して回答した対応を示します。 | 質問が止まっただけで納得と判断しません。 |
| 終盤の確認 | 双方が持ち帰る事項を区別した対応を示します。 | 商談全体をまとめて評価しません。 |
改善を確かめるには、変える行動を一つに絞るのが早い
改善点を並べるだけでは、次の商談で何を優先するかが決まりません。本人と相談し、実行する場面が具体的に浮かぶ行動を一つ選びます。
- 次に試せる行動を選ぶ 次の商談で起こりそうな場面を選びます。その場で何を変えるかまで具体的に決めます。
- 実行を確かめられる形にする 本人が実行の有無を振り返れる行動にします。相手の反応は別に記録します。
- 必要な支援を決める 資料の確認や事前準備など、営業責任者が担う支援を決めます。行動を複数に増やすのは、一つ目を確かめてからにします。
次の商談で試す行動の決め方
| 決めること | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 変える行動 | 対象が曖昧な質問には、回答前に対象範囲を確認します。 | 別の改善行動を同時に追加しません。 |
| 本人の確認 | 対象範囲を確認してから回答したかを振り返ります。 | 相手の反応がよかったかどうかを、実行したかの判断に混ぜません。 |
| 営業責任者の支援 | 事前に資料の対象範囲を一緒に確認します。 | 本人が変える行動と支援を区別します。 |
実行したかと相手の反応は、分けて記録すれば違いが分かる
決めた行動を実行しても、期待した反応が出るとは限りません。試す場面があったか、実行できたか、どんな反応があったかを分けて確認します。
- 確認方法を先に決める 同席して見るか、商談後の報告で確認するかを決めます。どちらの方法でも、見る場面と行動は同じにします。
- 実行と反応を分ける 行動の実行状況を確認してから、相手の反応を見ます。反応だけで実行を評価しません。
- 試せなかった理由を残す 対象の場面がなければ、試す機会がなかったと残します。実行できなかった場合と区別します。
次の商談で確認する内容
| 場面 | すること | 記録 |
|---|---|---|
| 同席する商談 | 合意した場面で、決めた行動を観察します。 | 実際の対応と相手の反応を分けて残します。 |
| 報告で確認する商談 | 場面と対応の順序を本人の報告から確認します。 | 本人の報告であることを明記します。 |
| 試す場面がない商談 | 対象の場面がなかったことを確認します。 | 次に試す機会を待つことを残します。 |
| 実行できなかった商談 | その場で妨げになった事情を確認します。 | 理由と必要な支援を残します。 |
営業管理表には、合意した行動と確認の予定・結果が要る
商談結果だけを残しても、同席後に何を決めたかは分かりません。同席した商談にひも付けて、共有した事実、合意した行動、次の確認を残します。
- 商談を特定できる形にする 商談日、営業先、参加者を残します。後から対象の商談と場面を探せるようにします。
- 事実と合意を分ける 伝えた事実と、話し合って決めた行動を分けて書きます。本人の見立ても区別します。
- 確認の予定と結果を残す 確認する商談と方法を記録します。確認後は、実行状況と相手の反応を追記します。
営業管理表に追加する記録
| 記録項目 | 書くこと |
|---|---|
| 同席した商談 | 商談日、営業先、参加者と対象の場面を書きます。 |
| 共有した事実 | 相手の反応と担当者の対応を分けて書きます。 |
| 本人の見立て | 対応を選んだ意図と、本人が考えた改善点を書きます。 |
| 合意した行動 | 続ける対応、変える行動、営業責任者の支援を書きます。 |
| 次の確認 | 対象の商談、確認方法、確認する人を書きます。 |
| 確認した結果 | 試す機会の有無、実行状況、相手の反応を書きます。 |
確認表では、合意した行動と未確認の反応を分ける必要がある
同席中の記録を見ながら、本人と確認表を埋めます。認識が違う箇所や理由が分からない反応は、無理に結論を出さず未確認と記します。
- 場面から書き始める 対象の場面を決めてから、本人の見立てと伝えた事実を書きます。推測は事実と分けます。
- 合意した行動を書く 続ける対応と変える行動を分けます。変える行動は、次に試すものを一つだけ書きます。
- 確認予定まで埋める いつ、誰が、何を見て確認するかを書きます。未確認事項には確認方法も添えます。
同席後の振り返りの確認表
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 記録した場面 | 商談日・営業先:/対象の議題・場面: |
| 担当者の見立て | 手応え・困った点:/対応を選んだ意図: |
| 伝えた事実と未確認 | 相手の反応:/担当者の対応:/理由が未確認の反応: |
| 続ける対応 | 対応:/使う場面:/根拠となる反応: |
| 変える行動一つ | 試す場面:/変える行動:/営業責任者の支援: |
| 次の確認 | 対象の商談:/確認する人・方法:/見る行動と反応: |
