資料で確認できる内容と記憶に基づく内容を分けて記録を補う

説明や実演に集中すると、商談の記録が抜けることがあります。残っている資料と記憶を整理し、必要な確認をして記録を補います。

  • 記憶と資料を分ける 覚えていることと資料で確かめられることを分けて書く方法を決めます。
  • 必要な内容を確認する 曖昧な発言や約束について、誰に何を確かめるかを決めます。
  • 次の商談に備える 未確認の内容を残す方法と、一人でも記録を残せる商談の進め方を決めます。

記憶だけで発言や約束を確定しない

思い出した内容には、相手の発言と自分の解釈が混ざることがあります。記憶だけで記録を完成させず、確かめる必要がある箇所を残します。

  • 発言を作り足さない 商談の流れに合っていても、実際に言われたか曖昧な内容を相手の発言として書きません。
  • 約束の抜けを探す 資料送付や回答など、引き受けた可能性がある対応を未確認の項目として書き出します。
  • 解釈に印を付ける 好感触だったなどの印象には、自分の解釈であることを明記します。

記憶だけで補うときの注意

起きること困ること防ぎ方
発言を作り足す相手が示していない意向を前提に提案してしまいます。覚えていない発言を文脈から補いません。
約束を落とす必要な資料送付や回答を忘れてしまいます。引き受けた可能性がある対応を確認項目に残します。
解釈が混ざる自分の期待を相手の判断として扱ってしまいます。発言の記憶と自分の解釈を分けて書きます。
表は編集部作成の例です。

商談の直後に記憶を項目別に書き出す

商談が終わったら、覚えている内容を後回しにせず書き出します。話した順番の再現より、質問や約束などの項目ごとに残すことを優先します。

  • 項目ごとに書く 相手の課題、相手から受けた質問、自社が示した資料、次の対応に分け、思い出せる箇所から書きます。
  • 記憶の確かさを分ける はっきり覚えている内容と曖昧な内容を分けます。どちらも記憶に基づく記録と明記します。
  • 空欄を無理に埋めない 思い出せない箇所には、不明と書きます。前後の話からもっともらしい内容を補いません。

直後に書き出す項目

書き出す項目書き方注意
相手の課題覚えている課題と、その説明の要旨を書きます。自分が想定した課題を混ぜません。
質問と回答質問された内容と、答えた内容を分けます。言葉が曖昧なら、正確な引用として残しません。
説明と実演説明した項目と、実演した操作を書きます。準備しただけの内容を含めません。
次の対応対応内容、担当、期限の記憶を書きます。曖昧な部分には未確認と付けます。
表は編集部作成の例です。

残っている資料が示す範囲で事実を拾う

使った資料や受け取ったものを確認し、記憶とは別に事実を書き出します。資料に載っている内容と、商談で説明・合意した内容を区別します。

  • 使用と準備を分ける 使った資料と示した箇所を確認します。示した記憶しかない箇所には、その旨を添えます。
  • 受領内容を確かめる 相手から受け取った資料の内容と送信元を確認します。書かれていない意向は補いません。
  • 記録の限界を残す 自分のメモや事前のやり取りも確認します。記載した日時と、その記録から確認できる内容の範囲を残します。

資料から拾える事実

資料拾える事実注意
使用した資料資料に記載された条件や説明内容を確認できます。掲載内容をすべて説明したとは限りません。
相手の提供資料記載内容と、確認できる受領の経緯を拾えます。自社が受け取っただけで、双方が記載条件に合意したとは扱いません。
自分のメモその場で書き留めた質問や対応内容を拾えます。書き間違いや解釈の混入があり得ます。
事前のやり取り商談前に伝え合った内容を確認できます。商談中に変更されなかったとは限りません。
表は編集部作成の例です。

内容ごとに根拠を付け、推測は切り離して書く

記録を補うときは、内容ごとに何を根拠に書いたかを付けます。資料で確認できる内容、記憶だけの内容を分け、相手の意向についての自分の推測はどちらとも別に書きます。

  • 資料名と該当箇所を付ける 記載内容の根拠となる資料名と該当箇所を添えます。資料に書かれている事実だけを書き、説明したことや合意したことまで資料の根拠にしません。
  • 記憶だと明記する 自信がある記憶にも、記憶に基づく旨を付けます。確かさだけで確認済みにはしません。
  • 推測を切り離す 相手の意向についての予想は、推測として別に書きます。次の対応の前提にするなら確認します。

内容と根拠の分け方

区分書き方扱い
資料の裏付け送付済み資料に、見積条件の記載があると書きます。条件の記載を確認した事実として残します。
記憶のみ納期について質問された記憶があると書きます。質問の詳細が必要なら相手に確かめます。
推測相手が納期を心配しているのではないか、という自分の推測として書きます。相手の意向や判断として確定しません。
表は編集部作成の例です。

確かめられない発言や約束を事実にしない

相手の発言として確定するのは、確認できた内容に限ります。自社の約束も曖昧なら未確認とし、対応内容や期限を相手に確かめます。

  • 曖昧な発言を残す 発言の記憶は未確認の欄に残します。正確な言葉を覚えていなければ、引用の形にしません。
  • 自社の約束を確かめる 引き受けた内容と期限を確認します。約束したか不明な内容と、今から提案する対応を分けます。
  • 無反応を同意にしない 返信や訂正がなくても、確認済みに変えません。返答がない内容は未確認のまま残します。

事実として書く範囲

場面書くこと書かないこと
発言が曖昧質問があった記憶と、詳細が未確認である旨を書きます。思い出せない言葉を正確な発言として書きません。
約束が曖昧資料送付を約束したか、確認が必要だと書きます。曖昧な担当や期限を決定事項として書きません。
返答がない確認を依頼した内容と、返答がない状況を書きます。異議がないため了承されたとは書きません。
表は編集部作成の例です。

同席者に確認した範囲と結果を残す

同席者がいる場合は、曖昧な項目を示して確認します。一人で商談を担当した場合は、資料で分からない点を相手への確認事項に残します。

  • 自社の同席者に聞く 質問、回答、約束について、メモや記憶を確認します。記憶が一致しただけで相手の合意と扱いません。
  • 相手側の同席者に聞ける範囲を確かめる 相手側の同席者には、その場で聞いた内容を確認します。同席者が答えられない判断は、判断できる人に確かめる事項として残します。
  • 食い違いも記録する 確認した人と結果を残します。記憶が食い違った内容は、一方に合わせず未確認とします。

同席者に確認する範囲

確認する相手確認できること記録
自社の同席者聞いた質問や回答、書き留めた約束を確認します。氏名、確認日、メモか記憶か、回答内容を残します。
相手側の同席者同席して聞いた内容と、本人が答えられる事項を確認します。氏名、確認日、回答内容と回答できなかった範囲を残します。
同席者がいない同席者への確認はできないため、資料を再確認します。資料で分からない点を相手への確認事項に残します。
表は編集部作成の例です。

次の対応に必要な事項に絞って確認する

次の対応に必要な不明点から確認します。商談全体の振り返りが必要な場合も、曖昧なままにできない事項を先に確かめます。

  • 対応への影響で選ぶ 提案条件、約束した対応、担当、期限など、認識が違うと次の行動が変わる事項を選びます。
  • 確認の理由を添える 提案に反映するためなど、確認が必要な理由を示します。記憶が曖昧な点も明らかにします。
  • 不明な箇所だけ聞く 既に分かっている内容と確認したい箇所を分けます。自分の記憶を確定事項として示さず、相手が違う点を訂正しやすい聞き方にします。

相手に確かめる事項の選び方

確認する事項確認する理由方針
提案の条件条件の認識が違うと、提案内容が変わります。資料で分かる条件を整理し、不明点だけ確かめます。
約束した対応対応の漏れや、不要な作業を防ぐ必要があります。引き受けたか曖昧な対応を、確定事項にせず確認します。
担当と期限誰がいつ対応するかで、準備が変わります。担当と期限のうち、不明な部分を具体的に確認します。
次回の議題準備する資料や回答を決める必要があります。次回に扱う必要がある内容を確かめます。
表は編集部作成の例です。

確認の状態と根拠を内容ごとに残す

確認が終わったら、内容ごとに状態を更新します。返答で確かめられた範囲だけを確認済みにし、残った不明点には確認先と確認する機会を付けます。

  • 確認した範囲を示す 回答で確かめられた箇所だけを更新します。回答に含まれない条件まで確認済みにしません。
  • 根拠をたどれる形にする 確認先、確認日、回答内容を残します。資料で確かめた場合は、資料名と該当箇所を付けます。
  • 残った確認を決める 未確認の項目ごとに、確認先と自社で確認する人、確認する機会を決めます。確認できるまでは未確認と明示したままにします。

補った内容を残す記録欄

記録項目書くこと
内容と状態内容ごとに確認済みか未確認かを付けます。推測は別の欄に書き、確認の対象にするかを決めます。
確認の根拠確認先、確認日、回答内容、参照資料を残します。
訂正した内容確認によって変わった箇所と、訂正の理由を残します。
残る不明点返答がない内容や、回答だけでは分からなかった箇所を書きます。
次回までの確認確認する内容、確認先、自社で確認する人、確認する機会を書きます。
表は編集部作成の例です。

一人で残せる記録の取り方を決める

説明や実演に集中する商談では、記録する項目をあらかじめ決めます。商談中、終了前、終了直後に何を残すかを分けて準備します。

  • 合間に書く項目を絞る 質問、条件の変更、約束、担当、期限を記録欄に用意します。説明の合間に要点を書きます。
  • 終了前に要点を確かめる 次の対応、担当、期限を相手と確かめます。返答が曖昧な部分は、合意した内容に含めません。
  • 直後に書く時間を取る 商談後に記録する時間を予定に入れます。残った記憶を書き足し、確認が必要な箇所を分けます。

一人で担当する商談の見直し

見直す項目内容注意
商談中の記録質問や約束を残す欄を準備し、説明の合間に書きます。聞き取れなかった条件を推測で埋めません。
終了前の確認次の対応、担当、期限について認識を確かめます。沈黙や曖昧な返答を同意として扱いません。
終了直後の記録思い出した内容を書き出し、根拠となる資料名と確認事項を付けます。文章の仕上げより、内容と根拠の記録を優先します。
表は編集部作成の例です。

補った内容と今後の確認事項を確認表に書き込む

実際の商談を振り返り、記録を補う内容と確認の進め方を書き込みます。分からない欄は未確認とし、誰に何を確かめるかまで決めます。

  • 根拠ごとに書き込む 直後に書き出した内容を見直し、資料で分かる事実と記憶だけの内容を分けます。
  • 確認の担当を決める 同席者や相手への確認事項に、確認する人を付けます。返答がない項目も残します。
  • 次回の方法を決める 次回までの確認事項と、商談中に書く項目、終了前後に記録を確かめる方法を決めます。

記録を補う確認表

記入項目自社で書く内容記入項目自社で書く内容
直後の書き出し覚えていた内容:/曖昧な箇所:資料から拾う事実確認できる事実:/資料名・箇所:
記憶だけの内容内容:/記憶の確かさ:同席者への確認自社の確認担当:/確認先の同席者:/結果:
相手への確認事項事項と理由:/確認する人:確認済みと未確認確認済みの内容と確認先・日:/未確認の内容と確認先:/推測:
次回までの確認確かめること:/確認先・担当・機会:記録方法の見直し商談中に書く項目:/終了前後に行うこと:
表は編集部作成の例です。