たとえが伝わっても商品が伝わったとは限らない
身近なたとえは、専門的な商品の説明を助けます。ただし、似ている部分が伝わっても、商品の範囲や条件まで理解されたとは限りません。
- 説明する内容を決める たとえで伝えたい一点と、商品との共通点・当てはまらない点を説明する内容を決めます。
- 理解を確かめる方法を決める 商品の説明へ戻す場面と、相手の理解や業界による意味の違いを確かめる方法を決めます。
- 社内で共有する内容を決める 資料に残す商品の説明、誤解の記録項目、社内で使うたとえの条件を決めます。
使うたとえは伝えたい一点を決めてから選ぶ必要がある
仕組み、役割、流れのどれを伝えるかで、使うたとえは変わります。選ぶ前に、相手に理解してほしい内容を商品の機能や動作で書き出します。
- 伝える対象を絞る 商品の要素どうしの関係、商品の役割、処理の流れから、今回の説明で伝える対象を選びます。
- 商品の説明を先に書く たとえを外しても説明できるように、理解してほしい内容を商品の機能や動作で書きます。
- 説明を詰め込まない 伝える対象が増える場合は、たとえを広げず、商品の説明を分けます。
伝えたい内容とたとえの範囲
| 伝えたいこと | たとえで示せる範囲 | たとえに向かないこと |
|---|---|---|
| 仕組みを伝える | 要素どうしの関係を示します。 | 個別の仕様や例外条件の説明には向きにくい場合があります。 |
| 役割を伝える | 商品が担う働きを示します。 | 対応する業務の範囲を漏れなく説明することには向きにくい場合があります。 |
| 流れを伝える | 工程の順序や受け渡しを示します。 | 必要な作業量の説明には向きにくい場合があります。 |
たとえが当てはまるのは、選んだ共通点の範囲に限られる
たとえと商品が似ているのは、説明のために選んだ一部です。何が似ていて、商品のどの範囲まで対応するかを明らかにします。
- 似ている対象を示す 要素の関係、担う役割、工程の順序など、共通している対象を具体的に示します。
- 対応する範囲を示す 商品側のどの機能や工程まで当てはまるかを示し、説明の境目を明らかにします。
- 全体の一致と分ける 共通点があっても、使い方や結果まで同じとは限りません。似ている部分だけを結び付けます。
共通点を説明するときの確認
| 共通点の示し方 | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 関係を示す | 何と何の関係が商品と共通するかを確かめます。 | 形や名称が似ているだけで、働きまで同じとは説明しません。 |
| 役割を示す | 商品が担う働きのどこが共通するかを確かめます。 | たとえ側が担う役割を、すべて商品も担うとは説明しません。 |
| 範囲を示す | 対応する機能や工程の始まりと終わりを確かめます。 | 説明していない部分まで共通する印象を残しません。 |
たとえから想像できることが商品の事実とは限らない
たとえには、説明で意図した共通点以外の印象も含まれます。対応範囲、利用時の手間、得られる結果について、商品との違いを先に説明します。
- 対応範囲を補う たとえから広く対応できる印象が生じる場合は、対象外の業務や利用条件を併せて示します。
- 残る手間を説明する 準備や確認が不要だと想像されないように、利用する側に残る作業を説明します。
- 結果の条件を補う 結果まで同じになる印象を避けるため、商品が行う処理と、利用条件で変わる結果を分けます。
想像と商品との違い
| 想像されやすいこと | 商品との違い | 補い方 |
|---|---|---|
| 広く対応できる | 対象となる業務や条件が絞られる場合があります。 | 共通点の直後に、対象と対象外を示します。 |
| 手間がかからない | 利用前の準備や利用後の確認が残る場合があります。 | 商品が行う処理と、利用する側の作業を示します。 |
| たとえと同じ結果になる | 利用条件によって結果が変わる場合があります。 | 商品が行うことと、約束できない結果を分けます。 |
たとえに納得した様子だけでは商品の理解は分かるとは限らない
たとえに納得した様子があっても、商品の機能や条件が伝わったとは限りません。共通点と違いを示したら、実際の商品での説明に戻します。
- 納得した場面で戻す たとえが伝わった時点で、商品の機能や工程に戻します。たとえの細部を説明し続けません。
- 実際の動作を示す 商品で何が行われ、利用する側にどの作業が残るかを、実際の機能名や工程で説明します。
- 判断の前に戻す 利用範囲や条件を検討する前に、判断に必要な条件を商品の説明として示します。
商品の説明に戻す場面
| 場面 | すること | 注意 |
|---|---|---|
| 共通点が伝わる | 対応する商品の機能や工程を示します。 | たとえへの反応だけで説明を終えません。 |
| 細部の質問が出る | 実際の商品でどう動くかを説明します。 | たとえ側の仕組みで商品の仕様を推測しません。 |
| 利用を検討する | 対象範囲や必要な作業、利用の条件を示します。 | たとえの印象を判断の根拠にしません。 |
相手の想像した商品はうなずきだけでは分かるとは限らない
うなずきは、どの部分を理解したかまでは示しません。相手の言い換え、質問、期待する結果から、商品をどう想像したかを確かめます。
- 言い換えの内容を見る 相手が説明し直した内容に、示した共通点と、対象範囲などの条件が含まれているかを確かめます。
- 質問の前提を見る 質問への回答だけでなく、その前提に商品が対応しない機能や範囲が含まれていないかを見ます。
- 期待する結果を見る 期待する結果と、商品が行う処理を分けます。商品が対応しない機能や約束できない結果への期待があれば、商品の説明へ戻します。
受け取り方を確かめる手掛かり
| 表れ方 | 確かめること | ずれていたとき |
|---|---|---|
| 言い換えに表れる | 共通点だけでなく、対象範囲も伝わっているかを確かめます。 | 抜けた条件を商品の説明として補います。 |
| 質問に表れる | 商品にはない働きを前提にしていないかを確かめます。 | 質問の前提と実際の機能の違いを示します。 |
| 期待に表れる | 結果が条件付きであることを理解しているかを確かめます。 | 商品が行う処理と結果を左右する条件を示します。 |
相手の業界の言葉をたとえに使うと意味がずれる場合が残る
業界で使う言葉や工程は、職種や会社によって意味が異なる場合があります。身近さだけで採用せず、相手がその言葉から想像する内容を確かめます。
- 業界内の違いを見る 同じ名称でも、担当範囲や工程の区切りが違う場合があります。名称の一致だけで選びません。
- 想像する内容を知る 相手がそのたとえから想像する役割、作業、結果を確かめ、商品との対応を見直します。
- 使わない条件を決める 意味の違いが解消できない場合や、たとえの意味を説明するための補足が商品の説明より長くなる場合は、そのたとえを使いません。
業界のたとえを使う前の確認
| 場面 | 確かめること | 注意 |
|---|---|---|
| 業界の工程を使う | 工程に含む作業と、区切りの認識を確かめます。 | 自社が知る工程を相手も想像するとは限りません。 |
| 業界の役割を使う | その役割が担う仕事の範囲を確かめます。 | 名称が同じでも担当範囲まで同じとは限りません。 |
| 意味が定まらない | 商品の説明に役立つ共通点が残るかを確かめます。 | 補足しても誤解が残る場合は使用を見送ります。 |
たとえだけの資料では商品の条件が残らない
資料が転送されたり一部だけ引用されたりすると、口頭で補った条件が抜ける場合があります。資料だけで読んでも分かる商品の説明を残します。
- 口頭の補足を残す 商談で補った対象範囲や必要な作業を、資料にも商品の説明として記載します。
- たとえなしで読める 商品の機能、対象、条件を本文に書きます。たとえを読まなくても説明が成立するかを見直します。
- 引用する範囲を決める 社内共有では、たとえだけを抜き出さず、対応する商品の説明と条件を含めます。
媒体ごとの説明の残し方
| 媒体 | たとえの扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 口頭で説明する | 共通点と違いを示した後、商品の説明に戻します。 | その場で補っても、後から思い出すときには補足が抜ける場合があります。 |
| 資料に記載する | 商品を説明する本文を置き、たとえは補足として扱います。 | 商談に参加していない人も資料を読む場合があります。 |
| 社内文書に引用する | 商品の説明と条件を含む範囲で引用します。 | たとえだけでは、当てはまらない点が伝わりません。 |
たとえの改善には誤解と原因を結ぶ記録が必要だ
誤解があったという記録だけでは、次に何を変えるかが分かりません。相手が想像した内容と、その原因と考えられるたとえの部分を結び付けます。
- 誤解の中身を残す 相手がどの機能、作業、結果を想像したかを残します。理解不足という評価だけで済ませません。
- 原因の候補を残す 使ったたとえの種類と、想像を招いたと考えられる部分を書きます。確認できた事実と推測を分けます。
- 次の変更を残す 共通点の絞り込み、補足の追加、使用の中止から変更を決め、次に理解を確かめる項目も残します。
次の説明に使える記録項目
| 記録項目 | 書くこと | 理由 |
|---|---|---|
| 使用場面を残す | 説明の目的と、使ったたとえの種類を書きます。 | どの説明で誤解が生じたかを特定できます。 |
| 誤解の内容を残す | 相手が想像した内容と、商品の事実との差を書きます。 | 次に確かめる対象が分かります。 |
| 原因の候補を残す | 想像を招いた部分と、その判断の根拠を書きます。 | 原因についての推測を、事実と分けて扱えます。 |
| 変更内容を残す | 説明のどこを変えるか、使用をやめるかを書きます。 | 別の人も次の説明に反映できます。 |
| 確認結果を残す | 変更後に確かめた理解と、残った誤解を書きます。 | 説明を変えた後の理解も確かめられます。 |
社内でのたとえの共有には使う条件の明記が必要だ
使うたとえの種類だけを共有しても、説明する範囲や補足は人によって変わります。伝える目的、欠かさず補う点、使わない条件を一緒に残します。
- 使う目的を明記する たとえの種類ごとに、伝えたい一点と対応する商品の機能を記載します。
- 補足を必須にする 当てはまらない点と、商品の説明へ戻す箇所を決め、たとえと同じ場所に記載します。
- 使わない条件を残す 誤解が残った場面や、相手の業界で意味が定まらない場合には使わないと決め、見直す人も明記します。
社内で共有する使用条件
| 決めること | 書くこと | 理由 |
|---|---|---|
| 使用条件を決める | 使うたとえの種類、目的、対応する機能を書きます。 | 別の目的へ無理に広げて使わずに済みます。 |
| 必須の補足を決める | 当てはまらない点と、戻る先の商品の説明を書きます。 | 共通点だけが共有されずに済みます。 |
| 不使用条件を決める | 意味の違いや誤解が解消しない場面を書きます。 | 使い慣れたたとえでも見送る判断ができます。 |
| 見直す人を決める | 誤解の記録を確認し、共有内容を更新する人を書きます。 | 記録した変更を共有内容に反映できます。 |
確認表を埋めると、たとえに足りない補足が分かる
実際に説明する商品を対象に、確認表を具体的に埋めます。共通点や当てはまらない点を書けない場合は、使用前に商品の説明を整理します。
- 対応する範囲を書く 伝えたい一点、たとえの種類、共通点、当てはまらない点を書き、商品の説明と照合します。
- 補足と確認を書く 補う言葉の欄には実際の商品の条件を書きます。受け取り方の確認欄には、相手に説明してもらう内容を書きます。
- 説明の残し方を書く 資料に記載する商品の説明と、誤解が生じた場合の記録先を書きます。
たとえ話と商品の対応を確かめる確認表
| 記入項目 | 記入欄 | 記入項目 | 記入欄 |
|---|---|---|---|
| 伝えたい一点 | 使うたとえの種類 | ||
| 共通点 | 当てはまらない点 | ||
| 補う言葉 | 相手に説明してもらう内容 | ||
| 資料での扱い | 記録先 |
