納品完了の条件を受注前に確かめる

納品した事実だけでは、完了と判断してもらえるとは限りません。何を提供し、どの状態を誰が確認すれば完了するのかを、受注前に確かめます。

  • 納品する内容を決める 納品する物と作業を一覧にし、提供範囲に含まれないことも明らかにします。
  • 完了の確かめ方を決める 完了と判断する状態、確認方法、確認する人、相手側の準備を決めます。
  • 条件を残す場所を決める 段階ごとの完了も含めて提案書に記載し、社内で共有する相手と、条件が変わったときに更新する記録の場所を決めます。

納品した事実と完了の判断は違う

自社では納品済みでも、商談先では未完了と判断されることがあります。納品の有無だけでなく、利用の準備と確認する人まで確かめます。

  • 渡した後の状態を聞く 受け取っただけで完了するのか、使える状態まで求めるのかを確かめます。
  • 準備を前提にしない 相手側の設備や情報が必要なら、準備が済んでいない場合の扱いも決めます。
  • 確認する人を確かめる 商談の窓口だけで完了を判断できるか、別の人による確認が必要かを聞きます。

認識が食い違う場面

食い違う場面相手に起きること防ぎ方
完了の判断が違う受け取っても、必要な状態に達していないと感じます。相手が完了と判断する状態を、受注前に聞きます。
準備が済んでいない設備や情報が不足し、利用や確認を始められません。必要な準備と、未準備の場合の扱いを決めます。
確認する人が違う窓口では判断できず、確認が止まります。完了を確認する人と確認事項を決めます。
表は編集部作成の例です。自社の作業が終わる条件と、相手が完了と判断する条件を分けて確かめます。

納品する物と作業を一覧にする

商品名やサービス名だけでは、どこまで提供するかが伝わらないことがあります。物を渡すことと、作業・設定・説明を終えることを分けて書き出します。

  • 物と作業を分ける 納品する物の名称だけでなく、その物に対して行う作業も別に記載します。
  • 設定や説明も記載する 設定、操作説明、資料の引き渡しを含むかを確認し、一覧から漏らさないようにします。
  • 含むかどうかを示す 完了の判断に関わる項目は、提供範囲に含むかを明記します。含むか決まっていない項目も一覧に載せ、未確認と記します。

納品内容の整理表

項目内容注意
物渡す物と付属する物を記載します。名称だけで区別できない場合は仕様も示します。
作業実施する作業と対象を記載します。どこまで行えば作業を終えるかを示します。
設定設定する対象と設定内容を記載します。相手側で行う設定と区別します。
説明・引き渡し説明する内容と渡す資料を記載します。説明を受ける人と受け取る人を確認します。
含まれないもの関連するが提供しない物や作業を記載します。利用や完了確認への影響を確かめます。
表は編集部作成の例です。まとめた名称の中に複数の作業がある場合は、完了を確認できる単位に分けます。

相手が完了と判断する状態を聞く

納品する内容を整理したら、どの状態まで求められているかを聞きます。使える、問題がない、といった言葉だけで終えず、何ができれば完了と判断するのかを、確認できる状態として具体化します。

  • 何ができればよいか聞く 納品物を使って行いたい操作や作業を聞き、完了時に確かめる対象を決めます。
  • 誰が使うかを確かめる 使う人と利用環境を確認し、その条件で何ができれば完了と判断するかを決められるようにします。
  • 判断の基準を確かめる 完了と判断できる状態と、修正が必要な状態の違いを、確認項目ごとに整理します。

完了する状態の確認表

確かめること内容確認できなかった場合
できること完了時に行える必要がある操作や作業を聞きます。用途を追加で聞き、完了と判断する状態は未確認として残します。
使う人利用する人と、利用に必要な知識を確かめます。利用部門への確認を依頼します。
使う環境利用する場所や設備などの条件を聞きます。環境を確認する窓口を決めます。
判断の基準確認する項目と、完了と判断する状態を決めます。判断が分かれる点を整理して再確認します。
表は編集部作成の例です。確認できなかった条件は推測で埋めず、未確認として残します。

完了を確認する方法と人を決める

完了する状態が決まっても、確認方法が曖昧な場合は、相手が完了と判断できずに確認が止まることがあります。何を見て確かめるかと、その確認をする人を対応させます。

  • 状態に合う方法を選ぶ 現物を見る、動かす、書面を受け取るなど、決めた状態を確かめられる方法を選びます。
  • 確認する人を相手と決める 確認項目ごとに相手側の確認者を商談先と相談して決め、窓口への連絡だけで確認が済むかを確かめます。
  • 結果の残し方を決める 確認者が確かめた内容と結果をどこに残し、誰が確認済みと判断するかを商談先と決めます。

確認方法と確認者の整理表

確認の方法内容確認する人
現物の確認対象の物と仕様を照合します。現物を見て仕様との一致を判断できる人を決めます。
動作の確認決めた環境で必要な操作や動作を試します。決めた環境で必要な操作や動作ができるかを判断できる人を決めます。
書面の受け渡し必要な書面が届き、内容を確認したことを確かめます。書面を受け取り、内容を確認する人を決めます。
結果の取りまとめ各項目の確認結果と未確認事項を確かめます。相手側で最終の完了を確認する人を決めます。
表は編集部作成の例です。受け取る人、使う人、最終の完了を確認する人が同じとは限りません。

完了の確認に必要な準備を確かめる

納品物が整っていても、設備や情報が足りなければ完了を確かめられません。相手側で必要な準備と、未準備の場合に確認できる範囲を決めます。

  • 必要な準備を洗い出す 利用と完了確認に必要な設備、情報、人、社内手続きを書き出します。
  • 準備する人を確かめる 準備する項目ごとに相手側の担当を確かめ、商談先の窓口担当者が把握していない準備は未確認として残します。
  • 未準備の扱いを決める 準備がなくても確認できる項目と、準備後に確かめる項目を分けます。

相手側の準備確認表

相手側の準備確かめること準備が済んでいないときの扱い
設備利用や動作確認に必要な設備が使えるかを聞きます。確認できない項目を残し、準備後の確認方法を決めます。
情報の提供設定や確認に使う情報と提供元を確かめます。情報が必要な作業と確認を保留します。
担当者の確保操作や確認をする人が参加できるかを聞きます。代わりに確認できる人の有無を確かめます。
社内手続き利用や確認の前に必要な手続きを聞きます。手続きが済むまで確かめられない項目を示します。
表は編集部作成の例です。準備不足で確認できない状態を、確認済みとして記録しないようにします。

完了に関わる対象外の作業を伝える

使える状態になるまでの作業を、すべて自社で提供するとは限りません。完了に関わる作業のうち、自社の提供範囲に含まれないものを伝えます。

  • 提供範囲外の作業を明らかにする 納品と続けて行うように見える作業でも、提供範囲に含まれない場合は区別して示します。
  • 作業の担当を確かめる 提供範囲に含まれない作業は、自社の別部署、他社、相手側のどこが行うかと、完了確認との関係を確かめます。
  • 完了条件と照らし合わす 対象外の作業が終わらないと確認できない項目を示し、完了の扱いを商談先と決めます。

対象外の作業の整理表

含まれないこと伝え方の方針相手の判断に必要な情報
提供範囲外の作業提供する作業との境目を具体的に示します。行わない場合に利用や確認へ及ぶ影響を示します。
自社の別部署や他社が行う作業自社の営業担当者が提供する部分と、別の担当が行う部分を分けます。その作業を行う部署や会社と、完了確認に必要な作業結果を示します。
相手側の作業納品後の利用に必要でも、自社では行わないと伝えます。必要な作業内容と、未完了では確認できない項目を示します。
表は編集部作成の例です。受注前に把握した作業の分担を扱い、受注後の追加依頼への対応とは分けて考えます。

部分の完了と全体の完了を分けて決める

分けて納品する場合は、一部を受け取ったことと全体の完了を区別します。各段階で確認する内容と、最後に残す確認を受注前に決めます。

  • 納品する単位を決める 何をまとめて納品し、どの単位で完了を確認するかを、納品物の一覧に記載します。
  • 段階ごとの状態を決める 各段階で確認する項目と、次の段階へ持ち越す項目を受注前に区別します。
  • 全体の完了を決める 部分ごとの確認だけで全体の完了とするか、納品した物と作業を組み合わせた状態での確認が必要かを決めます。

段階的な完了の整理表

場面決めること記録
分割納品納品する物と作業を、確認する単位に分けます。各納品の対象と、まだ納品しない対象を残します。
段階ごとの確認その段階で完了とする状態と確認方法を決めます。確認済みの項目と持ち越す項目を残します。
最終の完了全体として必要な状態と最後の確認を決めます。全体の確認者と、完了を判断する条件を残します。
表は編集部作成の例です。一部の確認が済んでも、残る作業や確認項目が見えなくならないようにします。

完了条件を提案書に書き社内で共有する

商談で確かめた条件は、提案書で読み返せる形にします。受注前に社内の提供担当にも共有し、記載した状態まで提供・確認できるかを確かめます。

  • 条件を対応させて書く 納品する項目ごとに、完了する状態と確認方法を対応させ、条件の抜けを見つけます。
  • 提供できるか確認する 相手と確認した条件を提供担当に見てもらい、実施できない点や解釈の違いを確かめます。
  • 未確認事項を残す 決まった条件と未確認事項を分け、誰に何を確かめれば記載を確定できるかを残します。

提案書と社内共有の整理表

提案書の項目書くこと社内に共有すること
納品物一覧提供する物・作業・設定・説明を記載します。各項目の内容と対象を伝えます。
完了の状態何ができれば完了するかを記載します。その状態まで提供できるかの確認を求めます。
確認方法・確認者確認する項目、方法、相手側の確認者を記載します。確認に必要な準備と、社内の提供担当が確認に立ち会うかを伝えます。
相手側の準備必要な準備と未準備の場合の扱いを記載します。準備に依存する作業と確認項目を伝えます。
含まれないこと提供しない作業と、その作業の担当を記載します。自社で行う作業との境目を伝えます。
段階的な完了部分と全体の完了条件を記載します。段階ごとの確認と持ち越す項目を伝えます。
表は編集部作成の例です。提案書と社内の記録で条件が食い違わないよう、同じ内容を参照できる場所を示します。

条件の変更を再確認して記録を更新する

納品物や利用環境が変わると、完了条件や確認方法も変わる場合があります。変更の希望を聞いた段階と、変更後の条件が双方で決まった段階を分けて記録します。

  • 影響する条件を探す 変わる項目を起点に、完了の状態、確認方法、相手側の準備への影響を確かめます。
  • 変更内容を再確認する 提供担当に実施できるかを確認し、商談先と変更後の条件を確かめます。
  • 参照する記録を更新する 変更後の条件が双方で決まったら提案書と社内の記録を更新し、提供担当へ変更箇所と最新の記録先を知らせます。

条件変更の記録表

記録項目書くこと
変更前と変更後変わる項目について、元の条件と新しい条件を記載します。
変更の理由変更が必要になった事情を記載します。
影響する条件完了の状態、確認方法、確認者、準備への影響を記載します。
再確認の結果相手と確かめた変更後の条件、それを確かめた相手、未確認事項を記載します。
社内への連絡提供担当の確認結果と、変更を知らせた相手を記載します。
最新の記録先更新した提案書と社内の記録の場所を記載します。
表は編集部作成の例です。変更の希望を受けただけの内容は、確認済みの条件と区別して残します。

納品完了の条件を受注前に書き出す

進行中の商談を取り上げ、受注前に確かめる完了の条件を書き込みます。書けない項目は空欄のままにせず、未確認の内容と確認する相手を残します。

  • 商談の内容で書き込む 商品名だけで済ませず、提供する物と作業、完了と判断する状態を具体的に書きます。
  • 未確認事項を確かめる 商談先への確認が必要な点と、社内の提供担当に確認する点を分けて記載します。
  • 記録の使い方を決める 提案書への記載先、社内の共有先、条件変更時に更新する場所を決めます。

納品完了の条件を確かめる確認表

確認項目書き込む内容自社の記入欄
納品する物と作業何を渡し、どこまで作業・設定・説明を行うかを書きます。
完了の状態どの環境で、誰が使い、何ができれば完了と判断するか、誰がそれを確認するかを書きます。
確認方法・確認者何をどの方法で確認し、誰が完了を確かめるかを書きます。
相手側の準備必要な設備・情報・人・手続きと、未準備の場合の扱いを書きます。
対象外・段階の扱い含まれない作業とその担当、部分と全体の完了条件を書きます。
記録先提案書の記載先、社内の共有先、変更時の更新先を書きます。
表は編集部作成の例です。各欄には確認済みの内容と未確認事項を分け、未確認事項には確認する相手を添えます。