顧客事例の取材で聞くことを決める
「導入して良かったです」と聞いたら、そう感じた場面を尋ねる質問へ進みます。この資料では、聞く内容、記録の仕方、掲載前に誰へ何を確認するかを決めます。
- 具体的な場面を聞く 利用を決めた背景、比べた条件、実際の使い方、利用後の変化を聞く質問を書き出します。
- 聞いた言葉を残す 相手の言葉と自分の解釈を分けて、意味を変えずに記録します。
- 公開できる範囲を確かめる 掲載する内容と公開範囲を、本人と会社に確認する流れを決めます。
提案先が自社の業務と比べて読める事例にする
「良かった」という感想だけでは、読んだ人は自社の業務にも当てはまるか判断しにくくなります。背景・使い方・変化が書かれていると、自分の状況と比べられます。
- 当時の状況を伝える どの業務で何に困っていたかを聞き、読む相手が自分との共通点を探せるようにします。
- 使った場面を伝える 誰が何の業務でどう使ったかを聞き、利用後の変化と合わせて書きます。
- 確認してから公開する 感想だけを抜き出さず、背景から変化までの意味が伝わるか本人に確認します。
取材から掲載前の確認まで進める
- 利用を決めた背景を聞く
- 比べた条件を聞く
- 実際の使い方を聞く
- 利用後の変化を聞く
- 本人に掲載内容を確認する
取材の目的と確認の流れを先に伝える
取材を頼む段階で、誰に見せる資料か、何を聞くかを伝えます。所要時間の目安は自社で決め、掲載前の確認の流れと一緒に知らせます。
- 目的と聞く内容を伝える 事例を見せる相手と掲載先を示し、背景・使い方・変化などについて聞きたいと伝えます。
- 確認の流れを知らせる 原稿を送って内容と公開範囲を確認してもらい、修正を反映してから公開すると伝えます。
- 断ってよいと伝える 取材への協力は任意です。答えにくい質問には答えなくてよいことも添えます。
依頼前に伝える内容を確認する(編集部作成の例)
| 伝えること | 書き方 |
|---|---|
| 目的と見せる相手 | 利用を検討している方が、自分の業務と比べて読める事例を作りたいと伝えます。 |
| 聞く内容 | 利用を決めた背景、選んだ理由、使い方、利用後の変化を伺いたいと伝えます。 |
| 所要時間 | 自社で決めた所要時間の目安を伝え、都合を確認します。 |
| 掲載先 | 掲載する媒体と、営業資料などでの使用予定を伝えます。 |
| 確認の流れ | 掲載前に原稿を送り、本人と会社に確認してもらうと伝えます。 |
| 協力の判断 | 取材は断ってよく、答えにくい内容は回答不要と伝えます。 |
利用を決めた背景は当時の業務の場面から聞く
「どんな課題がありましたか」だけでは、抽象的な答えになりがちです。当時の業務を思い出してもらい、誰がどの場面で困っていたかを聞きます。
- 業務の流れを聞く 利用を決める前の仕事の進め方を聞き、困りごとが起きていた場面を確かめます。
- 誰が困っていたかを聞く 誰が困っていたかを聞き、取材相手自身の経験か周囲から聞いた話かも確かめて記録します。
- 以前の対応を聞く それまでの対処方法と、対応を変えようと思ったきっかけを聞きます。
当時の場面を聞く(編集部作成の例)
| 聞くこと | 聞き方の要素 |
|---|---|
| 当時の業務 | 利用を決める前は、どの業務をどのような流れで進めていましたか。 |
| 困った場面 | その流れの中で、進めにくかったのはどんな場面ですか。 |
| 困っていた人 | その場面では、どの役割の方が困っていましたか。 |
| 以前の対応 | 困ったときは、それまでどのように対応していましたか。 |
| 決めたきっかけ | 対応を変えようと思ったきっかけは何でしたか。 |
比べた条件と決めるまでに迷った点を聞く
選んだ理由だけでなく、他に検討した方法や迷った点も聞きます。何を重視した判断だったかが分かると、読む相手も自分の条件と比べられます。
- 検討した方法を聞く 他社名を挙げてもらう必要はありません。自社で対応する案など、方法の違いを聞きます。
- 判断の基準を聞く 重視した条件と、その条件が当時の業務で必要だった理由を聞きます。
- 迷いと判断の流れを聞く 誰がどの役割で判断に関わったか、判断のためにどの情報を確かめたかを聞きます。
選定の条件を確かめる(編集部作成の例)
| 聞くこと | 注意 |
|---|---|
| 検討した方法 | 「他にどんな方法を検討しましたか」と聞き、他社名の回答は求めません。 |
| 重視した条件 | 「何を基準に選びましたか」と聞き、こちらから答えを決めつけません。 |
| 条件の理由 | 「その条件が必要だったのはなぜですか」と、当時の業務に戻って聞きます。 |
| 判断に関わる人 | 「社内ではどの役割の方が判断しましたか」と聞き、氏名を求めません。 |
| 迷った点 | 「決めるまでに迷った点はありましたか」と聞き、迷いが残った場合も記録します。 |
誰がどの業務でどう使っているかを聞く
「活用しています」だけでは、実際の使い方は伝わりません。使っている人の役割と業務の流れを聞き、利用する場面を具体的にします。
- 役割と業務を聞く 誰が、どの業務のどの場面で、何をするために使っているかを聞きます。
- 使い始めの迷いを聞く 始めるときに困ったことと、その後どう対応したかを分けて記録します。
- 使っていない部分も聞く 未使用の機能や想定と違った使い方も聞き、実際に利用している範囲を書きます。
利用する場面を記録する(編集部作成の例)
| 聞くこと | 記録の仕方 |
|---|---|
| 使っている人 | 個人名ではなく、まず役割と担当する業務を書きます。 |
| 使う場面 | 業務のどの段階で、何のために使うかを書きます。 |
| 操作や手順 | 実際の作業の順序を本人に確かめて書きます。 |
| 始める際の困難 | 困った内容と対応方法を分け、未解決ならそのまま残します。 |
| 未使用の機能 | 使っていない機能と理由を書き、利用したように補いません。 |
| 想定との違い | 当初の予定と現在の使い方を分けて書きます。 |
利用後の変化は本人の言葉で聞く
良い結果を前提にせず、何が変わり、何が変わらなかったかを聞きます。数字は本人が示したものだけを使い、こちらで計算して成果の数字を作りません。
- 変化の有無から聞く 以前との違いを自由に話してもらい、変わらなかった部分も記録します。
- 数字をこちらで作らない 本人が示した数字だけを使い、何をいつと比べた数字か、出どころと掲載の可否を確認します。
- うまくいかない点も聞く 期待と違った点や残っている困りごとも聞き、良かった点だけに書き換えません。
答えを誘導せずに聞く(編集部作成の例)
| 避ける聞き方 | 聞き方 |
|---|---|
| 楽になりましたね | 利用する前と比べて、業務の進め方に変化はありましたか。 |
| 成果が出ましたね | 変わったことと、変わらなかったことを教えてください。 |
| 数字にできますか | その変化は、どのような場面で分かりましたか。 |
| 問題はないですね | 期待と違った点や、うまくいかなかった点はありましたか。 |
| 利用の効果ですね | 同じ時期に、体制や業務の進め方で他に変えたことはありますか。 |
聞いた言葉と自分の解釈を分けて残す
録音や記録の許可は、取材を始める前に取ります。相手の言葉を残す欄と、自分の解釈や追加で聞きたいことを書く欄を分けます。
- 記録の許可を取る 録音やメモの目的と扱いを説明して確認します。録音を断られたら、許可された方法で残します。
- 引用する言葉を残す 引用したい言葉は、本人が話したとおりに残します。要約するときも、本人が話していない理由や評価を足しません。
- 解釈は別の欄に書く 推測は発言と区別し、未確認と明記します。意味が曖昧な部分は本人に聞き直します。
発言と解釈を分ける(編集部作成の例)
| 相手の言葉 | 自分の解釈(分けて書く) |
|---|---|
| 確認が楽です。 | 何の確認がどう楽なのか、以前との違いがあるかは未確認。 |
| 今も手作業です。 | どの業務が手作業か、現在も手作業で行っている事情は未確認。 |
| 準備に迷いました。 | いつ、何の準備で、どの点に迷ったかは未確認。 |
掲載内容と公開範囲を本人と会社に確認する
取材への協力と、内容を公開してよいかの確認は分けて進めます。掲載原稿を送り、社名・写真・数字・引用などを本人と会社に確認してもらいます。
- 内容と公開先を示す 原稿と使用する写真を見せ、掲載先や営業資料での使用を含めて公開範囲を確かめます。
- 期限と方法を決める 確認する人、返答の期限、連絡方法を決めます。返答がないまま公開してよいとは判断しません。
- 修正と取り下げに対応する 修正の依頼を受け、反映した原稿を本人と会社の担当者に改めて確認してもらいます。公開後の取り下げの申し出も受け付けます。
確認結果を記録する(編集部作成の例)
| 確認項目 | 確認先 | 記録 |
|---|---|---|
| 社名・部署・氏名 | 本人と会社の確認者に確認します。 | 表記と公開してよい範囲を残します。 |
| 写真 | 写っている本人と会社の確認者に確認します。 | 使用する写真と掲載先を残します。 |
| 数字 | 発言した本人と会社の確認者に確認します。 | 数字の意味、比較条件、公開可否を残します。 |
| 引用と本文 | 本人と会社の確認者に確認します。 | 発言の意味と修正後の原稿を残します。 |
| 公開先と用途 | 本人と会社の確認者に確認します。 | 掲載媒体と営業資料などでの使用範囲を残します。 |
| 期限と返答方法 | 本人と会社の確認窓口に確認します。 | 期限、方法、確認者、返答日を残します。 |
事例は業種・規模・業務が近い提案先に見せる
事例を使う前に、読む相手と共通する条件を確かめます。業種が同じでも、規模や業務の進め方が違えば、参考になる部分も変わります。
- 共通する条件を探す 業種・規模・業務を見比べ、相手が相談している内容に近い事例を選びます。
- 違う条件も伝える 事例の会社と異なる条件を示し、同じ結果になるとは言いません。
- 事例と自社の説明を分ける 顧客の経験と自社からの提案を区別します。顧客が話していない評価を事例に足しません。
使う場面ごとに条件を確かめる(編集部作成の例)
| 使う場面 | 注意 |
|---|---|
| 初回の説明 | 業種・規模・業務のどこが近いかを説明し、相手の状況も聞きます。 |
| 困りごとの相談 | 「人手不足」など言葉が共通するだけで選ばず、起きている場面が近いかを確かめます。 |
| 使い方の説明 | 事例にある利用範囲を示し、相手の体制や手順との違いを伝えます。 |
| 提案資料への掲載 | 確認済みの使用範囲で使い、引用と自社の説明を見分けられるようにします。 |
| 結果を聞かれた時 | 事例で確認できた変化を伝え、相手にも同じ結果が出るとは約束しません。 |
次の取材で使う質問と確認事項を書き出す
取材をお願いしたい相手を思い浮かべ、下のメモを埋めます。質問はそのまま口に出せる文にして、確認する公開範囲と、記録を残す場所も決めます。
- 目的と依頼内容を書く 誰に何を伝える事例かを書き、依頼時に知らせる目的・所要時間・確認の流れを整理します。
- 場面を聞く質問を書く 背景、比べた条件、使い方、変化について、取材で尋ねる質問文を書きます。変わらなかった点を聞く質問も入れます。
- 確認と記録を決める 公開範囲の確認先を書きます。記録の許可を取り、発言と解釈を分けて残す場所も決めます。
事例取材の準備メモを埋める(編集部作成の例)
| 記入する項目 | 記入欄 | 記入する項目 | 記入欄 |
|---|---|---|---|
| 目的と見せる相手 | 依頼時に伝えること | ||
| 背景の質問 | 比べた条件の質問 | ||
| 使い方の質問 | 変化の質問 | ||
| 確認する公開範囲 | 記録の場所 |
