新規開拓の施策を、費用と商談の中身で評価する

試した施策を続けるか迷ったら、費用と成果の記録を見直します。手紙DM・テレアポ・フォーム営業を、共通の基準で比較します。

  • 成果と比較条件を決める 何を成果とし、どの営業先を対象に、いつまでの結果で比べるかを決めます。
  • 費用と商談を記録する 成果を数えるルールと費用の範囲を決め、商談単価と商談の中身を確認します。
  • 次の行動を決める 複数の手段で接触した場合の数え方と、件数が少ないときの判断を決め、評価シートで継続・修正・停止を判断します。

費用対効果は、費用と商談の中身をそろえて比べる

送付単価や架電単価だけでは、商談1件を得るまでにかかった費用と時間は分かりません。比較条件を決めてから、費用と商談の数・中身を確認します。

  • 作業単価を区別する 送付や架電の単価は、その作業の費用です。商談を得るまでの費用とは分けて扱います。
  • 商談の中身も見る 商談数に加え、提案が合う相手に会えたか、相手と次の予定を決められたかを確認します。
  • 比較条件を先に決める 成果の定義、営業先の条件、評価期間を合わせてから、施策ごとの結果を比べます。

費用対効果を評価する順序

  1. 成果の定義・営業先の条件・期間を決める
  2. 費用・作業時間・商談数を記録する
  3. 商談の中身を確認し、次の行動を決める
編集部作成の例。商談単価だけで施策の優劣を決めないようにします。

施策を始める前に今回の成果を決める

今回の目的に合わせ、評価の対象にする成果を一つ選びます。商談・資料請求・ヒアリング済みを混ぜず、何が起きたら成果とするかを評価シートに書きます。

  • 今回の目的から選ぶ 提案の機会を得たいのか、関心や課題を確かめたいのかを決め、成果を選びます。
  • 判定できる言葉で書く 「反応があった」ではなく、面談の記録や依頼の記録から判定できる状態を定義します。
  • 途中で定義を変えない 結果を見て成果の定義を変えません。変更が必要なら、変更前後の評価を分けます。

今回の成果を選ぶ

成果の候補定義向く場合
商談相手の課題と自社の提案が合うかを話し合う面談を実施した状態とします。具体的な提案の機会を評価したい場合に選びます。
資料請求相手から資料を求められ、その依頼を記録した状態とします。資料で検討する意向があるかを確かめたい場合に選びます。
ヒアリング済み事前に決めた質問への回答を得て、内容を記録した状態とします。課題や検討状況を把握したい場合に選びます。
編集部作成の例。資料の一方的な送付を資料請求には含めません。

比較する施策は営業先の条件と期間をそろえる

営業先の地域や業種が違うと、結果の差が手段によるものか判断しにくくなります。同じ条件で対象を選び、施策ごとに振り分けます。

  • 営業先の条件を決める 地域・業種・規模と、新設や移転など公開情報で確認できる状況を記録します。過去の接触や既存の取引も確認します。
  • 対象の偏りを避ける 有望そうな相手を特定の施策だけに集めず、施策ごとの対象数と条件の内訳を近づけます。
  • 観察する期間も合わせる 実施時期と、接触後に反応を待つ期間を合わせます。提案内容や追加対応の条件も統一します。

比較前に確認する条件

そろえる条件そろっていないと起きること
地域・業種商圏や事業の差を、手段の差と取り違えるおそれがあります。
規模・状況予算や検討の必要性が違い、提案への関心に差が出ることがあります。
過去の接触既に関係がある相手の成果を、新規の接触と同列に扱ってしまいます。
対象数・構成接触した数や対象の偏りが、商談数の差に影響します。
提案・対応提案内容や追加対応の差が、手段の評価に影響します。
実施・観察期間検討できた時間の違いを、施策の成果の差と取り違えます。
編集部作成の例。合わせられない条件は、比較上の制約として記録します。

成果を数えるルールを、担当者の間でそろえる

同じ成果でも、予約の時点で数えるか実施後に数えるかで結果が変わります。数える単位・時点・担当者を決め、記録の判断をそろえます。

  • 予約と実施を分ける 面談の予約はアポ、定義に合う面談の実施は商談として分けます。延期や取消は商談に含めません。
  • 重複を除いて数える 同じ会社の同じ案件は、接触や面談を重ねても成果を重複して数えません。別案件とする条件は事前に決めます。
  • 集計の責任を決める 記録する人と集計する人を決めます。評価の締め時点を共有し、訂正の履歴も残します。

成果を数える共通ルール

数えるもの定義数える人
アポ相手と日時・目的を合意した時点で予約として記録します。接触した人が記録します。
商談定義に合う面談を実施し、内容を記録した時点で数えます。面談した人が記録します。
資料請求相手からの依頼を確認した時点で数えます。依頼を受けた人が記録します。
ヒアリング済み必要な質問への回答を記録した時点で数えます。聞き取りをした人が記録します。
重複の除外会社と案件を照合し、同じ成果の重複を除きます。集計する人が確認します。
成果の確定締め時点で定義と記録を照合し、集計を確定します。評価の責任者が確定します。
編集部作成の例。別案件として数える条件も、施策開始前に決めます。

営業費用は、外注費と社内の作業時間を並べて見る

請求書の金額だけでは、社内で使った時間が見えません。準備から反応後の対応までを対象に、支出と作業時間を記録します。

  • 支出の範囲を合わせる 外注費、資材費、通信費などを確認します。外注費に含まれる費用は重ねて足しません。
  • 社内時間を残す 準備・実施・記録・対応に使った時間を残します。比較する施策で記録範囲を合わせます。
  • 金額への換算を決める 社内の作業時間は、共通の基準で金額に換算するか、換算せずに時間として支出の横に書きます。

費用と作業時間に含める範囲

費用の項目手紙DMテレアポフォーム営業
外注費手紙の作成・発送を外部に頼む費用を含めます。架電の代行を含めます。文章作成・送信の代行を含めます。
資材・通信費別途負担する資材・郵送の費用を含めます。別途負担する通話・通信の費用を含めます。別途負担する送信・通信の費用を含めます。
社内の準備対象の選定・依頼内容の確認時間を含めます。対象の選定・質問の整理時間を含めます。対象の選定・送信内容の確認時間を含めます。
実施・記録自社で送る場合の作業と、接触履歴の記録時間を含めます。自社でかける場合の架電と、結果の記録時間を含めます。自社で送る場合の作業と、結果の記録時間を含めます。
反応後の対応返信対応・面談調整の時間を含めます。折り返し対応・面談調整の時間を含めます。返信対応・面談調整の時間を含めます。
編集部作成の例。共通費用を分ける場合は、配分の基準も統一します。

商談単価は費用を商談数で割って求める

商談単価は、定義に合う商談を得るために使った費用から求めます。同じ営業先の集まりと同じ観察期間に対応する費用と商談数を使います。

  • 同じ対象で計算する 対象の施策にかかった総費用を、その施策で得た商談数で割ります。予約は含めません。
  • 時間の扱いを明記する 社内時間を金額に含めない場合は「支出ベースの商談単価」と明記し、時間を併記します。
  • 算出できないときは費用と経過を残す 商談がない場合は算出せず、費用と経過を記録します。商談以外の成果は別に評価します。

商談単価=施策の総費用÷商談数

式の項目何を入れるか注意
施策の総費用対象の営業先に使った外注費・諸費用に、金額に換算した社内時間を加えます。換算しない場合は支出だけで計算し、その旨を書きます。費用の範囲と時間の換算基準を合わせます。
商談数事前の定義と集計ルールに合う、実施済みの商談を入れます。重複を除き、複数の手段で接触した商談は別枠に分けます。
商談単価総費用を商談数で割った結果を記録します。商談の中身と作業時間も確認します。
表・式は編集部作成の例。月内の支出と、別の営業先群から生じた商談を混ぜません。

提案が合う相手に会えたかで商談を評価する

商談単価が低くても、自社の提案が相手の課題に合っていなければ、続ける根拠は弱くなります。商談後に共通の項目を確認し、相手の発言や合意した内容を残します。

  • 提案の適合性を確かめる 自社の提案で扱える課題かを確認します。面談できたことだけで良い商談と判断しません。
  • 事実で中身を記録する 導入を判断する人が参加したか、聞けた課題、次の予定を記録します。感触だけで評価しません。
  • 未確認を区別する 確認できていない項目は「未確認」と残します。不適合と混同せず、次に聞くことを決めます。

商談後に確認する評価項目

評価項目確認すること
提案との適合相手の課題に対し、自社で提供できる内容が合っているかを確認します。
導入を判断する人導入を判断する人が参加したか、不在なら誰がどう判断するかを確認します。
課題の具体性何に困り、業務にどのような影響があるかを確認します。
検討の条件検討時期や予算など、提案を進める条件を確認します。
次の予定次に行うこと、実施する人、予定日を相手と合意できたか確認します。
編集部作成の例。各項目は、確認できた内容・未確認・合わないと分かった内容のどれかを、根拠とともに記録します。

複数の手段で接触した商談は、別枠で評価する

手紙を送った後に電話で面談が決まっても、どちらが決め手かは断定できません。フォームと電話の組み合わせも同じです。複数の手段を使った商談は、単独施策の成果と分けて記録します。

  • 単独の成果に加えない 複数の手段で接触した商談は組み合わせの枠で数え、手紙や電話それぞれの成果には加えません。
  • 接触の順番を残す 営業先ごとに接触日・手段・反応を時系列で残します。経路が不明なら推測で埋めません。
  • 費用も別枠に対応させる 組み合わせに使った費用と商談数を対応させます。商談がなかった営業先の費用も含めます。

接触経路に応じた商談の数え方

接触の組み合わせ数え方
手紙のみ観察期間中に他の手段で接触していないことを確認し、手紙DMの単独枠で数えます。
電話のみ観察期間中に他の手段で接触していないことを確認し、テレアポの単独枠で数えます。
フォームのみ観察期間中に他の手段で接触していないことを確認し、フォーム営業の単独枠で数えます。
手紙→電話手紙DMとテレアポの組み合わせ枠で数えます。
フォーム→電話フォーム営業とテレアポの組み合わせ枠で数えます。
経路が不明経路不明の枠で数え、単独施策の成果には振り分けません。
編集部作成の例。施策別集計と全体集計のどちらでも、同じ商談を重複させません。

件数が少ない段階では、施策の優劣を決めない

件数が少ないと、個別の結果で率や単価が大きく動きます。判断日と許容する費用・時間を先に決め、結果と実施状況を確認します。

  • 率だけで優劣をつけない 率や単価に加え、対象数・接触状況・商談の中身を見ます。差が偶然かどうかは断定しません。
  • 判断日と上限を決める 判断日、必要な観察期間、使える費用と時間を決めます。判断材料が足りないときは、延長するか止めるかを判断日に決めます。
  • 修正箇所を絞る 直すなら、対象条件や提案内容など変える箇所を絞ります。何を変えたかと再評価日を記録します。

判断材料が少ないときの対応

判断の場面やることやらないこと
観察期間の途中予定した接触と記録が進んでいるか確認します。途中の率だけで優劣を決めません。
判断材料が不足延長で得たい情報と、追加の費用・時間を決めます。期限を決めずに続けません。
実施に不備対象の誤りや対応漏れを確認し、原因を直します。実施の不備を手段の弱さと断定しません。
内容を修正変更点を限定し、変更前後の記録を分けます。変えた箇所を記録せずに続けません。
中止条件に該当事前の上限や継続困難な理由に照らして止めます。既に使った費用だけを理由に続けません。
連絡不要の意思相手の意向を記録し、その営業先への接触を止めます。別の手段に変えて接触を続けません。
編集部作成の例。判断材料の不足と、施策の不適合を分けて考えます。

続ける・直す・止めるを評価シートで決める

開始前に成果の定義と判断基準を書き、判断日に結果を追記します。施策ごとに同じ様式を使います。

  • 続ける基準を決める 判断日に、費用と時間が許容範囲で、提案に合う商談を確認できていれば続けます。判断材料が足りなければ、期限を決めて保留します。
  • 直す基準を決める 対象や対応に改善可能な原因が見つかったら修正します。変更点と再評価日を決めます。
  • 止める基準を決める 事前の上限に達した場合や、提案の不適合が続き改善の見込みがない場合は停止します。

新規開拓の評価シート

項目記入欄項目記入欄
施策成果の定義と件数
営業先の条件条件・対象数:期間実施・観察期間:
数えるルール定義・重複・集計者・締め:商談数
総費用の内訳外注・諸費用・時間換算:時間と商談単価作業時間・商談単価:
商談の中身適合/参加者/課題/次の予定:複数の手段の接触経路/別枠の費用・商談数:
判断基準・日継続・修正・停止の条件/判断日:判断結論・理由・次の対応・再評価日:
編集部作成の例。社内時間を金額に含めない場合は、その旨を記入します。