要望の優先順位を確かめて提案を決める
複数の要望が両立しないときは、必要な場面と目的から確かめます。相手の優先順位をもとに、提案に含める内容を決めます。
- 要望の背景を確かめる それぞれの要望を使う場面と、その背景にある目的を確認します。
- 優先する条件を決める 外せない条件と、あると望ましい条件を分け、相手の判断を確認します。
- 提案する範囲を決める 両立できる範囲と両立できない点を分け、理由と代わりの案を示します。
すべてを盛り込む前に条件の関係を確認する
要望を追加するだけでは、同時に満たせない条件が提案に残ることがあります。どの条件を優先するかが分からないままでは、どの案を勧めるかを判断できません。
- 決まらない理由を探る 案を増やす前に、どの要望とどの要望が両立しないのかを具体的にします。
- 同時に満たせるか調べる 個別には実現できても、同じ場面で同時に満たせるとは限りません。
- 優先順位のずれを防ぐ 実現しやすい条件だけで提案を決めず、相手が重視する条件を確認します。
盛り込む前に防ぎたいこと
| 起きること | 相手に起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 提案が決まらない | 相手は、検討する案を絞れません。 | 優先する条件を確認します。 |
| 両立しない条件の説明が無い | 相手は、すべて実現すると誤解します。 | 同時に満たせる範囲を示します。 |
| 優先順位がずれる | 相手が重視した条件が満たされません。 | 提案の軸を相手に確認します。 |
要望を使う場面を一つずつ確認する
似た要望でも、使う人や作業が違えば必要な条件は変わります。求めている機能や対応について、誰が、どの作業で、どんなときに使うかを聞きます。
- 使う人を確かめる 商談の窓口だけでなく、実際に使う人や影響を受ける人を確認します。
- 作業を具体的にする 必要な機能の名前だけで終えず、どの作業で何をするために使うかを聞きます。
- 必要な状況を分ける 常に必要なのか、特定の状況だけなのかを分け、要望が重なる場面を探します。
要望ごとに確認する場面
| 確かめること | 内容 | 確認できなかった場合 |
|---|---|---|
| 使う人 | 誰が使い、誰に影響するかを聞きます。 | 実際に使う人へ確認する事項を記録し、確認するまで判断を保留します。 |
| 対象の作業 | 作業のどこで必要になるかを聞きます。 | 対象の作業を未確認と記録します。 |
| 必要な状況 | 常時か、特定の状況だけかを聞きます。 | 常に必要な条件とは扱いません。 |
| 重なる場面 | 別の要望も同時に必要かを聞きます。 | 両立の判断を保留します。 |
要望を実現した先の目的を確認する
要望は、目的を達成するための手段である場合があります。何を改善したいのかを確かめると、別の方法を検討できるかが分かります。
- 目的を推測で決めない 要望の言葉だけから意図を決めず、解消したい困りごとや実現したい状態を聞きます。
- 目的が同じなら別の方法を探す 複数の要望の目的が共通していれば、求められた方法以外でも達成できるかを検討します。
- 違う目的なら優先を聞く 目的が異なり両立が難しい場合は、どちらを優先する必要があるかを確認します。
要望と背景の目的を分ける
| 要望の例 | 背景の目的の例 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 承認を省略する | 作業を止めずに進めたいと考えています。 | 承認待ちで止まる作業を確認します。 |
| 承認を必須にする | 誤った内容の確定を防ぎたいと考えています。 | 防ぎたい誤りと影響を確認します。 |
| 入力項目を減らす | 入力の負担を減らしたいと考えています。 | 負担が生じる項目と作業を確認します。 |
| 詳細を記録する | 後から判断の経緯を確かめたいと考えています。 | 振り返る際に必要な情報を確認します。 |
外せない条件を相手の判断で明確にする
相手が強く求めた要望が、最優先の条件とは限りません。満たせないと採用できない条件と、あると望ましい条件を分けて確認します。
- 外せない理由を聞く 満たせないと何ができなくなるかを確かめ、採用の判断に関わる条件を特定します。
- 望ましい条件を分ける 一部を満たす形でも検討できるかを聞き、譲れる範囲を確認します。
- 判断する人を確かめる 利用する人と採用を判断する人で優先順位が異なる場合は、採用を判断する人に優先する条件を確認してから提案を決めます。
条件の重みを確認する
| 条件の区分 | 確かめること | 記録 |
|---|---|---|
| 外せない条件 | 満たせない場合に採用できるかを確認します。 | 条件と外せない理由を書きます。 |
| 望ましい条件 | 満たす範囲を調整できるかを確認します。 | 認められる範囲を書きます。 |
| 複数の条件が同時に満たせない | どちらを優先するかを確認します。 | 優先する条件と判断者を書きます。 |
| 判断が未確認 | 誰の判断が必要かを確認します。 | 確認先と未決定の内容を書きます。 |
両立の判断を条件ごとに分けて記録する
提案全体を、できるかできないかだけで判断しません。要望が重なる場面ごとに、両立する範囲と必要な条件を分けます。
- 重なる範囲を特定する 使う人、作業、状況を照らし合わせ、どの範囲で条件がぶつかるかを確かめます。
- 両立に必要な前提を残す 対象や運用を分ければ両立する場合は、両立に必要な前提条件も記録します。
- 未確認を区別する 根拠が足りない点は未確認とし、両立できないという結論と分けて扱います。
要望の組み合わせを分類する
| 区分 | 内容 | 扱い |
|---|---|---|
| 両立できる | 同じ場面で双方の条件を満たせます。 | 確認した範囲を提案に含めます。 |
| 条件付きで両立 | 対象や運用を分ければ満たせます。 | 成立に必要な条件を明記します。 |
| 両立できない | 確認した条件では同時に満たせません。 | 根拠を残し、代わりの案を検討します。 |
| 未確認 | 同時に満たせるかを判断できません。 | 確認事項を残して判断を保留します。 |
両立しないと思える点を社内で検証する
条件がぶつかって見えても、仕様や段取りの確認で判断が変わる場合があります。要望の組み合わせと必要な場面を社内に伝え、成立する条件を確かめます。
- 仕様上の制約を調べる それぞれの機能の有無だけでなく、同時に使う場合の制約を確認します。
- 条件と段取りを調べる 提供条件や作業の順序を確認し、対象や手順を分ける案が成立するかを調べます。
- 確認する人を決める 内容を判断できる人に確認し、根拠と未確認の点を分けて記録します。
両立の可否を検証する確認事項
| 確かめる内容 | 確認先 | 確認できなかった場合 |
|---|---|---|
| 仕様 | 機能の組み合わせを判断できる部門に確認します。 | 同時利用の可否を未確認とします。 |
| 提供条件 | 契約や運用の条件を管理する部門に確認します。 | 条件付きの実現も確約しません。 |
| 段取り | 実際の作業を設計する人に確認します。 | 手順を分ける案の採用を保留します。 |
| 判断する人 | 要望の組み合わせを最終的に判断できる人が誰かを確認します。 | 判断を依頼する先を決め直します。 |
確認した優先順位に沿って提案を構成する
提案は、相手が外せないと判断した条件から組み立てます。望ましい条件を満たす範囲と、同時には満たせない点も明記します。
- 外せない条件から書く 外せない条件のそれぞれについて、どの方法で、どの範囲まで対応できるかを示します。
- 望ましい条件を加える 外せない条件への影響を確かめてから、追加できる内容と必要な条件を書きます。
- 両立しない点を残す 満たせない要望を省略せず、理由と代わりの案を、相手が採用を判断する箇所の近くに記載します。
優先順位が伝わる提案の構成
| 提案の構成 | 書くこと | 注意 |
|---|---|---|
| 目的と優先順位 | 確認した目的と外せない条件を書きます。 | 未確認の優先順位を確定扱いしません。 |
| 提案の中心 | 外せない条件を満たす方法を書きます。 | 必要な前提条件も示します。 |
| 追加する内容 | 望ましい条件を満たす範囲を書きます。 | 中心となる条件への影響を示します。 |
| 両立しない点 | 満たせない点と理由、代わりの案を書きます。 | すべて満たせるように表現しません。 |
| 未確認の点 | 確認が必要な条件と確認先を書きます。 | 確認済みの内容と分けて示します。 |
両立できない理由と代わりの案を示す
両立できない点は、どの条件がどうぶつかるかを説明します。代わりの案には、達成できる目的と、その案では満たせなくなる条件があればそれも添えます。
- 条件の関係を説明する 一方を満たすと他方の何が満たせないのかを、確認した根拠に沿って示します。
- 目的から別の方法を探す 対象や運用を分けるなど、優先する目的を満たせる方法を検討します。
- 選ぶ際の違いを示す 案ごとの実現範囲と必要な運用を示し、どの条件を変えるかを相手に確認します。
条件がぶつかる場面で示す情報
| 場面 | 示すこと | 注意 |
|---|---|---|
| 承認と即時確定 | 承認を待つ範囲と、即時に確定する範囲を分ける案を示します。 | 承認を省く対象が認められるか確認します。 |
| 入力削減と詳細記録 | 必須の記録を残し、入力対象を絞る案を示します。 | 記録しなくなる情報の影響を示します。 |
| 共通手順と個別対応 | 共通手順を使う作業と、個別に扱う作業を分ける案を示します。 | 作業を分けることで増える負担も示します。 |
| 代わりの案が無い | 現在の条件では同時に満たせない根拠を示します。 | 外せない条件を黙って削りません。 |
要望と優先順位の変更を提案に反映する
提案後に利用場面や判断する人が変わると、優先順位も変わる場合があります。変更された条件を確認し、両立の判断と提案内容を見直します。
- 判断の根拠を記録する 要望だけでなく、必要な場面、目的、優先順位とその理由を残します。
- 変更の影響を確かめる 条件が変わったら、他の要望との両立や外せない条件への影響を確認し直します。
- 変更前の内容も残す 何が、なぜ、誰の判断で変わったかを記録し、修正した提案と対応させます。
提案と一緒に残す記録
| 記録項目 | 書くこと |
|---|---|
| 要望 | 求められた内容を、確認できた範囲で具体的に書きます。 |
| 必要な場面 | 使う人、対象の作業、必要な状況を書きます。 |
| 背景の目的 | 解消したい困りごとや実現したい状態を書きます。 |
| 優先順位 | 外せない条件、望ましい条件、理由と判断者を書きます。 |
| 両立の判定 | 区分、成立する条件、根拠、未確認の点を書きます。 |
| 変更の履歴 | 変更前後の内容、理由、判断者、提案の修正箇所を書きます。 |
提案前の確認結果を記録する
商談で出た要望を、このメモに沿って整理します。確認できていない欄は推測で埋めず、次に確かめる内容を残します。
- 場面と目的から書く 要望をすべて盛り込む前に、必要な場面と背景の目的を要望ごとに書きます。
- 未確認の点を残す 相手に聞くことと社内で確かめることを分け、確認先を書きます。
- 変更時に見直す 優先順位が変わったらメモを更新し、両立の区分と提案の構成を確認し直します。
要望が両立しないときの確認メモ
| 記録項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 要望と場面 | 要望:/使う人・作業・必要な状況: |
| 背景の目的 | 実現したい状態:/その状態を実現できる別の方法: |
| 優先する条件 | 外せない条件:/望ましい条件:/理由・判断者: |
| 両立の区分 | 両立できる・条件付きで両立・両立できない・未確認:/条件付きの場合の前提条件:/根拠: |
| 社内での確認 | 仕様・提供条件・段取りで確かめること:/確認する人: |
| 提案と記録先 | 優先する条件・実現範囲:/両立できない理由・代わりの案:/記録先: |
