苦情を整理し、対応する人へ伝える
購入した商品や提供されたサービスへの苦情は、聞いた内容を分けて記録します。この資料では、聞き取りから社内への伝達、対応後の記録までを扱います。
- 聞くことを決める 起きたこと、困っていること、求めている対応を分けて聞く項目と、記録する方法を決めます。
- 伝えることを決める 社内の伝達先と伝える内容を決めます。顧客への最初の返答と、進み具合を伝える担当も決めます。
- 残すことを決める 対応の結果を顧客と確かめ、営業管理表に残す項目と、再発を防ぐために見直す担当を決めます。
起きたことと困りごとと希望を分ける
苦情の説明には、出来事と困りごとと希望が混ざっています。まず話を聞き、不足する項目を確かめます。
- 出来事を聞く 対象の商品やサービスと、何が起きたかを確認します。原因を決めつけず、発生した順に記録します。
- 困りごとと希望を分ける 困っていることと、求めている対応を別々に聞きます。希望が決まっていなければ、未定と記録します。
- これまでの対応を聞く いつから起きているか、誰に何を伝えたかを確認します。自社からすでに受けた説明や対応も記録します。
最初の窓口で聞き取る項目
| 聞き取ること | 聞き方の方針 | 記録すること |
|---|---|---|
| 起きたこと | 対象と起きた順序を確認します。 | 商品・サービスと出来事を書きます。 |
| 困っていること | 利用や仕事への影響を聞きます。 | できないことや支障を書きます。 |
| 求めている対応 | 希望する対応を確認します。 | 希望と、その理由を書きます。 |
| いつからか | 発生した時点と継続状況を聞きます。 | 発生時点と現在の状態を書きます。 |
| 誰が対応中か | これまでの対応と、現在対応している人を聞きます。 | 対応した人と説明・対応内容を書きます。 |
顧客から聞いた内容と確認できた事実を分ける
顧客から聞いた内容と、自社で確認できた内容は分けて書きます。聞いた内容として残すことは、その内容を否定することではありません。
- 相手の言葉を残す 訴えの中心となる言葉は、そのまま記録します。社内で短く要約するときも、元の言葉を残します。
- 確認の根拠を書く 自社で確認できたことには、確認に使った記録や資料を添えます。確認した人と日付も残します。
- 不明な点を残す 分からないことは未確認と書きます。原因についての推測を、確認できた事実に混ぜないようにします。
聞いた内容と確認した事実を分ける記録例
| 区分 | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 顧客から聞いた内容 | 顧客の言葉として記録します。 | 「届いたときから電源が入らない」と申告がありました。 |
| 確認できた事実 | 確認した資料と内容を書きます。 | 検品記録に、出荷前の通電確認が記載されています。 |
| 未確認のこと | 確認できていない範囲を書きます。 | 届いた商品の現在の状態は、現物で確認できていません。 |
| 原因の推測 | 推測と明記し、根拠の有無を書きます。 | 輸送中の破損を想定していますが、裏付けはありません。 |
その場で約束できることを分ける
受け取った旨はその場で伝えます。次の連絡は、連絡する担当と日時を確認して約束します。原因は確認前に断定せず、対応内容は社内で決まってから伝えます。
- 連絡の約束を決める 次に誰が、何を、いつ連絡するかを決めます。原因が分からなくても、確認の進み具合は伝えられます。
- 対応の確約を控える 原因や対応内容の決定は、確認と社内の判断を経て行います。顧客の希望を、そのまま実施の約束にしません。
- 未確認と明示する 確認済みの範囲と未確認の範囲を分けて説明します。推測で原因を断定せず、次に確認する項目を示します。
その場で約束できることと約束しないこと
| 場面 | 約束できること | 約束しないこと |
|---|---|---|
| 受付時 | 受け取った内容を記録し、社内へ伝えます。 | 確認前に対応の結論を約束しません。 |
| 原因を聞かれた時 | 確認する項目を説明し、次に連絡する日時を約束します。 | 裏付けのない原因を断定しません。 |
| 対応を求められた時 | 求められた対応を、実施するか判断する人へ伝えます。 | 未決定の対応を実施すると約束しません。 |
| 次の連絡を決める時 | 実行できる担当・予定・手段を決めます。 | 解決の見通しがないうちに、次の連絡までに解決すると約束しません。 |
伝達先と判断する人を決める
苦情を共有するだけでは、誰が動くかが決まりません。対応する部署と、対応方針や緊急度を判断する人を指定します。
- 伝達先を指定する 商品やサービスの確認ができる部署へ伝えます。受領した人と、対応を引き受けた人を記録します。
- 判断材料を伝える 顧客から聞いた内容、確認した事実、求めている対応、顧客の困りごとを伝えます。未確認の点と連絡の約束も添えます。
- 緊急度の判断先を決める 利用への支障や影響の広がりを伝え、指定した人が緊急度を判断します。連絡が取れない場合の代わりの人も決めます。
伝達先ごとの情報と判断
| 伝達先 | 伝える内容 | 判断すること |
|---|---|---|
| 対応する部署 | 聞いた内容・確認した事実・希望・顧客の状況を伝えます。 | 確認する項目と対応案を検討します。 |
| 方針を決める人 | 確認結果と対応案、判断が必要な点を伝えます。 | 対応内容と進め方を決めます。 |
| 緊急度を決める人 | 利用への支障と影響の範囲を伝えます。 | 優先する確認と対応を決めます。 |
| 代わりの人 | 判断する人と連絡が取れない事実と、未決定の事項を伝えます。 | 未決定の事項について、当面の進め方を決めます。 |
最初の返答で次の連絡を明らかにする
最初の返答では、受け取った内容と現在の確認状況を伝えます。次の連絡の担当・予定・手段まで決めます。
- 受付内容を確かめる 受け取った旨と、把握した出来事・困りごと・希望を伝えます。認識に違いがあれば、記録を直します。
- 確認中の項目を示す 社内で何を確認しているかを示します。確認済みのことと、まだ答えが出ていないことを分けます。
- 次の連絡を具体化する 連絡する担当、予定、手段を明らかにします。結論が出ていなくても、予定した連絡で状況を伝えます。
最初の返答に含める要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 受け取った旨 | 苦情を受け付け、内容を記録したことを伝えます。 |
| 把握した内容 | 出来事・困りごと・求めている対応を確認します。 |
| 社内での確認 | 確認している項目と、まだ分かっていない点を伝えます。 |
| 次の連絡担当 | 次に連絡する人を伝えます。 |
| 次の連絡予定 | 連絡できる日時を確認し、顧客と共有します。 |
| 連絡の手段 | 電話やメールなど、今回の対応で使う手段を決めます。 |
進み具合を伝える担当を決める
社内で対応する人と、顧客へ連絡する人は分けて決めます。窓口が変わる場合は、聞き取った内容と連絡の約束を引き継ぎます。
- 連絡の窓口を決める 営業から連絡するか、対応する部署から連絡するかを決めます。変更するときは、新しい窓口を顧客に伝えます。
- 聞いた内容を引き継ぐ これまでの説明と記録を共有し、不足する点や再確認が必要な点を追加で聞きます。顧客に同じ説明を繰り返し求めないようにします。
- 結論が出なくても連絡する 予定した連絡では、確認できたことと残る確認事項を伝えます。予定を変える場合も、理由と新しい予定を伝えます。
対応中に連絡する人と共有内容
| 場面 | 伝える人 | 共有・伝達の内容 |
|---|---|---|
| 営業が窓口を続ける | 営業から顧客へ連絡します。 | 対応部署が営業へ、確認結果と残る作業を伝えます。 |
| 対応部署へ引き継ぐ | 引き継ぎ後の窓口から連絡します。 | 営業が引き継ぎ先へ、聞き取り記録と過去の説明、約束を伝えます。 |
| 確認が続いている | 決めた窓口から連絡します。 | 確認できたこと、未確認の点、次の予定を伝えます。 |
| 連絡予定を変える | 窓口か、決めた代わりの人が連絡します。 | 変更の理由と新しい連絡予定を伝えます。 |
対応の結果と、不満が残っているかを確かめる
社内で対応を終えても、顧客の困りごとが残ることがあります。実施した内容を伝え、現在の状態と、不満が残っているかを確かめます。
- 実施した内容を確認する 何を実施し、何が変わったかを確認します。予定していた内容との違いや、残っている作業も記録します。
- 顧客の評価を聞く 困りごとが解消したか、対応をどう評価しているかを聞きます。返答がない場合は、納得したと判断しません。
- 残る対応を決める 不満や希望が残っているかを確認します。今回の苦情について追加で連絡する内容、担当、手段を決めます。
対応後に顧客と確かめる項目
| 確かめること | 記録すること |
|---|---|
| 対応した内容 | 実施した内容と、まだ実施していない内容を書きます。 |
| 現在の状態 | 商品やサービスを利用できるか、支障が残るかを書きます。 |
| 顧客の評価 | 対応への感想を、納得できた点とできなかった点に分けて残します。 |
| 残っている不満 | 解消していない困りごとと、追加の希望があれば書きます。 |
| 今後の連絡希望 | 今回の苦情に関する追加連絡の内容・手段・予定を残します。 |
担当が変わっても分かる記録を残す
営業管理表には、苦情の受付から結果の確認までを残します。経緯と次にすることを、後から読んでも分かる形で記録します。
- 受付内容を残す 受付日、対象、苦情の内容を記録します。顧客から聞いた内容、自社で確認した事実、未確認の点を分けます。
- 対応の経緯を残す 伝達先、判断した内容、実施した対応を記録します。顧客への説明と連絡の約束も、日付とともに残します。
- 次の作業を残す 現在の状態と、次に担当する人・作業・予定を明記します。結果の確認が済んでいなければ、その状態を残します。
営業管理表に設ける記録項目
| 記録項目 | 書くこと |
|---|---|
| 受付日と対象 | 受付日、受付した人、顧客名、対象の商品・サービスを書きます。 |
| 苦情の内容 | 起きたこと、困りごと、求めている対応を書きます。 |
| 聞いた内容と事実 | 顧客の言葉、確認した事実と根拠、未確認の点を分けて書きます。 |
| 伝達先と担当 | 伝えた相手、判断する人、対応する人、顧客へ連絡する人を書きます。 |
| 対応と連絡 | 判断・実施・説明の内容と日付、次の連絡の約束を書きます。 |
| 結果と残る作業 | 顧客の評価、残る不満、次の作業・担当・予定を書きます。 |
苦情の記録から説明と手順を見直す
対応の記録は、似た苦情が続いていないかを確かめる材料になります。営業の説明と商品・サービスの提供手順を確認し、見直す担当を決めます。
- 似た苦情を比べる 同じ商品、説明、提供の場面で似た苦情が出ていないかを確認します。共通点だけで原因を決めつけないようにします。
- 原因の判断を裏付ける 営業の説明と実際の提供内容を比べます。商品の状態や提供手順も調べ、記録で裏付けられる範囲を明らかにします。
- 見直す担当を決める 変更する説明や手順と、実施する担当を決めます。変更後も同じ苦情が出ていないかを確認します。
苦情の記録から見直す観点
| 見直す観点 | 確かめること | 見直す担当 |
|---|---|---|
| 似た苦情の継続 | 商品や発生場面、説明内容の共通点を確かめます。 | 記録を確認する人を決めます。 |
| 営業の説明 | 購入前の説明と実際の提供内容に違いがないか調べます。 | 営業の説明を管理する人を決めます。 |
| 商品の状態 | 検品記録や現物から、品質上の問題を確認します。 | 商品を管理する部署で決めます。 |
| 提供の手順 | 案内・作業・引き継ぎのどこで問題が起きたか調べます。 | サービスを提供する部署で決めます。 |
| 変更後の確認 | 変更が実施され、同じ苦情が続いていないか確認します。 | 変更後の記録を確認する人を決めます。 |
苦情を社内へ伝える手順をメモにする
ここまでの手順に沿って、自社の担当者名と記録先を書き込みます。決まっていない項目には、決める人と確認する予定を書きます。
- 聞き取りの項目を書く 出来事・困りごと・希望を聞く項目と、聞いた内容・確認した事実・未確認を分けて書く場所を決めます。
- 伝達と連絡の担当を書く 約束できる範囲、社内の伝達先、顧客へ連絡する担当を書きます。担当が不在の場合の代わりの人も決めます。
- 確認と見直しの担当を書く 対応の結果を確かめる方法、記録先、再発を防ぐ見直しの担当を書きます。残った作業を誰が進めるかも決めます。
苦情の伝え方を決めるメモ
| 決める項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 聞き取りと記録 | 聞く項目と、聞いた内容・確認した事実・未確認を分ける記録方法: |
| 約束と伝達 | 約束できること、伝達先、伝える内容、緊急度を判断する人: |
| 最初の返答 | 最初の返答で伝える項目と、次の連絡の担当・予定・手段の決め方: |
| 進み具合と結果 | 進み具合を伝える担当と、結果・残る不満・連絡希望の確認方法: |
| 記録と見直し | 苦情を記録する営業管理表の場所、再発を防ぐために見直す説明・手順と担当: |
