提案に書ける範囲は原因の確認状況と商品の範囲で決まる

商談先が原因と考える作業を変えても、困りごとが解消するとは限りません。説明の根拠と商品で変えられる作業を確認し、提案に書ける範囲を判断します。

  • 原因の確かめ方を決める 起きた出来事と相手が考える原因を分け、原因の根拠として確認する内容を決めます。
  • 商品の範囲を決める 商品が変えられる作業と、商品を導入しても変わらない部分を区別します。
  • 提案の前提を決める 確認できた内容と未確認の原因を分けて提案書に記載する方法を決めます。

相手が考える原因は、確認済みの事実とは限らない

原因を含む説明から、実際に起きた出来事を取り出します。困っている内容も別に記録すると、観察したことと原因の解釈を区別できます。

  • 出来事を取り出す いつ、どの作業で、何が起きたかを記録します。原因を表す言葉は別の欄に移します。
  • 困りごとを分ける 出来事によって誰の何が滞ったかを記録します。困りごとの大きさだけで原因を決めません。
  • 原因は仮の説明にする 相手が挙げた原因は、確認する候補として扱います。商品を求められても、その原因が正しいかの裏づけは別に必要です。

出来事と解釈の分け方

聞き取る内容中身注意
起きたこと発生した作業、時点、状態を記録します。原因の推測を混ぜません。
困っていること出来事による支障と、支障を受ける人を記録します。出来事そのものと区別します。
原因と考えること原因とされる作業と、その説明を記録します。確認前に事実として扱いません。
表は編集部作成の例です。

原因の判断には、説明の出どころの確認が必要だ

同じ説明でも、直接見た内容と推測では根拠が違います。誰が何をもとに判断したかをたどり、確かめられる内容を明らかにします。

  • 観察の範囲を残す 実際に見た人、見た場面、残っている記録を確認します。見ていない工程でも同じことが起きたとは判断しません。
  • 推測の理由をたどる どの出来事から原因を推測したかを整理します。前後して起きただけでは、原因とは決めません。
  • 他者の意見をたどる 伝聞は、元の発言者と判断の根拠を確認します。同じ人の説明が繰り返されても、裏づけが増えたとは扱いません。

根拠の扱い方

根拠の種類確かめること扱い
見て分かったこと観察した人、場面、記録の内容を確認します。観察できた範囲の事実として残します。
推測判断のもとになった出来事と説明の筋道を確認します。原因の候補として残します。
他の人の意見元の発言者と、その人が持つ根拠を確認します。根拠に戻れない内容は未確認とします。
表は編集部作成の例です。

場面の違いだけで原因が決まるとは限らない

問題が起きた場面だけでなく、同じ作業で問題が起きなかった場面も比べます。違いは原因を考える手がかりになりますが、それだけでは断定できません。

  • 同じ作業で比べる 同じ目的の作業から、問題が起きた場面と起きなかった場面を選びます。作業の内容や手順が違う場合は、その違いも記録します。
  • 周囲の条件も見る 使った情報、関わった人、依頼の集中、例外対応を比べます。原因候補以外の違いも記録します。
  • 説明できない点を残す 原因と考えている作業が同じでも問題が起きない場面があれば、その場面の条件を残します。都合のよい場面だけを根拠にしません。

場面を比較する視点

比べること確かめること分かること
起きる場面発生時の作業と周囲の条件を確認します。原因候補と同時に存在した条件が分かります。
起きない場面同じ作業で支障がなかったときの条件を確認します。原因候補だけでは説明できない場合が分かります。
場面の違い入力情報、人、時点、例外対応の違いを確認します。追加で調べる条件が分かります。
表は編集部作成の例です。

問題が表れる作業が、原因のある作業とは限らない

支障が見えた作業に、原因があるとは限りません。前の作業から後の作業までの受け渡しと判断の担当をたどり、どの作業で支障が生じたかを確認します。

  • 前の作業から届くものを見る 必要な情報や承認が、どの状態で届いたかを確認します。届く前に生じていた支障を、受け取った側の作業の原因にしません。
  • 作業内の変化を見る 誰が処理し、誰が判断したかを確認します。通常の手順と例外対応を分け、支障が生じた位置を記録します。
  • 後の作業で見つかる点を見る 作業の結果が、後の工程でどう扱われたかを確認します。発見された場所と発生した場所を区別します。

原因をたどる手順の確認

手順の位置確かめること注意
前の作業渡す人、渡す内容、必要な情報の不足を確認します。受け取る前の状態を調べます。
その作業処理する人、判断する人、例外時の対応を確認します。作業名だけで原因を決めません。
後の作業受け取った結果の使い方と、支障の発見時点を確認します。発見した人だけの説明で結論を出しません。
表は編集部作成の例です。

商品で変えられる作業と原因のある作業は一致するとは限らない

原因候補のある作業と、商品が実際に変更できる処理を照合します。商品で変えられる作業が原因の作業と一致しても、問題全体が解消するとは断定できません。

  • 処理の単位で照合する 原因候補の作業を、入力、処理、受け渡しに分けます。商品で変更できる箇所を具体的に示します。
  • 部分的な作用を示す 同じ作業の中でも、商品が扱う部分と人が続ける部分を分けます。一部だけ変わる場合に、作業全体が変わるとは説明しません。
  • 利用条件も照合する 必要な情報、設定、利用者の操作を確認します。条件を満たせるか不明な部分は、未確認の前提として提案に明記します。

商品が変える範囲

作用の範囲説明すること注意
変えられる対象の処理と、変更が可能な条件を示します。問題全体の解消まで約束しません。
一部変えられる変更できる処理と、残る処理を示します。作業名だけで対象範囲を表しません。
変えられない商品が扱わない作業や判断を示します。問題に関係するなら、別の対応が要るかを確認事項にします。
表は編集部作成の例です。

問題に関係する手順や判断が商品の外に残る場合がある

商品を導入しても、社内の手順や他の商品、人の判断が変わらない場合があります。問題に関係する部分なら、残る作業と対応の担当を伝えます。

  • 社内の手順を示す 承認の順序や役割分担など、導入だけでは変わらない手順を示します。見直しの担当も未定なら明記します。
  • 他の商品との境目を示す 他の商品が担う処理や情報の受け渡しを示します。連携できるか未確認の部分は、利用可能と書きません。
  • 人に残る判断を示す 例外対応や承認など、人が引き続き判断する内容を示します。判断待ちが残る可能性も伝えます。

変わらない部分の伝え方

変わらない部分伝え方理由
社内の手順残る手順と、見直しを担う人を記載します。手順を変えるかは相手の社内で決めることのためです。
他の商品他の商品に残る処理と、確認が必要な接続条件を記載します。自社商品の外に処理が残るためです。
人の判断人が判断する内容と、その判断を待つ場面を記載します。導入後も判断待ちが起こり得るためです。
表は編集部作成の例です。

原因を裏づける根拠があっても別の原因がないとは限らない

原因候補を裏づける情報が見つかっても、ほかの原因がないとは言えません。確認した内容と未確認の候補を分け、提案が成り立つ条件を明記します。

  • 根拠の及ぶ範囲を書く どの場面で、何が原因を裏づけたかを書きます。特定の場面の確認を、すべての場面へ広げません。
  • 別の原因候補を残す 今の原因候補では説明できない場面や、未確認の前後の作業を記録します。未確認の原因が影響する可能性を伝えます。
  • 見直す条件を決める 提案の前提が確認できなかった場合の扱いを決めます。根拠と合わない事実が分かったら、原因の候補と提案の前提を見直します。

原因の確認状況と提案

原因の扱い提案での書き方注意
確認できた原因裏づけた根拠と、確認した場面を記載します。唯一の原因とは書きません。
未確認の原因残る原因候補と、確認できていない内容を記載します。提案に不都合でも省きません。
提案の前提対象の作業、必要な条件、見直す条件を記載します。前提が未確認なら、その状態も示します。
表は編集部作成の例です。

提案に賛同されても商品の範囲を理解されたとは限らない

提案に賛同があっても、問題全体が変わると期待されている可能性があります。相手による説明と導入後の想定から、商品の範囲の理解を確認します。

  • 相手の説明で確認する 商品が変える作業と残る作業を、相手自身の言葉で整理してもらいます。説明した条件が抜けていないか、対象が広がっていないかを確かめます。
  • 導入後の動きを見る 導入後も残る作業について、担当や判断の想定を確認します。なくなる前提になっていれば説明を補います。
  • 期待と根拠を比べる 期待されている変化を、確認済みの根拠と比べます。商品が扱わない部分への期待は、提案で約束する内容に含めません。

理解のずれを見つける視点

確かめ方確かめることずれていたとき
相手の言い換え対象作業と前提条件が、相手の説明にも含まれるかを見ます。抜けた条件と対象外の作業を再提示します。
導入後の想定残る作業や判断の担当が想定されているかを見ます。残る手順と役割分担を説明し直します。
期待の大きさ確認した範囲を超える変化が期待されていないかを見ます。確認済みの内容と、根拠のない期待を分けます。
表は編集部作成の例です。

提案書で事実と書ける内容は、確認済みの範囲に限られる

提案書には、出来事、原因の確認状況、商品が作用する部分を分けて残します。未確認の内容も、その状態と確認予定を明示して記載します。

  • 事実に出どころを添える 確認した出来事に、記録や説明の出どころを添えます。伝聞しかない内容は、確認済みの事実と区別します。
  • 原因に確認状況を添える 根拠、比較した場面、残る原因候補を記載します。相手が原因と述べたことと、裏づけの有無を分けます。
  • 作用に条件を添える 変えられる作業と必要な条件、変わらない部分を記載します。未確認点には確認する人と時期を添えます。

提案書に残す内容

記録項目書くこと理由
出来事発生場面、支障、情報の出どころを記載します。原因の解釈と区別するためです。
原因の確認状況根拠と未確認点、別の原因候補を記載します。原因を断定したように読ませないためです。
商品が作用する部分変更する作業、必要な条件、対象外の作業を記載します。商品の範囲を超える期待を防ぐためです。
今後の確認確認する内容、担当、時期、記録先を記載します。未確認のまま前提が固定されるのを防ぐためです。
表は編集部作成の例です。

原因の確認表には、根拠と未確認点の記録が必要だ

商談で得た内容を、原因の確認表に記入します。記入できない欄は未確認・未定・該当なしのどれかを書き、提案の前提にできる内容と追加確認が必要な内容を分けます。

  • 根拠まで記入する 原因の説明だけで終えず、根拠の種類と確認した場面を記入します。情報の出どころも追える形で残します。
  • 変わらない部分も残す 商品が変える作業と変わらない部分を並べます。後者にも問題の原因が残る可能性を検討します。
  • 未確認点を更新する 未確認点には、確認する人と時期を添えます。確認後は根拠と記録先を追記し、提案の前提を見直します。

商談先の問題と原因の確認表

起きている出来事相手が考える原因根拠の種類と出どころ起きる場面と起きない場面関わる人と手順自社商品が変えられる作業変わらない部分未確認の点記録先
表は編集部作成の記入欄です。記入できない欄は未確認・未定・該当なしと書きます。原因の説明を、そのまま確認済みの事実へ移しません。