資料と口頭の分担は、相手に求める判断で変わる
資料の本文を読むだけでは、相手の状況に当てはまるかまでは分かりません。資料に任せる内容と口頭で補う内容を分け、判断に関わる条件は口頭でも確かめます。
- ページごとの役割を決める 資料から読み取れる内容を押さえ、口頭で補う理由や背景をページごとに決めます。
- 相手に合わせて説明を選ぶ 相手の状況を踏まえ、省くページと詳しく話すページ、口頭でも確かめる条件を決めます。
- 説明後の対応を決める 資料にない質問への対応と、相手が持ち帰る資料を確かめ、説明の記録から次回の話し方を直します。
質問が出ない説明は、理解されたとは限らない
本文と同じ説明が続くと、相手が先に読み終えている場合があります。質問の有無だけで理解を判断せず、資料と説明が重なっている箇所も別に見ます。
- 読む速さの違いを見る 説明中のページより先を読んでいたら、どこまで確認できたかを把握します。
- 説明の重なりを見る 本文に加えて何を話したかを振り返り、口頭で補った内容があったかを見ます。
- 沈黙だけで判断しない 質問がない場合も、内容を理解できたかと、自社に当てはめて考えられたかを、それぞれ確かめます。
説明中に起きていること
| 起きること | 相手の側で起きること | 見直す点 |
|---|---|---|
| 先に読み終える | 次の説明を待っている場合があります。 | 既読の内容を繰り返していないかを見ます。 |
| 説明と資料が同じ | 本文以外の情報を得られない場合があります。 | 判断に必要な補足があるかを見ます。 |
| 質問が出ない | 何を質問すべきか分からない場合があります。 | 自社に当てはめて考えられたかを確かめます。 |
口頭で補う内容は、資料だけで判断できるかで決まる
数値や仕様は、資料の記載を見てもらえば伝わる内容です。ただし、その背景や相手への当てはまり方は、口頭で補う必要がある場合があります。
- 記載内容は資料に任せる 数値や仕様は記載箇所を示し、読み取れる内容をすべて順に読み上げることはしません。
- 背景と理由を補う 記載された内容が相手の検討にどう関わるかを、確認できた状況に沿って補います。
- 重要条件は両方で扱う 資料に書いてあっても、利用の判断に関わる条件は口頭でも確かめます。
内容による役割の分け方
| 内容の種類 | 資料に任せる | 口頭で補う |
|---|---|---|
| 数値・仕様 | 記載された値や項目を確認してもらいます。 | 比較や利用に関わる前提を補います。 |
| 背景・理由 | 記載がある説明は参照してもらいます。 | 相手の検討に関わる理由を補います。 |
| 相手との関係 | 該当する記載を示します。 | 相手の状況に当てはまるかを確かめます。 |
| 判断に関わる条件 | 条件の正確な記載を確認してもらいます。 | 条件の理解と当てはまり方を確かめます。 |
ページの補足は、相手に求める判断で決まる
口頭で話すことを本文の要約だけで準備すると、説明が資料と重なります。そのページで考えてほしいことを先に決め、必要な補足と確認事項を書き出します。
- 判断してほしいことを書く 説明を聞いた後に、何について判断してほしいかを具体的に書きます。
- 資料にない補足を書く 判断に必要な背景や理由のうち、そのページから読み取れない内容を書きます。
- 相手に聞くことを書く 相手の状況が分からないと説明できない箇所を挙げ、確認する項目を決めます。
ページごとに用意する説明メモ
| 準備項目 | 書くこと | 注意 |
|---|---|---|
| 求める判断 | 何の可否や必要性を考えてほしいかを書きます。 | その場で結論を求める必要があるかも考えます。 |
| 資料にない補足 | 判断に必要な背景や理由を書きます。 | 本文を別の表現で繰り返すだけにしません。 |
| 相手への確認 | 判断の前提となる相手の状況を書きます。 | 分からない状況を推測で埋めません。 |
省くページと詳しく話すページは相手の状況で分かれる
すべてのページを同じ詳しさで話す必要はありません。相手が知っている内容と関心を踏まえ、判断に必要なページを選んで説明します。
- 既知の内容は確認して省く 知っているはずと決めつけず、同じ内容を把握していると分かったページは説明を省きます。
- 関心のあるページを扱う 相手が検討したい内容を確認し、該当するページで必要な補足を詳しく話します。
- 判断の前提は省かない 関心が薄いページでも、利用条件などの重要な記載は口頭で扱います。
相手の状況に応じたページの扱い
| 相手の状況 | ページの扱い | 確かめること |
|---|---|---|
| すでに知っている | 相手の把握している内容が資料と同じなら説明を省きます。 | 相手が知っている内容と資料の記載に違いがないかを確かめます。 |
| 関心がある | 関心に関わる箇所を詳しく説明します。 | 何を判断するために知りたいかを確かめます。 |
| 判断に関わる記載がある | 必要な条件を口頭でも扱います。 | 条件を踏まえて検討できるかを確かめます。 |
判断に関わる条件は、資料にあっても口頭で確かめる必要がある
条件が資料に載っていても、相手が自社への影響まで把握したとは限りません。利用条件や対応範囲、説明の前提は、記載箇所を示して口頭でも確かめます。
- 利用できる条件を扱う 利用に必要な条件を示し、相手の状況で満たせるかを確かめます。
- 対応の境界を扱う 対応できる範囲と含まれない範囲を示し、相手の想定との違いを確かめます。
- 説明が成り立つ前提を扱う 提供条件や進め方の説明がどの前提に基づくかを示し、確認できていない条件は確認中として扱います。
口頭でも確かめる条件
| 条件の種類 | 口頭で確かめる理由 | 確かめ方の方針 |
|---|---|---|
| 利用条件 | 利用できるかの判断に関わるためです。 | 記載を示し、相手が条件を満たせるかを確認します。 |
| 対応範囲 | 期待する対応が含まれない場合があるためです。 | 相手が必要とする対応と記載範囲を照合します。 |
| 説明の前提 | 前提が違うと提供条件や進め方が変わるためです。 | 前提を示し、確定した条件と未確認の条件を分けます。 |
その場で言い切れる範囲は、確認済みの事実に限られる
資料にない質問にも、確認済みの情報で答えられる場合があります。資料への記載の有無と回答できるかを分け、確認が必要な内容を推測で答えない準備をします。
- 根拠がある範囲で答える 確認済みの事実で答えられる場合は、適用される条件も添えて説明します。
- 社内確認の担当を決める 未確認の内容は持ち帰り、確認先と回答予定、相手への連絡方法を決めます。
- 回答できる範囲を示す 自社で回答できない内容は、答えられる範囲を伝え、確認先を案内できるかを検討します。
質問への対応の分け方
| 質問の種類 | その場の対応 | 記録 |
|---|---|---|
| 確認済みの内容 | 根拠と条件を添えて回答します。 | 質問の要旨と回答した内容を残します。 |
| 社内確認が必要 | 未確認と伝え、回答までの対応を決めます。 | 確認先、回答予定、連絡方法を残します。 |
| 自社の回答範囲外 | 回答できる範囲を示します。 | 答えられなかった内容と、案内した確認先を残します。 |
相手が読む間は待ち、再開する箇所を決めておく必要がある
読んでもらう箇所を決めるときは、その後に何を補うかも決めておきます。説明メモに待つ箇所と再開する内容を残すと、読む内容と話す内容が重ならずに済みます。
- 待つ箇所を決める 資料で確認してもらう箇所では読み終えるのを待ち、続けて話す補足をメモに残します。
- 再開するページを合わせる 説明を再開する前に相手が読んでいるページを確かめ、どの記載について補うかを明らかにします。
- 別の説明を重ねない 読む間に別の話題を進めず、必要な補足は読み終えた後に扱います。
説明メモに残す再開の準備
| 場面 | すること | 避けること |
|---|---|---|
| 記載を読んでもらう | 読み終えるのを待ちます。 | 記載と同じ内容を重ねて読み上げません。 |
| 説明を再開する | 読んでいるページと補足する箇所を確かめます。 | 別のページを見ているまま説明を始めません。 |
| 別の補足がある | 説明メモに残し、相手が読み終えた後で扱います。 | 読んでいる内容と別の話を並行しません。 |
持ち帰る資料だけでは、口頭の補足が残らない
商談で伝えた補足は、相手の会社で資料だけを読む人には伝わりません。説明に使った資料と口頭で補った条件を照合し、持ち帰った後に何が分かるかを確かめます。
- 説明した資料を確認する 相手が持ち帰る資料が、説明に使ったものと同じ内容かを確かめます。
- 補足の伝達漏れを防ぐ 判断に関わる口頭の補足は、後から確認できる記録でも相手に共有します。
- 社内での使い方を聞く 誰が何を判断するために読むかを聞き、不足する説明と未回答の質問を確認します。
持ち帰る情報の確認
| 持ち帰るもの | 確かめること | 補うこと |
|---|---|---|
| 説明した資料 | 説明に使った内容と同じかを確かめます。 | 参照したページや箇所を伝えます。 |
| 口頭での補足 | 判断に関わる条件が記録に残るかを確かめます。 | 確定した補足と未確認事項を分けて共有します。 |
| 社内で使う資料 | 誰が何の判断に使うかを確かめます。 | 読む人に足りない説明と、未回答の質問への回答を共有します。 |
次回に直す箇所は、ページごとの記録で決まる
説明の感想だけでは、次回のどこを直すかを決めにくくなります。口頭の補足、相手の質問、省いたページを対応させて残し、次回の説明メモを直します。
- 補足をページに対応させる どのページで何を補ったかと、補足が必要になった理由を記録します。
- 質問と回答を残す 質問が出た箇所と回答を残し、次回に先に補う内容や確認する項目を見直します。
- 省いた理由も残す 省いたページとその理由、後から説明が必要になったかを記録します。
説明メモを直すための記録
| 記録項目 | 書くこと | 次回の直し方 |
|---|---|---|
| 口頭での補足 | 該当ページ、補足内容、必要になった理由を書きます。 | 同じ状況で必要になる補足を説明メモに加えます。 |
| 相手の質問 | 該当箇所、質問、回答、未確認事項を書きます。 | 補足する順番と事前に確認する項目を直します。 |
| 省いたページ | ページ、省いた理由、後から説明したかを書きます。 | 説明を省ける条件を見直します。 |
役割分担表を照らすと、説明の重なりと不足が分かる
使っている資料を開き、ページごとに下の欄を埋めます。準備した内容と商談で実際に起きたことを同じ行に残すと、次回に補う説明を見直せます。
- 説明前に分担を書く 資料に任せる内容、口頭の補足、求める判断、相手に聞くことをページごとに書きます。
- 省く条件を具体化する 何が確認できたら説明を省くかを書き、口頭でも確かめる重要条件は補足欄に残します。
- 説明後に記録を加える 出た質問を残し、実際の補足や省いた理由を踏まえて、次回の説明で変えることを書きます。
資料と口頭説明の役割分担表
| ページ | 資料に任せる内容 | 口頭で補う内容 | 相手に判断してほしいこと | 相手に聞くこと | 省く条件 | 出た質問 | 次回の直し |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
